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第二章 執筆
3、学食にて
しおりを挟む僕の名前は何某。いや、望月何某。何某にしちゃうと、もう訳わからなくなっちゃうよね。
あと、ワイフのことはあえてアグリと呼ぼう。彼女がわからないんだからね。
親切な僕。ああ、こんなに頭が良過ぎてどうしちゃおう。
と言うことで、翌日、朝食もない僕たちは腹を空かせて帝都大でランチの約束をした辻を落ち合った。
「アグリ、よくこれたね。」
「あ、1時間前にでましたから。」
「え?うちから20分で着くよ。」
「だって行ったことないから。あなたは朝から授業だし。」
それを見た辻はニコニコ笑っている。
夫婦喧嘩は何かも食わないとか言うんだぞ。
「じゃあ、辻くん!美味しいランチへと行こう!」
「学食にしよう。この辺りの昼食どころは混んでいるからね。」
「えーもっといいもの食べようよ。」
そういうと、アグリが急にジャンプした。
「私、大学の学食に行ってみたいんです!」
そうそうなんだ。彼女は学校に飢えていたんだ。。。
「そうですか?ではお連れしましょう。」
辻とアグリはそそくさと学食へ入ってしまった。
「アグリさん、何が食べたい?」
「うどんがいいです!」
「アグリ、うどんなんて安いやつじゃなくて定食とかにしなよ。」
「うどんがいいんです。」
彼女はちょっとムッとした顔をした。僕が親切に教えてあげたのに、どうしてそんな顔するんだよ。
席について、僕と辻は定食、アグリはうどんをおいた。
「いただきます。」
アグリは美味しそうにうどんを食べる。なんでそんな安物を。
「興味本位で聞くけど、アグリさん、なんでうどんなの?」
「私の母の故郷が群馬の水沢で、うどんで有名なんです。望月の家でも度々出ていたんですが、東京に出てきてからうどんを食べてなくて。」
「ああ、それは望月の失点だね。」
むむむ・・・・・・・僕が酷い主人みたいになったじゃないか!
アグリ、こう言う時はご主人様の三歩後ろにいなきゃいけないんだよ。
と言いたいところだが、今日は完敗だ。
これから、取材の洋装店に行くことを辻に告げたら、自分もついてくるって~~
もう、僕の邪魔はやめてくれ!
応援ありがとうございます!
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