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弟と私
同情
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「おはようございます」
「朝倉さん! 厚木さん! なんとかして!」
「遠山さん? なっちゃん、会議室押さえて」
「はい!」
「遠山さん、ちょっと行こうか」
そっと遠慮がちに肩に手が置かれる。
涙がどんどん出てくる。ぼやけて前が見えづらいから、朝倉さんが優しく導いてくれるのについて行く。
「落ち着いた?」
「はい……ごめんなさい。朝っぱらから」
たぶん10分くらい泣きじゃくってたと思う。
落ち着いたら恥ずかしくなってきた。社会人が会社で号泣って。
朝倉さんもなっちゃんも困っちゃっただろうな。申し訳ない。
「何があったの? 難波くん絡み?」
「……別れたいです……」
思い切って、言ってみた。
二人とも、大輝くんは素敵な人だって思ってるだろうから、何言ってんのって呆れられるかな……。
「そう……言いづらいよね、この会社の空気じゃ」
「難波さんは正義って感じですもんね」
「え……二人とも、なんでって思わないんですか?」
ビックリして顔を上げると、朝倉さんとなっちゃんが視線を交わす。
「今まで言えなくてごめん。前に、焼き鳥屋さんで難波さんと浜崎さんと一緒に飲んだことがあったでしょ? タクシーで3人で帰ったんだけど、浜崎さんが先に降りてうちまで送ってもらって……」
なっちゃんが言い淀む。
あ。
嫌な予感がする。
絶対当たってそうな予感。
「なんか普通に難波さんが家に上がって、自然と、その……関係を持っちゃって……」
「そうだったんだ……」
「私は付き合ってるつもりだったの。だけど、難波さんに好きって言ってって言ったら好きじゃないって言われて、自分の立場が分かったっていうか」
「ひどい」
どれだけなっちゃんはショックだっただろう。
なっちゃんが好意を寄せていることは誰の目にも明らかだった。
なっちゃんの気持ちを知った上で……ひどすぎる。
「あの時にちゃんと話してればこんなことになってないよね。散々好き好き言ってて、都合のいい女にされたなんて恥ずかしくて言えなくって……ごめんなさい」
「ううん、なっちゃんは悪くないよ」
なっちゃんがブンブンと頭を振る。
「難波さんが遠山さんに告白した時も、言おうかどうしようか迷ったの。でも遠山さんにはちゃんと付き合うって言葉使ってたから、私とは違って本気なんだろうって思ったら余計なことでしかないなって、言わない方がいいって思っちゃって。ごめんなさい」
「私こそ、悩ませちゃってごめんなさい」
互いに頭を下げ合戦し、シン……と静まる。
「結局、誠実なお付き合いは遠山さんともできなかったのね。もうそういう人間なんだろうね」
「私もなっちゃんと同じです。ただの体目当て……だけど、弟が守ってくれて」
魁十のことを思い出したら、また涙が溢れてきた。
「大丈夫?」
「近親相姦なんてひどい。あり得ない」
「そんなこと言われたの?!」
「ないことないこと言いふらされてて、弟が悪く言われてて」
「仲は良いけど、そういう感じではないもんね」
二人が優しく背中をさすってくれる。
ありがとう。二人がいてくれて本当に良かった……。
「はい。あり得ないです。そもそも魁十とは血の繋がりもないのに、あり得ない」
二人の手が背中でピタリと止まる。
「え? 今なんて?」
「あり得ない」
「お約束はいいから。その前」
「魁十くんと血縁関係ないんですか?!」
なっちゃんが聞いたことないような声を出した。
「朝倉さん! 厚木さん! なんとかして!」
「遠山さん? なっちゃん、会議室押さえて」
「はい!」
「遠山さん、ちょっと行こうか」
そっと遠慮がちに肩に手が置かれる。
涙がどんどん出てくる。ぼやけて前が見えづらいから、朝倉さんが優しく導いてくれるのについて行く。
「落ち着いた?」
「はい……ごめんなさい。朝っぱらから」
たぶん10分くらい泣きじゃくってたと思う。
落ち着いたら恥ずかしくなってきた。社会人が会社で号泣って。
朝倉さんもなっちゃんも困っちゃっただろうな。申し訳ない。
「何があったの? 難波くん絡み?」
「……別れたいです……」
思い切って、言ってみた。
二人とも、大輝くんは素敵な人だって思ってるだろうから、何言ってんのって呆れられるかな……。
「そう……言いづらいよね、この会社の空気じゃ」
「難波さんは正義って感じですもんね」
「え……二人とも、なんでって思わないんですか?」
ビックリして顔を上げると、朝倉さんとなっちゃんが視線を交わす。
「今まで言えなくてごめん。前に、焼き鳥屋さんで難波さんと浜崎さんと一緒に飲んだことがあったでしょ? タクシーで3人で帰ったんだけど、浜崎さんが先に降りてうちまで送ってもらって……」
なっちゃんが言い淀む。
あ。
嫌な予感がする。
絶対当たってそうな予感。
「なんか普通に難波さんが家に上がって、自然と、その……関係を持っちゃって……」
「そうだったんだ……」
「私は付き合ってるつもりだったの。だけど、難波さんに好きって言ってって言ったら好きじゃないって言われて、自分の立場が分かったっていうか」
「ひどい」
どれだけなっちゃんはショックだっただろう。
なっちゃんが好意を寄せていることは誰の目にも明らかだった。
なっちゃんの気持ちを知った上で……ひどすぎる。
「あの時にちゃんと話してればこんなことになってないよね。散々好き好き言ってて、都合のいい女にされたなんて恥ずかしくて言えなくって……ごめんなさい」
「ううん、なっちゃんは悪くないよ」
なっちゃんがブンブンと頭を振る。
「難波さんが遠山さんに告白した時も、言おうかどうしようか迷ったの。でも遠山さんにはちゃんと付き合うって言葉使ってたから、私とは違って本気なんだろうって思ったら余計なことでしかないなって、言わない方がいいって思っちゃって。ごめんなさい」
「私こそ、悩ませちゃってごめんなさい」
互いに頭を下げ合戦し、シン……と静まる。
「結局、誠実なお付き合いは遠山さんともできなかったのね。もうそういう人間なんだろうね」
「私もなっちゃんと同じです。ただの体目当て……だけど、弟が守ってくれて」
魁十のことを思い出したら、また涙が溢れてきた。
「大丈夫?」
「近親相姦なんてひどい。あり得ない」
「そんなこと言われたの?!」
「ないことないこと言いふらされてて、弟が悪く言われてて」
「仲は良いけど、そういう感じではないもんね」
二人が優しく背中をさすってくれる。
ありがとう。二人がいてくれて本当に良かった……。
「はい。あり得ないです。そもそも魁十とは血の繋がりもないのに、あり得ない」
二人の手が背中でピタリと止まる。
「え? 今なんて?」
「あり得ない」
「お約束はいいから。その前」
「魁十くんと血縁関係ないんですか?!」
なっちゃんが聞いたことないような声を出した。
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