悪役令息(?)に転生したけど攻略対象のイケメンたちに××されるって嘘でしょ!?

望百千もち

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本編

59.後継たち

その後会議の内容としてはハッキリと決まったものは無かった。しかし父の捜索について各家出来る範囲捜索に加わってくれることを伯父だけでなく他の五家も約束してくれた。今回は後継の顔合わせと、以前よりも後継への引き継ぎ内容をより詳しく明確にしておくことを再確認したって感じかな。
その他の事案は魔王復活の予兆か見極める為に、様子を見て再び五家会議の開催となるらしい。次の開催地は美園の番だと言っていた。


「しっかし後は若いもんでって言われてもな?」
「後継と言っても当主がやる気だから大した引き継ぎもまだですし···」
「···同じ、です」

五家会議が終わると浅霧さんと常磐さんは領地が大分離れている為に長旅の疲れもあってか宿泊場所に先に戻った。満星さんは伯父とこれから厳島領周辺を視察するとのこと。
当主陣から若者の視点でお前たちも話し合え、と残された俺たちはそのまま会議室を借りて今ここに至る。要約するなら次の世代を担う者たちとして親交を深めろってこと。

「すみません、ずっと気になっていたのですが······」
「同じく···」
「うん、律花君はなんで燈夜君の膝に座っとんの?」

三者揃って俺たちを見る。
その通り、俺は今兄貴の膝の上に座っている。なお兄貴は俺の肩に顔を埋めスリスリしてる。なんでかって?俺は勿論抵抗したし、壁際の椅子を取ってこようとしたんだけど兄貴が離してくれなくて──。

「おい、燈夜。いい加減にしろ」
「だって律花が僕のことを燈夜って呼んでくれたんだもん」
「だもんじゃねぇわ、馬鹿兄貴」

先輩にどつかれ、俺に拒まれ、やっと俺を離す兄貴。
···兄貴、ホント父さんに似たんだな。
周りを見ると兄貴を皆、白い目で見てる。
あーあ、早速浮いちゃってんじゃん。

「皆さんには先に言っておきますが僕は律花が賛同するなら僕も賛同するし、律花が嫌がるなら賛同は致しかねますので······あぁ、勿論律花に強要はしないよ?」
「公私混同も良いとこだな」

真面目な顔でそう言う兄貴に先輩は呆れ顔だ。
ようやく開放された俺は壁際にある椅子を取りに行こうと兄貴の膝から降りた。
それを制止する先輩の腕、俺が動く前に先輩が立ち上がりいつの間にか壁際の椅子に手をかけていた。呆然とする俺にその椅子を兄貴の横に置いて座るよう促す。

「······いいの?」
「ん?」
「あ、違っ···ありがとうございます」
「ああ、気にするな」

······危なかった。『兄貴の横でいいのか?』なんて···自分で墓穴を掘るところだった。先輩はポンと軽く俺の頭にその大きな手を置いた。正直、知り合ったばかりの人が多くて初めての場所だから兄貴の横に居させてくれるのは助かる······。

「はあん、成程なぁ。厳島さんが一歩出遅れとんのか···?」
「満星さん俺は律花の気持ちを尊重しているだけだ。貴方にも分かる筈だ······好きな人には負担は掛けたくない、そう言うもんだろ」
「惚れた弱みというやつですね」
「···漢」

す、好きな人とか公衆の面前で言うな!本当はそう言って先輩の胸ぐらを掴んでやりたい気持ちもあるが、精神的にも物理的にも出来る気がしないからしない。兄貴の株は下がり、先輩の株は上がると言う状況だ。

「律花」

兄貴が横から耳打ちする。
······え俺、嫌なんだけど。って顔に出したら兄貴は『都築さんのフロランタン、僕の分もあげる』···って。いやホントは嫌だよ?でもさ、フロランタンだからね?
それに······俺もちょこっと気になるし。




「えーと······。り、龍玄さん?」


「・・・」
「待って、これ息してへんのとちゃう?」

おーいおーいと冗談で先輩の目の前で手を振る満星さん。
······意外と恥ずかしい、な。 
それにいつも先輩呼びだから名前とか慣れない。
やっぱりと思いつつ先輩の反応を見れたからまぁ、いっか。
兄貴は自分で言わせたくせにむすっとしている。

まぁ、ここまで来たら言わずもがな。
その後は兄貴と先輩の名前を呼べ攻撃が左右から。何で俺は調子にノって兄貴の策略になんか乗ってしまったんだろう。あれだけ後悔しないようにって思ってたのに。
いつの間にか満星さんは席を先輩に譲り、他のふたりと談笑しながら俺達の様子を鑑賞している。左に兄、右に先輩と挟まれた俺は逃げるにも逃げられないこの状況······見せものじゃねーぞ!!


「んー、それとなーく親父から聞いとるけど···今んとこお家存続厳しいんは美園やんか、···俺は息子居るし浅霧さんも一昨年やっけ?結婚したし、常磐さんはまだ十三やろ?まぁ、浅霧家も常磐家も当主様の年齢考えたら焦るんやろうけど」
「·····十三!?年下!?」
「おぅおぅそっちか」


暫くして二人とも落ち着いてから、話題は改めて自己紹介と後継に選ばれた理由等になった。勿論俺たちの事は両親の一件があった為に周知されていたけど。

満星さんは二十二歳、三歳と二歳の年子の息子さんがいる。
結婚はお見合いのちの恋愛結婚、親バカな一面もありお嫁さんとお子さんが可愛いと満面の笑みで語っていた。

浅霧さんは二十歳、十八歳で後継になり儀式後すぐ結婚した。浅霧さん·····当主様は驚くことに九十一歳と判明した、この世界の平均寿命は八十五歳だから遥かに超えている。また、前後継だった日向さんのお母さんは日向さんが十四歳の時に弟さんを出産した後亡くなり、日向さんが後継となったらしい。

常磐さんに至ってはまだ十三歳。本来後継となる筈であったお母さんは常磐さんを産んで直ぐに行方不明となり、同時にお父さんも失踪。常磐さんはお祖父さんである当主様に育てられた、なお常磐の当主様は最高齢の九十三歳だった。
···複数候補がいた場合に後継は十八歳までに選定される為確かに後継になるのはおかしくないけど······。お祖父さん似の墨色の長い髪を肩の高さで結っていて、その身長は十三歳と聞くが恐らく170cmはあるんじゃないか?俺よりも高い。

「···老けててごめんなさい」
「そんなこと言うたら律花君に失礼やろ?」
「···満星さんの方が失礼ですからね」

年相応に今にも泣き出しそうな常磐さんにそう優しく諭すよう言った満星さん。気にしないつもりでいたのに······やっぱり身長か?顔か?そんなやり取りを見て常磐さんは静かに笑った。良かった、年下虐めにならなくて。
心の中で満星さんに感謝した。


「そんで···他ん家に口出すっちゅうのはマナー違反やけどな、常磐さん···幽楽でええか?幽楽はともかく、美園と厳島は適齢期やん。急かすつもりはないねんけど、正直早う折り合いつけてお家存続も考えた方がええで。···ま、年長者の意見として頭ん中入れといてーな」

「自慢するとちゃうけど俺の場合は嫁との出会いは運命だった······ちゅうんか?······なんやクサイこと言ってる気もするけど、特に弊害もなく嫁と一緒になれたんでそこは幸運やったと思う······子供も順調に作れたしなぁ。お前らが不運とか言ってんのとちゃうで?お前らはお前らで考えてんのやろうし、これから一生を過ごす相手として大事に進めてんのも分かるし、外野がとやかく言うのもおかしな話やからな。俺も本音は言いたないねん······ほんまに難しい問題や」




分かってる、俺がハッキリしないから。
満星さんの言葉は兄貴と先輩に言ってるようにきこえても、中身は俺に対して言っていることは察した。俺だって逃げたい、俺自身が男と結婚するのは嫌なんだ。でも兄貴や先輩が俺の事好いてくれているから、大事にしてくれてるのが分かるから拒めきれなくて······。

急に黙り込んだ俺に気を使うように、話は他の話題へと移っていたけれど俺の頭の中は満星さんに言われたことで頭がいっぱいになって、最後の最後まで話に集中出来なかった。





「まー、だいたい皆仲良うなったんちゃうか?···ちょいとハイテンションで君たちを揶揄ったりしてゴメンなぁ?これから宜しゅうな!」
「······友達?」
「そうですね、私達の代も仲良くやっていけるといいですね」
「美園と厳島は律花君が取り持ってもろて」

な······。

「場合によりますね」
「場合によるな」
「······そこだけ仲良くするなよ」

案の定、二人の声が重なった。
そう言うとこだけ仲良く同じタイミングで反応するのは止めて欲しい。俺だってただでさえ扱いづらい二人を相手にするのは大変なんだぞ···。それに──······ごめん。

「律花?」
「何か言ったか」
「······なんでもない、お腹空いた」





















満星さん、浅霧さん、常磐さんと会議室で別れると宿泊先のホテルへと足を向けた。まだ若干満星さんに言われたことを引き摺っている。兄貴や先輩だけじゃない、俺に好意を持ってくれている楼透や千秋の事も···どうすればいい?
皆が大事だから、このままの関係を変えたくない······。
でもそれは好いてくれる皆の好意を無下にしてしまう。

「律花」
「落ち着け」

······え?
とすっ、いつの間にか目の前にいた先輩の大きな胸に額をぶつけた。
···また眉が下がってる、やっぱり俺がハッキリしないから──。

「律花、ゆっくりで良いんだよ」
「無理に今答えを出そうとしなくていい」

思わず俯いてしまった俺の両肩を支え、後ろから兄貴が優しい声色で言う。
ゆっくり振り向いて兄貴の表情を見ると声色と同じく優しく微笑み頷いた。俺はもう一度先輩の顔を見上げると先輩も柔らかく微笑んでいた。

「焦るな、俺たちはいつまでも待つ」
「でも······!」

二人や伯父が父と母みたいにならないとは言えないしいつまでもなんて不可能だ。
期限付きとはいえその間に最悪の事が起こらないとも言えない···。

「僕達は大丈夫、死なないし律花から答えを貰うまで離れるつもりは無いよ。驚いちゃったよね、なんて言ったら律花は安心するかな」
「お前は俺達を甘く見るな。···確かに能力は焔殿には及ばないかもしれないな、しかし自身の力は自分がよく分かっている。お前を守れるだけの力はあると思うが?」


············これだから焦るんだってば。
二人とも、カッコイイから、気持ちが変わっちゃいそうだから──。
感想 18

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