慚愧のリフレイン

雨野

文字の大きさ
32 / 49
3章

カロンのプチ勇気

しおりを挟む


「傭兵ヴィクトル……ああ!あの、最初の人生で出会った彼か!」
「そうそう!かくかくしかじか…で、今は姉上の父親代わりをしてくれてるの。月に1回はうちに来てるよ」
「ほお…彼ほどの実力者が味方なら心強い」

 ね!
 っと…気付けば夜9時を回った。大体話し終えたし、寝ますかね。僕ら身体は子供ですので、寝る子は育つ…
 歯でも磨こうとしたら、アルフィーがニヤニヤした?

「もう寝るのか?はは、カロンは子供だから仕方ないか」

 カチーン ときたぞ。ほざいてろ!!

「アルフィーより大きくなる為、睡眠は大事だね」
「(むっ!)私も、寝支度をするかな…っと」
「(むむっ!)僕の事は気にしなくていいよ~。オトナなアルフィーは本でも読んでれば~?」
「「…………」」

 バチバチと火花を散らす。僕ら互いに「こいつには負けん!!」と思っていますので。


「……そうだ。昼間も言ったがお前…エディットに告白しろよ?」
「…っ!……………」

 僕に…そんな資格はない。けどそう言ってしまえば、優しいアルフィーはきっと、「そんな事ない」と否定してくれるのだろう。

「……んー。はは…姉上が、成人しても好きな人と出会えなかったら。滑り止めとして、僕が求婚してみよっかな…なんて、ね」
「……………」
「それより!!アルフィーは、結婚どうするの?」
「あ…それ、なんだが…」

 ?無理やり話を変えたんだが…アルフィーは頬を染めて顔を逸らした。


「……会いたいひとがいるんだ」
「え…女性、だよね?」

 こくん 小さく頷いた。

「前の人生で…私の妻になってくれた女性だ。
 世間では廃人だ狂人だ…言われていた私に寄り添い、最期の時まで支えてくれた。
 そして伝えたい。ありがとう…今更だけど、貴女を愛してもいいですか、と」
「お…おぉう…」

 政略的な結婚と言っていたけど。アルフィーは本当に…その女性を愛していたんだ。

「だが今の私達は接点が無い。未来で出会ったのも、結婚式の日だったし」
「なるほど…王宮に呼べないの?」
「ん…出来なくは、ない。ただ…彼女は私より3つ下だから、まだ5歳のはず」
「あー…」

 貴族の子供は10歳前後、早ければ7歳程でお茶会デビューをする。余談だが、お茶会って女性がメインなんだけど、子供は男女問わず集まる。
 で…アルフィーの好きな人は小さすぎて、呼ぶ名目が無いんだな。

「それに距離もある。王宮にまで呼ぶのなら近郊か、高位貴族がほとんどだ。彼女の家は男爵家、王都からは馬車で休みを挟んで2日以上はかかる」
「それは…難しいね…」

 揃って頭を悩ませる。
 うーん。もう諦めて、お互い成長してから出会いの場を設ければ?と提案するも、アルフィーは不満顔。まあ、気持ちは分かるけどさ。


 あーでもない こーでもない 横になりながら色々意見を出し合う。中々いい案が出ないのだが…突然扉がノックされた。誰かと思えば、ルイーズ?


「お休みのところ申し訳ございません。その…エディットお嬢様の事で」
「姉上がどうしたの!?」

 即座に切り替え、飛び起き詳しく聞く。
 姉上がこの時間になっても部屋に戻って来なくて…カリアの部屋にもいないと。もしやと思い、ルイーズが向かった先は…




「すー… すう… くぅ…」
「姉上…?」

 なんと。物置部屋のソファーの上で、丸くなって眠っている。近付いてみると…目元が腫れている…?

「どうやら泣いていらしたようで…心当たりはございませんか?」
「「…………」」

 アルフィーと顔を見合わせる。無い…よね?どうしてこんな所で…1人で泣いていたの。僕を頼ってはくれなかったの…?
 起こさないよう、静かに腰掛け…姉上の頬を撫でる。陶器のように白い肌が赤くなっている…なんだか胸が苦しいよ、姉上。


「……ルイーズ。姉上を部屋まで…」
「そうだカロン。お前のベッド、今日は私が占領するから」
「は?なにを」

 言ってんだこの王子。僕の返事に被せるように、アルフィーは言葉を続ける。

「お前のスペースは無いからな。だから今夜はどこかの部屋に泊めてもらえ!!」
「……まさか!」
「じゃお休み!!」
「こ、こらー!?」(小声)

 脱兎の如く、とはこの事か!僕が反論する前に、あっという間に消えた!!


 え……え。

「えと…」
「……坊っちゃん。どちらでお休みになりますか…?」
「その…えぇ…?」

 いや、アルフィーの悪ふざけには付き合っていられない。姉上を部屋まで送った後、普通に戻るけど。
 じゃルイーズ。今度こそ、姉上をお願…


 きゅっ…

「…………」

 姉上が。僕の服を掴んで…離さない。

「……姉上~。ごめんね~…」
「ふえ…」
「う…」

 優しく指を外すと…眉間に深い深いシワが刻まれる…!!どうしよう、ルイーズはニヤニヤ笑うばっかりで頼れなそう!


 こうなったら、もう…





 ※





 チチチ…

「ん…」

 鳥の、声?もう朝か…って私、物置部屋で寝ちゃった?ソファーに横になっていたみたい。一応毛布は掛かってるようだけど。
 もうルイーズったら、起こしてくれてもよかったのに!にしても、なんだか温かいような…

「へ……」
「くー…」

 温かいものの正体は。私を抱き締めて、寝息を立てるカロン…だった。
 なんで?ど、どうし、なんで???私今、カロンに腕枕されている?2人の体が、隙間なくぴったりくっ付いている。自覚した瞬間、全身が熱くなった。
 あなたは昨夜…殿下と一緒に寝たのではないの?こんな所にいていいの?疑問が次々浮かび、身動きが取れない。

「(……カロンの匂い。なんだか…落ち着くわ…)」

 完全に目は覚めているけれど。この幸せを手放したくなくて…もう1度目を閉じる。


 諦めようと思っていたのに。身を引く覚悟を決めたのに。こうも優しくされたら…!
 カロンは酷い男性だわ。期待をさせて、突き放して。またこんな事して!!


「……カロン。好き…好きよ」
「ん…」もぞ…
「あなたが好き。他の誰よりも…大好き」
「くかー…」

 ……ちょっとは反応しなさいよ。ムッとして鼻をつまんだら、カロンは「んがっ」と変な声を出した。そんなとこも、好き。


 あなたの心に私がいなくても。少しでも可能性があるのなら…頑張る!
 王太子殿下に負けないくらい、あなたを想っているのよって。思い知らせてやるわ、覚悟なさい!!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

王子、侍女となって妃を選ぶ

夏笆(なつは)
恋愛
ジャンル変更しました。 ラングゥエ王国唯一の王子であるシリルは、働くことが大嫌いで、王子として課される仕事は側近任せ、やがて迎える妃も働けと言わない女がいいと思っている体たらくぶり。 そんなシリルに、ある日母である王妃は、候補のなかから自分自身で妃を選んでいい、という信じられない提案をしてくる。 一生怠けていたい王子は、自分と同じ意識を持つ伯爵令嬢アリス ハッカーを選ぼうとするも、母王妃に条件を出される。 それは、母王妃の魔法によって侍女と化し、それぞれの妃候補の元へ行き、彼女らの本質を見極める、というものだった。 問答無用で美少女化させられる王子シリル。 更に、母王妃は、彼女らがシリルを騙している、と言うのだが、その真相とは一体。 本編完結済。 小説家になろうにも掲載しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

ロザリンデのいつわりの薔薇 ~駆け落ち寸前に別れたあなたは侯爵家の跡取りでした~

碓氷シモン
恋愛
【第19回恋愛小説大賞に応募しています。応援や投票よろしくお願いします!】 子爵令嬢ロザリンデは、毎夜、義兄に身体を弄ばれていた。「値打ちが下がらないように」と結婚するまで純潔だけは守られていたが、家名の存続と、病弱な姉や甥の生活を守るためとはいえ、その淫らな責め苦はロザリンデにとって耐えがたいものだった。そしてついにある日、義兄の友人との結婚が決まったと告げられる。それは死刑宣告に等しかった。なぜなら、義兄とその友人は二人でロザリンデを共有して、その身体を気が済むまで弄ぼうと企んでいたからだ。追い詰められたロザリンデは幼馴染の謎めいた書生、ヘルマンに助けを求める。半年前、義兄の愛撫に乱れるさまを偶然目撃されてしまって以来、ヘルマンはロザリンデを罪深い女と蔑み、二人の関係はぎくしゃくしていた。だが、意外にもヘルマンはロザリンデの頼みに耳を傾け、駆け落ちを提案する。二人は屋敷を抜け出し、立会人なしで結婚できる教会がある教区までやってきたのだが、その夜…。 苦労人の令嬢が誤解とすれ違いを乗り越えて初恋の相手と結ばれるまでの物語です。義兄が超ド級の変態で、ヒロインはなかなかに辛い目に遭いますが、ハッピーエンドですので安心してお読み下さい。Rシーンにはエピソードタイトルの後に*をつけています。 ムーンライトノベルズでも投稿しています。また本作品の全てにおいて、AIは一切使用しておりません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

処理中です...