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第二章 第五節 もう一人のマユリア
21 千年
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「ズルになるかどうかは分かりませんが、結果を変えてしまおうとするのはいけないということになりますか」
「そういう風になるんですか」
「おそらくは」
「それで、それがシャンタルが死ぬかもってのとどうつながるんです?」
ラーラ様の顔が曇る。
「ずっと昔、千年ほど前の託宣に黒のシャンタルに関することがありました」
「え、十年前のことじゃねえのか!って、いや、ちょ、その前に黒のシャンタルって……」
トーヤが思わず声をあげる。
「十年前にもありましたがまた別の託宣です。そして存じております、当代がどのように呼ばれているのか。わたくしたちは代々その託宣を受け継いできました。それほど古く大切な託宣です。マユリアの座を降りる時に次代マユリアにお伝えするのです。そして恐れてもおりました、黒のシャンタルが現れる時を……」
「そりゃまあ、なんと……」
十年前でも昔のことだと思っていたトーヤは千年前と言われ頭の中がこんがらがる。
「そんな昔って、あんた……うーん……それ、本当?」
目をパチクリしながら聞くトーヤにラーラ様が声をあげて笑った。
「本当に楽しい……あなたに会えてよかったです」
「いや、まあ、ありがとう、ですが……」
深刻な中にも楽しそうにするのはこの人だけではない、マユリアもそうだ。
代々シャンタルってのはこうなのか?と思いつつ、当代を思い浮かべると否定するしかなくなる。
「いや、マジな話、そこまで大きな話になるともう俺にはどうしようもない……場合によっちゃ手を引いても構わないですかね?」
「いえ、それは困ります。あなたにしかできないことがあるのです」
「だから、なんでそれが俺なんです?例えばルギなんて一生懸命マユリアを守ろうとしてる、あいつでいいんじゃないんですか?」
「いいえ、あなたでないと」
「うーん、困ったなあ……そんじゃまあ話だけは聞きますよ、前金ももらっちまったことですし」
「そうですね、前金の分と、それからあなたを助けてからの分ですか?それだけは働いてもらわないといけないらしいですね?」
「え、え、いや、それは、えっと、そんなこと言われると奴隷と一緒じゃねえかよ、生涯かけても返せるもんじゃねえだろ!」
また声を上げて笑う。
「いや、ここ笑うとこじゃ……まあいいや、そんで、どうなりますって?」
「すべてを今話すことはできませんが、古い託宣にはこうありました」
これから先の長い年月の後、黒のシャンタルが現れる
助け手が助けられない時にはシャンタルは命を落とすだろう
「おおまかにはそういう感じです」
「いやいや、そういう感じって言われても、あんたね……」
トーヤは戸惑うしかない。
「つまりあれですか?俺が失敗したらシャンタルは死ぬってことですよね?」
「失敗ではありません、トーヤが助けようとしなければ、です」
「いや、そりゃ助けたいと思いますよ、あんなクソガ……いやお子さんでも、俺がほっときゃ死ぬってのをほっとくってことはできないでしょうが」
「それだけで済むことではないので」
「うーん……聞けば聞くほどよう分からん……んで、その託宣ってのはそれだけじゃないんですよね?」
「ええ、今言えないこともあります」
「またそれかよー」
はあっと疲れたように息を吐く。
「いや、もうね、いいんじゃねえの?そこまで話したんだからもう全部ぶっちゃけてくれってマユリアにも言ったんだけどよ、なんでだめなの?」
「さきほど申したように運命を変えぬようにです」
「また……でもまあ、それもさっきの説明でちょっとだけ分かったかも知れねえな。つまり、正解のところまでは合ってるよって教えていいってことですね」
「そうなります」
「はあ、そうかよ、ありがとです……」
ガクッと頭をたれた。
「まあいいや。そんで、俺は今のところ間違ってないってことでいいんですね、確認ですが」
「ええ」
「そんじゃ後はシャンタルを助けるだけじゃないんですか?それであなたに会いたいと思ってたんです」
「そうなのですか」
「はい。交代のその日にシャンタルをここから、奥宮から連れ出してもらえませんか?それだけやってくれたら後は俺が連れて行きますから」
「それは必要ありません」
「え?」
「シャンタルをここから連れ出す方法は考えなくても構いません」
「いや、そう言われても……」
「託宣です……」
ラーラ様は目を閉じて静かに頭を垂れた。
「いや、でも連れて出てもらえないことにはどうにも」
「あなたには、もっと他に乗り越える問題が出てきます」
「え?」
「でも今日お会いしてよく分かりました。あなたならきっと乗り越えてくださいます」
「え、いや、ちょ……」
「あなたはなぜ自分なのかと言いましたが、わたくしにはよく分かりました。やはりその自由な魂ゆえ、それとアルディナの神域の出身であるということも」
「神域?」
「ええ、これはシャンタルの神域のこと、神域内の人間には手が出せないからでしょう。そしてアルディナの神域にも影響がある」
「え?」
「わたくしが話したいことはこれでおそらく全てです、今の段階では、ですが」
ラーラ様はトーヤの手を取ると、
「どうぞシャンタルをお助けください。この世界のためにも」
そう言ってトーヤをじっと見つめた。
「そういう風になるんですか」
「おそらくは」
「それで、それがシャンタルが死ぬかもってのとどうつながるんです?」
ラーラ様の顔が曇る。
「ずっと昔、千年ほど前の託宣に黒のシャンタルに関することがありました」
「え、十年前のことじゃねえのか!って、いや、ちょ、その前に黒のシャンタルって……」
トーヤが思わず声をあげる。
「十年前にもありましたがまた別の託宣です。そして存じております、当代がどのように呼ばれているのか。わたくしたちは代々その託宣を受け継いできました。それほど古く大切な託宣です。マユリアの座を降りる時に次代マユリアにお伝えするのです。そして恐れてもおりました、黒のシャンタルが現れる時を……」
「そりゃまあ、なんと……」
十年前でも昔のことだと思っていたトーヤは千年前と言われ頭の中がこんがらがる。
「そんな昔って、あんた……うーん……それ、本当?」
目をパチクリしながら聞くトーヤにラーラ様が声をあげて笑った。
「本当に楽しい……あなたに会えてよかったです」
「いや、まあ、ありがとう、ですが……」
深刻な中にも楽しそうにするのはこの人だけではない、マユリアもそうだ。
代々シャンタルってのはこうなのか?と思いつつ、当代を思い浮かべると否定するしかなくなる。
「いや、マジな話、そこまで大きな話になるともう俺にはどうしようもない……場合によっちゃ手を引いても構わないですかね?」
「いえ、それは困ります。あなたにしかできないことがあるのです」
「だから、なんでそれが俺なんです?例えばルギなんて一生懸命マユリアを守ろうとしてる、あいつでいいんじゃないんですか?」
「いいえ、あなたでないと」
「うーん、困ったなあ……そんじゃまあ話だけは聞きますよ、前金ももらっちまったことですし」
「そうですね、前金の分と、それからあなたを助けてからの分ですか?それだけは働いてもらわないといけないらしいですね?」
「え、え、いや、それは、えっと、そんなこと言われると奴隷と一緒じゃねえかよ、生涯かけても返せるもんじゃねえだろ!」
また声を上げて笑う。
「いや、ここ笑うとこじゃ……まあいいや、そんで、どうなりますって?」
「すべてを今話すことはできませんが、古い託宣にはこうありました」
これから先の長い年月の後、黒のシャンタルが現れる
助け手が助けられない時にはシャンタルは命を落とすだろう
「おおまかにはそういう感じです」
「いやいや、そういう感じって言われても、あんたね……」
トーヤは戸惑うしかない。
「つまりあれですか?俺が失敗したらシャンタルは死ぬってことですよね?」
「失敗ではありません、トーヤが助けようとしなければ、です」
「いや、そりゃ助けたいと思いますよ、あんなクソガ……いやお子さんでも、俺がほっときゃ死ぬってのをほっとくってことはできないでしょうが」
「それだけで済むことではないので」
「うーん……聞けば聞くほどよう分からん……んで、その託宣ってのはそれだけじゃないんですよね?」
「ええ、今言えないこともあります」
「またそれかよー」
はあっと疲れたように息を吐く。
「いや、もうね、いいんじゃねえの?そこまで話したんだからもう全部ぶっちゃけてくれってマユリアにも言ったんだけどよ、なんでだめなの?」
「さきほど申したように運命を変えぬようにです」
「また……でもまあ、それもさっきの説明でちょっとだけ分かったかも知れねえな。つまり、正解のところまでは合ってるよって教えていいってことですね」
「そうなります」
「はあ、そうかよ、ありがとです……」
ガクッと頭をたれた。
「まあいいや。そんで、俺は今のところ間違ってないってことでいいんですね、確認ですが」
「ええ」
「そんじゃ後はシャンタルを助けるだけじゃないんですか?それであなたに会いたいと思ってたんです」
「そうなのですか」
「はい。交代のその日にシャンタルをここから、奥宮から連れ出してもらえませんか?それだけやってくれたら後は俺が連れて行きますから」
「それは必要ありません」
「え?」
「シャンタルをここから連れ出す方法は考えなくても構いません」
「いや、そう言われても……」
「託宣です……」
ラーラ様は目を閉じて静かに頭を垂れた。
「いや、でも連れて出てもらえないことにはどうにも」
「あなたには、もっと他に乗り越える問題が出てきます」
「え?」
「でも今日お会いしてよく分かりました。あなたならきっと乗り越えてくださいます」
「え、いや、ちょ……」
「あなたはなぜ自分なのかと言いましたが、わたくしにはよく分かりました。やはりその自由な魂ゆえ、それとアルディナの神域の出身であるということも」
「神域?」
「ええ、これはシャンタルの神域のこと、神域内の人間には手が出せないからでしょう。そしてアルディナの神域にも影響がある」
「え?」
「わたくしが話したいことはこれでおそらく全てです、今の段階では、ですが」
ラーラ様はトーヤの手を取ると、
「どうぞシャンタルをお助けください。この世界のためにも」
そう言ってトーヤをじっと見つめた。
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