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第一章 第二節 カースへ
1 最初の訪問地
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「だっせ……トーヤだっせ……」
ベルが心底情けなそうにそう言い、
「ほんとだな、こりゃだせえよ」
アランも笑いながら同意する。
「うるせえよ、そんな扉見たこともねえだろうよ、おまえらだって。そもそもああいうでっかい建物の扉ってのは妙なやつをすんなり外に逃がさねえように内開きになってるんだって話だが、普通はせめて取っ手ぐらいついてるもんだと思うだろうが」
「へえ、そうなの?私も知らなかった、内側からは開かなかったんだねあの扉」
「は?」
「えっ?」
「なんだって?」
シャンタルが驚くようにそう言い、3人の方がもっと驚いた。
「おまえ、知らなかったのかよ、自分の家のこと」
「知らなかった。と言うかどうやって開けるのかとかも考えたこともなかった。何しろ扉と言うものは自然に開くものだと認識していたしね、こちらに来るまで」
「ああ、そういやそうだったか、もう前のことなんですっかり忘れてたわ」
「なんだよなんだよ、それ」
「トーヤ、えらいの連れてよく今まで無事だったな」
「俺もあらためてそう思う」
最後は4人で笑った。
「そういうわけだからな、俺が知らなくったってださくもなんともねえんだよ、そもそもそこの住人が知らねえことなんだからな」
「でもこの場合のトーヤはだせえと思うぞ?」
「俺も」
「うるせえよ、話を戻すぞ。そんで王都観光の話になるわけだ」
「ごまかした……」
言うだけ言ってさっとベルが避ける。
トーヤは今度は無視して続けた。
「まあな、命令されたわけじゃないにしても、マユリアの思った通りになるってのは正直しゃくだったが、とにかくここから出ていく算段をつけるためだと自分に言い聞かせて色々と調べ始めたんだ。自分のためだって思いながらな。まず一番最初に行ったのは、俺が流れ着いたカースだった」
嵐に流された後打ち上げられた漁師町「カースに行きたい」とトーヤが言い、すぐにミーヤが算段を整えた。が、初っ端から大揉めに揉めることとなった。
「だからそんな大げさにしなくてもいいってんだよ、馬でさっと行ってちゃちゃっと見てくりゃいいんだからよ」
「いいえ、そういうわけにはまいりません、公式な訪問はきちんと尋ねていただかないと」
「誰が公式って言ったよ、さっと見てくりゃいいってんだよ」
「仮にも託宣のあった地を初めて訪問するんですよ、公式でないなんて選択肢はございません」
「そっちが勝手に訪問だの公式だのにしたんだろうが、俺はそんなこと頼んじゃねえぞ!」
「カースにお礼と仲間のお墓参りに行きたいとおっしゃいませんでしたか?」
「それは言った、だからさっと行ってさっと礼を言ってさっと墓参りを済ませりゃいいんじゃねえか」
「ですからそういうわけにはいきませんと。第一、もう訪問の日時は伝えてあります」
「断れよ!」
「無理です!」
そう言ってツンとミーヤが横を向いた。
「こっ、んの……」
「とにかく、あなたには西も東も分からないでしょう、ですから今回はこちらの言う通りにしていただきます!」
そう言われてしまえば確かにその通りで、トーヤにはもう手も足も出ず、初めての外出は馬車でのカース訪問となった。
「毎度毎度申し訳ないけどよ、トーヤだっせ……」
「俺もそう思う……」
「なんとなく私もそう思ってきたよ……」
アラン、ベルの兄妹だけではなくシャンタルにまでそう言われ、さすがにトーヤも言い返すことはしなかったが、その代わりに、
「とにかくな、そんなわけでカースへは馬車で行くことになった。業腹なことにルギが御者の馬車に乗せられてったわけだが、それがどうした、え?」
と、ふんぞり返って両腕を組むと、もう好きに言ってろとばかりに開き直って3人をぎろっと睨んだ。
ベルが心底情けなそうにそう言い、
「ほんとだな、こりゃだせえよ」
アランも笑いながら同意する。
「うるせえよ、そんな扉見たこともねえだろうよ、おまえらだって。そもそもああいうでっかい建物の扉ってのは妙なやつをすんなり外に逃がさねえように内開きになってるんだって話だが、普通はせめて取っ手ぐらいついてるもんだと思うだろうが」
「へえ、そうなの?私も知らなかった、内側からは開かなかったんだねあの扉」
「は?」
「えっ?」
「なんだって?」
シャンタルが驚くようにそう言い、3人の方がもっと驚いた。
「おまえ、知らなかったのかよ、自分の家のこと」
「知らなかった。と言うかどうやって開けるのかとかも考えたこともなかった。何しろ扉と言うものは自然に開くものだと認識していたしね、こちらに来るまで」
「ああ、そういやそうだったか、もう前のことなんですっかり忘れてたわ」
「なんだよなんだよ、それ」
「トーヤ、えらいの連れてよく今まで無事だったな」
「俺もあらためてそう思う」
最後は4人で笑った。
「そういうわけだからな、俺が知らなくったってださくもなんともねえんだよ、そもそもそこの住人が知らねえことなんだからな」
「でもこの場合のトーヤはだせえと思うぞ?」
「俺も」
「うるせえよ、話を戻すぞ。そんで王都観光の話になるわけだ」
「ごまかした……」
言うだけ言ってさっとベルが避ける。
トーヤは今度は無視して続けた。
「まあな、命令されたわけじゃないにしても、マユリアの思った通りになるってのは正直しゃくだったが、とにかくここから出ていく算段をつけるためだと自分に言い聞かせて色々と調べ始めたんだ。自分のためだって思いながらな。まず一番最初に行ったのは、俺が流れ着いたカースだった」
嵐に流された後打ち上げられた漁師町「カースに行きたい」とトーヤが言い、すぐにミーヤが算段を整えた。が、初っ端から大揉めに揉めることとなった。
「だからそんな大げさにしなくてもいいってんだよ、馬でさっと行ってちゃちゃっと見てくりゃいいんだからよ」
「いいえ、そういうわけにはまいりません、公式な訪問はきちんと尋ねていただかないと」
「誰が公式って言ったよ、さっと見てくりゃいいってんだよ」
「仮にも託宣のあった地を初めて訪問するんですよ、公式でないなんて選択肢はございません」
「そっちが勝手に訪問だの公式だのにしたんだろうが、俺はそんなこと頼んじゃねえぞ!」
「カースにお礼と仲間のお墓参りに行きたいとおっしゃいませんでしたか?」
「それは言った、だからさっと行ってさっと礼を言ってさっと墓参りを済ませりゃいいんじゃねえか」
「ですからそういうわけにはいきませんと。第一、もう訪問の日時は伝えてあります」
「断れよ!」
「無理です!」
そう言ってツンとミーヤが横を向いた。
「こっ、んの……」
「とにかく、あなたには西も東も分からないでしょう、ですから今回はこちらの言う通りにしていただきます!」
そう言われてしまえば確かにその通りで、トーヤにはもう手も足も出ず、初めての外出は馬車でのカース訪問となった。
「毎度毎度申し訳ないけどよ、トーヤだっせ……」
「俺もそう思う……」
「なんとなく私もそう思ってきたよ……」
アラン、ベルの兄妹だけではなくシャンタルにまでそう言われ、さすがにトーヤも言い返すことはしなかったが、その代わりに、
「とにかくな、そんなわけでカースへは馬車で行くことになった。業腹なことにルギが御者の馬車に乗せられてったわけだが、それがどうした、え?」
と、ふんぞり返って両腕を組むと、もう好きに言ってろとばかりに開き直って3人をぎろっと睨んだ。
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