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ダリウス視点
しおりを挟む周囲の人間達は、俺とは違った。
馬鹿で、弱くて……醜くて。
でも、利用価値はあった。面倒なことを代わりにやってくれる奴。弾よけになる奴。性欲処理する奴。何でもやらせた。
だが、利用すると、調子に乗って、五月蠅く纏わり付いてくるし、視線が暑苦しいし……邪魔だった。
子供の頃は、それでも必要だったから上手く利用したが、大人になってからは……使ったら捨てるようにした。五月蠅い奴らが、最も五月蠅い瞬間は……ゾンビに噛まれる時だった。
鎖で繋いだゾンビの前に餌を差し出すように、手足を縛った人間を差し出すんだ。
「ダリウス!!ダリウス辞めてくれ!!助けてくれ!!」
元から綺麗でも無い顔を、涙と鼻水と血で汚し騒ぐコイツらは、ゾンビと同じくらい醜い。
「ぐあうぁああああ!!」
ゾンビに噛まれると、もっと酷い。
耳が壊れそうなくらい、恐怖と絶望で叫び……暴れ回る。
それから……人によるが、しばらく静かになる。その瞬間の人間は、嫌いじゃ無い。
無事に新しい飼い犬になったら、古い方を捨てて、新しい方を鎖に繋いだ。
俺は、そうしてずっと、下らない奴らと一緒に過ごすストレスを発散していた。
だけど、ある日。俺と違わない人間に出会った。
下野で出会った蒼陽は、美しかった。完璧な造形に完成された肉体。それに能力も申し分なく、初めて強さを認められる人間に出会った。
蒼陽は、俺と同じ人間だった。他のゾンビまがいな奴らとは違う。美しく、強い、この世でたった二人だけの人間だった。
だから、俺は蒼陽を認め、俺の物にしてやろうとアイツに近づいた。
蒼陽は、他の奴らみたいに、はしたなく俺を見たり、触ったり……俺のペニスをくわえに来たりはしなかった。そこも気に入った。仕方なく、特別に俺から声を掛け、構ってやった。
蒼陽は恥ずかしがって嫌がるフリをしていた。でも、わかっている。俺には、お前しかいないし、アイツには俺しか居ない。俺達以外には、もう人類は存在しないんだからな。
それなのに……アイツは、俺の側を離れようとした。
俺は、反省したよ。あまりに悠長に焦らしすぎたと。もっとちゃんと相手をしてやるべきだった。だから俺から迎えに行ってやったんだ。ちゃんと俺達の新しい家と、ペットも用意して。
なのに……あの年寄りが俺達の邪魔をした。
どうやら……そこそこ戦闘に関しては能力がありそうだったが、俺の蒼陽に手を出すなんて許せない。アイツを殺して、あのピンクの子犬を新しいペットにしよう。
俺は、家に戻って、地下の檻に閉じ込めたペットを見に行った。
「うぅ……ダリウス……なぜ……」
「助けてくれ……お願いだっ……ゾンビになるなんて嫌だ!!」
「殺してやる!!殺してやるからな!!」
下野から纏わり付いてきた五月蠅い奴らが騒いでいる。眠らせてから檻に投げ込んで、外から撃った時は元気に踊っていたけれど……大分、血を流して、喋れる奴が減ってきた。死んでからはゾンビに出来ないからな。そろそろペットに餌をやらないと。
「餌の時間だ」
檻の中のゾンビの首輪に繋がった鎖を外した。中の奴らが一斉に騒ぎ出して、地面に血をまき散らしながら元気に遊び始めた。
「あははは……蒼陽!お前にも見せてやりたかったぞ!この光景が一番楽しい……興奮してきた……」
本当ならば、今頃、この楽しい光景の中で、蒼陽と抱き合うつもりだった。
仕方ない……他の方法で、この興奮を鎮めなければ……くそっ……取り巻きは全員檻の中に捨ててしまった。
「……そうだ」
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