BL?! ちがう、濃い友情!

はちみつ電車

文字の大きさ
6 / 39

6.イケメンパンツ王子

「ねえ、親友の深月。食うもんねえ?」
「ねーよ、親友の明翔」

 今お前、大盛りビーフカレー食ったばっかだろ。

「明翔って食費えぐそうだよねっ」
「それな」
「僕はパンツが好きなんだ」
「は?」

 心からの「は?」が出たわ。

 昼休み、取り巻き軍団を断って一緒にメシ食ってた柳が姿勢良く堂々と座っている。その目は正面にいる颯太をまっすぐ見ている。

「まずは、僕のことを知ってほしくて」
「まず伝えたい情報がパンツなのか」

 柳が俺の目を見てうなずいた。まじか。まじなんなん、コイツ。

「俺もパンチラ好きー」
「えっ。明翔が?!」
「そんな驚く? 深月は見ねえの?」
「いや、見るけど」
「僕は履いてるパンツに興味はない」
「は?」

「大きくて派手なトランクスが好きなんだ」
「柳のパンツかよ。興味ねえわ」
「僕のパンツじゃない。僕自身はパンツは履かない主義だ」
「え。お前パンツ履いてねえの?」
「体育のある日は履くようにしているよ、佐藤くん」
「毎日履けよ。毎日制服洗うわけじゃねえんだから、ズボンが汚れ――ちゃっても、知らないよっ?」

 ギリギリアウトかな、颯太くん。だが、柳はパアッと笑顔になった。

「ということは、佐藤くんは毎日パンツを履いてるということだよね?」
「もちろんっ」
「じゃあ、僕も履くようにするよ。佐藤くんと僕、おそろいだね」

 いや、ほとんどの人間が毎日パンツ履いてると思うんだが。

 柳って、しゃべるとこんなヤツだったんだ。見た目オシャレヤンキーの優等生だとしか思ってなかった。ただの変態じゃねえか。

「もう最悪ー。買ったばっかりのパンツだったのに」
「失礼、買ったばっかりのパンツだったのに、ということは、パンツに何かあったのかい?」

 パンツセンサーが冴えわたっとるな、柳。隣で小さなお弁当をつつく女子二人が驚いている。

「ベランダに干してたら、下着泥棒に持って行かれたの。うちの近所、最近多いみたいで」
「失礼ながら、母子家庭だったりする?」
「うん。どうして分かるの?」
「女性ものの下着しかないと狙われやすいんだ。男性ものの下着も一緒に干すといいよ。未使用のパンツがたくさんあるから、明日持って来てあげる」
「柳くんのパンツを?!」
「気にすることはない。学級委員長として当然の仕事だ。一軍二軍はお別れできないが、三軍の最底辺を持ってくるよ」

 柳がメガネを外して目尻を拭う。どんだけパンツに愛着持ってんだ。

「とりあえず、俺のパンツ持って帰って干しとく?」
「高崎くんのパンツを?!」
「脱いでくれるかい、高崎くん」
「キャー!」

 明翔が素早くベルトを外してシャッとチャックを下ろす。慌てて、明翔の前に壁になる。女子が指の間からしっかりガン見してるのを俺は知ってる!

「脱ぐな! 履け!」
「はーい。履いたよ」
「お前なあ、人前でパンツなんか――何?」
「ねえ。なんで深月が真っ赤になってんの?」
「え……それより、なんでお前がパンツ脱ごうとしてんだよ」
「だって、俺んちも母子家庭だから、力になれたらなーと思って」
「俺んちも母子家庭だけど、そんなん思わんわ!」
「お! 深月もパパいないんだ。いえーい、おっそろー」
「いえーい」

 パーン、と明翔と二人、手を合わせる。
 そして、小声で大事なことを伝える。

「柳、いらんこと言うんじゃねえよ」
「僕は正しい情報しか言っていない。僕の父が警察官でね、男性ものの下着を干すだけで被害に遭う確率は下がるんだ」
「そっちじゃねえ!」

 人前でパンツ脱いだら、お前の父親のお世話になるっての!
感想 0

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない

タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。 対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──

【完結】Ωになりたくない僕には運命なんて必要ない!

なつか
BL
≪登場人物≫ 七海 千歳(ななみ ちとせ):高校三年生。二次性、未確定。新聞部所属。 佐久間 累(さくま るい):高校一年生。二次性、α。バスケットボール部所属。 田辺 湊(たなべ みなと):千歳の同級生。二次性、α。新聞部所属。 ≪あらすじ≫ α、β、Ωという二次性が存在する世界。通常10歳で確定する二次性が、千歳は高校三年生になった今でも未確定のまま。 そのことを隠してβとして高校生活を送っていた千歳の前に現れたαの累。彼は千歳の運命の番だった。 運命の番である累がそばにいると、千歳はΩになってしまうかもしれない。だから、近づかないようにしようと思ってるのに、そんな千歳にかまうことなく累はぐいぐいと迫ってくる。しかも、βだと思っていた友人の湊も実はαだったことが判明。 二人にのαに挟まれ、果たして千歳はβとして生きていくことができるのか。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

【完結】恋した君は別の誰かが好きだから

海月 ぴけ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。 青春BLカップ31位。 BETありがとうございました。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 二つの視点から見た、片思い恋愛模様。 じれきゅん ギャップ攻め

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話