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9.トイレトイレトイレ
「トイレトイレトイレトイレ」
授業が始まって十分もしないうちから尿意を催していた。よく我慢できた俺。高二にもなって漏らしてる場合じゃない。
教室に戻ると、颯太が俺の席に座って横に柳が立ってるから、仕方なく俺は明翔の机に座る。
「深月って昔から膀胱の限界を迎えるとトイレトイレ言いながら走るよねっ」
「だって、限界を超えたら人として終わるんだぜ?」
「たしかに」
「今ので思い出した。俺、小一の時にいとこの運動会の応援に行ってさあ、トイレ行きたくなったんだけど、場所が分かんなくて我慢してたの」
「逆だろ、明翔。場所が分かんないなら、早めに探しに行かねえと」
「最後まで我慢できたのっ?」
「ううん。いよいよいとこのかけっこが始まるって時に膀胱の限界を迎えて、母親に言ったら一人でトイレ探して来いって言われて」
「それは強気な親御さんだね。漏らされても困るだろうに」
「もー俺、泣きそうになりながらトイレ探してたの。そしたら、深月みたいにトイレトイレ言いながら走ってる子がいたの」
「小一くらいなら結構いるだろうねっ」
「高二にもなって言ってるのは呂久村くんくらいだろうがね」
「うっせえ、柳」
「この子絶対トイレ行くよな、と思ってついてったらトイレがあって、事なきを得たの」
「ほーら、トイレ連呼は小一を救うんだよ」
「呂久村くんが救ったわけではないよ」
「やかましいわ。パンツ履かねえヤツは黙って漏らしてろ」
「呂久村くん、パンツは履いていなくても、ズボンは履いているのが常識というものだよ。ということは、漏らすとパンツは濡れなくともズボンは濡れるんだ」
「パンツ履かねえヤツが常識を語るな!」
「僕は今、毎日パンツを履いているんだ。どうだい、佐藤くん」
「ドヤることじゃないよねっ」
「パンツを履くと快適だね。佐藤くんの気持ちが分かった気がするよ」
「俺も毎日履いてるっつの」
「呂久村くんの気持ちはどうでもいいのでね」
「分かってもらわんで結構! てか、明翔、どうした? ボーッとして」
「あ……なんか、えらい昔のこと思い出したなーって思って」
「運動会のこと?」
「まじ漏らさなくて良かったなーと思ってさあ。小学生になったら、おもらしなんかしないぞってプライドあるじゃん」
「分かるよっ。謎のプライド!」
……気のせいか。なんか知らんが、じいちゃんの話してた時の明翔の顔が浮かんだ。
明翔はいつものように、元気に笑っている。
野球やれやれって言ってくるじいちゃんがいて、運動会の応援に行くいとこがいる。
……いいな、明翔。
授業が始まって十分もしないうちから尿意を催していた。よく我慢できた俺。高二にもなって漏らしてる場合じゃない。
教室に戻ると、颯太が俺の席に座って横に柳が立ってるから、仕方なく俺は明翔の机に座る。
「深月って昔から膀胱の限界を迎えるとトイレトイレ言いながら走るよねっ」
「だって、限界を超えたら人として終わるんだぜ?」
「たしかに」
「今ので思い出した。俺、小一の時にいとこの運動会の応援に行ってさあ、トイレ行きたくなったんだけど、場所が分かんなくて我慢してたの」
「逆だろ、明翔。場所が分かんないなら、早めに探しに行かねえと」
「最後まで我慢できたのっ?」
「ううん。いよいよいとこのかけっこが始まるって時に膀胱の限界を迎えて、母親に言ったら一人でトイレ探して来いって言われて」
「それは強気な親御さんだね。漏らされても困るだろうに」
「もー俺、泣きそうになりながらトイレ探してたの。そしたら、深月みたいにトイレトイレ言いながら走ってる子がいたの」
「小一くらいなら結構いるだろうねっ」
「高二にもなって言ってるのは呂久村くんくらいだろうがね」
「うっせえ、柳」
「この子絶対トイレ行くよな、と思ってついてったらトイレがあって、事なきを得たの」
「ほーら、トイレ連呼は小一を救うんだよ」
「呂久村くんが救ったわけではないよ」
「やかましいわ。パンツ履かねえヤツは黙って漏らしてろ」
「呂久村くん、パンツは履いていなくても、ズボンは履いているのが常識というものだよ。ということは、漏らすとパンツは濡れなくともズボンは濡れるんだ」
「パンツ履かねえヤツが常識を語るな!」
「僕は今、毎日パンツを履いているんだ。どうだい、佐藤くん」
「ドヤることじゃないよねっ」
「パンツを履くと快適だね。佐藤くんの気持ちが分かった気がするよ」
「俺も毎日履いてるっつの」
「呂久村くんの気持ちはどうでもいいのでね」
「分かってもらわんで結構! てか、明翔、どうした? ボーッとして」
「あ……なんか、えらい昔のこと思い出したなーって思って」
「運動会のこと?」
「まじ漏らさなくて良かったなーと思ってさあ。小学生になったら、おもらしなんかしないぞってプライドあるじゃん」
「分かるよっ。謎のプライド!」
……気のせいか。なんか知らんが、じいちゃんの話してた時の明翔の顔が浮かんだ。
明翔はいつものように、元気に笑っている。
野球やれやれって言ってくるじいちゃんがいて、運動会の応援に行くいとこがいる。
……いいな、明翔。
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