7 / 25
第一章 離島生活
7話 聖水の聖女、アレッサンドラ・ラファエラ・チマッティ
しおりを挟む
食事を終えた後は、特にすることはありません。また就寝時間まで自由行動なのです。
私はとある人がいる場所求めて、夜の散歩をしていると、彼女は腰まで浸かることができる川を前にして服を脱ぎ始めていました。
「覗きか?」
「えへへ、良い身体してますね?」
「本当に覗きみたいなリアクションをするんだな」
水色の髪が腰まで伸びた鋭い目つきの女性。青い瞳が私を捉えます。
「ダメですよサーシャさん。護衛も呼ばずに出歩いちゃ」
「護衛を呼んで水浴びをする趣味はなくてな。それとお前だって誰も連れていないじゃないか」
「私も水浴びがしたかったので。ここではお風呂って二日に一回じゃないですか。贅沢は敵みたいな空気なんとかなりませんかね?」
お風呂は二日に一回。明日の朝、朝の礼拝の前の時間に全員まとめて狭い大浴場に詰め込まれます。
「日中だとそこら中に歩いている護衛騎士に気付かれてつけられかねないからな」
「でも就寝時間を守らないとですからね?」
私も着ている修道服を脱ぎ、畳んでから川に足を突っ込みます。冷たい水に足を突っ込んでいるはずですが、不思議と温かいといいますか、癒されるそう言った感覚が私の身体に伝わってきました。
「不思議か?」
「聖痕が浮かんだその日から、不思議なことだらけですよ」
「あたしもだ。これはあたしの聖痕の力みたいなものだから警戒しなくていい」
「はーい」
肩まで浸かっているはずなのに、冷たいと感じずに心地よさだけが全身を包み込み、汚れが落ちるというよりは消え去っていく感覚でした。
サーシャさんのこの力は、聖女の力と言っても過言ではないのでしょう。
あらゆる水を聖水に変える能力。また、魔力を聖水に変える能力。聖水という言葉が曖昧でどこまで作用があるかは不明ですが、少なくとも冷たいはずの水をそう思わせなかったり、体中の汚れを消したりする力はあるみたいです。
やはり、彼女が一人で水浴びをしに行くタイミングについてきて正解でしたね。
ほんのり光る川の水には、他の生き物も安らぎを求めて集まってきます。そこには獰猛な獣までやってきてしまいましたが、川の水を口にして一瞬で安らいでしまいました。
「聖女候補生ね。あたしは力だけなら一人前なんだろうね」
川の水を左手ですくって、指の隙間から垂れ流しながら、サーシャさんは呟きました。確かにサーシャさんは、ステフお姉ちゃんほどではありませんが、粗暴な点があります。
それでも、ここにいる全員は、聖痕が浮かんだ。その一点の理由で、教会から同列として扱われることになります。
「サーシャさんが聖女として選定されたら、最初に何をしますか?」
「最初? そうだな、あたしは誰かの財産を奪わなければ生活ができないという人達を少しでも減らしたいね」
「良いじゃないですか。サーシャさんも立派な聖女候補生ですよ」
私と違う。聖女として働こうと考えている。与えられた役割を全うしようと考えている。この人は紛れもなく聖女候補生だ。
私みたいに、聖痕が浮かんで力を得たから流されるようにしてここに来た人間とは違うんだ。
もっと言えば、私はヴィンセント様に恋する未来を見てその恋に憧れた。だから聖痕の発現を国に申告し、この島にやってきたのだ。
そして私は、最後に選ばれる聖女が誰か知っている。この島に来る前から。
ただし、私の能力は何もしなければ未来がそうなるというだけで、何か行動を起こして未来を書き換えてしまった場合、それ以降の出来事は次に能力が発動するまで分からなくなってしまう。
ですが何度未来を見ても、最後に選ばれる聖女が誰かだけは今の所変わりませんでした。
その未来がどんなことになるかも、私は知っている。だから私は…………
「クリスチナ。お前は聖女になりたいか?」
「なりたい…………いいえ、なります」
「それは国の為か?」
「他の誰でもない私の為です」
「…………」
「…………」
サーシャさんは真っすぐ私の瞳を見つめ、私もその瞳を見つめ返します。互いの視線は一切ぶれません。
「建前すら言わないんだな。正直者のお前こそ聖女に相応しいのかもな」
「少なくとも聖痕が浮かびました。それが結果です。貴女も私も」
私は聖痕のある額が良く見えるように、灰色の前髪をかき分ける。サーシャさんそれを見て、初めてクスリと笑いました。
「なんですか?」
「いや、お前にもそんな立派な表情ができたんだなと思ってな」
「できますよぉ! もう!」
「悪い悪い」
私が頬を膨らませながら怒ると、サーシャさんは目を細めて笑ってくれました。二人で川から上がり互いの髪を拭きます。
修道服に袖を通すと、私達は教会まで誰にも気づかれない様にこっそり戻っていきます。
はじめはサーシャさんが先頭を歩こうとしましたが、私はサーシャさんの肩を叩き、先に歩かせて貰いました。
「サーシャさんばかり聖痕の力が割れてしまうのは申し訳ありませんので、私の力もちょっとだけお見せします。誰にもバレずに戻って見せましょう」
「へえ、やってみろよ」
「少し特殊ですので、能力までは話せませんが、今ここで役に立つことを、私は知っています」
私の自信ありげの表情に、サーシャさんは納得して付いて来てくれました。草むらの向こうには数人の騎士様と聖女候補生。
倉庫の近くには明日の食糧などを運ぶ仕事をしている聖女候補生とその護衛の為に付き添いで立たされている騎士様。
教会の近くでは祈りを捧げているシスターたち。その誰もから怪しまれることもなく歩き、視線が向かないタイミングで通り抜けます。
「次の角を二十三秒後にあそこの物陰まで歩いてください」
「騎士達から丸見えだぞ」
「走らなければ大丈夫です」
私の行った通り、そのタイミングで物陰まで普通に歩くと、騎士たちは誰もこちらを見ません。
そして最後は宿舎の窓を開けてそこから潜り込みます。
これで私達が騎士も連れずに敷地外に出たことを知る者は誰もいません。
「ほーん。奇跡を起こす力か何かか?」
「それは正解で不正解ですね。聖痕の力はすべて奇跡ですよ」
「まあ、それもそうなんだが」
はぐらかすとサーシャさんはそれ以上は追及してこようとしません。そういうところは、サーシャさんやステフお姉ちゃんの良いところだと思います。
二人からは粗暴だけど、優しいお姉ちゃんと言った印象があります。逆にモニカお姉ちゃんは私を犬か何かと勘違いしているのではないでしょうかと思いますが、可愛がられていることに違いありません。
聖痕が発現した以上、個人差はありますが、誰かを傷つけるような邪な思想を持つ者はいないと言って良いでしょう。
ですが、それはあくまで聖女候補生に限った話。誰の家族や関係者にも、聖女にさせたいという思想や、親族を聖女にして利用したいという人間は必ずいます。
いずれこの離島生活でも、誰かを聖女にさせようとする何者かが、重大な事件を起こそうとするのでしょう。
それ自体は過去の聖女候補生の試験に何度もあり、護衛騎士たちが配置されているのもその予防でもあります。離島で行われることだって、侵入者がわかりやすいようにするのが目的です。
「それじゃあたしは部屋に戻るな」
「はーい。おやすみなさーい」
「おう、夜更かしするなよ?」
「混んだお風呂に入れなかったら、明日もお願いします」
「ははは。お前の力はバレずに何かするには便利だな」
「聖痕消えちゃいますよ?」
「聖女候補生二人の総意だ。多分正しいだろ」
そう言ってサーシャさんは、豪快に笑いながら自室に戻っていってしまいました。
もうすぐ就寝時間。私も特に理由がありませんので、既にヴィーちゃんが戻っている部屋に向かいました。
私はとある人がいる場所求めて、夜の散歩をしていると、彼女は腰まで浸かることができる川を前にして服を脱ぎ始めていました。
「覗きか?」
「えへへ、良い身体してますね?」
「本当に覗きみたいなリアクションをするんだな」
水色の髪が腰まで伸びた鋭い目つきの女性。青い瞳が私を捉えます。
「ダメですよサーシャさん。護衛も呼ばずに出歩いちゃ」
「護衛を呼んで水浴びをする趣味はなくてな。それとお前だって誰も連れていないじゃないか」
「私も水浴びがしたかったので。ここではお風呂って二日に一回じゃないですか。贅沢は敵みたいな空気なんとかなりませんかね?」
お風呂は二日に一回。明日の朝、朝の礼拝の前の時間に全員まとめて狭い大浴場に詰め込まれます。
「日中だとそこら中に歩いている護衛騎士に気付かれてつけられかねないからな」
「でも就寝時間を守らないとですからね?」
私も着ている修道服を脱ぎ、畳んでから川に足を突っ込みます。冷たい水に足を突っ込んでいるはずですが、不思議と温かいといいますか、癒されるそう言った感覚が私の身体に伝わってきました。
「不思議か?」
「聖痕が浮かんだその日から、不思議なことだらけですよ」
「あたしもだ。これはあたしの聖痕の力みたいなものだから警戒しなくていい」
「はーい」
肩まで浸かっているはずなのに、冷たいと感じずに心地よさだけが全身を包み込み、汚れが落ちるというよりは消え去っていく感覚でした。
サーシャさんのこの力は、聖女の力と言っても過言ではないのでしょう。
あらゆる水を聖水に変える能力。また、魔力を聖水に変える能力。聖水という言葉が曖昧でどこまで作用があるかは不明ですが、少なくとも冷たいはずの水をそう思わせなかったり、体中の汚れを消したりする力はあるみたいです。
やはり、彼女が一人で水浴びをしに行くタイミングについてきて正解でしたね。
ほんのり光る川の水には、他の生き物も安らぎを求めて集まってきます。そこには獰猛な獣までやってきてしまいましたが、川の水を口にして一瞬で安らいでしまいました。
「聖女候補生ね。あたしは力だけなら一人前なんだろうね」
川の水を左手ですくって、指の隙間から垂れ流しながら、サーシャさんは呟きました。確かにサーシャさんは、ステフお姉ちゃんほどではありませんが、粗暴な点があります。
それでも、ここにいる全員は、聖痕が浮かんだ。その一点の理由で、教会から同列として扱われることになります。
「サーシャさんが聖女として選定されたら、最初に何をしますか?」
「最初? そうだな、あたしは誰かの財産を奪わなければ生活ができないという人達を少しでも減らしたいね」
「良いじゃないですか。サーシャさんも立派な聖女候補生ですよ」
私と違う。聖女として働こうと考えている。与えられた役割を全うしようと考えている。この人は紛れもなく聖女候補生だ。
私みたいに、聖痕が浮かんで力を得たから流されるようにしてここに来た人間とは違うんだ。
もっと言えば、私はヴィンセント様に恋する未来を見てその恋に憧れた。だから聖痕の発現を国に申告し、この島にやってきたのだ。
そして私は、最後に選ばれる聖女が誰か知っている。この島に来る前から。
ただし、私の能力は何もしなければ未来がそうなるというだけで、何か行動を起こして未来を書き換えてしまった場合、それ以降の出来事は次に能力が発動するまで分からなくなってしまう。
ですが何度未来を見ても、最後に選ばれる聖女が誰かだけは今の所変わりませんでした。
その未来がどんなことになるかも、私は知っている。だから私は…………
「クリスチナ。お前は聖女になりたいか?」
「なりたい…………いいえ、なります」
「それは国の為か?」
「他の誰でもない私の為です」
「…………」
「…………」
サーシャさんは真っすぐ私の瞳を見つめ、私もその瞳を見つめ返します。互いの視線は一切ぶれません。
「建前すら言わないんだな。正直者のお前こそ聖女に相応しいのかもな」
「少なくとも聖痕が浮かびました。それが結果です。貴女も私も」
私は聖痕のある額が良く見えるように、灰色の前髪をかき分ける。サーシャさんそれを見て、初めてクスリと笑いました。
「なんですか?」
「いや、お前にもそんな立派な表情ができたんだなと思ってな」
「できますよぉ! もう!」
「悪い悪い」
私が頬を膨らませながら怒ると、サーシャさんは目を細めて笑ってくれました。二人で川から上がり互いの髪を拭きます。
修道服に袖を通すと、私達は教会まで誰にも気づかれない様にこっそり戻っていきます。
はじめはサーシャさんが先頭を歩こうとしましたが、私はサーシャさんの肩を叩き、先に歩かせて貰いました。
「サーシャさんばかり聖痕の力が割れてしまうのは申し訳ありませんので、私の力もちょっとだけお見せします。誰にもバレずに戻って見せましょう」
「へえ、やってみろよ」
「少し特殊ですので、能力までは話せませんが、今ここで役に立つことを、私は知っています」
私の自信ありげの表情に、サーシャさんは納得して付いて来てくれました。草むらの向こうには数人の騎士様と聖女候補生。
倉庫の近くには明日の食糧などを運ぶ仕事をしている聖女候補生とその護衛の為に付き添いで立たされている騎士様。
教会の近くでは祈りを捧げているシスターたち。その誰もから怪しまれることもなく歩き、視線が向かないタイミングで通り抜けます。
「次の角を二十三秒後にあそこの物陰まで歩いてください」
「騎士達から丸見えだぞ」
「走らなければ大丈夫です」
私の行った通り、そのタイミングで物陰まで普通に歩くと、騎士たちは誰もこちらを見ません。
そして最後は宿舎の窓を開けてそこから潜り込みます。
これで私達が騎士も連れずに敷地外に出たことを知る者は誰もいません。
「ほーん。奇跡を起こす力か何かか?」
「それは正解で不正解ですね。聖痕の力はすべて奇跡ですよ」
「まあ、それもそうなんだが」
はぐらかすとサーシャさんはそれ以上は追及してこようとしません。そういうところは、サーシャさんやステフお姉ちゃんの良いところだと思います。
二人からは粗暴だけど、優しいお姉ちゃんと言った印象があります。逆にモニカお姉ちゃんは私を犬か何かと勘違いしているのではないでしょうかと思いますが、可愛がられていることに違いありません。
聖痕が発現した以上、個人差はありますが、誰かを傷つけるような邪な思想を持つ者はいないと言って良いでしょう。
ですが、それはあくまで聖女候補生に限った話。誰の家族や関係者にも、聖女にさせたいという思想や、親族を聖女にして利用したいという人間は必ずいます。
いずれこの離島生活でも、誰かを聖女にさせようとする何者かが、重大な事件を起こそうとするのでしょう。
それ自体は過去の聖女候補生の試験に何度もあり、護衛騎士たちが配置されているのもその予防でもあります。離島で行われることだって、侵入者がわかりやすいようにするのが目的です。
「それじゃあたしは部屋に戻るな」
「はーい。おやすみなさーい」
「おう、夜更かしするなよ?」
「混んだお風呂に入れなかったら、明日もお願いします」
「ははは。お前の力はバレずに何かするには便利だな」
「聖痕消えちゃいますよ?」
「聖女候補生二人の総意だ。多分正しいだろ」
そう言ってサーシャさんは、豪快に笑いながら自室に戻っていってしまいました。
もうすぐ就寝時間。私も特に理由がありませんので、既にヴィーちゃんが戻っている部屋に向かいました。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約破棄までの七日間
たぬきち25番
恋愛
突然、乙女ゲームの中の悪役令嬢ロゼッタに転生したことに気付いた私。しかも、気付いたのが婚約破棄の七日前!! 七日前って、どうすればいいの?!
※少しだけ内容を変更いたしました!!
※他サイト様でも掲載始めました!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる