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第四章:感じて判る事は心のみを。

突然の襲撃すら、判らない答えが欲しい。

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私が目を覚ますとゼスの寝顔が見えた。

でも…

そのまま私は動かず…
ゼスの寝顔を見る。

どうしても思う。

ゼスの寝顔…
凄く貴重!!

少し笑いながら見るけれど。
ふと私も考える。

ゼスとの子供だと、きっと…
男の子でも?
女の子でも?

私はゼスの寝顔を見ながら想像する。

多分?

男の子なら…
ゼスに似るの?
それとも…
私?

それを考えた時。
すぐ私でも判った。

きっとゼスに似た方が良い!!

でも…

もし私に似ても?

ゼスなら多分…
そのまま私は少しだけと思いながら…
寝てるゼスの髪に触れる。

濃い赤みのあるブロンド。

そして私も思い出す。

昨日のゼスは…
いつもよりも…

それに…

私はゼスを起こさない様に。
ゆっくり、ベッドから動いた時。
急に抱き寄せられて驚く。

「ユアナ…
どこに…?」

「ゼス?
起きてたの?
ただ…」

ゼスは普通に笑ってた。

でも…

「ねぇ?
ゼス?
疲れてるとも…
少し違う?
それに、どこか…」

私は判らない。

それでも…
少し驚いた顔をしたゼスに私は擦り寄った。

「判らないけれど…
ゼスは色すらも優しいでしょう?
皆とも少し違うの。
でも…
きっと多過ぎる?
ゼスは簡単にと…
違うでしょう?
辛い時は言ってね?」

私には判らない。
だから目を閉じたまま感じた事だけを言う。

「ユアナ…
俺の事を?
色すら優しいと?
それに…」

そう言いながらゼスは私を抱き締めてきた。

「もう俺はユアナがなぁ…
側に居るだけで充分、癒される。
こんな感覚は…
俺すら言葉に出来ねぇよ?」

目を開けて私は少し笑う。

「あはは…
ゼスでもと?
それは…
誰も判らない事になるよ?」

腕を緩めてゼスが私を見てくる。
急に嬉しそうに笑った。

「くっ。
あはははははは…
そうなぁ?
ユアナは…
また無自覚で…
もう…
マジで?
あはははははは!!
俺すら?
くっ。
でもなぁ…
それだけで充分かぁ?
俺からだとユアナは…
凄く透明な水だなぁ!!」

ゼスの言葉を私も少し考える。

透明と?
私が水にと?

でも…

すぐ私は浮かんだ。
その事も嬉しくて笑って言う。

「ゼスは青い空だよ!!
凄く綺麗な淡い青だね!!」

そのままゼスは嬉しそうに笑った。
私の頬に優しく触れて…

「俺がかぁ?
あははははっ!!
確かに?
前にも言ってたなぁ…
しかも綺麗な淡い青?
ユアナの目から俺が?
そう見えると?
俺は思うだけでもだ!!
もう嬉しくなるし?
今日もだぞぉ!!」

そう言ってから私に軽くキスを。
すぐ唇を離して…
また嬉しそうに笑って言う。

「もうユアナが笑うならと…
思うだけで俺も頑張れるんだ!!」

私も笑って頷く。

それから、いつも通りに私はゼスの側で…
食事へと広場に向かう。

でも…

今日は昨日より人数が多かった。
私が首を傾げる。

「ユアナ?
まだ言ってなかったなぁ?
普段から交代制の皆でもかぁ?
詳しくねぇだろうが。
しばらく変更すっからだ。
集まって貰っただけ。
まぁ…
今の人数が多いのは一時的に?
決める為に皆も集まるかんなぁ。」

変更すると?
一時的にと?

それを皆で決める為に…

私は凄く納得もする。

いつもゼスだけでもない。
皆が嬉しい事も私でも知ってる。

だから私も嬉しくなって笑いながら頷く。

それから私も食事も含め、いつも通り。
皆すら何も変わらなかった。

**************************

一方、レス。

既に場所の特定は数カ所。

表側で移動しながら…
裏側との接触にだけを常に注意して動いてた。

俺の予測だと。
そこまでの範囲でもねぇがなぁ。

レスは数カ所の中から更にだった。
ゼスと、ルド。
二人の予測と分析もした事。

予測した場所に近付く僅か前。
すぐ察して移動をした。

確認の為に反対側へ…
気配を完全に消してから冷静に見る。

あれは…
明らかに裏側のだろ?

何だぁ?
かなり人数は少ねぇぞ?

だが…
あの動きは…

前の二箇所よりもだろ?

実力だけなら上だろうが…

まぁ、俺からしたら大した事でもねぇし?

そこで目を閉じる。
右手を口元に当てて考える。

変だな?

俺の予測だと翡翠ひすいからだ。

なぜ…
しかも、あんな少数だぁ?

それでも何もなければ…
あんな連中すら居ねぇ筈だろう!?

もしゼスならば…
ここで当たりか!?

あくまで予測だが、わざとだ!!

少数精鋭でとした巡回のみ。

どんなに予測しても…
本来ならば、もっと人数が居た筈。

それでも、わざとだぁ?
急に?

冷静にと考える。

そうか!!
俺が裏側へと接触した事でだ!!

すぐ体制すら含めて全ての変更を!?

たった一日程度で…
いや、あのゼスだからこそ可能か。

だとしたら…
古い地図では廃村があった。
そこにとゼスも居る可能性が大きい。

つまり…

『ユアナ』にだけ!?
廃村周辺を厳重にしたからか!?

だとすると廃村へ他の人員を集め…
更に巡回する者達まで厳選したのか!?

そこまで…

あのゼスが?
『ユアナの為だけ』にしただと?

そして、あの動きだ。
俺は余裕だが、巡回の数人だけでも確かに?
厳選してる事には納得もすっけど。

完全にゼスが警戒してるならだ。
余計に罠すら考えられる。

もし、ユアナが居るならば…
これは一度、廃村を確認する必要があるかぁ?

ユアナの共通情報にもあったな?

淡い赤みのある長いブロンドの髪。
瞳すらも淡いヴァイオレット。
明らかに整った様な美しい顔立ち。
更に色白な肌で華奢な身体。

その全てが美しいと?
美貌ねぇ?

正直、美貌は…
どうでも良いが?

近付くにも限界はあるだろう。

いや、判別方法はある!!

ユアナの側に必ず。
あのルドって奴が居る筈!!

んん?

いや、待て…
そもそも…

俺が笑ったぐれぇだぞぉ?

あのルドが居る事すら判らん!?

聞いた時に面白い性格だと…
マジで俺すら笑ったかんなぁ?

だったら普通、ゼスの性格ならば…
逆に嫌いそうだが!?

そんなルドすら予測しても?
ユアナとの接触で?

だから裏側だけじゃねぇだろ?
全ての動きすら変えた事にかぁ!?

どんなに考えても判らねぇ…

レスは何度、考えてもだった。
全く理由が判らず。
どうにか首を横に振って再度、考える。

もう理由は後回しで良いかぁ?

あの程度なら気配に注意してだ!!

更に人の動きを見れば…
居るか判る筈だな?

ゼスの性格なら逆に判り易い。

俺の実力ならば警戒対象はゼスのみ。

人数が多くても先に、ユアナ以外へ動けば…
そうすればゼスだ!!

必ず動くのみ!!

レスは判断もして完全に気配を消した。
そのまま廃村へと接近する。

廃村にルドが居た場合を判断基準にした。

ゼスとユアナが居る事を確認してから…
行動する為に動いた。

**************************

一方、ルド。

ゼスから話を聞いてから一睡もせず。
何度も考えてた。

大きく息を吐き出してから、再度…
目を閉じて集中する。

やはりゼスは双子だったか。

だが…
どんだけ厄介な!?

ゼスの怒りも一応かぁ?

判らねぇ訳でもねぇが…

もう、あの話でもレスの場合。

これだと…
完全に俺と近いだろ!?

判ってねぇからこその行動のみ。

確かにゼスの言う通り。
『一族』に関しては間違ってる。

それでもだ!!

ゼスも、レスも…
互いに真逆の認識をしてる事。

しかも…
あれだとレスの方が、ゼスへと完全にだ!!
対抗心すらあるだろ!?

予測でも限界はあるがなぁ…

産まれた時からだぞ!?

常にゼス基準?
その上、気分次第だとぉ?

もう厄介過ぎるだけだろ!?

おまけにゼスは…
全く判ってねぇし?

俺の最悪な予測…
もしユアナと接触してレスが。
気付いてしまったら…

既に二日も経たず150人以上を。

簡単に殺す事の意味すら判ってねぇ…

完全な力のみ。

もしユアナが、レスの心に触れてしまえば…
その結果にもゼスは気付いてねぇ!!

こんなん俺以上に…

そして、レス自身もだろ?
対抗心があるからこそ余計にだ!!

ゼスの側にユアナが居る事。

そんなん絶対にだろうがぁ!?
何も判らず状態でかよ!?

もう何をするか…
完全に予測不可能だ!!

しかも実力だけならば?
常にゼスよりも上だとぉ!?

ゼスの行動なら読めるが。
本当に真逆だろ!!

どうにか考えてる時。
僅かな気配を察した。

すぐ目を開ける。

何だ!?
今、僅かに…

不審に思ってルドは屋根の居たが立ち上がった。
それから周りを見渡しながら更に気配を探る。

おかしい…

だが…
完全に気配すらねぇだと?

すぐ警戒度もルドは高めた。
そのまま見渡しながら気配を探る。
それでもだった。

まさか…
場所の特定をしたのか!?

馬鹿な!!

俺が確実に動いたと気付いてから…
まだ三日だぞ?

すぐゼスも体制を変えた。
それから二日程度しか経ってねぇのに!?

もし場所を特定してもだ。
今すら誰も異変に気付いてない?

でも、今…
僅かな気配が…

俺すら場所が判らねぇだと!?

すぐルドは違う屋根に飛び移った。
目を閉じて更にと集中するが…
全く気配がなかった。

目を開けて動揺する。

まさか!?
完全に気配のみを!!

もう既に潜伏してる可能性も…
いや…
この場合、先に俺はユアナのみをだ。

今の体制ならば…
ユアナから離れる方が危険だろう?

守る上でゼスが居てもだ。

ゼスすら気付く筈。

ユアナから一切…
離れる事だけは出来ねぇ。

ルドは冷静に判断もして動いた。
そのまま警戒度を高めながらも…
ユアナの家から一番近い家の屋根へ。

それからも常に気配を探ってた。

**************************

いつも通りに私は皆と。
ゼスも普段通り、広場で一緒に朝食を食べてた。

側に居たゼスが急に立ち上がって剣を持った。

私は驚く。

でも…

更にルドも立ち上がって両手に短剣を持った。
そして、すぐだった。

もう私は驚く。

ただ…
どうにか私が見ながらも考えてる時。

そのままで、その男性も私を見ながら…
嬉しそうに笑って言った。

「やっと会えたなぁ?
ユアナだろぉ?
その姿…
ふむ…
確かに?
これは情報以上だなぁ!!
全てが美しいって意味にかぁ?
それには納得すんよ。」

いきなり広場の皆すら居る場所…
その真ん中にとだった。

一人の男性が急に現れた。

私は驚きながらも良く見る。

珍しい濃い赤みのあるブロンド?
瞳は濃いヴァイオレット?
肌も白い?
それにゼスと同じ顔…
姿も全て同じに見える?

でも…

私は判らない。
首を傾げて考える。

凄くゼスに似てるけれど?
明らかに雰囲気すら違う?

その知らない男性を見ながら私も言う。

「私を知ってるの?
でも…
一度も?
会った事もないでしょう?」

その男性は、凄く驚いた顔になるのも見た。

「真っ先に…
俺をか?」

そう言った男性を見ながら私は首を傾げる。
どうにか考えてると…

「この場、皆にと全員だぁ!!
緊急パターン51だぁ!!」

叫ぶ様に大きいゼスの声にも私は驚く。

でも…

私は見てた。

皆すら驚いた顔で動こうとしたけれど。
その男性も素早く動いて周りに居る皆へと。
急に剣を向けたのを。

でも…

すぐゼスが…
いつの間にか、その男性と皆の間に居た。

剣でと?
ゼスが防いでるの?

「レス!!
止めるんだ!!
わざと…」

私はゼスの大きな声も聞こえてた。

レスと?

そのレスと呼ばれた男性がだった。
笑いながら言うのも…

「やはりか!!
きっとゼスならだ。
そう動くとなぁ!!
だが…
その程度かぁ?」

急に、また素早く動くけれど…
僅かに私でも判る。

それすらもゼスが動いて全て止めてた。

一体、何が?

「ルド!!
今はユアナをだぁ!!
皆はパターン51のみ!!」

ゼスの大きな声で私はルドに抱き上げられた。
驚きながらも…

「ルド?
それに、何が…」

「ユアナ!!
今は…」

ルドが眉間に皺を寄せて言うけれど。
すぐ止まった。

「チッ…」

気付くとレスって男性がだった。
私とルドの前に居た。

それに笑ってるのも判る。

「おいおい。
勝手にユアナをかぁ?
連れてくんじゃねぇよ。
お前がルドだろ?
他とも、その動き!!
明らかに違うしなぁ?
それに唯一だぞぉ?
ゼスから離れてんのに…
完全に消した気配にと。
一度だけ気付いたろ?
それで俺が確信したかんなぁ!!」

すぐゼスも間に入る様に前に立って…
大きく言う声だけは私にも聞こえてた。

「レス!!
ユアナにとだろう!?
俺が止める、それに話もある!!
ルドは早くユアナを。
ぐっ…
待つんだ、レス…
話も…」

剣が打つかり合う様な音が響くばかり。
それに私は僅かにしか言えなかった。

「ゼス!?
それに…
レスと?」

すぐルドも動こうとしても…
なぜか何度も止まるばかり?

私には早過ぎて何も判らない。
けれど声だけは聞こえた。

「うん?
これはユアナの声かぁ?
多分、見えねぇだろうが。
俺はゼスの兄でレスだ!!
ずっと探してたぞぉ!!」

ゼスの兄と!?
凄く似てる?

ふと私は…
お兄様達を思い出す。

ゼスは双子なの?

「ユアナ!?
何も聞くな!!
クッ…」

ルドの普段とも違う声が聞こえて…
咄嗟に私も言う。

「ルド!?
どうしたの?」

もう早過ぎて…
私は…

「ルド!?
待て、レス!!
ユアナにも!!」

ゼスの大きな声も聞こえた…

それに急に動きが止まると。
ルドの腕が僅かに緩まったのが判った。

でも…

すぐルドが私に隠す様に背を向けた。
肩から血が流れてるのを見た。

えっ!?

「ゼス!!
俺を気にするなぁ!!
今はレスをだ!!」

何かが打つかる音ばかりする。

まさか…

「止めてぇ!!」

私は咄嗟に叫んだ。

それにとルドだけが私を背に隠したまま…
僅かに動いたけれど、そのまま止まった。

他の皆も全員、止まったのを見た。

少し私も動いてレスを見る。

でも…

凄く嬉しそうに笑ってた。
私を向いて言ってきた。

「おぉ?
今のもユアナだなぁ!!
なら止まるぞぉ?
ちっと俺はユアナにかぁ?
頼みたい事があんだよ!!」

「私にと?
えっと…
レスさんと?」

私も驚きながら、どうにか言うけれど。
レスさんは凄く嬉しそうに笑い出した。

「あははははっ!!
さん付けは…
止めろぉ?
めっちゃ…
微妙な感覚?
そんなん慣れてねぇよ!!
だが、そう…
俺はユアナにだけなぁ?
一つだけ!!
して欲しい事があってなぁ?
それをかぁ?
してくれたら…
この場に居る皆へと?
なんも?
俺はしねぇよ?」

それにと周りの皆が全員だった。
凄く驚いた顔をした事も私は見たけれど。

私に一つだけと?
して欲しい事がと?

また私はレスを見ながら…

「えっと…
レスと?
ゼスの兄と?
それは何を?」

「ユアナ!?
話す必要はない!!
レス!!
俺は…」

「ゼスは黙ってろぉ!!
俺はユアナ以外だぁ!!
この場で殺す事も出来る!!」

ゼスの大きな声すら遮る様にと…
大きく言ったレスの言葉にも…

私は驚くだけだった。

殺す事もと?

ゼスも…
ルドも…
皆すらも…

それなのに…
レスは笑いながら言ってくる。

「なぁ、ユアナ?
ユアナが俺の側に来ればなぁ?
皆は無事に生きれるぞぉ?
まぁ…
でも来ないならかぁ?
俺が皆を殺すだけ!!
でも、今ならユアナがだぞぉ?
この場に居る皆が死んだら…
そりゃ、簡単だろ?
ユアナが来なかったからだろ?
だからユアナが一人でなぁ!!
俺のとこに来れば良い。
そんだけ!!
俺からしたらゼス以外…
全く相手にならねぇし?
俺が欲しいのはユアナだけなぁ!!
最初から変わってねぇよ?
この場で生き残るのもユアナだけかぁ?」

その言葉に私は、もう驚く。

私がと?
この場で…

驚きながらも私は言う。

「それは私が行けば…
皆をと?
それにゼスや…
ルドも…」

でも、すぐにルドが動いた。
何か投げた様子で、私も抱き上げ…

「ユアナ!!
あんなん嘘だ!!
何も聞くこ…!?
ぐっっ…」

いつもと違い過ぎるルドの声に気付く。
それでもルドは動こうと…

「ルド!?
止めろ!!
レス!!」

ゼスの大きな声もだった。
急にルドが、また私に背を向けるけれど。
その背中から血が!?

もう私は慌てて言う。

「ルド!?
何で…」

「さっきも言ったろうがぁ!!
また勝手にユアナを連れてこうとかぁ!?
してんじゃねぇよ!?
そんなん俺には全て無駄だぁ!!」

すぐ大きなレスの怒鳴り声に…
どうすれば良いか私も考える。

でも…

「ざっけんじゃねぇ!!
俺はなぁ!!
ユアナ以外…
誰も信じてねぇ!!
これはゼスすら同じ事だ!!
俺が従う気も一切ねぇ…
ましてユアナには…
俺の全てをだ!!
その俺がレス!!
お前の言う事にと…
俺が従う筈もねぇ!!」

そのまま体勢すら変えずルドが怒鳴った。
私からもレスは見える。

そんなレスは少し驚いた顔になった。

けれど急に笑い出すのも…
私は全て見てた。

「あははははっ!!
そうだった…
お前だけ…
俺も?
最初にかぁ?
あははははははっ!!
表に居た…
あの馬鹿三人…
マジで笑ったぞぉ?
もう…
あははははははっ!!
そうなぁ?
あんな馬鹿な話?
もう俺がだ…
ルドをかぁ?
聞いた時なぁ?
めっちゃ面白いと…
久々に笑いをだぁ。
堪えられんかった…
良い判断してんし?
わざわざ…
表を動かすとか…
あははははっ!!」

「俺の事を。
あの馬鹿三人か!?
レスがだと?
そこで聞いたならば…
場所の特定にだな?
俺の予測をしたからだろう!?」

私からルドの顔は見えないけれど。
レスだけは見えてた。

だからレスが本当に笑ってるのも判る。

でも…

私は不思議に思う。

どうして…
レスは…

「あははははは…
正解だなぁ!!
もう…
スゲェぞぉ!!
ありゃ…
確かに?
笑うしかねぇよ!?
そうだぞぉ!!
やっぱ良い判断すんなぁ、おい!!
ルドの事をかぁ?
俺は聞いた時すら…
マジで思ったぞぉ?
だが安心しろ?
あの馬鹿三人!!
その場で俺がだぁ!!
殺しておいたかんなぁ?」

また私は驚く。

殺してと?

それなのに…
レスは嬉しそうに笑うだけで…

これは…

レスも?
レス自身がと?

「チッ。
どんだけ…
レス!!
俺を知ってんならだ!!
そしてユアナのみ…
俺自身が決めた事だ!!
そのユアナになら…
当たり前な事だ!!」

ルドが大きく言った事で…
今度はレスが右手を口元に当てた。

僅かに目を閉じたけれど。
すぐ目を開けて頷きながら言う。

「ふむ…
なるほど。
だが、俺は別にユアナをかぁ?
欲しいだけだぞぉ?
だから傷付ける気もねぇよ?
貴重なのも充分。
判ってっし?
一応、ルドがユアナには判ったが…
まだ俺が話してる時にかぁ?
勝手に決めんなよ。」

私は判らない。

でも!!

これはレスがでしょう!?
すぐ私も言う。

「ルド!?
待って?
少し、レスにと。
私も聞きたいの?」

「な…
だが、ユアナ!?
レスにだと?」

そのまま動かず、ルドも言うけれど。
私はレスを見る。

そんなレスも…
やっぱり驚いた顔をしてるのも…

「レスにと…
その…
私にと?
さっきも?
言ってたけれど?
でも…
判らないけれど?
どうして…
ゼスも、ルドも…
それに皆も?
どうして…
傷付けるの?」

どうにか言う私に…
レスが微妙な顔をするのも見てた。

またレスが右手を口元に当てると。
目を閉じたままでだった。

「うん?
どうして…
だが…
その言い方も…
それに…
もしかして…」

目を開けたレスは…
複雑な顔でと言ってきた。

「ならば…
ユアナに判り易く言うと?
俺はなぁ?
ずっとユアナが欲しいとだ。
それなのになぁ?
もう皆が全員かぁ?
俺をユアナに会わせねぇし?
何も言わず?
更にかぁ?
邪魔ばっかするだけ!!
そんなん要らん!!
だから殺すだけだぞぉ?」

私は判らない。

「どうして…
えっと…
私には判らないけれど?
どうして…
私が欲しいと?
どうして…
要らないと?
殺すと?」

必死に言葉を探す。

でも…

私は判らないけれど?

レスもなの?

**************************

一方、レス。

すぐユアナの言葉と意味も判るが。
更に顔も含めて察した。

これは…
『洗脳』かぁ?

さっきから常にだが。

どうしてと…
判らないと…

あの顔は嘘でもねぇ。

つまり…

『判らない』事でと洗脳をか!!

ならば…

少し笑って、そのまま言う。

「ふむ…
なら俺もだなぁ。
ユアナにと。
そのまま言うぞぉ?
俺が欲しいのはだ!!
正確に言うなら…
俺はユアナとの『子供』が欲しい!!
だからこそ!!
俺はユアナのみ!!
欲しいんだぞぉ。」

言ってからもユアナを見てると。

こりゃ…

判り易いなぁ、おい?
完全に困惑してんだろ?

そんなユアナがだった。

「えっと…
子供がと?
それでと?
でも…
レスは…
私を愛してない?
私も…
レスを知らない?
それなのに…
子供をと?」

ユアナの様子が…
もう判り易いだけに…

「あはははははっ!!
完全に…
判ってねぇ…
くっ。
あははははははっ!!
ヤベェ…
だが、ユアナ?
先に言うぞぉ?
俺は愛だのも要らん!!
ユアナをかぁ?
傷付けるとかも?
ちっと違うし?
俺はなぁ。
ユアナに子供を。
俺との子供がだ!!
欲しいだけ!!
他は要らん。」

どうしても勝手に笑うが。
そのまま思ってる事を言う。

そんなユアナすら、もう…
どうにか必死に考えてる様子にも判る。
更に首を横に振りながらと言った事にだった。

「レス?
その…
レスがと?
私を愛してないでしょう?
それに私も?
レスを知らないのにと?
判らないけれど…
私はゼスだけを愛してるの。
『愛した人との子供』を。
だから『ゼスとの子供』を。
私を愛してくれてる『ゼスに』と。
それだけでと?
レスは…
違うでしょう?」

それにも、また驚く。

『愛してる人との子供』をだと?

それでゼスの…

ユアナの場合。
洗脳から全てが判らねぇ…

そのままの方がだろう。

「なぜだ?
ユアナ、俺とゼスは双子だぞ?
ゼスの子供も。
俺の子供も。
どちらも『同じ』になる事!!
それなのに…
なぜだ!!
『ゼスの子供だけ』を!?
愛すら関係な…」

「違う!!」

急にユアナが大きく遮る様にだ。
叫んできた。

驚きながら見てると…

首を横に振って…
更に涙を零しながら…
俺を見てくるが。

「それも違うの!!
レスも!!
ゼスも!!
双子でも皆が違うの!!
人は皆が違うと…
言葉が判らないけれど…
でも…
私が愛してるのはゼスだけなの!!
レスは…
レスでしょう!?
ゼスじゃない事だけは…
私でも判る!!」

その言葉にレスは…
余りにも衝撃的だった。

今まで常にゼスと同じ扱いのみ。

実力では俺が上でも…
頭脳では負けるゼスと…
常に比べられるのみ。

更に他すら当たり前の様にと…
比較される事しかなかった。

それなのに違うと言われた事は…
『初めて』だった。

俺と…
ゼスが『違う』と?

それすら当たり前に…

ユアナだけが?

こんな女…
俺は知らない!!

ユアナだけ違う?
他すらもか?

目を閉じて右手を口元に当てる。
更に考える。

冷静に考える為…

俺とゼスを間違えないどころか…
違う事すら当たり前に言うと?

俺は知らないが。
『ユアナだけ』が本当に違うのか?

もう少しユアナと話せば判る可能性も?

いや…
先に聞けば判る事も?
あるかぁ?

だが…
その答えすら俺には…

ならば…

目を開ける。

それからユアナを見ると。
僅かに涙を零してる事も判るが…

判らない複雑な感情も湧き上がる。
それを振り払う様に、すぐ首を横に振った。

どうにか、しっかりユアナを見てから…

「ユアナ!!
だったら…
俺からの質問に一つだけ答えろ!!
俺とゼスが違うと言うならばだ!!
それは何だ?
俺とゼスは双子だ!!
だから性格以外は同じ事!!
俺とゼスで…
『何が違う』と言うんだ!?」

大きくユアナに問う。

この回答次第で決める!!

本当に…
俺とゼスが?
違うと言うならばだ。

俺すら判らない答えを?
ユアナが答えられると!?

それが本当ならば…

俺は判らねぇのにかぁ?

言ってからユアナを見てると。

目を閉じて…
どうにか考えてる事ぐれぇ…

俺すら簡単に判る顔でかよ?

明らかに、これは…
洗脳の影響だろう?

知識や物事を何も知らねぇ筈。

だが…
それでも違うと?

俺すら『判らない答え』を。
もし本当に?

俺とゼスが違うと言うユアナだけならば!!
『本当の答え』が判る筈だろう?

その答えでだ!!
判断も出来る事!!

初めて…
最初から言ってきた。

そして…
俺すら初めて出した質問だ。

そんなん俺も判らねぇし?

その答えを?
ユアナが言えると?

もし…
そうなら俺も判るのか?

そのまま冷静に…
レスは『ユアナの答え』を待った。
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