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第三章 第六部 露見
6 証人の行方
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「それ、さっき聞いた話じゃないですか?」
アランがダルにそう聞く。
「そう、みたいだね」
「なんだ、何を聞いた」
「うん、今日、ルギの部屋で王宮の鐘を聞いただろ? ルギが一度外に様子を見に行ったんだ。もしかしたら衛士たちに何か命令でもしに行ったのかも知れないけど、そのあたりは聞いてない。それでね、戻ってきて、ちょっとしてから俺とアランを部屋に返してくれたんだけど、その前に世間話のようにその二人の話をしたんだよ」
「うん、そういえば、ってな」
「なんて言ってた?」
「そういえば」
ルギの部屋で待機していたダルとアランに、いきなりルギが話を始めた。
「先日、キリエ様に青い香炉が届けられる事件があったのだが、そのことに関わる侍女二名をある場所に預かっている」
「へえ、なんで?」
ダルが不思議そうに聞く。
「もしかすると香炉を届けさせた人物を知っているからかも知れないからだ」
「それ、やばくないっすか?」
アランがそう聞くとルギが一つこくりと頷いた。
「犯人に狙われる恐れがあるからな」
「そりゃそうですよね。もしかして、その二人に香炉を届けさせたとか、そんな感じです?」
「なかなか頭の回転が早いな」
少しだけ皮肉そうにそう言う。
「悪かったよなあ、俺は回転が遅くて」
「いや、人にはそれぞれ得意不得意がある、気にすることはない」
「なんだよそれ、褒めてんのかどうだか」
ダルが苦笑する。
「それで、どうしたんです?」
どんな時でも路線を元に戻すのがアラン隊長だ。
「いや、それだけだ」
「は?」
「今少し思い出してな、言っておいた方がいいかと思った」
「そうなんですか」
アランが訝しそうにルギを見ると、
「さて、そちらにも任務があろう、部屋に戻すように衛士たちに言っておく」
「そう言って衛士たちに命令して部屋に戻すようにしてくれたんだよ」
「そうか、隊長がねえ」
トーヤはダルとアランの説明を聞き、
「これはやっぱりその二人を使わせてもらうのがよさそうだな」
「使うって」
ミーヤが悲しそうにトーヤを見た。
「今の今まで秘密にしてたんだな、それを言ってくれたってことは使えってことだろうよ。なら遠慮なく使わせてもらう」
「どうするつもりなんですか?」
「その二人に香炉を届けさせたのがセルマだと証明する」
「ええっ! ど、どうやって?」
ダルが驚いて大きな声を出しそうになり、急いで声をひそめて言った。
「その二人に証言させりゃいいんだよ」
「それができてりゃ今頃セルマは失脚してんじゃねえの?」
「さすがアランだ」
「さすが、じゃねえよ。できてねえから今もああして偉そうにしてんだろうが」
「まあな」
トーヤがいたずらっぽくニヤリと笑う。
「証言できるようにしてやりゃいいんじゃねえの?」
「どうしてです? 嘘をつかせるようなことはできませんよ?」
「嘘じゃなきゃいいんだろ?」
「また妙なことを言いますね」
「んー、無理でもねえと思うけどなあ。けど、その二人はどこにいるんだろうな?」
「さあ、そこまでは言わなかった」
「うん、言わなかったよね」
アランとダルがそう言って顔を見合わせる。
「心当たりねえのか?」
「侍女二人を隠せるようなところ、なあ」
「それもセルマが絶対気がつかないようなとこな」
「そう言われてもなあ」
ダルがうーんと腕組みをして考える。
「宮の中か外かも分かんねえんじゃねえの?」
「外はないんじゃねえか?」
アランの問いにそう答える。
「とにかく、そう言やあ、俺らが見つけるだろうってそう思ってんだよな、多分」
「ルギが?」
「ああ」
「宮の中で、セルマ様が気がつかなくて俺たちが気がつくところ、か……」
「どこかしら」
「一体どこに……」
ダルと、宮のことを知る侍女が頭をひねって考える。
「そんで、隊長がそういうの頼める人間ってことだよな」
「人か、場所じゃなく人、そう考えた方がいいかもな」
アランがそう言い、
「さすがアラン」
と、トーヤがいつもの言葉を口にする。
「人かあ」
ダルもそう言って考える。
「セルマ様が近づかない人……あ!」
リルが何かを思いついたようにそう言った。
「なんだ、なんか思いついたか?」
「ええ、まさかと思うような人、というか場所でもあるわね。そしてルギが頼めば、それが必要だと思えば聞いてくださる方」
「あ!」
トーヤも何かに気がつく。
「キリエさんか」
「何!」
「え!」
ダルとミーヤもまさかという顔になる。
「まさか被害者に容疑者を預けるなんて思っちゃいねえだろう」
「いや、それはまさかだが」
「キリエさんなら預かってくれんじゃねえの?」
「それは、確かにそうでしょうね、キリエ様なら」
リルも一緒にそう言う。
「まあ、どっちにしても一度キリエさんに聞いてみるしかねえだろ?」
「けどな、見つけ出したとしても、それをどうやって証明させんだよ?」
アランがそう聞くとトーヤが、
「おまえら、忘れてんのな? いるだろうが、そういうことできるやつが」
「あ……」
アランが気がつく。
「一体何だよ?」
「託宣だよ」
「託宣?」
「今度は託宣じゃねえけどな、思い出してもらうことはできるだろ」
ダルとリルにはまだ話していなかった「当代の託宣」のことを、トーヤは説明した。
アランがダルにそう聞く。
「そう、みたいだね」
「なんだ、何を聞いた」
「うん、今日、ルギの部屋で王宮の鐘を聞いただろ? ルギが一度外に様子を見に行ったんだ。もしかしたら衛士たちに何か命令でもしに行ったのかも知れないけど、そのあたりは聞いてない。それでね、戻ってきて、ちょっとしてから俺とアランを部屋に返してくれたんだけど、その前に世間話のようにその二人の話をしたんだよ」
「うん、そういえば、ってな」
「なんて言ってた?」
「そういえば」
ルギの部屋で待機していたダルとアランに、いきなりルギが話を始めた。
「先日、キリエ様に青い香炉が届けられる事件があったのだが、そのことに関わる侍女二名をある場所に預かっている」
「へえ、なんで?」
ダルが不思議そうに聞く。
「もしかすると香炉を届けさせた人物を知っているからかも知れないからだ」
「それ、やばくないっすか?」
アランがそう聞くとルギが一つこくりと頷いた。
「犯人に狙われる恐れがあるからな」
「そりゃそうですよね。もしかして、その二人に香炉を届けさせたとか、そんな感じです?」
「なかなか頭の回転が早いな」
少しだけ皮肉そうにそう言う。
「悪かったよなあ、俺は回転が遅くて」
「いや、人にはそれぞれ得意不得意がある、気にすることはない」
「なんだよそれ、褒めてんのかどうだか」
ダルが苦笑する。
「それで、どうしたんです?」
どんな時でも路線を元に戻すのがアラン隊長だ。
「いや、それだけだ」
「は?」
「今少し思い出してな、言っておいた方がいいかと思った」
「そうなんですか」
アランが訝しそうにルギを見ると、
「さて、そちらにも任務があろう、部屋に戻すように衛士たちに言っておく」
「そう言って衛士たちに命令して部屋に戻すようにしてくれたんだよ」
「そうか、隊長がねえ」
トーヤはダルとアランの説明を聞き、
「これはやっぱりその二人を使わせてもらうのがよさそうだな」
「使うって」
ミーヤが悲しそうにトーヤを見た。
「今の今まで秘密にしてたんだな、それを言ってくれたってことは使えってことだろうよ。なら遠慮なく使わせてもらう」
「どうするつもりなんですか?」
「その二人に香炉を届けさせたのがセルマだと証明する」
「ええっ! ど、どうやって?」
ダルが驚いて大きな声を出しそうになり、急いで声をひそめて言った。
「その二人に証言させりゃいいんだよ」
「それができてりゃ今頃セルマは失脚してんじゃねえの?」
「さすがアランだ」
「さすが、じゃねえよ。できてねえから今もああして偉そうにしてんだろうが」
「まあな」
トーヤがいたずらっぽくニヤリと笑う。
「証言できるようにしてやりゃいいんじゃねえの?」
「どうしてです? 嘘をつかせるようなことはできませんよ?」
「嘘じゃなきゃいいんだろ?」
「また妙なことを言いますね」
「んー、無理でもねえと思うけどなあ。けど、その二人はどこにいるんだろうな?」
「さあ、そこまでは言わなかった」
「うん、言わなかったよね」
アランとダルがそう言って顔を見合わせる。
「心当たりねえのか?」
「侍女二人を隠せるようなところ、なあ」
「それもセルマが絶対気がつかないようなとこな」
「そう言われてもなあ」
ダルがうーんと腕組みをして考える。
「宮の中か外かも分かんねえんじゃねえの?」
「外はないんじゃねえか?」
アランの問いにそう答える。
「とにかく、そう言やあ、俺らが見つけるだろうってそう思ってんだよな、多分」
「ルギが?」
「ああ」
「宮の中で、セルマ様が気がつかなくて俺たちが気がつくところ、か……」
「どこかしら」
「一体どこに……」
ダルと、宮のことを知る侍女が頭をひねって考える。
「そんで、隊長がそういうの頼める人間ってことだよな」
「人か、場所じゃなく人、そう考えた方がいいかもな」
アランがそう言い、
「さすがアラン」
と、トーヤがいつもの言葉を口にする。
「人かあ」
ダルもそう言って考える。
「セルマ様が近づかない人……あ!」
リルが何かを思いついたようにそう言った。
「なんだ、なんか思いついたか?」
「ええ、まさかと思うような人、というか場所でもあるわね。そしてルギが頼めば、それが必要だと思えば聞いてくださる方」
「あ!」
トーヤも何かに気がつく。
「キリエさんか」
「何!」
「え!」
ダルとミーヤもまさかという顔になる。
「まさか被害者に容疑者を預けるなんて思っちゃいねえだろう」
「いや、それはまさかだが」
「キリエさんなら預かってくれんじゃねえの?」
「それは、確かにそうでしょうね、キリエ様なら」
リルも一緒にそう言う。
「まあ、どっちにしても一度キリエさんに聞いてみるしかねえだろ?」
「けどな、見つけ出したとしても、それをどうやって証明させんだよ?」
アランがそう聞くとトーヤが、
「おまえら、忘れてんのな? いるだろうが、そういうことできるやつが」
「あ……」
アランが気がつく。
「一体何だよ?」
「託宣だよ」
「託宣?」
「今度は託宣じゃねえけどな、思い出してもらうことはできるだろ」
ダルとリルにはまだ話していなかった「当代の託宣」のことを、トーヤは説明した。
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