BL?! ちがう、濃い友情!

はちみつ電車

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3.高崎明翔との対決!

 体育館にて、高崎明翔が長袖ジャージのそでをまくり上げる。細く見えたけど、いい筋肉してんな。

「握力空いてるぞー」

 半袖でむき出しの俺の手首を明翔がつかんだから、盛大にドキッとした。結構、手ぇぬっく……。

「深月、握力から勝負だ!」
「お、おう!」
「俺もやるー」

 テテッと小柄な佐藤颯太が走ってくる。

「大丈夫かなー。俺とやって泣くなよ? チビッ子」
「泣かないよ! 俺だって運動神経には自信あるもんっ」

 そう、颯太は小さいが、ヤンキー一家でもまれてきただけあって、スピードも力もある。俺ほどではないが。

「ほら、六十!」
「その体で六十いくの?! すげえな!」
「じゃあ、このカワイ子ちゃんは後にして、深月やれよ」
「ほい」

 サクッと計測。

「六十五?! すっげー! デカいだけあるね!」

 明翔の目がキラキラと俺を見上げる。ちょ、その顔でそういう顔すんのまじちょっと。

「ぜってー負けねえぞ! うりゃー!」

 こんな気合い入れてスポーツテストやる高二がいるんだ。

 どうだ?!
 握力計を三人でのぞき込んだ。

「八十一?!」
「バケモンじゃん!」
「いえーい! 勝った!」

 明翔がピョンピョンと飛び跳ねて喜んでいる。かわいい……。って、なんで共学校に通いながら男にキュンとしねえとなんねえんだ。

「明翔! 次は反復横跳びで勝負だ!」
「やったるぜえ!」

 力が強いなら、俊敏性はないだろう。ま、俺はオールマイティだがな。

「まずは、颯太!」
「六十七回!」
「次は深月ねっ」
「しゃあ! 七十三!」
「よーし、がんばっちゃうぞー」

 ん? 俺の記録見て、なお自信ありげ?

「高崎、八十回!」
「よおーっしゃー!」

 はちじゅう? まじかよ。まじバケモンじゃん。

「じゃあさっ、次は長座体前屈やろうよっ」
「いいよ!」

 さすがに柔軟性まではねえよな? 俺は、運動神経しか取り柄がない。こんな女の子みたいなヤツに運動で負けてられねえ!

 記録用紙を手に、明翔が満足気に笑う。

「長座体前屈はー、颯太五十五、深月五十三、俺六十二、と」

 まさか、颯太にまで負けるとは……。まだだ! まだ、運動場でのスポーツテストがある!
 颯太、明翔と三人、青空広がるグラウンドに出る。ふっ、俺は走ったり跳んだり、こっちの方が得意なのだ。

「じゃー、立ち幅跳びから! 颯太、行け!」

 颯太の背中を叩く。早く早く。俺もやりたい!

「佐藤、二百五十!」

 さすが颯太。体が小さい分不利だろうに、まったく感じさせない記録を叩き出す。

「呂久村、行きまーす!」

 重心を移動させながら踏み切って、足を腹に引き付ける。俺にはこの跳び方が合ってるっぽい。

「二百七十センチ! 呂久村、何かスポーツやってるのか?! やってるよな?!」
「なんも。天性の運動神経のみっす」
「なんでその運動神経持っててなんもやってないんだ」

 やりたいことがないからっす。では良い記録出したのになんかカッコ悪いから、カッコつけて笑うに留める。

「次、高崎ー」
「はーい」

 明翔はかるーく跳んだように見えるのに、滞空時間が長い気がする。

「なんだと?! 高崎の記録! 二百九十!」
「はーい」

 先生大興奮ながら、当の明翔は目を伏せて腹をさする。

「どうかした?」
「腹減っちゃって、力が出ねえ」

 腹ペコであの記録出したの?!
 五十メートル走のスタンバイ中も、明翔は腹をさする。

「よーい! どん!」

 三人横並びで一斉にスタート。

「佐藤六秒八! 呂久村六秒三! 高崎五秒九!」
「五秒?!」

 驚いて明翔を見ると、悲しそうに腹をさすっている。

「腹が」
「減ってんだよな。お前は腹が減っている。分かった」

 まじか。次のハンドボール投げなんか、絶対勝てねえじゃん。球技は苦手。てか、俺的に苦手でも体育くらいなら余裕なのに。

「明翔五十八メートルなんてすごいねっ。俺、四十メートルだったよ」
「俺、中学まで野球やってたから投げるのは得意なんだよね。深月は?」
「野球経験者かよ! じゃあ、負けてない! 俺、なんもやってなくて四十五メートルだもん!」
「ちゃんと負けてるよっ」
「よし、全部終わった! 食堂行ってなんか食お……あ、シャトルラン抜けてた」
「えー、最後にシャトルランとかキッツ」
「体育館に戻らないとだねっ」
「最後だ! やるぜ! 全勝ー!」

 この元気っぷり、心肺の強さにも自信あるんだな。マジもんのオールマイティなんだ。すげえな、明翔。
 と思ったら、百六十回の学校新記録を出した俺どころか、颯太よりも記録が伸びなかった。

「俺、持久力ないの忘れてたー」
「なんっじゃ、そりゃ」

 苦手なの忘れてあのテンションって、ポジティブすぎるだろ。

 体育館にチャイムが鳴り響く。

「終わった終わったー。俺、食ってから教室行くわ」
「女子が入ってくる前には着替えろよ!」
「別に見られてもいいよ、俺」

 明翔が体操服の裾を引き上げて、チラリとヘソがのぞく。

「ばっ……やめなさい! 俺も食堂行く! さっさと食えよ!」

 あわてて裾を引き下げる。まったく、人前でヘソなんか出してんじゃねーよ!
 分かってんのか分かってないのか、明翔は笑いながら首をかしげた。
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