夢は職業婦人〜カラクリ御曹司と偽お嬢様の恋

有住葉月

文字の大きさ
355 / 419
第十六章 最終学年

76、坂本に相談

しおりを挟む
大杉と別れた後、車に乗って、辻は家に向かった。

「すまないね。連日あちらこちらへ。」
「いえ、ぼっちゃまはお忙しい人ですから。」


忙しいわけではない。自分で自分のことを解決できていないのだ。

「なあ、坂本、相談していいか?」
「なんですか?」
「さっき、大杉くんに僕は紫式部かって言われたんだ。」
「紫式部。いにしえの文豪に例えられたんですか?」
「いや、僕が櫻くんを紫の上にしてるっていうんだ。」
「ああ、そんなエピソードもありましたね。」
「正直どう思う?」
「プラスの意味で取ると共通点はあるかもしれませんね。しかし、櫻さんは坊ちゃんの手の中で管理している女性ではありません。」
「どういう意味だ?」
「紫の上はずっと光源氏に管理されていました。教育して。それも初恋の人に見立てて。」
「それがどうだっていうんだい?」
「坊っちゃまは、成長を促しているだけで、櫻さんをどうにか管理しようとはしていないのです。」
「でも。。」
「坊っちゃまらしくないですね。」
「そうだね、僕は櫻くんのことで少し弱くなってしまったかもしれない。」
「お分かりなんですね。」
「え?」
「坊っちゃまは櫻さんを失いたくない。それが滲み出てますよ。」
「それはそうだ。」
「櫻さんはとても聡明です。彼女が嘘をついて生きるべきか相談を受けたことがあります。」
「そんなことが?」
「私はあなたの人生や考えは嘘をつく必要はないと言いました。」
「それはそうだね。」
「でも、どうして坂本に言ったと思いますか?」
「うーん。僕だと恥ずかしいからかな?」

「いいえ、櫻さんは坊ちゃんを傷つけたくないということを一番に考えているのです。」
「え?」
「櫻さんは単なる恋愛対象として坊っちゃまと関わっているわけではないのです。」
「それはそうだけど。」
「だから、櫻さんがいうことを取りこぼしてはいけません。」
「どういう意味だい?」
「彼女は素直に生きることに決めました。それに圧をかけたり、したらいけないのです。」
「どっちの味方かわからないね。」
「そうです。私は坊っちゃまも櫻さんも大切です。二人の素敵な未来を応援したいのです。」
「坂本、君は本当にいろんなことを経験してきたから、尊敬しなくてはだね。」
「経験しても失敗します。もちろん、それは坊っちゃまも同じです。」
「僕も失敗を?」
「そう。だからこそ、ちゃんと対応しなくてはいけません。」
「失敗したら櫻くんを繋いでいられるかな。」
「坊っちゃまらしくいられれば、櫻さんは帰ってきます。」
「そうかな?」

大杉と話したことによって暗い影を落としていたが、坂本からのアドバイスで心が軽くなった辻であった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

処理中です...