望月何某の憂鬱(完結)

有住葉月

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第二章 執筆

6、取材してやるぞ

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僕の名前は望月何某。気になってる人も少なくなってきたのかな。
僕の名前を好きにしていいよ。うん、それくらい僕はやけになっているんだな。

辻がなんと、僕のワイフにドレスをプレゼントというなんとも男として廃る出来事が起きたんだよね。
ああ、君たちはずっと僕のそばで見ていてくれたからわかるかな。
僕とっても可哀想な感じになってるよね。

ということで、かわいそうな僕は早速、助手とみられる女性に取材することにしたんだ。
だって、ここで尻尾巻いて帰ったら本当に僕バカ扱いされるでしょ。

「ねえ、仕立てのことで相談したいんだけど。」
「はい、お客様、辻様のお連れ様ですね。」
「うん、大学の学友で。」
「帝都大の方ですか!すごいですね。どのようなお洋服をお探しで?」
「スーツは一着持ってるから、作るとしたらどんなのがおすすめ?」
「そうですね。サマースーツというものがありまして、白色のスーツなんておすすめです。」
「よくスイスイおすすめが出てくるね。素晴らしい。この業界は何年くらいなの?」
「私は6年目です。店頭に出られるようになってまだ2年で。勉強の毎日です。」
僕はすかさず聞いた。

「助手の修行ってどれくらいなの?」
「2年は先生の家に入って、家事からお子様のお世話などいろいろあります。その後はお店の隅々の修行なので、まだ私も修行中です。」
「二年間は通いじゃなくて先生の家に住むんだ?」
「そうです。だから、みんな若くて独身の子が。」

ああ、アグリ。残念だけど、君は既婚で子持ちだ。ここの修行は無理かもしれない。
でも、ここのドレスを毎月買ってやるほどの甲斐性は僕にはない。

そんなことを考えていて、店内を見ていたら、辻に話しかけられた。
「アグリくんは実にチャーミングだね。」
「え?群馬から出てきたばかりの田舎娘だよ。」
「17歳に見えない、しっかりとしてると思いきや、純だしね。」
「君、まさか親友の奥さんを手出ししようなんて思っているんじゃないのかね?」
「そんな無粋なことはしないよ。でも、奥さんを綺麗にしてあげるのもご主人の仕事だよ。」

わー。そんなことわかってるよ。でも僕大学生だよ。君みたいに財閥様でもないし。
急に群馬に帰ってこいって言われて、稼ぎもないのに、仕送り断たれて、どうするっていうんだい!
ああ。もう僕は文筆で売れっ子になるしかない!この取材を元に小説を書いてやる!

「辻、僕の作品を楽しみにしてなよ。」
「ああ、早く読みたいね。」

宣戦布告と来たものか!うけて立つぞ!
僕の闘志はメラメラと燃え上がっていた。
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