24 / 102
第2章 公爵令嬢でもできること
8話 公爵令嬢の生き残り方は当然ですが他力本願で行かせて頂きます
しおりを挟む
この書庫には隠し通路の一つもありません。二階にあり、窓から飛び出す勇気もありません。彼女は何者かわかりませんが、私を殺しに来る以上、おそらく私が逃げ出そうとして何とかなる相手とは思えませんわね。
「では私を殺すということで宜しいのですわね」
「勿論です。そろそろ時間の無駄です。私に一矢報いたいのなら、せめて殺される瞬間によく叫ぶことですね。私はもう捨て駒であり、雇い主も探せないのですから」
彼女は工具らしきものを手に持っているようです。先端は金属で穴を開ける道具なのでしょうか。あんなものに刺されてしまったら、すぐに逝ってしまうものなのでしょうか? いえ、そもそも相手は女性ですから針に毒でも仕込んでいるのでしょう。
しかし、なんともまあどのようにして生き延びましょう。相手の武器はわかりましたが、毒の可能性を考えれば、触れることすら危険。近づいて取り押さえるなんて、ただでさえできないと思っていましたが、毒の危険性を考慮すればまず無理でしょうね。
何かないのですか? なんでも構いませんわ。相手を驚かせることが一瞬でもできれば良いのです。
そういえば以前この書庫でもグレイ様と遊んだことがありましたわ。確かあの時はグレイ様から本を頂いて、早速目の前で開きましたら、突然本の中身が立体的に飛び出して私の顔面を襲いましたわ。
あれは本当に驚いてしまいましたわ。グレイ様は驚いて腰を抜かした私を笑いながら、プレゼントして良かったなどと言いだしましたのよね。なんだか段々ムカムカしてきましたわ。
しかし、もう方法を考えている時間はありませんね。一か八か、あることを試してみましょう。
私はその工具を持った女性に一歩ずつ近づいていきましたわ。彼女は私の様子に驚きましたが、私が諦めたなどとは考えていないようですね。油断している様子はなく、何かに警戒しながら、彼女も私に近づいてきましたわ。
あと数歩で私と彼女の距離は、彼女が一刺しできる間合いまで近づきます。ぎりぎりまで引き付けるのです。それだけが私の生き残る活路になるのですから。
そして彼女の間合いまで私は入りましたわ。なんのアクションも越さない私を見て、彼女は困惑し始めましたわ。
きっと彼女は考えています。私がこれから起こすアクションを見定めて、そのアクションに対してカウンターを行うつもりなのでしょう。
彼女はカウンターで仕留めると考えるのであれば、私は、彼女の横を素通りしましたわ。
「は?」
無防備に素通りしてしまった私が、あまりに予想外すぎた彼女は、開いた口が塞がらない様子。
「私、はじめから素通りするつもりでしたわ」
私はそう言いながらポケットの中にしまってあったエレナを呼びつけるときに使うベルを彼女の顔面に投げつけましたわ。
ベルは鳴りながら彼女の顔面にクリーンヒットし、更に大きめの音が鳴りました。
「素通りもフェイクです」
本当は、あなたがもし間合いに入った時にアクションを起こすつもりでしたら、こちら側からカウンターするつもりでしたの。
そしてそのベルは、エレナを呼び出す合図にもなります。
私は、ドアに向かって一気に走ろうとしたまま、そのまま床に敷かれたカーペットがずるりとズレ、足を取られて顔面から床に衝突しましたわ。
かなり痛いです。当然、この程度のことは慣れていますが。
「おまぬけさんですね。ですが、これでさようなら」
工具を持った手が、私の首筋めがけて振り下ろされましたわ。その瞬間でした。突然したドアの開く音に、大きな金属音。何かがはじかれて床で弾み転がる音。
「ごめんねルー。君を一人にすべきじゃないってことは、とっくにわかっていたつもりなのだけど。王子殿下って言うは、不自由すぎてしょうがないね」
「グレイ様」
どうやら工具はグレイ様が持っていらした長剣で弾かれたようですね。グレイ様はそのままマグダレナを蹴っ飛ばしてしまいましたわ。後ろから出てきたヨハンネスが彼女を縄で拘束し、私はいつの間にかグレイ様にしっかりと抱きながら支えられていましたわ。
「お嬢様!」
廊下からエレナが入ってきて私の無事を確認しに来ましたわ。どうやら、ヨハンネスは返事だけでなく王子を持って帰ってきたようですわね。そしてエレナの呼び鈴の音がいつもと違うことから、異常事態と判断されたのでしょう。
「グレイ様、そろそろ離して頂いても大丈夫です」
「いや、これは僕の私利私欲だから」
「もし宜しければ、一度離して頂くという方針をご検討願えますでしょうか」
「検討の結果、継続させて頂きます」
そして先ほどよりもより強く抱き寄せられましたわ。やはり今日は風邪のようですね。顔が熱いですわ。それもエレナと話していた先ほどよりもずっと。
これは王子命令と考え、私は身を預けることにしましたわ。顔は冷ましたいのですが、見られると余計に熱くなりますので、仕方なくグレイ様の胸に押し付けておきましょう。無理やり女性を抱き寄せているのです。これくらい容認して頂きたいですわ。
「王子殿下、そろそろうちのお嬢様を離して頂けますか?」
「羨ましいかな? 君もルーと一緒にいて好きになったとか?」
グレイ様とヨハンネス。やけに親しそうに会話していますのね。そういえばヨハンネスをベッケンシュタイン家に所属を変えてくださったのはグレイ様でしたね。元々面識があったのでしょう。
「ふふ、私を抱きしめていることがうらやましいだなんて、ヨハンネスは結局殿方ということで宜しいのかしら?」
「それは内緒でお願いします」
しかし、これは殿方ということで間違いなさそうですね。グレイ様はうっかりされていたのでしょう。女性に対してあの状況を羨ましい展開だと思う方はいらっしゃらないでしょう。
グレイ様が、あそこまで信頼しているヨハンネスの性別を知らないだなんて想像できませんしね。
ヨハンネスは異性なのですね。そういえば昨日はものすごい近くまで顔の距離が近づいてしまいましたのよね。
まだ性別の件は推測の域ですし、何より彼は準男爵とはいえ、平民ですわ!
せめて男爵家以上であればお父様も認めてくださるでしょうに。
そういえば今日見た演劇は平民と姫の結婚で幕引きでしたのよね。しかも、実話な上にその平民男性こそヨハンネスのおじい様ですし。
「もうそろそろ離してください」
「仕方ないなぁ。さて本題に入ろうか。相手がデークルーガ帝国ということなら、君の護衛の人数を増やそうと思う。ひとまず今日は僕が君の所に来たけど、勿論いつまでも君の所にいれる訳じゃない。だから代わりになる騎士を明日こちらに呼ぼうと思っているけど。ルーには護衛に希望はあるかい?」
「そうですわね。年齢は私とそこまで離れていない方で、爵位は男爵家以上でいいですわ。顔は美形で性格もまとも。婚約者のいない独身男性だとなお良いのですがどうでしょうか」
「当たり前のように婚活しようとするね」
厚かましくて結構ですわ。私はあなたからも逃げないといけないのです。
「じゃあ、まあその条件に当てはまらない人を呼ばせてもらうよ」
「言わなければ良かった!!」
いえ、独身男性って条件は外したくないのですけれどね。
ようやく離して貰って自由に動けるようになると、私を襲おうとしたマグダレナの方に顔を向けました。彼女は拘束されていますが、一応近づかないでいましょう。
「どなたの差し金かなんて言いませんよね?」
「勿論です。お好きにしてください。私は決して主の名を口にしませんので」
彼女の決意は固いのでしょう。ですが当然自由にもできません。終身刑がちょうど良いでしょう。エレナに連絡してもらい、衛兵に連行された彼女の罪は後々裁かれるのでしょう。
「あ、そうですわ。女性騎士はどうでしょうか?」
「女性騎士かぁ。考えておくよ」
何故女性騎士でそこまでためらうのでしょうか。考えても仕方ありません。今日はもう寝てしまいましょう。グレイ様には客室を使っていただくことになり、当然ですが、今夜突然現れたグレイ様に、お父様もお兄様も驚いていました。お二人をグレイ様が上手く説得すると仰いましたので任せましたわ。私はもう眠いのです。
「では私を殺すということで宜しいのですわね」
「勿論です。そろそろ時間の無駄です。私に一矢報いたいのなら、せめて殺される瞬間によく叫ぶことですね。私はもう捨て駒であり、雇い主も探せないのですから」
彼女は工具らしきものを手に持っているようです。先端は金属で穴を開ける道具なのでしょうか。あんなものに刺されてしまったら、すぐに逝ってしまうものなのでしょうか? いえ、そもそも相手は女性ですから針に毒でも仕込んでいるのでしょう。
しかし、なんともまあどのようにして生き延びましょう。相手の武器はわかりましたが、毒の可能性を考えれば、触れることすら危険。近づいて取り押さえるなんて、ただでさえできないと思っていましたが、毒の危険性を考慮すればまず無理でしょうね。
何かないのですか? なんでも構いませんわ。相手を驚かせることが一瞬でもできれば良いのです。
そういえば以前この書庫でもグレイ様と遊んだことがありましたわ。確かあの時はグレイ様から本を頂いて、早速目の前で開きましたら、突然本の中身が立体的に飛び出して私の顔面を襲いましたわ。
あれは本当に驚いてしまいましたわ。グレイ様は驚いて腰を抜かした私を笑いながら、プレゼントして良かったなどと言いだしましたのよね。なんだか段々ムカムカしてきましたわ。
しかし、もう方法を考えている時間はありませんね。一か八か、あることを試してみましょう。
私はその工具を持った女性に一歩ずつ近づいていきましたわ。彼女は私の様子に驚きましたが、私が諦めたなどとは考えていないようですね。油断している様子はなく、何かに警戒しながら、彼女も私に近づいてきましたわ。
あと数歩で私と彼女の距離は、彼女が一刺しできる間合いまで近づきます。ぎりぎりまで引き付けるのです。それだけが私の生き残る活路になるのですから。
そして彼女の間合いまで私は入りましたわ。なんのアクションも越さない私を見て、彼女は困惑し始めましたわ。
きっと彼女は考えています。私がこれから起こすアクションを見定めて、そのアクションに対してカウンターを行うつもりなのでしょう。
彼女はカウンターで仕留めると考えるのであれば、私は、彼女の横を素通りしましたわ。
「は?」
無防備に素通りしてしまった私が、あまりに予想外すぎた彼女は、開いた口が塞がらない様子。
「私、はじめから素通りするつもりでしたわ」
私はそう言いながらポケットの中にしまってあったエレナを呼びつけるときに使うベルを彼女の顔面に投げつけましたわ。
ベルは鳴りながら彼女の顔面にクリーンヒットし、更に大きめの音が鳴りました。
「素通りもフェイクです」
本当は、あなたがもし間合いに入った時にアクションを起こすつもりでしたら、こちら側からカウンターするつもりでしたの。
そしてそのベルは、エレナを呼び出す合図にもなります。
私は、ドアに向かって一気に走ろうとしたまま、そのまま床に敷かれたカーペットがずるりとズレ、足を取られて顔面から床に衝突しましたわ。
かなり痛いです。当然、この程度のことは慣れていますが。
「おまぬけさんですね。ですが、これでさようなら」
工具を持った手が、私の首筋めがけて振り下ろされましたわ。その瞬間でした。突然したドアの開く音に、大きな金属音。何かがはじかれて床で弾み転がる音。
「ごめんねルー。君を一人にすべきじゃないってことは、とっくにわかっていたつもりなのだけど。王子殿下って言うは、不自由すぎてしょうがないね」
「グレイ様」
どうやら工具はグレイ様が持っていらした長剣で弾かれたようですね。グレイ様はそのままマグダレナを蹴っ飛ばしてしまいましたわ。後ろから出てきたヨハンネスが彼女を縄で拘束し、私はいつの間にかグレイ様にしっかりと抱きながら支えられていましたわ。
「お嬢様!」
廊下からエレナが入ってきて私の無事を確認しに来ましたわ。どうやら、ヨハンネスは返事だけでなく王子を持って帰ってきたようですわね。そしてエレナの呼び鈴の音がいつもと違うことから、異常事態と判断されたのでしょう。
「グレイ様、そろそろ離して頂いても大丈夫です」
「いや、これは僕の私利私欲だから」
「もし宜しければ、一度離して頂くという方針をご検討願えますでしょうか」
「検討の結果、継続させて頂きます」
そして先ほどよりもより強く抱き寄せられましたわ。やはり今日は風邪のようですね。顔が熱いですわ。それもエレナと話していた先ほどよりもずっと。
これは王子命令と考え、私は身を預けることにしましたわ。顔は冷ましたいのですが、見られると余計に熱くなりますので、仕方なくグレイ様の胸に押し付けておきましょう。無理やり女性を抱き寄せているのです。これくらい容認して頂きたいですわ。
「王子殿下、そろそろうちのお嬢様を離して頂けますか?」
「羨ましいかな? 君もルーと一緒にいて好きになったとか?」
グレイ様とヨハンネス。やけに親しそうに会話していますのね。そういえばヨハンネスをベッケンシュタイン家に所属を変えてくださったのはグレイ様でしたね。元々面識があったのでしょう。
「ふふ、私を抱きしめていることがうらやましいだなんて、ヨハンネスは結局殿方ということで宜しいのかしら?」
「それは内緒でお願いします」
しかし、これは殿方ということで間違いなさそうですね。グレイ様はうっかりされていたのでしょう。女性に対してあの状況を羨ましい展開だと思う方はいらっしゃらないでしょう。
グレイ様が、あそこまで信頼しているヨハンネスの性別を知らないだなんて想像できませんしね。
ヨハンネスは異性なのですね。そういえば昨日はものすごい近くまで顔の距離が近づいてしまいましたのよね。
まだ性別の件は推測の域ですし、何より彼は準男爵とはいえ、平民ですわ!
せめて男爵家以上であればお父様も認めてくださるでしょうに。
そういえば今日見た演劇は平民と姫の結婚で幕引きでしたのよね。しかも、実話な上にその平民男性こそヨハンネスのおじい様ですし。
「もうそろそろ離してください」
「仕方ないなぁ。さて本題に入ろうか。相手がデークルーガ帝国ということなら、君の護衛の人数を増やそうと思う。ひとまず今日は僕が君の所に来たけど、勿論いつまでも君の所にいれる訳じゃない。だから代わりになる騎士を明日こちらに呼ぼうと思っているけど。ルーには護衛に希望はあるかい?」
「そうですわね。年齢は私とそこまで離れていない方で、爵位は男爵家以上でいいですわ。顔は美形で性格もまとも。婚約者のいない独身男性だとなお良いのですがどうでしょうか」
「当たり前のように婚活しようとするね」
厚かましくて結構ですわ。私はあなたからも逃げないといけないのです。
「じゃあ、まあその条件に当てはまらない人を呼ばせてもらうよ」
「言わなければ良かった!!」
いえ、独身男性って条件は外したくないのですけれどね。
ようやく離して貰って自由に動けるようになると、私を襲おうとしたマグダレナの方に顔を向けました。彼女は拘束されていますが、一応近づかないでいましょう。
「どなたの差し金かなんて言いませんよね?」
「勿論です。お好きにしてください。私は決して主の名を口にしませんので」
彼女の決意は固いのでしょう。ですが当然自由にもできません。終身刑がちょうど良いでしょう。エレナに連絡してもらい、衛兵に連行された彼女の罪は後々裁かれるのでしょう。
「あ、そうですわ。女性騎士はどうでしょうか?」
「女性騎士かぁ。考えておくよ」
何故女性騎士でそこまでためらうのでしょうか。考えても仕方ありません。今日はもう寝てしまいましょう。グレイ様には客室を使っていただくことになり、当然ですが、今夜突然現れたグレイ様に、お父様もお兄様も驚いていました。お二人をグレイ様が上手く説得すると仰いましたので任せましたわ。私はもう眠いのです。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる