BL?! ちがう、濃い友情!

はちみつ電車

文字の大きさ
9 / 39

9.トイレトイレトイレ

「トイレトイレトイレトイレ」

授業が始まって十分もしないうちから尿意を催していた。よく我慢できた俺。高二にもなって漏らしてる場合じゃない。
教室に戻ると、颯太が俺の席に座って横に柳が立ってるから、仕方なく俺は明翔の机に座る。

「深月って昔から膀胱の限界を迎えるとトイレトイレ言いながら走るよねっ」
「だって、限界を超えたら人として終わるんだぜ?」
「たしかに」
「今ので思い出した。俺、小一の時にいとこの運動会の応援に行ってさあ、トイレ行きたくなったんだけど、場所が分かんなくて我慢してたの」
「逆だろ、明翔。場所が分かんないなら、早めに探しに行かねえと」
「最後まで我慢できたのっ?」

「ううん。いよいよいとこのかけっこが始まるって時に膀胱の限界を迎えて、母親に言ったら一人でトイレ探して来いって言われて」
「それは強気な親御さんだね。漏らされても困るだろうに」
「もー俺、泣きそうになりながらトイレ探してたの。そしたら、深月みたいにトイレトイレ言いながら走ってる子がいたの」
「小一くらいなら結構いるだろうねっ」
「高二にもなって言ってるのは呂久村くんくらいだろうがね」
「うっせえ、柳」

「この子絶対トイレ行くよな、と思ってついてったらトイレがあって、事なきを得たの」
「ほーら、トイレ連呼は小一を救うんだよ」
「呂久村くんが救ったわけではないよ」
「やかましいわ。パンツ履かねえヤツは黙って漏らしてろ」
「呂久村くん、パンツは履いていなくても、ズボンは履いているのが常識というものだよ。ということは、漏らすとパンツは濡れなくともズボンは濡れるんだ」
「パンツ履かねえヤツが常識を語るな!」

「僕は今、毎日パンツを履いているんだ。どうだい、佐藤くん」
「ドヤることじゃないよねっ」
「パンツを履くと快適だね。佐藤くんの気持ちが分かった気がするよ」
「俺も毎日履いてるっつの」
「呂久村くんの気持ちはどうでもいいのでね」

「分かってもらわんで結構! てか、明翔、どうした? ボーッとして」
「あ……なんか、えらい昔のこと思い出したなーって思って」
「運動会のこと?」
「まじ漏らさなくて良かったなーと思ってさあ。小学生になったら、おもらしなんかしないぞってプライドあるじゃん」
「分かるよっ。謎のプライド!」

……気のせいか。なんか知らんが、じいちゃんの話してた時の明翔の顔が浮かんだ。
明翔はいつものように、元気に笑っている。

野球やれやれって言ってくるじいちゃんがいて、運動会の応援に行くいとこがいる。
……いいな、明翔。
感想 0

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない

タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。 対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──

【完結】Ωになりたくない僕には運命なんて必要ない!

なつか
BL
≪登場人物≫ 七海 千歳(ななみ ちとせ):高校三年生。二次性、未確定。新聞部所属。 佐久間 累(さくま るい):高校一年生。二次性、α。バスケットボール部所属。 田辺 湊(たなべ みなと):千歳の同級生。二次性、α。新聞部所属。 ≪あらすじ≫ α、β、Ωという二次性が存在する世界。通常10歳で確定する二次性が、千歳は高校三年生になった今でも未確定のまま。 そのことを隠してβとして高校生活を送っていた千歳の前に現れたαの累。彼は千歳の運命の番だった。 運命の番である累がそばにいると、千歳はΩになってしまうかもしれない。だから、近づかないようにしようと思ってるのに、そんな千歳にかまうことなく累はぐいぐいと迫ってくる。しかも、βだと思っていた友人の湊も実はαだったことが判明。 二人にのαに挟まれ、果たして千歳はβとして生きていくことができるのか。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

【完結】恋した君は別の誰かが好きだから

海月 ぴけ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。 青春BLカップ31位。 BETありがとうございました。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 二つの視点から見た、片思い恋愛模様。 じれきゅん ギャップ攻め

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話