大杉緑とは俺様だ(完結)

有住葉月

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第4章 結婚して変わったこと

16、今更吉田に

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大杉緑とは俺のことだ。

サチと家庭を作ろうと励もうとしたが、なぜか違和感がとれない。
それは、吉田とのことにあるだろうと、吉田をバーに呼び出した。

「おー、久しぶりだな、大杉。」
「ああ、ちょっと活動してたからな。」
「戻ったのか?」
「戻ったけど、反対されて、今は休止中だ。」
「意外だな。」
「何が?」
「お前はお前のしたいようにしてたから。」
「まあ、俺も保守的になってしまったのかもしれないよ。」
「大杉、俺は何の思想も持ってないから難しく言ってもわからないよ。」

ハハハと二人で笑った。
「どうしたんだ、でも。」
「俺さ、今まで夢中になってないことなんてなかったんだ。」
「ああ、そうだな。って言っても大体が女関係だったけど。」
「吉田にはほとんど見られてるしな。女の事に関しては師匠だ。」
「そんなふうに言うなよ。俺が好きだった女と結婚したのはお前だし。」
「ああ、そうなんだけどな。」
「何か問題があるのか?」
「ああ、ちょっと。」
「どうした?」
「本当はさ、お前にサチを預けたいと思っていたんだ。」
「過去形か?」
「うん。すまない。」
「いや、いいよ。サチさんの心にあるのは多すぎだしな。」
「え、そう思うのか?」
「お前気が付いてないのか。ずっとお前の気をひいていたよ。」
「そんなふうに思ってなかった。」
「お前は、色々な女と新鮮な恋愛してたからな。」
「でも、プレイボーイな吉田だって。」
「ああ、俺だって別にサチさんだけじゃなかったよ。でも、あんなにいい女巡り会えない。」
「そう言われると、ちょっと俺もすまないと思うな。」
「どうして?」
「吉田の方がずっとサチとうまくいくと思ってたからな。」

吉田は一息ついた。
「俺はそう言われても起こりはしないよ。でもそれをお前はサチさんに言ってしまうんだろ。」
「すでに言っている。」
「それが大杉緑なんだよ。お前はもしかしたら、新しい関係の構築が必要かもな。」
「どう言うことだ?」
「男でも女でも人と関わって、自分を見つめ直すことだよ。」

吉田に言われてハッとした。
俺は誰とでも上手くやっているようで、深く関わらなかった。

「吉田、ありがとう。」
「いや、これからもよろしくな。」

悪友と思っていた吉田がこんなに思慮深いとは思わなかった。
それくらい俺は周りが見えてなかったんだ。
と言うことで今日はこの辺りで、さらばである。
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