ゾンビBL小説の世界に転生した俺が、脇役に愛され過保護される話。【注、怖くないよ】

いんげん

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終幕

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「あっ…」

 昼ご飯を食べに屋上への階段を上っていたとき、うっかり足を踏み外した。
 すると直ぐ横を歩いていた豹兒が腰を支え、一歩前を歩いていた蒼陽が肩を掴み引き寄せ、ジフが後ろから俺の頭を押さえた。

「あっ、じゃねーぞお前!!」
 ジフが怒っている。
「ポチ……もう、ドキドキしたよ。気をつけて」
 蒼陽が眉毛をハの字にして苦笑している。
「……」
 豹兒は、深いため息をついている。

「てめぇ、怪我すんなって言われてるつーのに、その脳みそには注意力はねーのか」
 何故かすっかり過保護が度を超えてきた皆が口うるさい。
 ちょっとコケただけで大騒ぎされるし、天気いいなぁってぼーっとしているだけで「ポチ!ポチ!」と深刻な顔で話しかけられる。心配してくれるのは嬉しいけど……それが四人もとなると、先生と一緒に苦笑するしか無い。

「はいはい、ありがとうジフ」
 なにげに一番心配症なジフを振り返って、その逞しい肩に手を置いた。
「……おまえ……舐めてんじゃねぇぞ!!」
「舐めてない!」
 ジフが怒りだしたから、ダッシュで階段を上り始めると「ポチ、気をつけて…」と蒼陽がついてくる。さり気なく豹兒も併走しているし……俺…歩き出したばっかりの子供じゃ無いんだけど……。
 そのうち転倒しても大丈夫みたいな可愛いリュックとか調達されそうで怖い。

□□□□

「ふへへへ」
 今は、豹兒と外の畑仕事中だけど……ちょっとだけ、おさぼり休憩中だ。
 俺は、ベンチに座る豹兒の背中に抱きついて、首に顔を擦りつけている。
「ポチ、笑い方、気持ち悪い」
「だって、豹兒が格好いいのが悪いよ」
 日に日に大人っぽくなっていく豹兒は、抱き合うほどに雄の色気も増して……もう、目線が絡むだけで、心臓を撃ち抜かれる。格好いい……素敵すぎる。
「……」
 満更でも無い豹兒は、自分の首に巻き付く俺の腕を優しく撫でてくれる。
「あっ!そういえば、この前来た下野の人……凄い豹兒の事、熱い視線で見つめてて……俺、嫉妬心がやばかった」
 最近では、診療所もあるし他のグループの人も出入りしたりするようになって、改めて此処のみんなの顔面偏差値の異常さに気づく。もう……ちょっとしたアイドルグループみたいな感じだよ。四人とも。来た人達は彼らが通る度に、ぼーーっと見つめているのだ。
 気持ちはわかる。すごくわかる。でも、あわよくば……みたいに豹兒が話しかけられているのを目撃すると、イライラしてしまう。まぁ、豹兒は全然相手にしてないんだけど。
「興味ないし、別に見られてない……蒼陽じゃないの」
「みんなだよ!意外とジフまでモテモテだし……なんか納得いかない」
「……ポチが来るまで……ジフ……行く先々に……いや、まぁいいや」
 行く先々に!?なに……なんなのだ。
「それより……ポチは外の奴らの前に出てこないでよ……」
「それさぁ……」
 何かされそうになっても自分で対応できないからって、客が来ると「犬、ハウス」ってジフに追いやられる。だから俺の交友関係は、ほぼほぼ広がっていない。二階からひっそり見てるだけだ。
「ポチ……」
 豹兒の顔が俺の方を振り返った。
 そして……最近、手に入れた……必殺ワザ、片側だけ口角上げて薄く微笑む顔で俺を見つめた。
「……はい」
 格好いいが過ぎる。つい従ってしまう。
 わかっててやっている豹兒が酷い。
 恋愛バブちゃんだった豹兒が懐かしい。
「……ポチ」
 豹兒の手が俺の頬に触れて、優しく引き寄せられて……唇が重なる。
 今度は、本物の豹兒の笑顔が見られた。
 優しくて、可愛いヤツ。
「ふへへへ」
「だから、気持ち悪いって」
 豹兒が笑って言った。
「だってさ、好きだし!」
 俺も笑った。

「おい!お前ら……何いちゃついてんだ!!」
 遠くからジフの声が聞こえた。

 ゾンビBL小説の世界は、何だか今日も意外と平和です。



 おしまい

 




(今後、もしもジフと結ばれてたらの番外編一つ、アップ予定です。)
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