8 / 25
第一章 離島生活
8話 未来視
しおりを挟む
部屋に戻ると白い肌着に着替えているヴィーちゃんが机に向かって日記を書いていました。髪も白いのに服まで白いと全身真っ白ですね。
私も自分用に用意された肌着に着替えるため、紺色の修道服を脱いで用意されたベッドの上に投げ捨てます。
「ちょっとクリスチナ? 脱いだ服くらい畳んでおきなさいよ。しわになるわよ」
「大丈夫ですよ! この程度ではしわになりませんから」
「何でわかるのよ」
「いいんです!」
肌着に袖を通して私はベッドに潜り込みます。それを見たヴィーちゃんも机の脇に置かれた蝋燭の火を消し、彼女もベッドに潜り込みました。
夢を見る。明日の夢。朝はヴィーちゃんに叩き起こされ、遅れることなくお風呂に向かいます。
お風呂場ではぎゅうぎゅうに詰められた状態でモニカお姉ちゃんの傍にいると体中を触られてしまうみたいです。うーむ。回避しましょうか。
部屋に戻って身支度を整えたら、朝の礼拝。
その後に私達フランチェスカ班は昨日同様に朝食の準備を始めるのです。私達の朝食準備は明日を含めあと二日。
ローテーションで行われる作業は、三日ごとに別の作業にローテーションされるようです。
作業中にモニカお姉ちゃんが、刃物で指を切ってしまうみたいです。これは助けましょうか。朝食を食べる時は特にいつも通りで変わらない。
しばらくは明日の夢が繰り広げられていましたが、最後に二つだけ、ずっと先の未来の夢が浮かびました。
明後日の夜に、サーシャさんは水浴びをしてはいけないこと。
そして十日目の夜にシスター・タチアナに目撃された上で、一人で出かけること。
それぞれ何をさしているかわからないところもありましたが、何故そうしなければいけないのかはなんとなくわかりました。
とりあえず明日は普通に生活しましょうか。
夢は終わりを告げます。私は振り下ろされる枕を受け止めました。
「え? 起きてたの?」
「感が鋭く見えませんか?」
「偶然寝相で受け止めたかと思ったわ」
ヴィーちゃんが私に枕を叩き付けようとしたところ。私は上手にその枕を受け止めると、ヴィーちゃんは目を丸くして驚いていました。
私達は一度肌着のまま、宿舎の部屋から出ると、廊下にはゾロゾロ歩く他の聖女候補生たちにより、辺り一面が肌着の白色で埋め尽くされます。
私はすぐさまモニカお姉ちゃんの位置を確認すると、彼女と距離を取ることを意識しながら浴場に向かいました。
浴場近辺には護衛の騎士は近寄ってきません。女性の騎士様がいらっしゃれば話は変わるのですが、この離島にいる騎士様たちは皆男性です。
なぜなら、聖女候補生を護衛の任務は基本的に志願制。その上で男性ばかりなのは、聖バレリア教皇国では聖女または聖女に選ばれなかった聖女候補生たちは、聖痕が浮かんでいる限りこの国での高い地位が約束されているからです。
その為、聖痕持ちの女性と結婚したい騎士や、息子を結婚させたいと考える親の指示により志願した騎士ばかりだから必然的に男性ばかりになります。
ちなみに聖女も聖女候補生も婚姻に規制はなく、自分が選んだ相手と結婚できますので、この離島生活の護衛任務は、聖痕持ちの女性と親しくなるチャンスでもあるのです。
浴場に向かう最中、さすがに聖女候補生だけを固める訳にもいかずに多くのシスターが見張りとして近くを歩いていました。
そこまでしなくても、今日の入浴は安全なんですけどね。ですが、もし今日の入浴は安全だから、警備はしなくていいと声をかけたら、未来が変わるかもしれない。
だから私は今日は安全だと誰にも伝えられない。今日も護衛を続けて貰うことが最善であると、私だけが知っていればいい。
浴場では肌着のまま次々と浴槽に詰め込まれる聖女候補生たち。非常にシュールです。
貴族出身の聖女候補生が不快そうしていたり、はじめて浴槽に使ったスラム出身の聖女候補生は目を輝かせていたりと、ここでもまた千差万別の反応を見ることができます。
モニカお姉ちゃんは遠く離れた私を諦め、偶然近くにいたヴィーちゃんが餌食になっていました。ごめんなさい。
私は密かにサーシャさんの近くに寄っていたため、昨日の水浴びに近い心地よさを感じながら入浴を楽しむことにしました。
聖水の力をもってしても、前後左右誰かとぶつかったり離れたりしながらの入浴は中々落ち着くことはできないのですけどね。
私も自分用に用意された肌着に着替えるため、紺色の修道服を脱いで用意されたベッドの上に投げ捨てます。
「ちょっとクリスチナ? 脱いだ服くらい畳んでおきなさいよ。しわになるわよ」
「大丈夫ですよ! この程度ではしわになりませんから」
「何でわかるのよ」
「いいんです!」
肌着に袖を通して私はベッドに潜り込みます。それを見たヴィーちゃんも机の脇に置かれた蝋燭の火を消し、彼女もベッドに潜り込みました。
夢を見る。明日の夢。朝はヴィーちゃんに叩き起こされ、遅れることなくお風呂に向かいます。
お風呂場ではぎゅうぎゅうに詰められた状態でモニカお姉ちゃんの傍にいると体中を触られてしまうみたいです。うーむ。回避しましょうか。
部屋に戻って身支度を整えたら、朝の礼拝。
その後に私達フランチェスカ班は昨日同様に朝食の準備を始めるのです。私達の朝食準備は明日を含めあと二日。
ローテーションで行われる作業は、三日ごとに別の作業にローテーションされるようです。
作業中にモニカお姉ちゃんが、刃物で指を切ってしまうみたいです。これは助けましょうか。朝食を食べる時は特にいつも通りで変わらない。
しばらくは明日の夢が繰り広げられていましたが、最後に二つだけ、ずっと先の未来の夢が浮かびました。
明後日の夜に、サーシャさんは水浴びをしてはいけないこと。
そして十日目の夜にシスター・タチアナに目撃された上で、一人で出かけること。
それぞれ何をさしているかわからないところもありましたが、何故そうしなければいけないのかはなんとなくわかりました。
とりあえず明日は普通に生活しましょうか。
夢は終わりを告げます。私は振り下ろされる枕を受け止めました。
「え? 起きてたの?」
「感が鋭く見えませんか?」
「偶然寝相で受け止めたかと思ったわ」
ヴィーちゃんが私に枕を叩き付けようとしたところ。私は上手にその枕を受け止めると、ヴィーちゃんは目を丸くして驚いていました。
私達は一度肌着のまま、宿舎の部屋から出ると、廊下にはゾロゾロ歩く他の聖女候補生たちにより、辺り一面が肌着の白色で埋め尽くされます。
私はすぐさまモニカお姉ちゃんの位置を確認すると、彼女と距離を取ることを意識しながら浴場に向かいました。
浴場近辺には護衛の騎士は近寄ってきません。女性の騎士様がいらっしゃれば話は変わるのですが、この離島にいる騎士様たちは皆男性です。
なぜなら、聖女候補生を護衛の任務は基本的に志願制。その上で男性ばかりなのは、聖バレリア教皇国では聖女または聖女に選ばれなかった聖女候補生たちは、聖痕が浮かんでいる限りこの国での高い地位が約束されているからです。
その為、聖痕持ちの女性と結婚したい騎士や、息子を結婚させたいと考える親の指示により志願した騎士ばかりだから必然的に男性ばかりになります。
ちなみに聖女も聖女候補生も婚姻に規制はなく、自分が選んだ相手と結婚できますので、この離島生活の護衛任務は、聖痕持ちの女性と親しくなるチャンスでもあるのです。
浴場に向かう最中、さすがに聖女候補生だけを固める訳にもいかずに多くのシスターが見張りとして近くを歩いていました。
そこまでしなくても、今日の入浴は安全なんですけどね。ですが、もし今日の入浴は安全だから、警備はしなくていいと声をかけたら、未来が変わるかもしれない。
だから私は今日は安全だと誰にも伝えられない。今日も護衛を続けて貰うことが最善であると、私だけが知っていればいい。
浴場では肌着のまま次々と浴槽に詰め込まれる聖女候補生たち。非常にシュールです。
貴族出身の聖女候補生が不快そうしていたり、はじめて浴槽に使ったスラム出身の聖女候補生は目を輝かせていたりと、ここでもまた千差万別の反応を見ることができます。
モニカお姉ちゃんは遠く離れた私を諦め、偶然近くにいたヴィーちゃんが餌食になっていました。ごめんなさい。
私は密かにサーシャさんの近くに寄っていたため、昨日の水浴びに近い心地よさを感じながら入浴を楽しむことにしました。
聖水の力をもってしても、前後左右誰かとぶつかったり離れたりしながらの入浴は中々落ち着くことはできないのですけどね。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約破棄までの七日間
たぬきち25番
恋愛
突然、乙女ゲームの中の悪役令嬢ロゼッタに転生したことに気付いた私。しかも、気付いたのが婚約破棄の七日前!! 七日前って、どうすればいいの?!
※少しだけ内容を変更いたしました!!
※他サイト様でも掲載始めました!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる