1 / 2
第1話★白銀の勇者★
しおりを挟む
今からおよそ二十年前。この世界を脅かす魔王が異界から誕生してしまった。
しかしその魔王が暴れることはなかった。
魔王はおよそ十年間。力を蓄えていたのだ。
……そして、その時は来たのだ。
全人類が恐怖のどん底に落とされた大厄災。
魔王軍は十年間蓄えていた力を盛大にふるい、この世界の住民を地獄のどん底に突き落とした。
魔王は多くの魔物。魔獣。魔人族。そして魔神までもを従え、この世界へと侵攻してきた。
この世界ののおよそ半分近くが魔王軍に侵略されかけた時、その者は現れた。
白銀に光り輝く鎧を身に纏い、神々しく光る聖剣を手に持ってその者は現れた。
その者は、五人の仲間を引き連れ、魔王軍へとたった六人で立ち向かった。
ある国が全勢力を出して作り上げた軍隊すらも壊滅させた恐ろしい魔王軍へ六人で立ち向かうバカ。その姿を見た人々は皆そう思っていた。
しかし、彼らの活躍は人々の心を高ぶらせる活躍となった。
魔王軍へと立ち向かった彼らはその後、瞬く間に魔王軍を圧倒し、壊滅へと追いやっていった。
その姿を見ていたある国の兵士がこう言った。
『僕は見た。五人の英雄を。
五人それぞれが、日、水、風、光、闇。
の属性を使っていたことを。
僕は見た。一人の勇者を。
そして、その勇者は全ての属性の魔法を使っていた』
と……
ある者はこう言った。
その者たちはこの世界を救う『勇者』なのだと……
勇者たちの登場により、気力を失っていた兵士たちも彼らの姿を見て一気に気力を取り戻した。
それから人類はある種、理想の展開に近いほどの追い上げを見せた。当然ながら死者や負傷者が相次いだものの、士気が上がった人類はそのままの勢いで魔王軍を壊滅寸前まで追いやっていった。
そして、白銀の勇者の一撃により、魔王は討ち滅ぼされ、世界に平和が訪れたのであった。
それからは、死んだ者たちの葬いや街の復旧作業で忙しかったが、ものの五年で、元の姿を取り戻した。
あの時の勇者は何だったのか。今はどうしているのか、その後の事は誰も知らない。名前すら誰も何も分からないので、人々はその名誉を讃え、その者を『白銀の勇者』その勇者の仲間たちを『五英雄』と、そして、ある兵士の証言から五英雄それぞれに
『火の英雄』
『水の英雄』
『風の英雄』
『光の英雄』
『闇の英雄』
と呼ばれた。
白銀の勇者。その名を“シュウマカイ”と言う……
★★★★★★★★★★
「ただいまっ!」
僕はドアを開けて大きな声でただいまと言った。
いつもの日課となっている朝の特訓を終えた僕“ルフィス・カイ”は、今から朝食を食べるのです。
「今日も特訓偉いわねぇ。お父さん厳しくしてない?」
「全然平気です!あれくらいお茶の子さいさいです!」
「あら、よく頑張ったわね。でも、ルフィスはまだ五歳なのだから、別に無理してやらなくてもいいのよ」
「いえ、これは僕が決めた事ですから!それに、強かったら人をいっぱい助けられます」
「それはいいこころゆきね!」
僕は一週間前、五歳の誕生日を迎えたばかりです。
特訓というのはこの家の近くにある森の中でお父さんと駆けっこしたり、お父さんと闘ったり、魔物を狩ったりするのです。
この特訓は三歳の時から初めてもう二年が経ちます。
今ではもう一人で魔物は倒せるくらいにはなりました。
僕のお母さんは綺麗で美人で、お父さんには勿体無いくらいの人です。
「ただいまぁ」
「あっ!お父さんお帰りなさい!」
「お帰りなさい」
特訓が終わった後、お父さんは一人で狩りに行きます。いつも大きな獲物を取ってくるお父さんをいつもいつも凄いと思っています。
今日はいつも通り家の近くに生息しているドラゴンを狩ってきたのです。
「今日のはご馳走だぞ!」
「お父さんありがとう!!!」
「おうっ!」
「お母さん。今日はお肉がいいなあ…」
「はいはい。今から調理するからちょっと待っててね」
「はーい」
ちなみにお母さんの料理の才能はピカイチです。
どんなに不味い食材でも、お母さんの手にかかればすぐに美味しい料理になって出てくるのです。
今日の食材はリトルドラゴンなので絶対に美味しいはずです。
「んじゃあ、今のうちにルフィスはお勉強といこうか」
「はーい」
空いた時間は無駄にしない。これがお母さんとお父さんの教えです。
何か空き時間があれば必ず勉強の時間に使っています。
当然。休憩も大事なのでずっと勉強しているわけでは無いのですが……
お母さんとお父さんはどっちも頭が良く、教え方が上手いのですぐに頭に入ってきます。
「昨日はどこまで言ったっけなぁ……」
「分数までです!」
「おおっそっかそっか、それじゃあ今日は、少数について勉強をするか」
「それならもう先にやってしまいました。分数とセットで覚えてみました!」
「おおっ!!!それは偉いぞ!」
「へへぇ~」
僕は褒められるのが大好きです。良いことをするといつもお父さんは頭をわしゃわしゃして「偉い偉い」と何度も言ってくれます。
お母さんは「偉いわねぇ」と言って抱きしめてくれます。
そんな二人が僕は大好きです!
「それじゃあ今日はーーーーー」
★★★★★★★★★★
「ご飯出来たわよー」
「はーい」
僕は『タタタタッ』と階段を下り、椅子に座ります。僕はまだ背が低いので床には足がつきません。
なのでずっとプランプランしています。
「「「いただきます!」」」
挨拶はきちんとする!
これもお母さんとお父さんに教えられたことです。
礼儀正しくする事で己の精神も鍛えることができる。そうお父さんは言っていました。
「美味しぃっ!」
「んっ、美味い!」
「ふふっ、そうやって食べてくれると作り甲斐があるわ」
「ん?僕は本当のことを言ってるだけだよ?」
ーーーズキューーン!!!
ルフィスの天使の眼差しに二人は戦闘不能となった…
「…………コホンッ!それより、今日の昼と明日からの朝の特訓内容をレベルアップさせるぞ。いけるな?」
「はいっ!大丈夫です!」
「分かった。明日からは複数の相手との戦い方を学んでもらおう」
「分かりました!」
「お母さんからも…今日から魔法の特訓を少しグレードアップさせようと思うんだけど、できる?」
「全然大丈夫です!むしろもっともっとグレードアップしてほしいです!」
「まあっ!ルフィスは本当に偉いわねぇ」
「へへぇ~」
僕の毎日のスケジュールは……
六時に起きる。
六時半から朝の特訓。
八時から朝ごはん。
十二時まで魔法の特訓。
十二時半昼ごはん。
一時から昼の特訓。
六時から夜ごはん。
九時までお勉強。
十時に寝る。
こんな感じです。空いた時間は勉強や魔法の特訓やなどをしています。
なので朝ごはんを食べたらお母さんと一緒に魔法の特訓です。
魔法を使うにはイメージと集中力が必要です。
お母さんが頭に浮かびやすいイメージを教えてくれるのでとても分かりやすいです
集中力も、お父さんとの特訓や日頃の勉強で鍛えられているので大丈夫なのです。
【魔力切れ】という、魔力がほぼ全て無くなった状態の時に起こる病気も訓練のために一回だけ体験しました。とても苦しく、辛かったのですが、お母さんの治癒魔法ですぐに魔力が増えて楽になりました。
お母さんは凄く凄く本当に凄い人なのです。
「「「ご馳走様でした!!!」」」
ご馳走様もきちんとしたので今度はお片づけです。食べ終わったお皿とナイフとフォークとコップはとある箱の中に入れるのです。
そうすると食器は箱の中で洗浄され、ピカピカの状態になって戻ってきます。時間にして、わずか二秒です。
これは、その箱自体に魔法が付与されてるから出来ることなのです。そして、これを作ったのもお母さんらしいです。これを売れば物凄くもうかり……
…やっぱりお母さんは天才です!!!
★★★★★★★★★★
「じゃあ今日は基本属性のおさらいをしましょう。もう覚えたかもしれないけれど、基本は何回もしないと、ダメなの。わかった?」
「はい!分かりました!」
「ふふっ。じゃあまずは、基本属性を言ってみて」
「【火属性】【水属性】【風属性】【光属性】【闇属性】です」
「うん正解!それじゃあ次にその五つの基本属性の
【基本魔法】と【派生魔法】を火属性から順番に行ってみて」
「はい!まずは
【火属性】の基本魔法は【火魔法】派生魔法は【爆魔法】と【熱魔法】です。
【水属性】の基本魔法は【水魔法】派生魔法は【氷魔法】と【治癒魔法】です。
【風属性】の基本魔法は【風魔法】派生魔法は【自然魔法】と【土魔法】です。
【光属性】基本魔法は【光魔法】派生魔法は【雷魔法】と【付与魔法】です。
【闇属性】の基本魔法は【闇魔法】派生魔法は【毒魔法】と【岩魔法】です」
「さすが……というより、私が教えた通り、一文字間違えずに言ったわね……それじゃ最後にそれぞれの神級魔法を言ってみて」
「はい。
【火属性】は【時間魔法】
【水属性】は【空間魔法】
【風属性】は【重力魔法】
【光属性】は【限界魔法】
【闇属性】は【霊魂魔法】です」
「完璧!さすがルフィスね!」
基本属性は主に十歳頃で開花するものです。
勿論。鍛錬次第で開花する年齢も変わってくるのですが……
そして、神級魔法というのは自分が持っている基本属性を極みに極め、さらに派生魔法を全て覚え、それをさらに極めた者にしかたどり着くことができない魔法のことです。
もし神級魔法を一つでも習得することができれば国から一生を十分に暮らせるほどのお金をもらうことができます。
「いえ、僕よりも神級魔法を三つも覚えているお母さんの方がすごいのです!」
「うふふ。ありがとう。でもルフィスもいつか絶対に覚えれるわ」
「はい!そのために特訓と特訓をして、勉強を毎日するのです!」
そう。お母さんはなんと神級魔法を三つも覚えているのです!
普通の人は、一つ覚えるだけで精一杯なのですが、お母さんの魔力量と魔法の才能は常人を遥かに超えているので三つも覚えれるらしいです。
お母さんが開花している基本属性は火、水、風、光の四つです。特にお母さんは風魔法が得意で、自然を操る力で右に出るものはいません!
そして、お母さんが習得した神級魔法は時間魔法と空間魔法と重力魔法です。特に時間魔法と空間魔法を使った魔法【無限収納】は本当に便利です!
何もない空間から黒い渦が出てきて、その中では無限に物を収納出来るのですから。
しかもその魔法は時間魔法も使っているので【無限収納】の中では時間の経過が無いのです!
だから出来立ての食べ物をその中に入れておくと出来立ての状態で出てくるのです!
「それじゃあ今日も魔法を使うとしましょう」
「はい!わかりました!」
魔法の属性は特訓さえすれば誰でも全属性持てることが出来るのです。でも、それが出来ない理由は単純に魔力量が足りないからです。
開花する基本属性が増えれば、その分必要となる魔力量は当然、大幅に増えます。
結果、基本属性を覚える為に必要な莫大な魔力量が足りなくなってしまうのです。
なので、一般の兵士などは二つが限界なのです。
二つ持ってる人は【二重属性】三つ持っている人はとても珍しく、【三重属性】と言われ、世界でも百人いるか居ないかと言われる超すごい人なんです。つまりお母さんは超凄い人なんです!
そして、まだ存在を確認されていませんが、この世界を救ったとされる五英雄が【四重属性】なんじゃ無いかと噂されています。
でも、お母さんが【四重属性】なので存在を確認されていないというのは間違っています。
五英雄達は四つの基本属性を持てるほどの魔力量があり、その魔力量を持つ【四重属性】の人が撃つ魔法の威力は山を壊すほどだと言われています。
そして、あの伝説の勇者、白銀の勇者が【全属性】だという噂もよく聞く話です。
その威力は本気を出せば世界を崩壊へと導く。とも言われ、片手間に街を破壊することもできると言われています。
そして、僕は今三つの属性を使うことができます。
つまり僕は三重属性なのです。
この歳で三重属性は珍しいのかはまだ聞いていませんが、魔力量が一般的な兵士たちより遥かに多いのは確かです。
魔力量というものは自分が産まれつき持っている魔力量の高さと、幼少期の鍛錬でだんだんとその高さを確立していくものなのです。
産まれつき持っている魔力量は、親の魔力量が高ければその子供もそれを受け継ぐと言われています。
勿論それは、一つの説に過ぎず、親の魔力量が低く、暮らしも貧乏だった一人の子供でも三重属性に慣れたという話があるので、この話は一つの説に過ぎません。しかしこの説には随分と信憑性があるので、信じている人が殆どです。
ちなみに僕はその説を信じる派です。
そして、幼少期の鍛錬なのですが、普通の子供はそもそも魔力の存在、使い方すら知らない人が殆どなのです、早くても魔力に気付くのは五、六歳からでしょう。その歳から鍛錬するのと十歳頃から鍛錬していた人の差など一目瞭然です。
その為、必然的に教育ができる環境が整っている貴族の子供には魔法量が高い子供が誕生しやすいという結果になります。
僕の場合は、二歳くらいの時には既に魔力を感じられることができました。
お母さんから聞いたのですが、この辺り一帯は魔力濃度が濃いらいしので子供の僕でも感じやすいそうなのです。
そして僕の属性は、水、風、光の三つです。
やっぱりお母さんと似た基本属性が開花しています。
ちなみにこの家は森に囲まれていて、自然と触れ合う機会が多いので、風属性は最初に習得することができました。
「それじゃあまずは、昨日の続きから。風魔法を撃ちなさい」
「分かりました…」
(風…速い風……鋭い風………)
僕は魔法を使うのに大事なイメージと集中力を高め、およそ10メートル先にある木をめがけて魔法を撃ちました。
「【風刃】!!!」
僕は風の刃を連想し、それを飛ばすようなイメージで木に向かって魔法を撃ちました。
これは昨日もやったことなので、サクッと撃てて良かったです。
ーーーズザザザッ!!!
魔法が木に当たった衝撃で木に深い切れ込みが入りました。
しかし不思議な事に深い切れ込みが入ったその木は徐々に元の姿へと戻っていき、十秒もしないうちにその切れ込みは無くなり、何事もなかったかのように木はそこへ生え続けました。
これが僕が本気で木に向かって魔法を撃てる理由です。
この木は【魔木】といい、魔力を多く含んだ木で、それにより自然治癒が発生し、どこか破損してしまうとすぐに治癒するという特徴を持っています。
そして、その【魔木】の自然治癒能力を上回るほどの攻撃を放てば【魔木】は倒れます。
そして、その木で作られた椅子や机は物凄く頑丈で、百年使っても全く腐らず、千年以上は使えると言われている高級品なのです。
そして、僕の住んでいる家は全て【魔木】を使って造っているログハウスです。
全ての素材に【魔木】を使っているので雨が降っても、雷にうたれてもいっさい壊れることはありません。多分!!!
そして、【魔木】は人から漏れ出る魔力も吸えるので、近くに魔力量が多い人がいればより、強度は増す、そんな素晴らしい木なのです。
つまり今僕が住んでいる家は魔木で造られた上に一日に多くの魔力を吸っているので、その頑丈さはすでにオリハルコンを超えています。
「うん!昨日よりもすぐに魔法を撃たわね!」
「ありがとうございます!」
「じゃあ今日は風魔法じゃなく、自然魔法を使ってみようかしら」
「自然魔法…ですか」
「うん!まずは自然を感じるところからね。この先にお母さんが好きな場所があるから、そこに行きましょう」
「はい!分かりました」
新しい魔法を使えるようになるためにはまず、その魔法がどんな魔法なのか知ることが大事です。
風魔法なら風を感じ、火魔法なら火を感じ、自然魔法なら自然を感じる……これが一番手っ取り早い方法なのです。
実例でいうと、光属性の魔法師で雷に撃たれ、雷魔法が使えるようになったという実例も存在します。
★★★★★★★★★★
お母さんと一緒に森に入ってから十分後くらいに、お母さんが言っていたと思う場所へと着きました。
「さあっ、ここよ。ここはお母さんが悩み事があったり、嫌なことがあった時にいつも来ていた場所よ」
「うわあああ……きれい……」
そこはまるで、神様の庭でした。
空から降ってくる眩しい太陽の光が透き通った水に反射し、水面がキラキラと光り輝き、周りの色とりどりのお花たちは、僕たちを祝福してくれているかのように揺れていました。何より風が……自然が気持ちいい……。
森の…木の香りが自然の、心地良い風に乗って鼻をくすぐる。
(まるで、森と一体化した感覚だ!)
「きれいでしょ……私も、これからのことで悩んだら悔やんだりしているときはいつもここに来ていた。
最初はたまたま見つけたんだけど、一度きてからはもうずっときているわ。ここで寝ると気持ちいいわよ」
「そうですね…本当にここは気持ちいい…」
僕はお母さんが座っている隣にぺたんと座った。
顔に風が当たり、銀色の髪の毛がふわふわと揺れる。
心地よい風が当たり、僕はだんだん眠くなってきた。
「ふふっ、今日の特訓はここで寝ること。それでいいわね?」
「はい……」
そう言い僕はごろんと寝転がり、上を見上げた。
眩しい太陽の光が森の木の間から僕たちに向かってくる。
今日は天気がいい。僕は本当にそう思う。
雲が一つもない。どこを見ても満天の青空。きれいな水色。
(これが自然を感じるということか……)
僕はお母さんが結界を張っているのを横目にゆっくりと目を瞑った。
目を瞑ってからは心地よい風と眩い光によって、すぐに眠りについた。
「ふふっ、おやすみ…」
★★★★★★★★★★
「ふぁぁ……むにゃむにゃ……」
「あら。目が覚めた?」
「お母さん。おはようございます…」
僕が目が覚めたのは、十二時を過ぎた頃だった。
九時ごろにここをきたので、約三時間ほど、僕はここで眠っていたことになる。
「うーーん!それにしても気分が良いなぁ」
「えぇ、そうでしょ、自然を感じるというのはこうゆうことよ、分かった?」
「はい!分かりました!」
「うんっ!それじゃあ家に戻って昼ご飯にしましょう!」
「はぁーい!」
僕たちは元来た道を自然を感じながらゆっくりと戻った。
普段はあまり気にしていなかったけれど、こうして意識してみると、森というのは本当に素晴らしいところだと思う。僕は特にこの香りが一番好きだ。
なんというか……とにかくこの落ち着く感じが、森のいいところだと思う。
来た時よりも少し時間をかけて家に戻ると、既にお父さんが狩りから戻って来ていた。
「ただいまっ!」
「おうッ!ルフィスおかえり!」
「ただいま」
「アイナ、おかえり」
アイというのはお母さんの名前です。
“アイナ・カイ”
お父さんの名前は
“シュウマ・カイ”
と言います。僕は珍しいけどかっこい名前だと思いました。
髪の毛の色はお父さんは黒色で、お母さんは茶色です。
なぜか僕は銀色です。僕もお父さんたちと同じ色が良かったです……
「まだ朝に食べたドラゴンのお肉が残っているからまたお肉でいい?」
「はい!大丈夫です!」
「うんっ!それじゃあまた少し待っててね。すぐ作るから」
「はーい!」
「んじゃあちょっと外に出るか?」
「うんっ!」
こうして僕はお父さんと一緒に外へ出ました。これからまた特訓が始まるのです!
自分が強くなっていっているのが分かるので、特訓は大好きです!
「んじゃあ今日は剣以外の戦い方を教えるぞ」
「どうして剣以外も覚える必要があるのですか?」
「うん。剣という一つの武器だけを極めていても他の武器が使えなくては不利な場面が出てくる。実際に俺はその場面にあっているからこれは大事なことだ」
「例えばどんな時ですか?」
「俺が体験したことで言うなら、俺はずっと剣ばっかり極めていたんだが、ある日空を飛ぶでっかい鳥の魔物と戦った時があったんだ。
俺はそん時も剣で倒そうと思ったんだが、その魔物が俺でも空中戦ではかなわないくらい強くてな」
「え!?お父さんが空中戦とはいえかなわない敵がいるなんて!?でっ、でも空中戦なんだったらお父さんの使う【空歩】を使えば戦えるはずじゃあ……」
「ああ、確かにな。俺もそうしようとそん時は思ったが、あいつにはどうやら魔法が効かないみたいでよぉ。他の魔法も試したが全然ダメだったんだ。
スキルは使えたんだが、魔法はどうにもダメみたいだったよ
それで仕方なく弓で倒そうと思ったんだが、それが全然駄目だったんだよ。だから俺は当時街にあった拠点に帰って一ヶ月間弓の特訓をしたのさ。そのおかげであのでっかい鳥の魔物も倒せたしそれに今は弓も使えるっていう訳さ」
実際。お父さんの弓の才能は凄く、200メートル離れた小さなウサギも一瞬で仕留めることが出来るのです!
弓の方にも細工が色々してあるので、飛距離やパワーなども桁違いです!
(それにしても……お父さんが戦ったっていう魔法が効かない大きな鳥の魔物って、もしかして伝説上に出てくる【不死鳥】なんじゃ……)
まぁ、そんな事はどうでもいいか…
弓を撃つのはとても難しく、風の向きやその速さなど、色々と考えなければならないのと、単純な飛距離と威力なら魔法の方が良いから、弓を使う人は殆どいないとお父さんから聞きました。
だけど、魔法が効かない魔物が出る可能性もあるから、剣が届かない場所に魔物がいるから、そういったケースも考えていかないと駄目というわけです。
「てことで今から弓矢の説明をーーーーー」
「ご飯出来たわよー」
「……はえぇな、五分もたってねえぞ」
「取り敢えず今の続きはご飯を食べてからですね」
「ああっ!先ずは飯だ!」
僕たちは家の中へと入り、椅子へと座った。
既にテーブルには黒い鉄板にドラゴンのお肉をこんがりと焼いたステーキが三人にそれぞれ置いてあった。
ドラゴンの肉の匂いが僕のお腹を極限まで空かした。
「「「いただきます!!!」」」
僕はすぐに肉へとかぶりついた!肉を口の中で噛むたびに溢れ出す肉汁で口の中がいっぱいになっていく。喉を詰まらせそうになったので勢いよく水を入れ込む。
「ふふっ、そんなに慌てないでゆっくり食べなさい。お肉は逃げないから」
「あふぁててふぁせん!」
「はははっ!いいぞいいぞ!どんどん食え~!」
美味しい美味しいお肉を食べ終えた僕は食器を洗浄箱の中に入れて、昼の特訓へと向かった。
しかしその魔王が暴れることはなかった。
魔王はおよそ十年間。力を蓄えていたのだ。
……そして、その時は来たのだ。
全人類が恐怖のどん底に落とされた大厄災。
魔王軍は十年間蓄えていた力を盛大にふるい、この世界の住民を地獄のどん底に突き落とした。
魔王は多くの魔物。魔獣。魔人族。そして魔神までもを従え、この世界へと侵攻してきた。
この世界ののおよそ半分近くが魔王軍に侵略されかけた時、その者は現れた。
白銀に光り輝く鎧を身に纏い、神々しく光る聖剣を手に持ってその者は現れた。
その者は、五人の仲間を引き連れ、魔王軍へとたった六人で立ち向かった。
ある国が全勢力を出して作り上げた軍隊すらも壊滅させた恐ろしい魔王軍へ六人で立ち向かうバカ。その姿を見た人々は皆そう思っていた。
しかし、彼らの活躍は人々の心を高ぶらせる活躍となった。
魔王軍へと立ち向かった彼らはその後、瞬く間に魔王軍を圧倒し、壊滅へと追いやっていった。
その姿を見ていたある国の兵士がこう言った。
『僕は見た。五人の英雄を。
五人それぞれが、日、水、風、光、闇。
の属性を使っていたことを。
僕は見た。一人の勇者を。
そして、その勇者は全ての属性の魔法を使っていた』
と……
ある者はこう言った。
その者たちはこの世界を救う『勇者』なのだと……
勇者たちの登場により、気力を失っていた兵士たちも彼らの姿を見て一気に気力を取り戻した。
それから人類はある種、理想の展開に近いほどの追い上げを見せた。当然ながら死者や負傷者が相次いだものの、士気が上がった人類はそのままの勢いで魔王軍を壊滅寸前まで追いやっていった。
そして、白銀の勇者の一撃により、魔王は討ち滅ぼされ、世界に平和が訪れたのであった。
それからは、死んだ者たちの葬いや街の復旧作業で忙しかったが、ものの五年で、元の姿を取り戻した。
あの時の勇者は何だったのか。今はどうしているのか、その後の事は誰も知らない。名前すら誰も何も分からないので、人々はその名誉を讃え、その者を『白銀の勇者』その勇者の仲間たちを『五英雄』と、そして、ある兵士の証言から五英雄それぞれに
『火の英雄』
『水の英雄』
『風の英雄』
『光の英雄』
『闇の英雄』
と呼ばれた。
白銀の勇者。その名を“シュウマカイ”と言う……
★★★★★★★★★★
「ただいまっ!」
僕はドアを開けて大きな声でただいまと言った。
いつもの日課となっている朝の特訓を終えた僕“ルフィス・カイ”は、今から朝食を食べるのです。
「今日も特訓偉いわねぇ。お父さん厳しくしてない?」
「全然平気です!あれくらいお茶の子さいさいです!」
「あら、よく頑張ったわね。でも、ルフィスはまだ五歳なのだから、別に無理してやらなくてもいいのよ」
「いえ、これは僕が決めた事ですから!それに、強かったら人をいっぱい助けられます」
「それはいいこころゆきね!」
僕は一週間前、五歳の誕生日を迎えたばかりです。
特訓というのはこの家の近くにある森の中でお父さんと駆けっこしたり、お父さんと闘ったり、魔物を狩ったりするのです。
この特訓は三歳の時から初めてもう二年が経ちます。
今ではもう一人で魔物は倒せるくらいにはなりました。
僕のお母さんは綺麗で美人で、お父さんには勿体無いくらいの人です。
「ただいまぁ」
「あっ!お父さんお帰りなさい!」
「お帰りなさい」
特訓が終わった後、お父さんは一人で狩りに行きます。いつも大きな獲物を取ってくるお父さんをいつもいつも凄いと思っています。
今日はいつも通り家の近くに生息しているドラゴンを狩ってきたのです。
「今日のはご馳走だぞ!」
「お父さんありがとう!!!」
「おうっ!」
「お母さん。今日はお肉がいいなあ…」
「はいはい。今から調理するからちょっと待っててね」
「はーい」
ちなみにお母さんの料理の才能はピカイチです。
どんなに不味い食材でも、お母さんの手にかかればすぐに美味しい料理になって出てくるのです。
今日の食材はリトルドラゴンなので絶対に美味しいはずです。
「んじゃあ、今のうちにルフィスはお勉強といこうか」
「はーい」
空いた時間は無駄にしない。これがお母さんとお父さんの教えです。
何か空き時間があれば必ず勉強の時間に使っています。
当然。休憩も大事なのでずっと勉強しているわけでは無いのですが……
お母さんとお父さんはどっちも頭が良く、教え方が上手いのですぐに頭に入ってきます。
「昨日はどこまで言ったっけなぁ……」
「分数までです!」
「おおっそっかそっか、それじゃあ今日は、少数について勉強をするか」
「それならもう先にやってしまいました。分数とセットで覚えてみました!」
「おおっ!!!それは偉いぞ!」
「へへぇ~」
僕は褒められるのが大好きです。良いことをするといつもお父さんは頭をわしゃわしゃして「偉い偉い」と何度も言ってくれます。
お母さんは「偉いわねぇ」と言って抱きしめてくれます。
そんな二人が僕は大好きです!
「それじゃあ今日はーーーーー」
★★★★★★★★★★
「ご飯出来たわよー」
「はーい」
僕は『タタタタッ』と階段を下り、椅子に座ります。僕はまだ背が低いので床には足がつきません。
なのでずっとプランプランしています。
「「「いただきます!」」」
挨拶はきちんとする!
これもお母さんとお父さんに教えられたことです。
礼儀正しくする事で己の精神も鍛えることができる。そうお父さんは言っていました。
「美味しぃっ!」
「んっ、美味い!」
「ふふっ、そうやって食べてくれると作り甲斐があるわ」
「ん?僕は本当のことを言ってるだけだよ?」
ーーーズキューーン!!!
ルフィスの天使の眼差しに二人は戦闘不能となった…
「…………コホンッ!それより、今日の昼と明日からの朝の特訓内容をレベルアップさせるぞ。いけるな?」
「はいっ!大丈夫です!」
「分かった。明日からは複数の相手との戦い方を学んでもらおう」
「分かりました!」
「お母さんからも…今日から魔法の特訓を少しグレードアップさせようと思うんだけど、できる?」
「全然大丈夫です!むしろもっともっとグレードアップしてほしいです!」
「まあっ!ルフィスは本当に偉いわねぇ」
「へへぇ~」
僕の毎日のスケジュールは……
六時に起きる。
六時半から朝の特訓。
八時から朝ごはん。
十二時まで魔法の特訓。
十二時半昼ごはん。
一時から昼の特訓。
六時から夜ごはん。
九時までお勉強。
十時に寝る。
こんな感じです。空いた時間は勉強や魔法の特訓やなどをしています。
なので朝ごはんを食べたらお母さんと一緒に魔法の特訓です。
魔法を使うにはイメージと集中力が必要です。
お母さんが頭に浮かびやすいイメージを教えてくれるのでとても分かりやすいです
集中力も、お父さんとの特訓や日頃の勉強で鍛えられているので大丈夫なのです。
【魔力切れ】という、魔力がほぼ全て無くなった状態の時に起こる病気も訓練のために一回だけ体験しました。とても苦しく、辛かったのですが、お母さんの治癒魔法ですぐに魔力が増えて楽になりました。
お母さんは凄く凄く本当に凄い人なのです。
「「「ご馳走様でした!!!」」」
ご馳走様もきちんとしたので今度はお片づけです。食べ終わったお皿とナイフとフォークとコップはとある箱の中に入れるのです。
そうすると食器は箱の中で洗浄され、ピカピカの状態になって戻ってきます。時間にして、わずか二秒です。
これは、その箱自体に魔法が付与されてるから出来ることなのです。そして、これを作ったのもお母さんらしいです。これを売れば物凄くもうかり……
…やっぱりお母さんは天才です!!!
★★★★★★★★★★
「じゃあ今日は基本属性のおさらいをしましょう。もう覚えたかもしれないけれど、基本は何回もしないと、ダメなの。わかった?」
「はい!分かりました!」
「ふふっ。じゃあまずは、基本属性を言ってみて」
「【火属性】【水属性】【風属性】【光属性】【闇属性】です」
「うん正解!それじゃあ次にその五つの基本属性の
【基本魔法】と【派生魔法】を火属性から順番に行ってみて」
「はい!まずは
【火属性】の基本魔法は【火魔法】派生魔法は【爆魔法】と【熱魔法】です。
【水属性】の基本魔法は【水魔法】派生魔法は【氷魔法】と【治癒魔法】です。
【風属性】の基本魔法は【風魔法】派生魔法は【自然魔法】と【土魔法】です。
【光属性】基本魔法は【光魔法】派生魔法は【雷魔法】と【付与魔法】です。
【闇属性】の基本魔法は【闇魔法】派生魔法は【毒魔法】と【岩魔法】です」
「さすが……というより、私が教えた通り、一文字間違えずに言ったわね……それじゃ最後にそれぞれの神級魔法を言ってみて」
「はい。
【火属性】は【時間魔法】
【水属性】は【空間魔法】
【風属性】は【重力魔法】
【光属性】は【限界魔法】
【闇属性】は【霊魂魔法】です」
「完璧!さすがルフィスね!」
基本属性は主に十歳頃で開花するものです。
勿論。鍛錬次第で開花する年齢も変わってくるのですが……
そして、神級魔法というのは自分が持っている基本属性を極みに極め、さらに派生魔法を全て覚え、それをさらに極めた者にしかたどり着くことができない魔法のことです。
もし神級魔法を一つでも習得することができれば国から一生を十分に暮らせるほどのお金をもらうことができます。
「いえ、僕よりも神級魔法を三つも覚えているお母さんの方がすごいのです!」
「うふふ。ありがとう。でもルフィスもいつか絶対に覚えれるわ」
「はい!そのために特訓と特訓をして、勉強を毎日するのです!」
そう。お母さんはなんと神級魔法を三つも覚えているのです!
普通の人は、一つ覚えるだけで精一杯なのですが、お母さんの魔力量と魔法の才能は常人を遥かに超えているので三つも覚えれるらしいです。
お母さんが開花している基本属性は火、水、風、光の四つです。特にお母さんは風魔法が得意で、自然を操る力で右に出るものはいません!
そして、お母さんが習得した神級魔法は時間魔法と空間魔法と重力魔法です。特に時間魔法と空間魔法を使った魔法【無限収納】は本当に便利です!
何もない空間から黒い渦が出てきて、その中では無限に物を収納出来るのですから。
しかもその魔法は時間魔法も使っているので【無限収納】の中では時間の経過が無いのです!
だから出来立ての食べ物をその中に入れておくと出来立ての状態で出てくるのです!
「それじゃあ今日も魔法を使うとしましょう」
「はい!わかりました!」
魔法の属性は特訓さえすれば誰でも全属性持てることが出来るのです。でも、それが出来ない理由は単純に魔力量が足りないからです。
開花する基本属性が増えれば、その分必要となる魔力量は当然、大幅に増えます。
結果、基本属性を覚える為に必要な莫大な魔力量が足りなくなってしまうのです。
なので、一般の兵士などは二つが限界なのです。
二つ持ってる人は【二重属性】三つ持っている人はとても珍しく、【三重属性】と言われ、世界でも百人いるか居ないかと言われる超すごい人なんです。つまりお母さんは超凄い人なんです!
そして、まだ存在を確認されていませんが、この世界を救ったとされる五英雄が【四重属性】なんじゃ無いかと噂されています。
でも、お母さんが【四重属性】なので存在を確認されていないというのは間違っています。
五英雄達は四つの基本属性を持てるほどの魔力量があり、その魔力量を持つ【四重属性】の人が撃つ魔法の威力は山を壊すほどだと言われています。
そして、あの伝説の勇者、白銀の勇者が【全属性】だという噂もよく聞く話です。
その威力は本気を出せば世界を崩壊へと導く。とも言われ、片手間に街を破壊することもできると言われています。
そして、僕は今三つの属性を使うことができます。
つまり僕は三重属性なのです。
この歳で三重属性は珍しいのかはまだ聞いていませんが、魔力量が一般的な兵士たちより遥かに多いのは確かです。
魔力量というものは自分が産まれつき持っている魔力量の高さと、幼少期の鍛錬でだんだんとその高さを確立していくものなのです。
産まれつき持っている魔力量は、親の魔力量が高ければその子供もそれを受け継ぐと言われています。
勿論それは、一つの説に過ぎず、親の魔力量が低く、暮らしも貧乏だった一人の子供でも三重属性に慣れたという話があるので、この話は一つの説に過ぎません。しかしこの説には随分と信憑性があるので、信じている人が殆どです。
ちなみに僕はその説を信じる派です。
そして、幼少期の鍛錬なのですが、普通の子供はそもそも魔力の存在、使い方すら知らない人が殆どなのです、早くても魔力に気付くのは五、六歳からでしょう。その歳から鍛錬するのと十歳頃から鍛錬していた人の差など一目瞭然です。
その為、必然的に教育ができる環境が整っている貴族の子供には魔法量が高い子供が誕生しやすいという結果になります。
僕の場合は、二歳くらいの時には既に魔力を感じられることができました。
お母さんから聞いたのですが、この辺り一帯は魔力濃度が濃いらいしので子供の僕でも感じやすいそうなのです。
そして僕の属性は、水、風、光の三つです。
やっぱりお母さんと似た基本属性が開花しています。
ちなみにこの家は森に囲まれていて、自然と触れ合う機会が多いので、風属性は最初に習得することができました。
「それじゃあまずは、昨日の続きから。風魔法を撃ちなさい」
「分かりました…」
(風…速い風……鋭い風………)
僕は魔法を使うのに大事なイメージと集中力を高め、およそ10メートル先にある木をめがけて魔法を撃ちました。
「【風刃】!!!」
僕は風の刃を連想し、それを飛ばすようなイメージで木に向かって魔法を撃ちました。
これは昨日もやったことなので、サクッと撃てて良かったです。
ーーーズザザザッ!!!
魔法が木に当たった衝撃で木に深い切れ込みが入りました。
しかし不思議な事に深い切れ込みが入ったその木は徐々に元の姿へと戻っていき、十秒もしないうちにその切れ込みは無くなり、何事もなかったかのように木はそこへ生え続けました。
これが僕が本気で木に向かって魔法を撃てる理由です。
この木は【魔木】といい、魔力を多く含んだ木で、それにより自然治癒が発生し、どこか破損してしまうとすぐに治癒するという特徴を持っています。
そして、その【魔木】の自然治癒能力を上回るほどの攻撃を放てば【魔木】は倒れます。
そして、その木で作られた椅子や机は物凄く頑丈で、百年使っても全く腐らず、千年以上は使えると言われている高級品なのです。
そして、僕の住んでいる家は全て【魔木】を使って造っているログハウスです。
全ての素材に【魔木】を使っているので雨が降っても、雷にうたれてもいっさい壊れることはありません。多分!!!
そして、【魔木】は人から漏れ出る魔力も吸えるので、近くに魔力量が多い人がいればより、強度は増す、そんな素晴らしい木なのです。
つまり今僕が住んでいる家は魔木で造られた上に一日に多くの魔力を吸っているので、その頑丈さはすでにオリハルコンを超えています。
「うん!昨日よりもすぐに魔法を撃たわね!」
「ありがとうございます!」
「じゃあ今日は風魔法じゃなく、自然魔法を使ってみようかしら」
「自然魔法…ですか」
「うん!まずは自然を感じるところからね。この先にお母さんが好きな場所があるから、そこに行きましょう」
「はい!分かりました」
新しい魔法を使えるようになるためにはまず、その魔法がどんな魔法なのか知ることが大事です。
風魔法なら風を感じ、火魔法なら火を感じ、自然魔法なら自然を感じる……これが一番手っ取り早い方法なのです。
実例でいうと、光属性の魔法師で雷に撃たれ、雷魔法が使えるようになったという実例も存在します。
★★★★★★★★★★
お母さんと一緒に森に入ってから十分後くらいに、お母さんが言っていたと思う場所へと着きました。
「さあっ、ここよ。ここはお母さんが悩み事があったり、嫌なことがあった時にいつも来ていた場所よ」
「うわあああ……きれい……」
そこはまるで、神様の庭でした。
空から降ってくる眩しい太陽の光が透き通った水に反射し、水面がキラキラと光り輝き、周りの色とりどりのお花たちは、僕たちを祝福してくれているかのように揺れていました。何より風が……自然が気持ちいい……。
森の…木の香りが自然の、心地良い風に乗って鼻をくすぐる。
(まるで、森と一体化した感覚だ!)
「きれいでしょ……私も、これからのことで悩んだら悔やんだりしているときはいつもここに来ていた。
最初はたまたま見つけたんだけど、一度きてからはもうずっときているわ。ここで寝ると気持ちいいわよ」
「そうですね…本当にここは気持ちいい…」
僕はお母さんが座っている隣にぺたんと座った。
顔に風が当たり、銀色の髪の毛がふわふわと揺れる。
心地よい風が当たり、僕はだんだん眠くなってきた。
「ふふっ、今日の特訓はここで寝ること。それでいいわね?」
「はい……」
そう言い僕はごろんと寝転がり、上を見上げた。
眩しい太陽の光が森の木の間から僕たちに向かってくる。
今日は天気がいい。僕は本当にそう思う。
雲が一つもない。どこを見ても満天の青空。きれいな水色。
(これが自然を感じるということか……)
僕はお母さんが結界を張っているのを横目にゆっくりと目を瞑った。
目を瞑ってからは心地よい風と眩い光によって、すぐに眠りについた。
「ふふっ、おやすみ…」
★★★★★★★★★★
「ふぁぁ……むにゃむにゃ……」
「あら。目が覚めた?」
「お母さん。おはようございます…」
僕が目が覚めたのは、十二時を過ぎた頃だった。
九時ごろにここをきたので、約三時間ほど、僕はここで眠っていたことになる。
「うーーん!それにしても気分が良いなぁ」
「えぇ、そうでしょ、自然を感じるというのはこうゆうことよ、分かった?」
「はい!分かりました!」
「うんっ!それじゃあ家に戻って昼ご飯にしましょう!」
「はぁーい!」
僕たちは元来た道を自然を感じながらゆっくりと戻った。
普段はあまり気にしていなかったけれど、こうして意識してみると、森というのは本当に素晴らしいところだと思う。僕は特にこの香りが一番好きだ。
なんというか……とにかくこの落ち着く感じが、森のいいところだと思う。
来た時よりも少し時間をかけて家に戻ると、既にお父さんが狩りから戻って来ていた。
「ただいまっ!」
「おうッ!ルフィスおかえり!」
「ただいま」
「アイナ、おかえり」
アイというのはお母さんの名前です。
“アイナ・カイ”
お父さんの名前は
“シュウマ・カイ”
と言います。僕は珍しいけどかっこい名前だと思いました。
髪の毛の色はお父さんは黒色で、お母さんは茶色です。
なぜか僕は銀色です。僕もお父さんたちと同じ色が良かったです……
「まだ朝に食べたドラゴンのお肉が残っているからまたお肉でいい?」
「はい!大丈夫です!」
「うんっ!それじゃあまた少し待っててね。すぐ作るから」
「はーい!」
「んじゃあちょっと外に出るか?」
「うんっ!」
こうして僕はお父さんと一緒に外へ出ました。これからまた特訓が始まるのです!
自分が強くなっていっているのが分かるので、特訓は大好きです!
「んじゃあ今日は剣以外の戦い方を教えるぞ」
「どうして剣以外も覚える必要があるのですか?」
「うん。剣という一つの武器だけを極めていても他の武器が使えなくては不利な場面が出てくる。実際に俺はその場面にあっているからこれは大事なことだ」
「例えばどんな時ですか?」
「俺が体験したことで言うなら、俺はずっと剣ばっかり極めていたんだが、ある日空を飛ぶでっかい鳥の魔物と戦った時があったんだ。
俺はそん時も剣で倒そうと思ったんだが、その魔物が俺でも空中戦ではかなわないくらい強くてな」
「え!?お父さんが空中戦とはいえかなわない敵がいるなんて!?でっ、でも空中戦なんだったらお父さんの使う【空歩】を使えば戦えるはずじゃあ……」
「ああ、確かにな。俺もそうしようとそん時は思ったが、あいつにはどうやら魔法が効かないみたいでよぉ。他の魔法も試したが全然ダメだったんだ。
スキルは使えたんだが、魔法はどうにもダメみたいだったよ
それで仕方なく弓で倒そうと思ったんだが、それが全然駄目だったんだよ。だから俺は当時街にあった拠点に帰って一ヶ月間弓の特訓をしたのさ。そのおかげであのでっかい鳥の魔物も倒せたしそれに今は弓も使えるっていう訳さ」
実際。お父さんの弓の才能は凄く、200メートル離れた小さなウサギも一瞬で仕留めることが出来るのです!
弓の方にも細工が色々してあるので、飛距離やパワーなども桁違いです!
(それにしても……お父さんが戦ったっていう魔法が効かない大きな鳥の魔物って、もしかして伝説上に出てくる【不死鳥】なんじゃ……)
まぁ、そんな事はどうでもいいか…
弓を撃つのはとても難しく、風の向きやその速さなど、色々と考えなければならないのと、単純な飛距離と威力なら魔法の方が良いから、弓を使う人は殆どいないとお父さんから聞きました。
だけど、魔法が効かない魔物が出る可能性もあるから、剣が届かない場所に魔物がいるから、そういったケースも考えていかないと駄目というわけです。
「てことで今から弓矢の説明をーーーーー」
「ご飯出来たわよー」
「……はえぇな、五分もたってねえぞ」
「取り敢えず今の続きはご飯を食べてからですね」
「ああっ!先ずは飯だ!」
僕たちは家の中へと入り、椅子へと座った。
既にテーブルには黒い鉄板にドラゴンのお肉をこんがりと焼いたステーキが三人にそれぞれ置いてあった。
ドラゴンの肉の匂いが僕のお腹を極限まで空かした。
「「「いただきます!!!」」」
僕はすぐに肉へとかぶりついた!肉を口の中で噛むたびに溢れ出す肉汁で口の中がいっぱいになっていく。喉を詰まらせそうになったので勢いよく水を入れ込む。
「ふふっ、そんなに慌てないでゆっくり食べなさい。お肉は逃げないから」
「あふぁててふぁせん!」
「はははっ!いいぞいいぞ!どんどん食え~!」
美味しい美味しいお肉を食べ終えた僕は食器を洗浄箱の中に入れて、昼の特訓へと向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる