34 / 86
本編
32.教会
しおりを挟む
あぁ···平穏だ。いや、両親の訃報があったのだから平穏というのはおかしいのかもしれないが俺の心はとても落ち着いている。
兄からの求婚があったその後も、兄貴と先輩は対立(?)することなく···まぁ多少のバチバチはあったにせよ、一度目のような凄まじい言い争いはせずに話し合いで落ち着いた。返事も俺が学園を卒業するまで待ってくれるらしい。
一度目の兄貴はきっと焦ってたんだと思う。両親のことがあって、俺は悲しさを兄貴にぶつけるばかりで、兄貴はそんな俺を見て···もっと良い兄になろうとして、家の為と俺らの為って言って自分の気持ちが抑えられなくなって···。
俺だって兄貴の立場だったら、もっと自分がしっかりしなくちゃって焦ったと思う。
ま、それにしても着地点が強引過ぎた気もするけど。
·······あと5日か。今日入れたら6日···。
学園に登校した日であり、俺が会長に童貞を奪われた日であり、そして千秋に監禁されて·······死の宣告をされた日だ。
あれ?逆行したってことは俺ってまだ童貞?
ホッとしたようなしてないような······。うーむ、なんかスッキリしない。
それとコーネリアの言っていたステータスを見る方法だが·······どうやれば出来る?(怒)転生系小説でよく見た『ステータス魔法』や視界の端にステータスを見る項目があって···だとかそんな気配が全くない。···部屋で「ステータス!!」って叫んで見えなかった時の恥ずかしさと言ったら···っ。その日の夕食が俺の好物ばかりだったのは気のせいか?
本当はまだ一週間経ってないから、教会に足を運ぶのも気が引けるし不謹慎かもしれないけれど·······コーネリアの『プレゼント』が気になるし、異空間収納って加護が本当に付与されたのかも気になる所だ。無事に転生出来たことの挨拶がてらそろそろ行ってみてもいいかも知れない。
兄と俺の関係が良い方向に進んだとはいえ、それは両親の死には関係ないと思う。·······恐らく今回も両親は一週間経っても帰ってこないだろう。
「律花···おはよう。起きてたんだね」
「あ、···兄貴······おはよ」
「ふふ、そんな顔しないで。何もしないから」
そうは言ってもな···。
兄貴は俺に結婚迫ってる訳だぞ?警戒しない訳が無い。
そんな俺の様子など気にも止めず思わず身構えた俺の頭を撫でる兄。
ここ2、3日こんな朝を繰り返している俺たちだ。
何もしないって俺の頭撫でてるじゃないか!
「今日は父さんの仕事の引き継ぎで商会まで行くのだけど···律花もどうかな?僕の方は直ぐには終わらないけど、あの辺りは公園があったよね。気分転換に散歩でもして来たらどうかなって」
「商会?」
「うん、近くに教会がある所···分かるかな?」
近くに教会がある商会って言ったら·······あそこしかないな。
カーカッカッって笑い声が脳裏に浮かんだ。······オディロックバーンギルド、ギルドマスターのエイド・権藤田の生家、権藤田商会。
ゲームじゃ、ギルド内ショップで売買する度に『権藤田商会も宜しくなァ』ってきっちり宣伝してたのを覚えてる。品揃えも悪くなくて重宝してたし······じゃなくて!
「行く!!」
「ふふ、分かった。じゃあ準備してて」
商会と教会は目と鼻の先だし、兄貴の用事もそんな短く終わる話じゃないだろう。父さんの仕事ってことは兄貴が引き継ぐ可能性もあるんだろうし···。
散歩次いでに教会に行って······希望は薄いかもしれないが父さんと母さんの無事を祈って·······。その次いでにスイレンに今俺が出来ることを聞きに行こう。本当に無力すぎて笑えるな······。けど、それしか方法がない。
不知火さんはこの一週間実家に帰って貰っている。ずっと俺に張り付きっぱなしってのも大変だし、一応不知火さんは二部生だ。俺ばかりに付き合わせるのは申し訳ない。ま、なんか『影』ってのを付けるとかなんとか言ってたけど···多分追跡魔法の類じゃないかな、と思う。それで影に異変があれば俺に何かあったってことだから、直ぐに駆けつけてくれるってことになってる。
···魔法式覚えるの苦手なんだよ······!
···実は授業中とかは大体影ってのを付けられてたらしい。本当色々やってくれててビックリした。従者って大変なんだな······。
俺の準備が終わる頃に丁度兄貴が迎えに来た。
···何故か兄貴にエスコートされて馬車に乗り込む。気づいたら手を引かれてたし、馬車に乗り込んだ瞬間にあれ?俺、エスコートされてない?って気がついたね。やる事なす事スマート過ぎないか?
·······ブラコンが無ければ完璧なのに。
「じゃあ、終わったら僕も公園に向うね。何かあれば連絡して」
「分かった。兄貴も何かあったら連絡してくれよ」
「···うん。ありがとう」
はにかむ様に笑う兄貴。
何だろう······嬉しそうって言えばいいのか、見てるこっちが恥ずかしくなってくるって言うか·······。うーん、普通にしてれば本当に良い兄貴なのにな。
執拗くないし、自分の意見を押し付けてこないし···と言うか優しいし、穏やかだし、俺は今の兄貴の方が好きだな。まぁ甘えるのも悪くは無かったけど、心で支え合うって感じ?の今みたいな方がやっぱいい。
兄貴と商会の馬車置き場で別れて、俺は教会と公園へ繋がる遊歩道を歩いていく。自然が多いからか空気も澄んでて、整備された道は結構広い。
少し奥に行ったところが教会で、さらにその奥が公園。
昔は両親と兄貴と俺の四人でよく散歩に来てた。広い芝生があって、野生のスライムが沢山いて···人馴れしてたし攻撃力はないから可愛くてペットにするって駄々捏ねたこともあったなぁ···。
「···そう言えば一人で教会来るのは初めてだな」
白を基調とした大きな建物の前でそう呟く。
聖蓮教会······ディアルタリカの国教である聖蓮教の教会だ。
他には細々とした宗教が色々あるけど、聖蓮教はこの世に正しい神は存在しないと言うことを説く。その意味はどの宗教の神も神で、その人にとっての信心する神であるからどの神も等しく正しく、同時に唯一正しい神は存在しない···差別なく皆が信じる神を信仰しようと言う教えだと聞いたことがある。所謂多神教と似た宗教だ。
俺自身、宗教とかよく分からないけど国教だからとりあえず属してるって感じで特に宗教の縛りもないので地球上にあったどの宗教よりもかなり緩いと思う。
まぁ、魔法がある世界だから神よりも自分の実力を信じる人の方が多いのかもしれない。それでも困った時や苦しい時の神頼みと言うか、それとは別で心の底から拠り所にしている人もいない訳じゃない。
中央の噴水······多分、霧ヶ谷さんの言ってた酔い止めのレシピにあった材料の一つ、レイシアの霊泉水はきっとあれだろう。
色様々な花の咲き乱れる庭もキラキラと光っていて凄く綺麗だ。
「おやぁ~。これはこれは美園律花様ではございませぬか」
·······げ。
「いやぁ、お久しゅう御座います。この度は御当主であらせられる焔殿と奥方様の件···大変心苦しく······丁度私共もお二人のご無事をお祈り申し上げようとこちらに──」
「律花くん、お久しぶりだね。また一段と可愛くなってるね~」
会いたくもない奴らにあってしまった。
顔、豆大福。体、大福。中身はきっと砂糖ざらざらの粒あんだ。
「この小豆 大福、律花様のお嘆き致す所直ぐに駆け付けましたものを···報せを受けるのが遅くなり、痛恨の極みに──」
名前も豆大福と似たようなもんなのに·····っ。
コイツらは爵位で言うと男爵家の小豆家当主···さっき自分で名乗ってたしいっか。それとその息子の小豆 団吾·······俺の元・ストーカーだ。以前、色々あって兄貴と楼透が俺の為に駆け回ってくれて同じ伯爵位だったコイツらは男爵にまで降格した。
······と言うのに、まだ懲りてないのか···。
「以前の律花様への非礼をお詫びしたく、本日律花様と偶然このような場所でお会い出来るとは思ってもおりませんでした···きっと焔殿···いや焔様と奥方様が我々を導いて下さったんでしょうなぁ···なぁ?団吾」
「そうとしか思えないね、父さん。律花くんと僕はやっぱり結ばれる運命なんだね」
·······気色悪っ。
げへげへ笑うその姿にはもう嫌悪しか抱かない。
よくもまぁ、人の両親を既に亡くなったものとして扱えるのか、非礼?今やってる事は一体なんだって言うんだ?もう同等の爵位でないというのにここまで軽々しく俺に声をかけられたのか···ここで兄貴がいたら──。
駄目だ。兄貴にばっか頼ってられない。
「律花くん······久しぶりに会えたんだし、ここじゃなんだし···良かったらお茶しようよぉ。ケーキもあるよぉ···げへへ」
「ヒッ······」
グッと腕を引かれた。
うう·······振りほどけない。非力にも程がある、気持ち悪いのに逃げ出したいのに足が震えて怖ばって動かなくなる。
耳元で生臭い息が吐かれる。げへげへという下品な笑い声とだらりと伸びた鼻の下が同じ男として有り得ない。と言うか生理的に無理!!
ウチの兄貴だって変態だけどもっと品があるわ!!
···うぅ、どうしよ、兄貴ぃ···。
「そこで何をしている」
「っ!?······あぁ、なんだ。依代様ではないか···私たちは旧知の仲でしてこれからお茶にとお誘い申し上げていたんですよ」
「···ほう。お前らの常識では誘う相手の腕を掴んで、無理矢理連れて行こうとする誘い方が正しいんだな···なら俺がお前らを茶に誘ってやろうか?」
「ひ、ひぃいぃっ」
「り、律花くんまた今度!!」
あれ?もう行った·······?
恐る恐る目を開けるともうそこにはさっきの二人はいない。
ほっ·······。
良かった·······。俺はその場にへなへなとへたりこんだ。
「···おい、仕事の邪魔だ」
兄からの求婚があったその後も、兄貴と先輩は対立(?)することなく···まぁ多少のバチバチはあったにせよ、一度目のような凄まじい言い争いはせずに話し合いで落ち着いた。返事も俺が学園を卒業するまで待ってくれるらしい。
一度目の兄貴はきっと焦ってたんだと思う。両親のことがあって、俺は悲しさを兄貴にぶつけるばかりで、兄貴はそんな俺を見て···もっと良い兄になろうとして、家の為と俺らの為って言って自分の気持ちが抑えられなくなって···。
俺だって兄貴の立場だったら、もっと自分がしっかりしなくちゃって焦ったと思う。
ま、それにしても着地点が強引過ぎた気もするけど。
·······あと5日か。今日入れたら6日···。
学園に登校した日であり、俺が会長に童貞を奪われた日であり、そして千秋に監禁されて·······死の宣告をされた日だ。
あれ?逆行したってことは俺ってまだ童貞?
ホッとしたようなしてないような······。うーむ、なんかスッキリしない。
それとコーネリアの言っていたステータスを見る方法だが·······どうやれば出来る?(怒)転生系小説でよく見た『ステータス魔法』や視界の端にステータスを見る項目があって···だとかそんな気配が全くない。···部屋で「ステータス!!」って叫んで見えなかった時の恥ずかしさと言ったら···っ。その日の夕食が俺の好物ばかりだったのは気のせいか?
本当はまだ一週間経ってないから、教会に足を運ぶのも気が引けるし不謹慎かもしれないけれど·······コーネリアの『プレゼント』が気になるし、異空間収納って加護が本当に付与されたのかも気になる所だ。無事に転生出来たことの挨拶がてらそろそろ行ってみてもいいかも知れない。
兄と俺の関係が良い方向に進んだとはいえ、それは両親の死には関係ないと思う。·······恐らく今回も両親は一週間経っても帰ってこないだろう。
「律花···おはよう。起きてたんだね」
「あ、···兄貴······おはよ」
「ふふ、そんな顔しないで。何もしないから」
そうは言ってもな···。
兄貴は俺に結婚迫ってる訳だぞ?警戒しない訳が無い。
そんな俺の様子など気にも止めず思わず身構えた俺の頭を撫でる兄。
ここ2、3日こんな朝を繰り返している俺たちだ。
何もしないって俺の頭撫でてるじゃないか!
「今日は父さんの仕事の引き継ぎで商会まで行くのだけど···律花もどうかな?僕の方は直ぐには終わらないけど、あの辺りは公園があったよね。気分転換に散歩でもして来たらどうかなって」
「商会?」
「うん、近くに教会がある所···分かるかな?」
近くに教会がある商会って言ったら·······あそこしかないな。
カーカッカッって笑い声が脳裏に浮かんだ。······オディロックバーンギルド、ギルドマスターのエイド・権藤田の生家、権藤田商会。
ゲームじゃ、ギルド内ショップで売買する度に『権藤田商会も宜しくなァ』ってきっちり宣伝してたのを覚えてる。品揃えも悪くなくて重宝してたし······じゃなくて!
「行く!!」
「ふふ、分かった。じゃあ準備してて」
商会と教会は目と鼻の先だし、兄貴の用事もそんな短く終わる話じゃないだろう。父さんの仕事ってことは兄貴が引き継ぐ可能性もあるんだろうし···。
散歩次いでに教会に行って······希望は薄いかもしれないが父さんと母さんの無事を祈って·······。その次いでにスイレンに今俺が出来ることを聞きに行こう。本当に無力すぎて笑えるな······。けど、それしか方法がない。
不知火さんはこの一週間実家に帰って貰っている。ずっと俺に張り付きっぱなしってのも大変だし、一応不知火さんは二部生だ。俺ばかりに付き合わせるのは申し訳ない。ま、なんか『影』ってのを付けるとかなんとか言ってたけど···多分追跡魔法の類じゃないかな、と思う。それで影に異変があれば俺に何かあったってことだから、直ぐに駆けつけてくれるってことになってる。
···魔法式覚えるの苦手なんだよ······!
···実は授業中とかは大体影ってのを付けられてたらしい。本当色々やってくれててビックリした。従者って大変なんだな······。
俺の準備が終わる頃に丁度兄貴が迎えに来た。
···何故か兄貴にエスコートされて馬車に乗り込む。気づいたら手を引かれてたし、馬車に乗り込んだ瞬間にあれ?俺、エスコートされてない?って気がついたね。やる事なす事スマート過ぎないか?
·······ブラコンが無ければ完璧なのに。
「じゃあ、終わったら僕も公園に向うね。何かあれば連絡して」
「分かった。兄貴も何かあったら連絡してくれよ」
「···うん。ありがとう」
はにかむ様に笑う兄貴。
何だろう······嬉しそうって言えばいいのか、見てるこっちが恥ずかしくなってくるって言うか·······。うーん、普通にしてれば本当に良い兄貴なのにな。
執拗くないし、自分の意見を押し付けてこないし···と言うか優しいし、穏やかだし、俺は今の兄貴の方が好きだな。まぁ甘えるのも悪くは無かったけど、心で支え合うって感じ?の今みたいな方がやっぱいい。
兄貴と商会の馬車置き場で別れて、俺は教会と公園へ繋がる遊歩道を歩いていく。自然が多いからか空気も澄んでて、整備された道は結構広い。
少し奥に行ったところが教会で、さらにその奥が公園。
昔は両親と兄貴と俺の四人でよく散歩に来てた。広い芝生があって、野生のスライムが沢山いて···人馴れしてたし攻撃力はないから可愛くてペットにするって駄々捏ねたこともあったなぁ···。
「···そう言えば一人で教会来るのは初めてだな」
白を基調とした大きな建物の前でそう呟く。
聖蓮教会······ディアルタリカの国教である聖蓮教の教会だ。
他には細々とした宗教が色々あるけど、聖蓮教はこの世に正しい神は存在しないと言うことを説く。その意味はどの宗教の神も神で、その人にとっての信心する神であるからどの神も等しく正しく、同時に唯一正しい神は存在しない···差別なく皆が信じる神を信仰しようと言う教えだと聞いたことがある。所謂多神教と似た宗教だ。
俺自身、宗教とかよく分からないけど国教だからとりあえず属してるって感じで特に宗教の縛りもないので地球上にあったどの宗教よりもかなり緩いと思う。
まぁ、魔法がある世界だから神よりも自分の実力を信じる人の方が多いのかもしれない。それでも困った時や苦しい時の神頼みと言うか、それとは別で心の底から拠り所にしている人もいない訳じゃない。
中央の噴水······多分、霧ヶ谷さんの言ってた酔い止めのレシピにあった材料の一つ、レイシアの霊泉水はきっとあれだろう。
色様々な花の咲き乱れる庭もキラキラと光っていて凄く綺麗だ。
「おやぁ~。これはこれは美園律花様ではございませぬか」
·······げ。
「いやぁ、お久しゅう御座います。この度は御当主であらせられる焔殿と奥方様の件···大変心苦しく······丁度私共もお二人のご無事をお祈り申し上げようとこちらに──」
「律花くん、お久しぶりだね。また一段と可愛くなってるね~」
会いたくもない奴らにあってしまった。
顔、豆大福。体、大福。中身はきっと砂糖ざらざらの粒あんだ。
「この小豆 大福、律花様のお嘆き致す所直ぐに駆け付けましたものを···報せを受けるのが遅くなり、痛恨の極みに──」
名前も豆大福と似たようなもんなのに·····っ。
コイツらは爵位で言うと男爵家の小豆家当主···さっき自分で名乗ってたしいっか。それとその息子の小豆 団吾·······俺の元・ストーカーだ。以前、色々あって兄貴と楼透が俺の為に駆け回ってくれて同じ伯爵位だったコイツらは男爵にまで降格した。
······と言うのに、まだ懲りてないのか···。
「以前の律花様への非礼をお詫びしたく、本日律花様と偶然このような場所でお会い出来るとは思ってもおりませんでした···きっと焔殿···いや焔様と奥方様が我々を導いて下さったんでしょうなぁ···なぁ?団吾」
「そうとしか思えないね、父さん。律花くんと僕はやっぱり結ばれる運命なんだね」
·······気色悪っ。
げへげへ笑うその姿にはもう嫌悪しか抱かない。
よくもまぁ、人の両親を既に亡くなったものとして扱えるのか、非礼?今やってる事は一体なんだって言うんだ?もう同等の爵位でないというのにここまで軽々しく俺に声をかけられたのか···ここで兄貴がいたら──。
駄目だ。兄貴にばっか頼ってられない。
「律花くん······久しぶりに会えたんだし、ここじゃなんだし···良かったらお茶しようよぉ。ケーキもあるよぉ···げへへ」
「ヒッ······」
グッと腕を引かれた。
うう·······振りほどけない。非力にも程がある、気持ち悪いのに逃げ出したいのに足が震えて怖ばって動かなくなる。
耳元で生臭い息が吐かれる。げへげへという下品な笑い声とだらりと伸びた鼻の下が同じ男として有り得ない。と言うか生理的に無理!!
ウチの兄貴だって変態だけどもっと品があるわ!!
···うぅ、どうしよ、兄貴ぃ···。
「そこで何をしている」
「っ!?······あぁ、なんだ。依代様ではないか···私たちは旧知の仲でしてこれからお茶にとお誘い申し上げていたんですよ」
「···ほう。お前らの常識では誘う相手の腕を掴んで、無理矢理連れて行こうとする誘い方が正しいんだな···なら俺がお前らを茶に誘ってやろうか?」
「ひ、ひぃいぃっ」
「り、律花くんまた今度!!」
あれ?もう行った·······?
恐る恐る目を開けるともうそこにはさっきの二人はいない。
ほっ·······。
良かった·······。俺はその場にへなへなとへたりこんだ。
「···おい、仕事の邪魔だ」
69
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる