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学園4年生編
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しおりを挟む次の日。パスカルの答えは…
「何も浮かばなかった…」
「なんかごめん…」
彼は目の下に隈をこさえて言った。パスカルって欲少ないんだなあ…しかし困った。全身リボンは最終手段だ。
「その、物じゃなくて…俺はシャーリィの時間が欲しい」
「んん?僕の…?」
「そう。最近2人きりになれてないし…1日だけでいい。精霊も抜きで俺と過ごして欲しい」
「……(割と最近建国祭一緒に回ったばかりでは…?)そんなんでよければいくらでも」
「本当かっ!?」
うお!そんなに喜んでもらえると…嬉しくなっちゃうじゃん…。
パスカルの誕生日パーティーは今週末。僕らは来週末を2人で過ごす約束をした。
「……………」
なんかエリゼ、機嫌悪い?彼は自分の椅子に座り机に頬杖を突き、僕とパスカルのやり取りをジト目で無言で見ている。
「……………………」
~エリゼの回想~
夜、授業の復習と予習を終えて自室で寛いでいたら…
「エリゼ!!!助けてくれ!!」
「………お前…今何時だと思ってんだ…?」
ドンドンドン!とノックの音が響く。無視する事も考えたが、もしも万が一本当に緊急事態だったら…と思い鍵を開ける。
するとパスカルが険しい表情で立っていた。だが…奴の肩に乗っているセレネが遠い目をしているので、マトモな話じゃなさそうだ…。
「9時だな。そんな事はどうでもいい!シャーリィに誕生日プレゼント何がいい?って聞かれたんだが…なんて答えればいいと思う!?」
「(知らねえよ…)欲しいもんリクエストしとけよ…」
「欲しいもの…婚姻届にサインか!?」
「そういうのじゃねえよボケェ!!!もっとこう…アクセサリー?カフスとかネクタイピンとか…」
「………はっ!!婚約指輪か!!?」
「ふざけてんなら帰れ!!!」
どうしてこうなると分かっていながら、話を聞いてしまうのか…。
もしかしたら無意識に、こんなやり取りを楽しんでいるのかもしれない。そう考えると…複雑な気分になる。
「(まあ…面倒だけど、退屈しないのは確かだな)全然欲しいもん無いのか?本とかでもいいからさ」
「う~ん……ノートとか消耗品しか浮かばない…」
「それは…プレゼント向きじゃないな…」
結局真面目に話を聞いてやる事に。しかしどちらもいい案は浮かばず。
「じゃあ…一緒に過ごすとかでいいじゃん…。
お前の行きたい所に付き合ってもらったり、我が儘聞いてもらったり」
「我が儘…だと…!?それはつまり、あんな事やそんな事を要求してもいいって事か…!!?」ごくり
「ごくり。じゃねえええーーー!!!お前今何考えた、頬を染めんな気色悪い!!!」
「言わせんな!!お前も男ならわかんだろうが!!?(ピーーー)な事や」
「言・う・な!!!!」
パスカルの顔面に手元にあった教科書を投げつけ黙らせる。友人同士の色事を想像させられるこっちの身にもなれ!!
セレスはこいつを紳士だと思っているが…本音はこんなだぞ。
「なんだよう…普段はキスぐらいで我慢してんだから…」
「…………なんかお前見てると、オレが異常なのかな?って思うわ…」
「……お前の場合、相手が相手だしな」
はあ…やっと落ち着いたか。結局パスカルは、「1日健全なデートをしてもらう」とお願いするようだ。
健全…手を繋いでショッピングとか?
「………パルの言う健全とエリゼの健全が同義か…分かったもんじゃないぞ…」
セレネが何か呟いていたが、詳細は聞こえなかった。
~回想終わり~
「(あの隈を見るに、オレの部屋を出た後も悩んでたんだろうな。もう好きにしてろ…)」
???エリゼは今度は特大のため息を…体調不良なら兄様んとこ行きなよ?
その日の放課後、生徒会。
「えええええっ!?参加が8組しかいないんですか!?毎年25組前後はいるのに…!」
「つまり…俺達3組、会長&ジェフ副会長ペア。あと4組しかいないんですか?」
「そういう事…」
うっそー!それじゃ盛り上がらないんじゃ?観客が退屈しちゃうじゃん。
「という訳で解決策を考えるぞ」
そこへ生徒会顧問のラディ兄様登場。嫌な予感…
この日の生徒会は、いかにして魔術祭を盛り上げるかについて会議だ。
「そうだなー…屋台とか、お祭りっぽくしてみます?今から手配すれば間に合うんじゃないですか?」
「卒業生を招待してみては?」
「それより、不参加でも魔術の成績が良い生徒に声を掛けてみましょうよ」
「参加者が華やかな衣装に身を包むとウケると思いません?ラウルスペード兄妹や皇子殿下、王弟殿下なんて特に!」
「競技中のトラップとかお題を面白おかしくしてみる?大食い対決とか入れてみたり」
「先生方も参加されればいいじゃないですか?魔術教師は別として。ナハト先生が参加したら女生徒が喜びそうですけど」
「俺は解説役だからダメ」
「…実況は?」
「タオフィ君」
「すげえ仲良くなっとる…」
色々意見が出るわ出るわ。なんか…芸能人の大運動会みたいなノリになりそ…。
しかしルシアンはいいとして、少那は参加を見送ったほうがいいんじゃないかな?
完全に僕らタレント扱いですぞ。バンジージャンプも辞さない覚悟で参加しなきゃ駄目ですぞ。
という訳で次の日のお昼に聞いてみた。
「其方、私なら見せ物になっていいと思ってるな?」
「何を今更、君のお兄様方の歴史を見てご覧よ。それより少那は…」
「面白そう!私も参加したい、楽しそう!!」
「うぅ~…ん?」
チラッと咫岐に目を向ける。彼の事だ、「王族である貴方にそのような真似はさせられません!」とか言うに違いない。
そうしたら僕の相棒はジスランにしようっと。そう思ったのだが。
「…よろしいのではありませんか?殿下も参加なさりたいようですし。
学園のイベントでしたら、安全対策も万全でしょう。何より殿下がこれ程までに楽しみにされているのですから…」
「そうだろう!?ね、セレス!」
嘘ん。咫岐は眼鏡をクイっとしながら言い放った。
なんか…彼丸くなってない?もっと「王族は神!!下々の者との触れ合いなど言語道断!」的な王族信者じゃなかった?
何が彼を変えたのかわからんが…これで本格的に少那参戦だ。いいのかなあ…?
ちなみに最早作戦会議も何もありゃしないので…出たとこ勝負!!で行く僕らなのであった。
※※※
数日後、マクロン邸。今日は皆呼ばれてるはずだけど…少那と木華は後から来る。
予定みっちりなんだから無理しなくていいって言ったらしいんだけど、本人が来たがっているとか。
友人の誕生日パーティーってのが初めてらしい。終盤しか参加出来ないけど、必ず来るって。
侯爵邸に着くと、パスカル本人が出迎えてくれた。ビシッとキマってて格好いいね!
「パスカル、誕生日おめでとう!」
「ありがとう、セレスタン」
ついにパスカルは16歳、成人までリーチかかったね。
成人以外の誕生日は家族や親しい友人くらいしかパーティーに呼ばないので、集まるのもいつものメンバーだ。
今日は護衛の2人は送り迎えだけでここにはいない。グラスもね。
グラスに関しては、彼本人がパスカルと親しい訳でもないし…まだ完全に気持ちの整理がついていないから、顔を見たくないらしい。
なのでまあ…公爵家からはいつもの3人でお邪魔します。
うちも今年は皆呼ぼうかな?子供の頃から毎年参加のジスラン以外は、使用人と騎士達しかいないパーティーである。なぜかと言うと、お父様の指示。
『あれねー。可愛い娘達を独占出来る期間が短いからなんだわ。卒業したら2人共スグ結婚しちゃうだろうし。
お嬢様、パーティーにパスカル君とか呼んじゃったらそっちにかかりきりじゃん?結婚前はパパ優先してやってね。およよ』
と、いつかバティストが言っていた。やっぱり今年も身内だけで済ませよう!!
ところで来週のデートがプレゼントとはいえ、今日手ぶらで来る訳にもいかず。結局悩み悩んでブローチを購入した。本人に相談した意味無かったな…。
さて。見たところ僕らが最後のようだ。今日は天気がいいのでガーデンパーティー。侯爵家の綺麗に手入れされた庭に、他の皆は集まっているが…
「パスカル。ご両親はどちら?挨拶したいんだけど」
「ああ。今少し外しているようだから…後で構わないよ。それより…姉が、シャーリィに会いたいと言っているんだが…」
あ、姉!?今までパスカルの誕生日パーティーで会った事無いけど!?
と思ったら、今までは結婚やらなんやらで予定が合わず来れなかったらしい。
パスカルが指し示す方向には…パラソルの下、椅子に座ってこっちに手を振る2人の女性が。
心の準備も無く、いきなりお姉様とご対面ですか…!どうしよう、ここで「うちの可愛い弟には相応しくないわ!!」なんて言われちゃったら!?
そんな風に僕が怖気付いていたら…ロッティが僕の手を取った。
「じゃあ私も、(お姉様の)妹として挨拶してくるわ!パスカルとバジルはあっち行ってなさい」
「(俺の)義妹としてか。うんうん、うん!」
パスカルはゆるゆるな笑顔でバジルを引っ張って、エリゼ達がいる辺りに向かって行ったぞ。
でも…ロッティが側にいてくれる。なんて心強いことか!さて、と…。まずは、最初が肝心!!
僕とロッティはパスカルのお姉様方に近付き…何はともあれ笑顔だ!!
「お初にお目にかかります、僕はセレスタン・ラウルスペードと申します。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
「私は妹のシャルロット・ラウルスペードと申しますわ」
「ご丁寧にどうも、ありがとうございます。私はメロディ・ハーリア。すでに嫁いだ身ではありますが、マクロン家の長女ですわ」
「ご機嫌よう、私はレティシア・オスマン。メロディの妹、パスカルの姉でございます。セレスタン様のお話は、弟より聞き及んでおりますわ」
おお…ゆるふわモテカワ系のお姉さんがメロディ様。モデル系スポーティー美人がレティシア様か。
僕の事聞いてるって…なんて?
「どうか僕達の事はセレス、ロッティとお気軽にお呼びください」
「そうですか?まあいずれ…家族になるかもしれませんし?」
ごふっ!言っちゃったのパスカルううう!!?まだ秘密にしといてって言ったのに!!
促されるままに僕らも椅子に座るが…メロディ様はにっこにこ、レティシア様はちょっと困り顔?
「(ねえねえレティちゃん、セレス君ちょー可愛くない!?やっだあ、うちの弟見る目あるわあ!!)」
「(そういう問題じゃないわよ姉様!いくら可愛くても彼は男性、簡単な話じゃないの!!)」
2人はコソコソ話し始めた…。僕らは下手に発言できず、ひたすら待つ事に。
すると彼女らは僕をじっと見据え…メロディ様が口を開く。
「こほん…。その……本題に入らせてもらうけど…セレス君。貴方…パスカルちゃんと良い仲、なんですって…?」
「「(パ、パパパパァスカル、ちゃあん!!!?)」」
やばっ、噴き出しそうになった!!それはいかん、印象が…!
「んんっ…!……はい、その通りです…」
こうやって宣言するのは…いくら経っても慣れないな…。
照れくさくて、つい顔に熱が集まってしまう。いつか、恥ずかしがらずに堂々と「僕はパスカルの恋人です!!」と言える日が来るだろうか?
「…男性同士というのは理解していますが。それでも僕は…彼を、その…」
本当は男女だけど。そしてロッティの横でこんな事言うのは、顔から火が出そうな程に恥ずかしいけど!!
「その…。ぼ、僕は。パスカルをあ、あ、愛して、ます!!」
僕はしっかりと顔を上げ…お姉さん達から目を逸らさず言い切った。
きっと男である僕を受け入れるのは容易ではないだろう。だから女だって公表してから正式に挨拶するべきだと思っていた。
でも今、よく考えたら…それってずるくない?とも思う。
だってパスカルは…色々な障害を覚悟した上で、ご家族に僕の事を話してくれたんだから。全ての事情を知っている公爵家と違って…。
だからこそ、僕も応えたい。シャルティエラじゃなくて…セレスタンとして、君の家族に認められたい!!
その想いを込めて、お姉様方に僕の気持ちを伝えた。すると……
「…………はあん、もう無理、何この可愛い子…。もう男同士とかどうでもいいわ、愛があればなんでもいいわ…。
いえ、いっそ愛のないカタチも大好物ですが。感情なんて後から付いてくる事もあるんだから…」
「愛だけじゃどうにもならない事もあるわよ姉様。でも…ここまで真剣な姿を見せられてしまったら、認めざるを得ないというものです。
話してくれてありがとう、セレス君。貴方の覚悟…確かに私達には伝わったわ」
メロディ様は両手で顔を覆って天を仰ぐ。レティシア様は一口紅茶を飲んだ後…穏やかに微笑んで、そう言ってくれた。
「その、つまり…僕の事を、認めてくださったのですか…?」
「もちろんよ。まあ、あの子が「愛する人がいる」なんて言って来た時点で…反対する気なんて無かったわ。ただ本人の口から、直接聞きたかっただけ。
でも…問題はお祖父様なのよね…」
お、お義姉様!!なんか様子のおかしいメロディ様は放っておいて、僕とレティシア様は固く握手を交わした。
そして…そっか、ラスボスはお祖父様か…!彼をどう説得するか…か…!!
「……?(先代侯爵様ならお姉様の事情を知ってるはずだし…反対される事も無いと思ってたけど…?
あ、そっか!お姉様が騎士になったら、マクロン侯爵夫人にはなれないものね。女性騎士ってのは、結婚したら引退が常だもの。
まあそれは、同じ騎士仲間やどこかの家に嫁ぐ場合だけど。旦那のほうが支えるなら話は別なのよね。
そうしたらパスカルは当主にはなれない。本人はお姉様の為なら退学も辞さない人だから、きっと家を出ようとするでしょう。
それをお祖父様が認めてくださるかどうか…そこが心配なのねお姉様!)」
なんかロッティがうんうん納得してる?何か解決策が!?と思い、声を掛けようとしたら…
「ところでセレス君…パスカルちゃんとは、どこまで行ったのかしら?」
さっきまで悶えていたメロディ様が復活した。どこまで、って…?
「えーと…」
「姉様の話は半分無視していいわよ」
「ちょっとレティちゃん、大事な問題なのよ!?でも…そうよね、言いにくいわよね…!」
するとメロディ様は今度は頬を染め…
「………あの。貴方達は…どっちがせ…………上、なのかしら?」
「…………上?」
彼女の言葉の真意が分からない。それはロッティとレティシア様も同様で、3人で顔を合わせて首を傾げるしかない。
上…。立場的な?家の爵位で言えば……
「僕が上、ですね?」
「うっっっそーーーーー!!!?」
「ひえっ!!?」
メロディ様が勢いよく立ち上がった。そしてそのまま、意味不明な言葉を並べる。
「嘘でしょ、まさかのセレ×パス!!?可愛い系小柄華奢攻めなの!!?大変だわ、新たな扉が開く…!!だってパスカルちゃん、イケイケでゴー!!なタイプだと思ってたわ!?
でもうちの弟、体はデカいし硬いし、抱き心地悪そうじゃない?」
「(抱き心地?うーん?僕はパスカルの大きな体に抱き着くと…)いえ…温かくて、安心します…」
「……ふぅ……私も修行が足りなかった、って事ね…」
さっきまでハイテンションだったメロディ様は、突然落ち着いて…何かを悟ったような表情に。忙しい人だな…流石姉、パスカルに似てる。
「とっても有意義な話が聞けたわ…ありがとう、セレス君。パスカルちゃんを末永くよろしくね…」
「えっと…はい。こちらこそ…?」
「ごめんね、やっぱり姉様の話は9割聞き流して頂戴?
ねえ、ロッティさんはセレス君の妹として…うちの弟を受け入れてくれているの?」
「はい。彼ほどお兄様をひたむきに愛してくれて、命懸けで守ってくださる方はいませんもの」
ロッティ…ありがと…。
「そっか…ふふ、パスカルちゃんをそこまで評価してくれてありがとう。
2人共よかったら私の事は、レティと呼んで?レティ姉様、だともっと嬉しいわ」
「あ、私はメロ姉様でよろしく」
おお…ルゥ姉様に続き、お姉様が増えた!
なんか思ってたより良い雰囲気?よかった…彼の家族に拒否されたら悲しいもの。
折角の機会だし、もっとお話ししたかったけど…レティ姉様に「パスカルちゃんがやきもきしながらこっちを見ているわ、行ってあげて?」と言われ席を立つ。
また今度ゆっくりお茶しましょうね!と約束して、僕らは友人達の輪に入って行くのであった。
「姉上達と、どんな話を…?」
「んー?ふふ…ひみつだよ、パスカルちゃん!」
「………メロ姉、レティ姉ぇーーー!!何を言ったあああ!?」
「「きゃあ~!!」」
パスカルは顔を真っ赤にして、きゃーきゃー楽しそうに逃げる姉様達を追いかけた。しかし分かれて逃げられて、どっちを追いかけるか迷ってる…仲良いねえ。
「何やってんだアイツ?」
「どこの家でも…姉には苦労するんだな…」
「そう、ですね…」
エリゼは呆れたように笑い、ルシアンは遠い目を。きっとルシファー様を思い出しているんだろう…。
そして姉のいるジスランも同意している。でもジスランのお姉ちゃんは、儚げ系で優しい人だけどな?
「セレスちゃん、このケーキすっごく美味しいですわ。あちらで座っていただきません?」
「ありがとうルネちゃん!そだね、少し休もうか」
主役は放っておいて、僕らは勝手にパーティーを楽しんでいる。精霊達も日当たりの良い場所で、トッピーを中心に日向ぼっこしてる。ひんやりするもんね!
僕はルネちゃんと一緒に座ってケーキを食べていたら…どこからか、視線を感じた。
「………………」
「…?あ、アロイス君!久しぶり、こっちおいで~」
「!…………」
視線の主はパスカルの弟、アロイス君だった。赤いほっぺが可愛い2歳児だ。木の陰からこっちを覗いていて…僕が手招きすると、トコトコ歩いて来た。
その手には…一輪の花。それを僕にスッと差し出した。
「あげましゅ」
「え、僕に?わあ、ありがと!」
か、可愛い~!!地面に膝を突いて視線を合わせ、花を受け取ろうとしたら…彼は、僕の髪に花を挿そうとしている?
一生懸命で可愛いもんだから、頭を下げて付けてもらった。なんておませさん。
「どう、似合う?」
「うん。まってて」
満足したのかアロイス君は、どこかに去って行った。しかしすぐに戻って来て、今度は…
「……はい、どうじょ」
その手の中には、カゴいっぱいに…クッキー等焼き菓子が詰まっている…!
「ありがとう、一緒に食べよっか」
「うん!」
可愛いな~、彼は前から僕に懐いてくれているんだよなあ。
しかし僕が椅子に座り直すと…アロイス君は隣でなく、僕の膝の上にちょこんと座った。天使かよ…。
そのまま僕はアロイス君とカゴを抱えて、美味しいね~と言いながら食べていた。
「こほ、ちょっと喉渇いちゃうね」
「もってくるね!」
「いや、僕行くよ!?」
「せれすたんちゃんは、まってて!」
僕の静止も聞かず、彼はジュースの調達に行ってしまった。なんか…小さい子パシリに使ってる気分になるんですが…!?
「(貢いでる…)」
「(貢いでますわね…)」
「(流石お姉様、無自覚に魔性の女…)」
「(アイツの将来心配だなあ…)」
なんかロッティ達が遠い目をしている!?違うよ、パシってないよ!?
彼はジュースのグラスを2つ持って帰って来た。
「ほかに、ほしいものない?」と聞かれるが…「もういっぱいだよ、ありがとうね」と頭を撫でれば、彼は嬉しそうに笑ってくれるのであった。
「………アロイス…!セレスタンの膝の上に座るなんて…羨ましい!!」
「パスカルちゃん、子供に嫉妬してどうするの…」
「それもそうか…俺はセレスタンを膝に乗せる事が出来るしな!」
「いや、パスカルちゃんの上にセレス君、その上にアロイスちゃんで最強じゃない!?」
「姉様は黙っててね」
建物の陰からマクロン姉弟がこっちを観察していたが、誰も気付かないのであった。
******
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「エリゼ、もうちょい頑張って!?」
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