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まってたよ
しおりを挟む友達が出来た次の日
いつものように琥珀は莉音の病室へと向かった。
椅子に腰掛け、手を握る。その手はいつもよりも温もりがあった。
琥珀は莉音に語りかけた。
「莉音、今日はいい天気だよ。莉音が倒れてからもう四日だね。こんなに長い四日は、初めてだよ。やっぱり、莉音といた時間はとっても早く感じるよ…莉音。そろそろ目を覚まして…」
琥珀の目から涙がこぼれ落ちた。
そして琥珀の涙が莉音の腕に涙の雫が垂れた。
その時だった。
今まで規則正しい心電図に、急に波が現れて呼吸数が上がる。
今まで固く閉じていた目蓋が、うっすらと開く。
琥珀は驚いた顔で見ていたが、莉音の開いた瞳を見て涙が出てくる。
そして莉音は琥珀の姿を見ると、微笑んだ。
琥珀は語りかける
「莉音、目が覚めた?どこも痛くないよね。大丈夫?」
すると莉音は
「看護師さん呼びなよ…」
と弱々しいが琥珀に言った。
琥珀は急いでナースコールを押した。
すぐに看護師がきた。そして莉音の姿を見ると、
「相原さん!目が覚めたんですね…‼︎」
と言って医師を呼んだ。
喜ぶ琥珀と莉音。ところが、医師は喜ぶ二人を悲しげに見ていた。
医師は「とにかく峠は超えました。ですが…」
二人は顔を見合わせた。
「落ち着いて聞いてください。莉音さんのご両親は先程、事故で亡くなったらしいです…それに莉音さん、あなたには心臓病の疾患があります。大変、言い辛いのですが」
『余命…三ヶ月もないでしょう…』
その言葉に二人は言葉を失った。
莉音は
「どういうこと…お父さんとお母さんが死んだ…⁉︎なんで…それに私は余命三ヶ月……⁉︎」
莉音は大声で泣き出した。
琥珀は掛ける言葉も無く、ひたすら無力感に襲われた。
すると医師は
「延命治療もできます。」
とだけいうと去っていった。
莉音は琥珀の姿を見ると弱々しく言った。
「琥珀ごめんね。私、何にもできないよ。残り三ヶ月だって、そんなの…いきなりすぎるよ。やっぱり私、延命はしない。痛いの嫌だし、なによりも…」
『琥珀と残りの人生を生きていたい。』
すると琥珀は
「俺は、莉音の決めたことには従うよ。莉音…一日でも、一時間でもいい。とにかく俺は莉音と一緒にいたい。できれば延命して欲しいが、これは莉音の決めた事だ。俺は何も言わない。あのさ莉音。残りの人生を全て俺に託してくれるか?」
莉音は琥珀の胸に飛びこんだ。
「当たり前だよ…残りの人生を琥珀と一緒に歩きたい。」
琥珀は
「莉音。天国に行く前に、九つの約束決めようよ……」
莉音が亡くなる86日前の事だった。
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