転生聖女は休まらない 〜スローライフがしたいのに弟2人が自重しない件〜

花月風流

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第1話 神と聖女

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 私は真っ白な部屋に用意された椅子に座っている。
 目の前には土下座する男……所謂神がいる。

「すまなんだぁ! 手違いで聖女になってしまったのに……良くぞ勇者を導き魔王を倒してくれた!」

「……長い旅だったよ? 怪我もしたしさぁ……」

「すまん……。あの、本当にありがとうございました、はい」

「時々出てきて助言する誰かは人の胸ばかり見て来るしさぁ」

「……てへっ」

 (……あなた全然反省して無いよね?)

 私は椅子から立ち神の頭をペチペチ叩く。

「どこかに置き忘れてきた毛髪と一緒に私との約束まで忘れて無いと嬉しいんですけど?」

「も、もちろんじゃとも! 土地付きの家と畑のある生活じゃろ?」

 そう、それが私の夢。
 役目なんて何も無いただの人間としてのんびり暮らしたい。
 神が教えてくれた言葉で表せば『普通のスローライフ』がしたいのだ。

 恐ろしいモンスターは当然、暴れると手がつけられない勇者……人の心を折るのがやたら上手い魔王なんてもう飽き飽きしてる。

 私は教会に捨てられた孤児で、神の間違いで聖女として生きる事になった。
 聖女になって貴族並の生活を送れたが、私にとって価値のあるものでは無かったのだ。
 私にとっての夢は堅実で地に足が着いた幸せな家庭を築くことなのだから。

「約束通り、お主を庭付き一戸建てで畑もある家庭へと転生させてやろう。貴族じゃ無い方が良いんじゃな?」

「ん、お願いね。私の欠片だけ残った信仰心を裏切らないでくれると助かるわ」

「……神を前によく言うのう。まあよい、それではさらばじゃ」

 私の指先から白い光が溢れ出して、そのまま光った所から糸のように解れていく。
 一瞬だけ黒と金の糸が混じり、また白い糸が続いた。

「わぁ……こんな感じなんだ」

「あっ!」

 自分の身体が指先から消える光景を眺めていると、神が急に声を上げる。

「どうしたの?」

「……てへっ」

「ねえ……その顔って」

 (絶対何かやらかしたでしょ!)

 私の叫びは声にならず、目の前が白い光で覆われる。

 はぁ……生まれ変わった先が……幸せでありますように。

 そう願ったのを最後に意識を失った。
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