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第三章 愛の確認
9、初めてのラブレター
しおりを挟む部屋に帰るなり、テーブルのランプをつける。
辻からもらった手紙の封を開けた。
「櫻さんへ
僕が君へ手紙を書くなんてちゃんちゃらおかしいけど、初めてのラブレターだと思って読んでほしい。僕は君の吸引力には逃れられないし、僕自身も君への気持ちを明らかにしなくてはならない。
君は羽ばたく鳳凰のようだ。自分じゃあ気がついていないけどね。どんな着物を着ていても、どんな表情をしていても、それは君から奪うことができない魅力なのだ。
君がどこかの馬の骨の許嫁であっただろうと僕は気にしない。そんな馬の骨、どこかへ埋めて二人で笑ってやろうじゃないか。恐れることない。君の父親が帝都に来ることがあるようだったら、僕は人肌脱ごうと思っているのさ。でも、それは辻の人間を使ってのことだけど。
僕だって親の脛齧りかもしれない。でも、利用できることはなんでも利用する。自分の手にしたことは利用するつもりさ。誰かに後ろ指さされても、僕は君へのラブを諦めない。一緒に生きていく。そう思っている。
君が愛おしい。それが僕の本音だ。小さくしてポケットに入れたいくらいね。君をポケットに入れられたら、どんなにいいかといつも思うよ。
西洋の話で親指姫と言うのがあるのだけれど、まさにそれであると思うんだ。まだ和訳されて居ないから、今度君に英語のこの本をプレゼントするよ。
僕の可愛い姫へ
安心して、望月家で暮らしてください。
辻」
なんと辻らしい手紙だろうと思った。手紙でも冗談は欠かさない。でも、ダイレクトな愛情が詰まっている。私は先生の愛情に応えていられているだろうか。これから、そうやって密会していけばいいのだろうか、と。手紙をしまおうとしたら、もう一枚入っていた。
「追伸
これから、学校の下校の際、僕が車に同情します。もちろん、学校には仕事が残っているので僕は研究室に行くふりをして、ささっと車に乗りますが。20分程度の車での逢瀬を楽しみましょう。」
先生はずるい。私が不安に思ってることを最も簡単にやってしまう。
一方で、これからも会えることが安心になった。時々する悪戯には参ってしまうが、辻との時間がなくなってしまうんではないかと、それが不安だったのだ。
「先生、私、本当に頑張ります。背伸びしても、この世界で。」
ひとり呟いた。
そして、桜は辻からの愛を噛み締めていた。
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