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第四章 夢を見つけた
5、鈴音との出会い
しおりを挟む「さてついたついた。」
ささっと望月が車から降りて行き、辻と櫻も続く。
「この奥屋と約束してるんだ。」
現在時刻は16時を回ったところ。
「お座敷は20時過ぎくらいだから、1時間話を聞くことになってる。」
奥屋の前に置いてある鈴を慣れた手つきで望月が振った。
リーンリーン。
とても透き通っている音だ。
間も無くすると、年の功は40歳くらいの美しい女性が出てきた。
「あら望月さん。辻さんもいらしたのね。後、可愛い女性も。」
「今日、スズメの取材させてもらうだろ。だから、その取材にこの二人もついてきたいとね。」
「こちらはよござんすよ。鈴音はまだお化粧前だけど、それでもいいの?」
「僕は、スズメがどんな格好だっていいさ。今日は話を聞きにきたんだしね。」
「では、3名さま、こちらのお部屋へどうぞ。」
置き屋の中に促され、客間に通された。
こじんまりとしているが、清潔感のある和室だ。
「これからくるスズメは10歳の頃からこの置き屋にいて、僕とは長い付き合いなんだよ。」
櫻の中で浮気相手かしら?なんて疑ってしまった。しかし
トントン
「鈴音です。失礼します。」
と自分と年頃の変わらない女性が入ってきた時、櫻は驚いた。
「まあ。お兄ちゃん、今度は女学生にお手つきしたの??」
「お前、僕が風来坊だからってそんなこと言うなよ。僕はいつもアグリ嬢に心を捧げてますよ。」
「そんなこといったっって。もう、あれ、辻さんもいらっしゃるの?」
「望月が取材をするって言うからね、編集者の職業体験で、こちらの江藤くんにも同行してもらったんだ。」
「私への取材が職業体験になるかしら。。。初めまして、江藤さん。私、鈴音。望月のお兄ちゃんからはスズメなんて言われてるけど本当は鈴の音に鈴音っていうの。アグリさんには時々お家に行って昔は遊んでもらったからお兄ちゃんやお姉ちゃんって呼んでるのよ。」
望月の顔の広さに驚く一方、この涼音が素直な女性ということが分かった。
「すみません、同行させていただいた、女学生の江藤櫻です。今は、アグリ先生のところで見習いもしています。」
「すごーい。勉強しながら、職業夫人の修行もしてるのね!見習いということは私と同じじゃない。仲良くしてね!」
和やかな空気感の中で、取材は始まった。
櫻の目が爛々と輝いているのを見て辻は嬉しく思った。
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