44 / 86
本編
42.悪夢
その夜、夢を見た。
プツリと切れた糸の先。
手を伸ばす父と母の姿。
俺も必死に両親へと手を伸ばしたけど。
俺は深く深く底の見えない闇に落ちていく···。
何処まで沈んだのか、どれ位の時が経ったのか。
まだ落ちて、堕ちて、墜ちて······。
息が出来なくなって、苦しくなって。
涙が溢れてきて、溢れた涙で視界が余計遮られて。
そこへ一羽の烏が目の前を過ぎった。
思わず俺は目を閉じて息を止めた。
そしたら、急に体が軽くなって苦しかった呼吸も楽になって。
次に目を開けたら──。
『不安か』
『委ねろ』
『漲る』
『堕ちて行け』
『全てはお前の為だ』
『安寧の為···』
『犠牲』
『恐れは片時よ』
『血の濃さ故に』
『消せ』
『痛み』
『憐れな』
『いらない』
『必要無い』
『無用だ』
『無意味だ』
『不憫』
『心許無い』
『染まれ』
『怯えるな』
『消えろ』
──────────────────────────
「律花様·······?」
余りの恐怖に叫び、飛び起きた俺は禅羽さんが寝る前に喉が乾いた時用にと用意してくれていた枕元の水筒に飛びつくように手に取ると中の冷水を一気に飲みほした。冷たい液体が喉を潤し、頭が冷えていく。
俺は空になった水筒を握りしめて宙を睨む。
·······あぁ、そうだ。俺は夢を見てたんだ······。
暗くて、深い闇に囚われて······目を開けたら──。
「···どうかなさいましたか?」
隣の布団の中から心配そうな禅羽さんの声が聞こえる。恥ずかしい話だが、禅羽さんに今日は一緒に寝てくれないかと頼んでしまった。それが災いしたな···また迷惑を掛けてしまった。
「·······でっかいゴキに追っかけられる夢を見た」
「·······成程。それは確かに叫んでしまいますね」
何とか誤魔化せた様だ。「もう大丈夫だ」そう一言いってから、俺も布団に潜り込む。右に体を傾けると禅羽さんと目が合った。中々に気まずい。
「···そう言えば俺、禅羽さんの事名前で呼んでたけど大丈夫?」
「主が私を何と呼ぼうと私に拒否権はありませんよ」
「···いやそうじゃなくてさ、禅羽さんは嫌?」
「·······いえ特には」
時々禅羽さんも楼透と同じように何処か一線引いたような反応をする。やっぱり主と従者の関係って大切何だろうか······俺は何も分かってないんだろうけどやっぱり寂しいと思う。
「そっか、じゃこれからも禅羽さんって呼ぶから。宜しくな」
「······承知しました」
おやすみなさい、とそう一言いってまた俺は目を閉じる。
···多分寝れないだろうけど、閉じておくだけ。
さっき見てた夢の続き。
小さな子供が、真っ黒なローブを被った大人たちに嫌な言葉を掛けられながら黒い鎖で縛られていく夢·······雁字搦めにその鎖が子供の体を覆い尽くして、最後にその子の唇は確かに『たすけて』と動いた。
その悍ましい光景に俺は叫び声を上げた。
その子供が誰なのかは分からない。手を伸ばそうと気づいた時にはもう禍々しい程に黒い鎖の繭が出来上がっていた。怖かった·······今までが感じた恐怖に比べ物にならないくらい。勿論、視力のない状態で凌辱された時も千秋に監禁された時怖かったけど同等以上に怖くて仕方が無かった。
·······禅羽さんに言えない。
怖くて、まるで口に出せない。
トラウマって、こう言うのをいうんだよな。
結局あれから一睡も出来ずに寝返りを打ってばかりだった。禅羽さんの方を向いたら俺が怖がってるのがバレそうだし、目を閉じたらまたあの夢を見そうで閉じられなくなって、でも開けたままだと暗闇があの夢と重なって見えて怖くて·······必死に広い草原の柵を飛び越えてくメーメ達(前世で言う羊に似た魔物)を想像し、いつの間にか冊を飛び越えてくのが兄貴と千秋に変わって俺を追っかけ始めた頃に夜が明け出した。
結局悪夢しか見なかったという事だ。
ギャーギャー、ギャーギャー、と外でククリコッコの鳴く声がする。······昨日も思ったがやっぱりコケコッコーじゃないんだな。見た目だけならデカい鶏なんだけど。
「律花様、おはようございます」
「あ、れ?禅羽さん起きてた?」
「はい、少し前に。朝食にと卵粥を作ってきました···作戦の為とは言え質素な物で申し訳御座いません。しかし昨夜の事もありますから消化に良い物をと思いまして」
そう言っていつの間にか無くなっていた禅羽さんの布団があった所に、つまり布団で未だに横になってる俺の前に持ってきた朝食の膳を置いた。ふわりと温かい湯気に混じって出汁の良い匂いがする。
「昨夜も申し上げましたが、本日律花様は心労の為に寝込んでしまっている事になっております。ですので、お暇でしょうが本日は決行の時間までこちらのお部屋に居て下さい」
「分かった。色々と有難うな」
「いいえ、礼を言われるようなことは何もしておりませんので。ご入用の物があれば言って下さい、直ぐに持って参ります」
「じゃあ、トランプしよ」
「カードゲームですね。···手加減はしませんよ?」
「望むところだ」
「その前に朝食をしっかり食べて下さいね」
早速トランプの箱を持ってきたカバンから取り出そうと腕を伸ばすとその手に匙を握らされる。あ、そっか。トランプに気を取られて折角温かい卵粥を忘れる所だった。トランプ、急いで準備してたからお泊まり道具一式に入ってたんだよな···骨折り損だったが。
禅羽さんはまたクスクスと笑うと粥の入った一人前用の鍋の蓋を開ける。むわりとさっきまでとは全然違う勢いの湯気と優しい出汁の香りが胃を刺激する······めっちゃお腹空いてる。「···頂きます」と慌てて手を合わせて、お椀に移された粥を一掬いふーふーと冷ましつつゆっくり口に運ぶと眼前でもう······美味い。出汁·······ふわふわの卵······アクセントのミツバ·······誰だ!?こんな美味い粥を作ったのは!?
「お味は大丈夫でしたか?本家の料理人は早朝早くに山菜を取りに行ったらしく不在だったので私が作らせて頂いたのですが·······」
ここに居た······天才料理人···ここに居た········!!
「美味いです、めちゃくちゃ美味いです···!都築さんに引けを取らない美味さだ······!!」
「そうですか、それは良かったです」
敬語に戻ってますよ、と言う禅羽さんの声にハッと我に返りつついくら腹が減っていたとは言え止まらない匙に自分でも驚いている。······やばい。また太りそうな気がする···。一人前用とは言え、鍋だ。粥とは言え、鍋に入ってたんだぞ···?それをこの短時間で食べきろうとしてるなんて······。
「·······禅羽さん、家に帰ったらダイエット付き合ってくれません?」
「何を仰います。律花様はもう少し肉を付けられても良いと思いますよ」
「···何を根拠に?」
そこからは禅羽さんが力説しだしたので諦めることにした。人生諦めちゃいけない事と諦めないと先に進まないことがある。これは後者だ。
でもホントどうしよう······俺結構ぷよぷよだぞ?このままじゃ、どのルートへ行ってもヒモになりそうで自分の将来が怖いわ。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした。お口にあったようで何よりです」
音の一つも立てずに食膳を片付けていく禅羽さん。こんな人の事を器用な人って言うんだよな。俺も余り甘えてられない。
「よし!神経衰弱やろっ」
「···成程、鍛錬が足りないと言うことですね。私が不甲斐ないばかりに律花様にまで気を使って頂いて·······精進します」
「いや違うから。2人じゃババ抜きしてもつまんないからだから」
なんて言いつつトランプを切る。
······ほんとに小さい頃だけど、俺と父さんと母さんと兄貴と楼透でトランプして遊んだっけな。その時も楼透は困った顔して連行される宇宙人みたいに父さんと母さんに捕まってた。主と従者ってのが嫌いなのは俺だけじゃなかったんだよな。 本当に色々と強引で自分勝手で心配性で親バカで·······大好きな両親だった。
父さんも母さんも楼透のことは結構気にかけて可愛がってたと思う。···正直な話、何度かそんな楼透に嫉妬して八つ当たりしては父さんと喧嘩した。理由は恥ずかしくて正直に言えなかったし、楼透は親友で弟みたいなものだったから余計に言えなかった。
楼透を連れ戻すのは俺の為でもあるし、俺たちの今後の為でもある。せめて葬式にはちゃんと楼透にも出てもらいたい。じゃなきゃ、俺だって諦められない。
修行の為?楼透への罰?そんなん知らない。
俺が許すか許さないかで、楼透が俺の目を見て謝るか謝らないかだ。
取り戻してやる。
絶対に。楼透に帰って来てもらう。
······とか、何とか意気込んでた奴どこ行った···?
「·······ハァ······?······バカですね、、入り、込んで·····出られなく、なった···と言った所、、でしょうか···。ハァ······ッ、早く、、ここから、去り、なさッ···い······」
目の前には顔色が悪く、息も絶え絶えに俺へと手を伸ばす楼透の姿だった。ハァハァと荒く弱々しい呼吸に心配になる。···ん?待て、今コイツ俺の事バカって言わなかった?言ったよな!?ふざけんな──っ、きゅぅ!
ぎゅむ。っと片手に握りこまれた“俺”は身動ぎも出来ずにただ体を強ばらせただけだ。残念ながら今の俺の体のサイズではどうしようもない。
···くそぅっ。
掴まれたのが“しっぽ”だったら切り離して逃げてやるのに!!
「·······早く、、逃げなさい」
体を引き摺るように動かす楼透はそう言ってこの密室の扉の僅かな隙間へ俺を差し出す。このまま、その隙間へ体を差し込めばこの場からは逃げられるだろう······でもそうしたらもう二度と楼透に会うチャンスが無くなるかもしれない。
それは嫌だ······!!
『楼透の馬鹿たれっっっ!!』
「ッ···!?」
プツリと切れた糸の先。
手を伸ばす父と母の姿。
俺も必死に両親へと手を伸ばしたけど。
俺は深く深く底の見えない闇に落ちていく···。
何処まで沈んだのか、どれ位の時が経ったのか。
まだ落ちて、堕ちて、墜ちて······。
息が出来なくなって、苦しくなって。
涙が溢れてきて、溢れた涙で視界が余計遮られて。
そこへ一羽の烏が目の前を過ぎった。
思わず俺は目を閉じて息を止めた。
そしたら、急に体が軽くなって苦しかった呼吸も楽になって。
次に目を開けたら──。
『不安か』
『委ねろ』
『漲る』
『堕ちて行け』
『全てはお前の為だ』
『安寧の為···』
『犠牲』
『恐れは片時よ』
『血の濃さ故に』
『消せ』
『痛み』
『憐れな』
『いらない』
『必要無い』
『無用だ』
『無意味だ』
『不憫』
『心許無い』
『染まれ』
『怯えるな』
『消えろ』
──────────────────────────
「律花様·······?」
余りの恐怖に叫び、飛び起きた俺は禅羽さんが寝る前に喉が乾いた時用にと用意してくれていた枕元の水筒に飛びつくように手に取ると中の冷水を一気に飲みほした。冷たい液体が喉を潤し、頭が冷えていく。
俺は空になった水筒を握りしめて宙を睨む。
·······あぁ、そうだ。俺は夢を見てたんだ······。
暗くて、深い闇に囚われて······目を開けたら──。
「···どうかなさいましたか?」
隣の布団の中から心配そうな禅羽さんの声が聞こえる。恥ずかしい話だが、禅羽さんに今日は一緒に寝てくれないかと頼んでしまった。それが災いしたな···また迷惑を掛けてしまった。
「·······でっかいゴキに追っかけられる夢を見た」
「·······成程。それは確かに叫んでしまいますね」
何とか誤魔化せた様だ。「もう大丈夫だ」そう一言いってから、俺も布団に潜り込む。右に体を傾けると禅羽さんと目が合った。中々に気まずい。
「···そう言えば俺、禅羽さんの事名前で呼んでたけど大丈夫?」
「主が私を何と呼ぼうと私に拒否権はありませんよ」
「···いやそうじゃなくてさ、禅羽さんは嫌?」
「·······いえ特には」
時々禅羽さんも楼透と同じように何処か一線引いたような反応をする。やっぱり主と従者の関係って大切何だろうか······俺は何も分かってないんだろうけどやっぱり寂しいと思う。
「そっか、じゃこれからも禅羽さんって呼ぶから。宜しくな」
「······承知しました」
おやすみなさい、とそう一言いってまた俺は目を閉じる。
···多分寝れないだろうけど、閉じておくだけ。
さっき見てた夢の続き。
小さな子供が、真っ黒なローブを被った大人たちに嫌な言葉を掛けられながら黒い鎖で縛られていく夢·······雁字搦めにその鎖が子供の体を覆い尽くして、最後にその子の唇は確かに『たすけて』と動いた。
その悍ましい光景に俺は叫び声を上げた。
その子供が誰なのかは分からない。手を伸ばそうと気づいた時にはもう禍々しい程に黒い鎖の繭が出来上がっていた。怖かった·······今までが感じた恐怖に比べ物にならないくらい。勿論、視力のない状態で凌辱された時も千秋に監禁された時怖かったけど同等以上に怖くて仕方が無かった。
·······禅羽さんに言えない。
怖くて、まるで口に出せない。
トラウマって、こう言うのをいうんだよな。
結局あれから一睡も出来ずに寝返りを打ってばかりだった。禅羽さんの方を向いたら俺が怖がってるのがバレそうだし、目を閉じたらまたあの夢を見そうで閉じられなくなって、でも開けたままだと暗闇があの夢と重なって見えて怖くて·······必死に広い草原の柵を飛び越えてくメーメ達(前世で言う羊に似た魔物)を想像し、いつの間にか冊を飛び越えてくのが兄貴と千秋に変わって俺を追っかけ始めた頃に夜が明け出した。
結局悪夢しか見なかったという事だ。
ギャーギャー、ギャーギャー、と外でククリコッコの鳴く声がする。······昨日も思ったがやっぱりコケコッコーじゃないんだな。見た目だけならデカい鶏なんだけど。
「律花様、おはようございます」
「あ、れ?禅羽さん起きてた?」
「はい、少し前に。朝食にと卵粥を作ってきました···作戦の為とは言え質素な物で申し訳御座いません。しかし昨夜の事もありますから消化に良い物をと思いまして」
そう言っていつの間にか無くなっていた禅羽さんの布団があった所に、つまり布団で未だに横になってる俺の前に持ってきた朝食の膳を置いた。ふわりと温かい湯気に混じって出汁の良い匂いがする。
「昨夜も申し上げましたが、本日律花様は心労の為に寝込んでしまっている事になっております。ですので、お暇でしょうが本日は決行の時間までこちらのお部屋に居て下さい」
「分かった。色々と有難うな」
「いいえ、礼を言われるようなことは何もしておりませんので。ご入用の物があれば言って下さい、直ぐに持って参ります」
「じゃあ、トランプしよ」
「カードゲームですね。···手加減はしませんよ?」
「望むところだ」
「その前に朝食をしっかり食べて下さいね」
早速トランプの箱を持ってきたカバンから取り出そうと腕を伸ばすとその手に匙を握らされる。あ、そっか。トランプに気を取られて折角温かい卵粥を忘れる所だった。トランプ、急いで準備してたからお泊まり道具一式に入ってたんだよな···骨折り損だったが。
禅羽さんはまたクスクスと笑うと粥の入った一人前用の鍋の蓋を開ける。むわりとさっきまでとは全然違う勢いの湯気と優しい出汁の香りが胃を刺激する······めっちゃお腹空いてる。「···頂きます」と慌てて手を合わせて、お椀に移された粥を一掬いふーふーと冷ましつつゆっくり口に運ぶと眼前でもう······美味い。出汁·······ふわふわの卵······アクセントのミツバ·······誰だ!?こんな美味い粥を作ったのは!?
「お味は大丈夫でしたか?本家の料理人は早朝早くに山菜を取りに行ったらしく不在だったので私が作らせて頂いたのですが·······」
ここに居た······天才料理人···ここに居た········!!
「美味いです、めちゃくちゃ美味いです···!都築さんに引けを取らない美味さだ······!!」
「そうですか、それは良かったです」
敬語に戻ってますよ、と言う禅羽さんの声にハッと我に返りつついくら腹が減っていたとは言え止まらない匙に自分でも驚いている。······やばい。また太りそうな気がする···。一人前用とは言え、鍋だ。粥とは言え、鍋に入ってたんだぞ···?それをこの短時間で食べきろうとしてるなんて······。
「·······禅羽さん、家に帰ったらダイエット付き合ってくれません?」
「何を仰います。律花様はもう少し肉を付けられても良いと思いますよ」
「···何を根拠に?」
そこからは禅羽さんが力説しだしたので諦めることにした。人生諦めちゃいけない事と諦めないと先に進まないことがある。これは後者だ。
でもホントどうしよう······俺結構ぷよぷよだぞ?このままじゃ、どのルートへ行ってもヒモになりそうで自分の将来が怖いわ。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした。お口にあったようで何よりです」
音の一つも立てずに食膳を片付けていく禅羽さん。こんな人の事を器用な人って言うんだよな。俺も余り甘えてられない。
「よし!神経衰弱やろっ」
「···成程、鍛錬が足りないと言うことですね。私が不甲斐ないばかりに律花様にまで気を使って頂いて·······精進します」
「いや違うから。2人じゃババ抜きしてもつまんないからだから」
なんて言いつつトランプを切る。
······ほんとに小さい頃だけど、俺と父さんと母さんと兄貴と楼透でトランプして遊んだっけな。その時も楼透は困った顔して連行される宇宙人みたいに父さんと母さんに捕まってた。主と従者ってのが嫌いなのは俺だけじゃなかったんだよな。 本当に色々と強引で自分勝手で心配性で親バカで·······大好きな両親だった。
父さんも母さんも楼透のことは結構気にかけて可愛がってたと思う。···正直な話、何度かそんな楼透に嫉妬して八つ当たりしては父さんと喧嘩した。理由は恥ずかしくて正直に言えなかったし、楼透は親友で弟みたいなものだったから余計に言えなかった。
楼透を連れ戻すのは俺の為でもあるし、俺たちの今後の為でもある。せめて葬式にはちゃんと楼透にも出てもらいたい。じゃなきゃ、俺だって諦められない。
修行の為?楼透への罰?そんなん知らない。
俺が許すか許さないかで、楼透が俺の目を見て謝るか謝らないかだ。
取り戻してやる。
絶対に。楼透に帰って来てもらう。
······とか、何とか意気込んでた奴どこ行った···?
「·······ハァ······?······バカですね、、入り、込んで·····出られなく、なった···と言った所、、でしょうか···。ハァ······ッ、早く、、ここから、去り、なさッ···い······」
目の前には顔色が悪く、息も絶え絶えに俺へと手を伸ばす楼透の姿だった。ハァハァと荒く弱々しい呼吸に心配になる。···ん?待て、今コイツ俺の事バカって言わなかった?言ったよな!?ふざけんな──っ、きゅぅ!
ぎゅむ。っと片手に握りこまれた“俺”は身動ぎも出来ずにただ体を強ばらせただけだ。残念ながら今の俺の体のサイズではどうしようもない。
···くそぅっ。
掴まれたのが“しっぽ”だったら切り離して逃げてやるのに!!
「·······早く、、逃げなさい」
体を引き摺るように動かす楼透はそう言ってこの密室の扉の僅かな隙間へ俺を差し出す。このまま、その隙間へ体を差し込めばこの場からは逃げられるだろう······でもそうしたらもう二度と楼透に会うチャンスが無くなるかもしれない。
それは嫌だ······!!
『楼透の馬鹿たれっっっ!!』
「ッ···!?」
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。