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はじまりの地
第一話
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一人で暮らすには、少し大きいあるマンションの一室。
その中で聞かせる相手は誰も居ないのに、ぼやく声が響く。
「あ~……次は、何にするかな」
周りに積み上げられたゲームの山を前に、考え込む。
とうの昔に、時代はVRだと世は盛り上がり、それ以前もオンラインゲームばかりが普及していて、一人きりでコツコツとプレイするような人間は激減していた。
化石とまで言われようとも、佐久弥はレトロゲームが好きだった。
フィールドの隅々まで歩き、町に入れば、全てのノンプレイヤーキャラと同じ会話の繰り返しになるまで延々と会話し、ダンジョンに入れば隠し通路の一つでもないかと、壁のあちこちまで調べまくる。
そういったコツコツとした作業が嫌いでは無いし、発見するという楽しさがあるので、攻略など見ず何ヶ月もかけて一つのゲームを楽しむのが佐久弥の日常だ。
佐久弥も、別にVRに興味が無いわけではないが、面白そうなゲームは大抵が大規模多人数同時参加型オンラインRPGなのだ。
日々営業マンとして、苦手な笑顔を貼り付け、多くの他人と関わる佐久弥にとって、唯一の楽しみであるゲームでまで人間関係に煩わされるのは面倒だった。
「時代に取り残されてるって言われても……趣味くらい好きにさせろって」
はあ……とVR世界の楽しさを佐久弥に布教しようとうるさい友人を思い出しながら、重い腰を上げる。
目の前には、長い時間かけて遊びつくしたゲームのEDが流れている。
丁度大型連休の初日の今日、終わらなくても良いだろうに。
佐久弥は、次の獲物を求め、家を出る。
目指す先は、小さなボロイ店だ。佐久弥が好むレトロゲームを今でも取り扱っているのだ。
趣味で経営してると堂々とのたまう老人は、自分が若かりし頃のめり込んだゲームの楽しさを伝えたいという思いだけで店を開いている。もちろん、そんな店だから知っている人はほとんどいない。
「じいさん、何か良いのある?」
開いてるのか閉まっているのか、外からではわからない扉を開き、薄暗い店の奥に腰掛ける老人に声をかけると、常連の顔を見て店主が朗らかに笑う。
「佐久弥のぼんか、こないだのはもうクリアしたのか?」
「そそ。ちょっと連休って事にはしゃいで、徹夜で終わらせたんだよ。……これからが休みなのに馬鹿だった」
がっくりと項垂れる佐久弥に、店主は楽しげに笑い、小さな箱を取り出す。
「ん?何だこれ……って、じいさん、これVRのじゃないか」
自分の好みを知りつくしてるはずの店主のセレクトに、佐久弥は首を捻る。
「今日発売だ。今夜から始まるVRMMORPG『Ideal World Online』ってやつだ。仕入れる時に耳にしたんだが、こいつはちょっと変わってて……このソフト自体はVRゲームにしてはありえないほど安い。その理由が、酷く癖があるかららしくてなぁ……気に入った人間だけ、その後本課金してゲームを続けてくれってやつだ。だからこのご時世、オンラインものなのにゲームクライアントを落とす事は出来ないという変り種。――あんな即死トラップだらけのゲームや、雰囲気ばっかりでやたらと難解なゲームも楽しい楽しいって言ってたぼんにゃ、もしかしたら向いてるかと取っておいた」
にやり、と笑ってシンプルな箱を差し出す店主に、佐久弥も苦笑する。
「VRにゃ手を出す気なかったんだがなぁ……でも、じいさんのススメなら乗せられてみるかな」
「ぼんの妹が結婚する時に残してったVR用の機械が邪魔だっていつも言ってただろう?どうせなら使ってやれ」
埃被ってるのも可哀想だしな。と続ける店主の言葉に、佐久弥はそのゲームを手に取る。
じいさんは物は大切に、だけど使われるためにあるんだから、使い切ってやれというタイプだ。
部屋の片隅にシートをかけられ放置されている機械を思い出したら、これも何かの縁か、と購入することにする。
妹もまたゲーマーで、けれど佐久弥とは異なり新しいもの好きだ。
VRゲームが出ると知れば、その為にバイトを増やし、販売されるまでに見事必要額を集め購入したくせに、その後すぐ結婚してしまった。最新式の機械を旦那が購入してくれた~だから、私のは置いとくね、と浮かれて報告した妹に、こんなでかい置き土産、邪魔すぎる……と頭が痛くなったのを佐久弥は思い出す。
「なら早速今夜からしてみるわ。あ~でも、夜までが暇だ」
「徹夜したんだろう?どうせぼんは始めたらすぐ熱中するんだろうから、それまでの間に寝とくといいさ」
「ん、それもそうだな。VRゲームだとしても、やっぱりやりこみたいし」
「そう言いながらも、ぼんはレベルアップには走らないんだよなぁ」
「強くなりすぎても楽しくないよ。……でも色々調べてる間に気付いたらレベル上がっててさぁ……」
「良くある事さね。だけど何か見落としてるものがあるかと思ったら、わしも気持ち悪くてなあ。同じような事をしてたよ」
「じいさんもか。でもそんかわり、意外な仕掛けとかアイテム見つけたときの爽快感はすごいよな」
「ぼんはよぉわかっとるのぉ。……こういったゲームは延々とアップデートされるから、攻略に区切りをつけにくいだろうが、たまには顔を見せてくれよ?」
「こんな、いつもつまらなさそうと妹にまで言われる顔を何で見たいんだか……了解。もう入手できない昔のゲームの話も聞きたいし、また来るよ」
小さなソフトを手にした佐久弥は、それからしばらく店主を会話を楽しむと、色々と買い込みながら家へと向かう。
「さって、連休こもる準備も出来たし。本体も設置完了。それでは、始めますかね」
綺麗にしたVR専用のポッドに横たわり、佐久弥は小さなソフトを差し入れ、目を閉じる。
「――さあ、今度はどんな世界が俺を待ってるのかな」
そんな言葉を最後に、佐久弥の意識はゲームへと落ちていった……。
その中で聞かせる相手は誰も居ないのに、ぼやく声が響く。
「あ~……次は、何にするかな」
周りに積み上げられたゲームの山を前に、考え込む。
とうの昔に、時代はVRだと世は盛り上がり、それ以前もオンラインゲームばかりが普及していて、一人きりでコツコツとプレイするような人間は激減していた。
化石とまで言われようとも、佐久弥はレトロゲームが好きだった。
フィールドの隅々まで歩き、町に入れば、全てのノンプレイヤーキャラと同じ会話の繰り返しになるまで延々と会話し、ダンジョンに入れば隠し通路の一つでもないかと、壁のあちこちまで調べまくる。
そういったコツコツとした作業が嫌いでは無いし、発見するという楽しさがあるので、攻略など見ず何ヶ月もかけて一つのゲームを楽しむのが佐久弥の日常だ。
佐久弥も、別にVRに興味が無いわけではないが、面白そうなゲームは大抵が大規模多人数同時参加型オンラインRPGなのだ。
日々営業マンとして、苦手な笑顔を貼り付け、多くの他人と関わる佐久弥にとって、唯一の楽しみであるゲームでまで人間関係に煩わされるのは面倒だった。
「時代に取り残されてるって言われても……趣味くらい好きにさせろって」
はあ……とVR世界の楽しさを佐久弥に布教しようとうるさい友人を思い出しながら、重い腰を上げる。
目の前には、長い時間かけて遊びつくしたゲームのEDが流れている。
丁度大型連休の初日の今日、終わらなくても良いだろうに。
佐久弥は、次の獲物を求め、家を出る。
目指す先は、小さなボロイ店だ。佐久弥が好むレトロゲームを今でも取り扱っているのだ。
趣味で経営してると堂々とのたまう老人は、自分が若かりし頃のめり込んだゲームの楽しさを伝えたいという思いだけで店を開いている。もちろん、そんな店だから知っている人はほとんどいない。
「じいさん、何か良いのある?」
開いてるのか閉まっているのか、外からではわからない扉を開き、薄暗い店の奥に腰掛ける老人に声をかけると、常連の顔を見て店主が朗らかに笑う。
「佐久弥のぼんか、こないだのはもうクリアしたのか?」
「そそ。ちょっと連休って事にはしゃいで、徹夜で終わらせたんだよ。……これからが休みなのに馬鹿だった」
がっくりと項垂れる佐久弥に、店主は楽しげに笑い、小さな箱を取り出す。
「ん?何だこれ……って、じいさん、これVRのじゃないか」
自分の好みを知りつくしてるはずの店主のセレクトに、佐久弥は首を捻る。
「今日発売だ。今夜から始まるVRMMORPG『Ideal World Online』ってやつだ。仕入れる時に耳にしたんだが、こいつはちょっと変わってて……このソフト自体はVRゲームにしてはありえないほど安い。その理由が、酷く癖があるかららしくてなぁ……気に入った人間だけ、その後本課金してゲームを続けてくれってやつだ。だからこのご時世、オンラインものなのにゲームクライアントを落とす事は出来ないという変り種。――あんな即死トラップだらけのゲームや、雰囲気ばっかりでやたらと難解なゲームも楽しい楽しいって言ってたぼんにゃ、もしかしたら向いてるかと取っておいた」
にやり、と笑ってシンプルな箱を差し出す店主に、佐久弥も苦笑する。
「VRにゃ手を出す気なかったんだがなぁ……でも、じいさんのススメなら乗せられてみるかな」
「ぼんの妹が結婚する時に残してったVR用の機械が邪魔だっていつも言ってただろう?どうせなら使ってやれ」
埃被ってるのも可哀想だしな。と続ける店主の言葉に、佐久弥はそのゲームを手に取る。
じいさんは物は大切に、だけど使われるためにあるんだから、使い切ってやれというタイプだ。
部屋の片隅にシートをかけられ放置されている機械を思い出したら、これも何かの縁か、と購入することにする。
妹もまたゲーマーで、けれど佐久弥とは異なり新しいもの好きだ。
VRゲームが出ると知れば、その為にバイトを増やし、販売されるまでに見事必要額を集め購入したくせに、その後すぐ結婚してしまった。最新式の機械を旦那が購入してくれた~だから、私のは置いとくね、と浮かれて報告した妹に、こんなでかい置き土産、邪魔すぎる……と頭が痛くなったのを佐久弥は思い出す。
「なら早速今夜からしてみるわ。あ~でも、夜までが暇だ」
「徹夜したんだろう?どうせぼんは始めたらすぐ熱中するんだろうから、それまでの間に寝とくといいさ」
「ん、それもそうだな。VRゲームだとしても、やっぱりやりこみたいし」
「そう言いながらも、ぼんはレベルアップには走らないんだよなぁ」
「強くなりすぎても楽しくないよ。……でも色々調べてる間に気付いたらレベル上がっててさぁ……」
「良くある事さね。だけど何か見落としてるものがあるかと思ったら、わしも気持ち悪くてなあ。同じような事をしてたよ」
「じいさんもか。でもそんかわり、意外な仕掛けとかアイテム見つけたときの爽快感はすごいよな」
「ぼんはよぉわかっとるのぉ。……こういったゲームは延々とアップデートされるから、攻略に区切りをつけにくいだろうが、たまには顔を見せてくれよ?」
「こんな、いつもつまらなさそうと妹にまで言われる顔を何で見たいんだか……了解。もう入手できない昔のゲームの話も聞きたいし、また来るよ」
小さなソフトを手にした佐久弥は、それからしばらく店主を会話を楽しむと、色々と買い込みながら家へと向かう。
「さって、連休こもる準備も出来たし。本体も設置完了。それでは、始めますかね」
綺麗にしたVR専用のポッドに横たわり、佐久弥は小さなソフトを差し入れ、目を閉じる。
「――さあ、今度はどんな世界が俺を待ってるのかな」
そんな言葉を最後に、佐久弥の意識はゲームへと落ちていった……。
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