望月アグリと申します

有住葉月

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第5章 生まれる!

1、いよいよ陣痛がきました

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望月アグリと申します。
私の結婚話を話しておりますが、今回からちょっと話を進めます。

臨月に入りました私は相変わらず、のんびりとした生活を送っていました。

ある日、腰に激痛が走りました。
なんですか!

「あの、お母様」
「どうしたの、アグリ、」
「えっと、腰がすごく痛くて。」

「え!」

「どうか、なさいましたか?」

「陣痛かもしれん。」

すぐにお母様はお医者様を呼びました。

「ああ、こりゃあ、陣痛だわ。でも初産だからのう。あと2日くらいはかかるかのう。」

え!この痛みが2日も続くんですか?
誰も教えてくれてませんよ。

「アグリ、この痛みも出産にはつきものなのよ。」

泣きたいくらい痛いです。
ああ、そして、ヨウスケさんは結局こなかったのでしょうか。

その日の夜、私は痛みと戦いつつ、1人で部屋で横になっていました。

ガラス戸がトントンと叩かれました。

「うんしょ。」
カーテンを開けると、ヨウスケさんでした。

「ヨウスケさん。」
「うん、来たよ。」
「え!なんで」
「だって、子供が産まれるときは来るって約束したでしょ。」
「でもよくわかって。」
「実は駅前旅館に友人と泊まってたんだ。」
「え?恋人?」
「あ、そういうことはしないよ。辻くんという僕の友人ときたよ。」
「お友達?」
ああ、また痛いです。
「アグリ、つらそうだね。」
「はい、とても辛いです。」

「一緒にいたいけど、今日はこの辺りでお暇するよ。」
「え?」
「じゃあ、明日は表玄関から入ってくるからね。」
「え。ヨウスケさん。」
「グッバイ」

あー、こんなに苦しんでるのに!
私は身悶えをしながら、夜を過ごしました。
ヨウスケさんたらこんな私を置いて、行ってしまいました。

もう、大変な次第です。
やっぱり恋人ときたのかな、本当に友達なのかな、と不安になりました。
次の日に起こりうる大変な出来事はまだ痛みと戦う私にはわかりませんでした。
望月家は大変なことになります。

と言うことで、今日はこの辺りで失礼します。お粗末さまでした。
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