BL?! ちがう、濃い友情!

はちみつ電車

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13.成績票にある序列

 白いタンクトップ姿の工藤先生により、テストの成績票が配られた。

「各自、反省して次回に活かすように!」

 ……軽く死ねた……。しょうがねえじゃん、俺そもそもこの学校に合格したのが奇跡みたいなもんなんだからさー。

「すげー、ゾロ目。学年二百四十人中二百二十二位」
「俺のだけ見るとかズルい! 明翔も見せてよ」

 言っちゃあ悪いが、明翔も頭悪いだろう。だいたい、運動できるヤツは勉強ができないものだ。

「学年二位?! 明翔、頭いいの?!」
「時事問題でヤマ外したんだよねー。あれが当たってれば一位だったかもしれないのにー」
「クイズ番組感覚でこの点数かよ。一位は誰だったんだろ」
「僕だよ」

 学級委員長、柳龍二が成績票をヒラヒラ揺らしながらやって来る。

「お前かよ」
「明翔が二位なのっ?! 総合得点何点?」

 颯太が成績いいのは知っている。末っ子ながら、佐藤家の頭脳を担っている。

「八点差で負けた! 悔しいなっ」
「かわいい……」

 颯太がほっぺをプクーッと膨らませて泣き真似をした。だが、内心本気で悔しがってるだろうから、颯太の爪は肉に食い込んでるであろう。

「一位から三位までそろってるって、一組すげーな。学年全体の平均点上げてんじゃね」
「ベストスリーに入ってない人が誇らしげに言わず、こちら側に来てもらいたいものだね」
「うっせえ」

 あー、ムカつく。ムスッと頬杖をついて、同じ界隈の者を見つけた。立ち上がって、窓際へと向かう。

「すげえ! ゆり、俺と同点じゃん!」
「えっ。見ないでよ! 深月!」
「相変わらず国語だけはすごいな、国語だけは」
「返して! お願い!」
「あはは! また数学補習一緒だな。また課題手分けして写し合おうぜー」
「……うん!」

 全体的に点が取れない俺とは違い、ゆりは国語系は強い。俺は補習数学だけだが、ゆりはプラス日本史と化学。よく笑えるもんだ。

 スッキリして席に戻ると、後ろを向いている明翔が俺の机にベチャーと腕を伸ばして頭を乗せている。

「こら、場所取りすぎ」
「ふーん」
「ふーん、てなんだよ」
「別に。空青いなーと思って」
「曇ってんじゃん」

 明翔の視線をたどって、ゆりが早速数学の復習に取りかかっているのが視界に入った。あいつ、あんな真面目なのにあの成績ってヤバない。

「どーせ俺は点取れちゃうもんね。運動もできるし、頭もいいし、なんで俺ってこんな欠点ないんだろ」
「今欠点作ってんの? めちゃかわいげないこと言うじゃん」
「そーか、俺ってかわいげないって欠点があったんだー」
「どーした、どーした」

 元気でポジティブな明翔らしからぬ、能面のような無表情。じいちゃんや父ちゃんの話してた時の危うさとはまた違う、おかしな方向に怖えーわ。意味分かんねえ。

「あ、そうだ。俺、料理してみたよ」
「あっそ」
「そこそこうまくできたんだよねー」
「あっそ。良かったね」
「ほら」

 ラップで包んだ、のり巻きおにぎり。もっとコンビニみたいな形にしたかったけど、どうがんばっても真ん丸にしかならなかった。

「でっか。深月、食いすぎなんじゃねえの」
「明翔ならこれくらい余裕っしょ」
「え?」
「中身、明太マヨだよ。前に明翔、好きって言ってたっしょ」
「これ、俺に?」
「うん」

 俺はかなり手がデカいらしい。明翔が持っても、手に余る大きさ。

「ありがとう! 美味い! マヨぐっだぐだでめっちゃ美味い!」
「やっぱマヨ多かったよなー」
「うん! 美味い!」
「案外米とマヨって合うよな」
「うん! ごちそうさまでした!」
「はっや」
「ごちそうさまでした!」
「どういたしまして!」

 明翔が笑顔で手を合わせるから、まるで鏡のように俺も手を合わせて笑う。

「よっしゃ! テストも終わったし、リレーの走順決めようぜ!」

 明翔が女子の走者に声をかけに行った。切り替え早えな、明翔。

「こうして見ると、深月以外は足速いメンバーがまんま成績上位だったんだねっ」
「佐藤くん。いくら佐藤くんでも今の発言は看過できないな。いくら呂久村くんがボーッとした顔をしているからって、成績が良くないと決めつけるのは学級委員長として」
「俺、幼なじみだから深月が成績悪いの知ってんだけど」
「そうだったのか。誤解して悪かったね」
「俺に詫びはなしか」
「成績悪かったんじゃないのかい?」
「悪かったよ」
「僕が何を詫びることがあると言うの?」

 柳のメガネの奥の瞳は、とてもまっすぐで、とても澄んでいた。

「柳、ムカつく!」
「まあまあ! 深月が頭悪いからって仲間外れにしたりしないから! こっち来て!」

 明翔が背中に飛びついてくる。明翔はやっぱり、元気いっぱいだな。
 能面みたいな顔してたのに、腹が満たされたらこんな明るくなるんだから。まったく、単純なヤツだぜ。
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