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3章
カロンのプチ勇気
しおりを挟む「傭兵ヴィクトル……ああ!あの、最初の人生で出会った彼か!」
「そうそう!かくかくしかじか…で、今は姉上の父親代わりをしてくれてるの。月に1回はうちに来てるよ」
「ほお…彼ほどの実力者が味方なら心強い」
ね!
っと…気付けば夜9時を回った。大体話し終えたし、寝ますかね。僕ら身体は子供ですので、寝る子は育つ…
歯でも磨こうとしたら、アルフィーがニヤニヤした?
「もう寝るのか?はは、カロンは子供だから仕方ないか」
カチーン ときたぞ。ほざいてろ!!
「アルフィーより大きくなる為、睡眠は大事だね」
「(むっ!)私も、寝支度をするかな…っと」
「(むむっ!)僕の事は気にしなくていいよ~。オトナなアルフィーは本でも読んでれば~?」
「「…………」」
バチバチと火花を散らす。僕ら互いに「こいつには負けん!!」と思っていますので。
「……そうだ。昼間も言ったがお前…エディットに告白しろよ?」
「…っ!……………」
僕に…そんな資格はない。けどそう言ってしまえば、優しいアルフィーはきっと、「そんな事ない」と否定してくれるのだろう。
「……んー。はは…姉上が、成人しても好きな人と出会えなかったら。滑り止めとして、僕が求婚してみよっかな…なんて、ね」
「……………」
「それより!!アルフィーは、結婚どうするの?」
「あ…それ、なんだが…」
?無理やり話を変えたんだが…アルフィーは頬を染めて顔を逸らした。
「……会いたいひとがいるんだ」
「え…女性、だよね?」
こくん 小さく頷いた。
「前の人生で…私の妻になってくれた女性だ。
世間では廃人だ狂人だ…言われていた私に寄り添い、最期の時まで支えてくれた。
そして伝えたい。ありがとう…今更だけど、貴女を愛してもいいですか、と」
「お…おぉう…」
政略的な結婚と言っていたけど。アルフィーは本当に…その女性を愛していたんだ。
「だが今の私達は接点が無い。未来で出会ったのも、結婚式の日だったし」
「なるほど…王宮に呼べないの?」
「ん…出来なくは、ない。ただ…彼女は私より3つ下だから、まだ5歳のはず」
「あー…」
貴族の子供は10歳前後、早ければ7歳程でお茶会デビューをする。余談だが、お茶会って女性がメインなんだけど、子供は男女問わず集まる。
で…アルフィーの好きな人は小さすぎて、呼ぶ名目が無いんだな。
「それに距離もある。王宮にまで呼ぶのなら近郊か、高位貴族がほとんどだ。彼女の家は男爵家、王都からは馬車で休みを挟んで2日以上はかかる」
「それは…難しいね…」
揃って頭を悩ませる。
うーん。もう諦めて、お互い成長してから出会いの場を設ければ?と提案するも、アルフィーは不満顔。まあ、気持ちは分かるけどさ。
あーでもない こーでもない 横になりながら色々意見を出し合う。中々いい案が出ないのだが…突然扉がノックされた。誰かと思えば、ルイーズ?
「お休みのところ申し訳ございません。その…エディットお嬢様の事で」
「姉上がどうしたの!?」
即座に切り替え、飛び起き詳しく聞く。
姉上がこの時間になっても部屋に戻って来なくて…カリアの部屋にもいないと。もしやと思い、ルイーズが向かった先は…
「すー… すう… くぅ…」
「姉上…?」
なんと。物置部屋のソファーの上で、丸くなって眠っている。近付いてみると…目元が腫れている…?
「どうやら泣いていらしたようで…心当たりはございませんか?」
「「…………」」
アルフィーと顔を見合わせる。無い…よね?どうしてこんな所で…1人で泣いていたの。僕を頼ってはくれなかったの…?
起こさないよう、静かに腰掛け…姉上の頬を撫でる。陶器のように白い肌が赤くなっている…なんだか胸が苦しいよ、姉上。
「……ルイーズ。姉上を部屋まで…」
「そうだカロン。お前のベッド、今日は私が占領するから」
「は?なにを」
言ってんだこの王子。僕の返事に被せるように、アルフィーは言葉を続ける。
「お前のスペースは無いからな。だから今夜はどこかの部屋に泊めてもらえ!!」
「……まさか!」
「じゃお休み!!」
「こ、こらー!?」(小声)
脱兎の如く、とはこの事か!僕が反論する前に、あっという間に消えた!!
え……え。
「えと…」
「……坊っちゃん。どちらでお休みになりますか…?」
「その…えぇ…?」
いや、アルフィーの悪ふざけには付き合っていられない。姉上を部屋まで送った後、普通に戻るけど。
じゃルイーズ。今度こそ、姉上をお願…
きゅっ…
「…………」
姉上が。僕の服を掴んで…離さない。
「……姉上~。ごめんね~…」
「ふえ…」
「う…」
優しく指を外すと…眉間に深い深いシワが刻まれる…!!どうしよう、ルイーズはニヤニヤ笑うばっかりで頼れなそう!
こうなったら、もう…
※
チチチ…
「ん…」
鳥の、声?もう朝か…って私、物置部屋で寝ちゃった?ソファーに横になっていたみたい。一応毛布は掛かってるようだけど。
もうルイーズったら、起こしてくれてもよかったのに!にしても、なんだか温かいような…
「へ……」
「くー…」
温かいものの正体は。私を抱き締めて、寝息を立てるカロン…だった。
なんで?ど、どうし、なんで???私今、カロンに腕枕されている?2人の体が、隙間なくぴったりくっ付いている。自覚した瞬間、全身が熱くなった。
あなたは昨夜…殿下と一緒に寝たのではないの?こんな所にいていいの?疑問が次々浮かび、身動きが取れない。
「(……カロンの匂い。なんだか…落ち着くわ…)」
完全に目は覚めているけれど。この幸せを手放したくなくて…もう1度目を閉じる。
諦めようと思っていたのに。身を引く覚悟を決めたのに。こうも優しくされたら…!
カロンは酷い男性だわ。期待をさせて、突き放して。またこんな事して!!
「……カロン。好き…好きよ」
「ん…」もぞ…
「あなたが好き。他の誰よりも…大好き」
「くかー…」
……ちょっとは反応しなさいよ。ムッとして鼻をつまんだら、カロンは「んがっ」と変な声を出した。そんなとこも、好き。
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王太子殿下に負けないくらい、あなたを想っているのよって。思い知らせてやるわ、覚悟なさい!!
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