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第十二章 新学期
17、安心した櫻
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佐藤邸から望月家に帰った櫻は安堵していた。
佐藤支店長がここまでしてくれるのは本当に嬉しい。
しかし、悪い気持ちもある。
トントン
櫻の部屋のドアがノックされた。
「はい、どなたですか?」
「僕、ヨウスケだよ。」
「望月さん、どうなさったんですか?どうぞ。」
ヨウスケを部屋に向かい入れた。
「望月さんが私に会いに来るなんて不思議ですね。」
「いやあ、今日、遅く帰ったでしょ。それで聞いてみたくてね。」
「何をですか?」
「今日会ったことだよ。」
「ちょっと言いにくいことです。」
「うん、それはわかってるよ。それをあえて聞いてるんだ。」
「どうして?」
「僕ね、今度女学生の物語が書きたいんだ。でもお金持ちのお嬢様じゃなくて、お嬢様の仮面を被った偽お嬢様のお話。」
「え?」
「僕は辻くんの親友だよ。他言はしないし、君が貧しい出のことも辻からは聞いてるよ。」
「そうだったんですか。」
「ちょっと嫌な気持ちになるかもしれないけどね、僕は櫻くんの小説を書いてみたい。」
「それは、ちょっと。。。」
「もちろん、君の名前は出さないし、設定だって変えるよ。」
「私、今、とても大事な時期なんです。」
「ますます、興味が湧くね。」
「もし、小説にしたいのであれば、それが終わってからにしていただけますか?」
「じゃあ、僕が逆に聞くけど、それはどんなことなの?」
「言いにくいです。」
「僕は他言しないよ。」
「でも、望月さんの小説にはアグリさんがたくさん出てきます。すぐにわかります。」
「それはアグリが承知してるからさ。他の女性はわからないようにしてるよ。」
「え、。じゃああの他の小説に出てきた恋人とかは本当の?」
「アグリだって気がついてるよ。」
「悪い人ですね。」
「そう言えるね。でも、職業婦人をしばらく書いていたんだけど、君に出会って、女学生というものに興味が湧いたんだよ。」
「私は典型的な女学生ではないですけど。」
「僕の小説も典型的じゃないよ。」
「そうですね。」
「じゃあさ、もちろん他言しないから、どうして今、書いちゃいけないのかだけ教えてくれる?」
櫻はしばらく考えた。望月がはなさないことはわかってる。しかし、小説になった時にいつかバレてしまうのでないかと不安になった。
「櫻くん、無理強いはしないよ。」
「いいえ、いいです。実は四月を目処に養女にという話がありまして。」
「ほお。それはとても興味深いし、知られてはいけないことだね。」
「そうです。だから、それが終わるまで待ってください。」
「わかったよ。いいところの家庭に入れることを祈るよ。」
櫻はこの家でもおもう十分だと本当は言いたかった。
でも、去る自分がそういうことを言うことがなんだか憚られた。
佐藤支店長がここまでしてくれるのは本当に嬉しい。
しかし、悪い気持ちもある。
トントン
櫻の部屋のドアがノックされた。
「はい、どなたですか?」
「僕、ヨウスケだよ。」
「望月さん、どうなさったんですか?どうぞ。」
ヨウスケを部屋に向かい入れた。
「望月さんが私に会いに来るなんて不思議ですね。」
「いやあ、今日、遅く帰ったでしょ。それで聞いてみたくてね。」
「何をですか?」
「今日会ったことだよ。」
「ちょっと言いにくいことです。」
「うん、それはわかってるよ。それをあえて聞いてるんだ。」
「どうして?」
「僕ね、今度女学生の物語が書きたいんだ。でもお金持ちのお嬢様じゃなくて、お嬢様の仮面を被った偽お嬢様のお話。」
「え?」
「僕は辻くんの親友だよ。他言はしないし、君が貧しい出のことも辻からは聞いてるよ。」
「そうだったんですか。」
「ちょっと嫌な気持ちになるかもしれないけどね、僕は櫻くんの小説を書いてみたい。」
「それは、ちょっと。。。」
「もちろん、君の名前は出さないし、設定だって変えるよ。」
「私、今、とても大事な時期なんです。」
「ますます、興味が湧くね。」
「もし、小説にしたいのであれば、それが終わってからにしていただけますか?」
「じゃあ、僕が逆に聞くけど、それはどんなことなの?」
「言いにくいです。」
「僕は他言しないよ。」
「でも、望月さんの小説にはアグリさんがたくさん出てきます。すぐにわかります。」
「それはアグリが承知してるからさ。他の女性はわからないようにしてるよ。」
「え、。じゃああの他の小説に出てきた恋人とかは本当の?」
「アグリだって気がついてるよ。」
「悪い人ですね。」
「そう言えるね。でも、職業婦人をしばらく書いていたんだけど、君に出会って、女学生というものに興味が湧いたんだよ。」
「私は典型的な女学生ではないですけど。」
「僕の小説も典型的じゃないよ。」
「そうですね。」
「じゃあさ、もちろん他言しないから、どうして今、書いちゃいけないのかだけ教えてくれる?」
櫻はしばらく考えた。望月がはなさないことはわかってる。しかし、小説になった時にいつかバレてしまうのでないかと不安になった。
「櫻くん、無理強いはしないよ。」
「いいえ、いいです。実は四月を目処に養女にという話がありまして。」
「ほお。それはとても興味深いし、知られてはいけないことだね。」
「そうです。だから、それが終わるまで待ってください。」
「わかったよ。いいところの家庭に入れることを祈るよ。」
櫻はこの家でもおもう十分だと本当は言いたかった。
でも、去る自分がそういうことを言うことがなんだか憚られた。
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