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過保護

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洋服を仕立てるために、採寸をされました。

オルニスに…。

何でプロがやらないの?と思ったけど、そうか…不細工だから触りたく無いのか…と気がついたので、僕は突っ込んだりしないぞ。空気読めるからね。

それにしても、オルニスはそこそこ羽振りが良いように思えるけど…なんのお仕事をしているのだろうか。

まさか空飛ぶ宅急便じゃないよね。

仕立て屋さんが帰って行ったので聞いてみる事にする。

「オルニス、何の働くする、金ある」

「ん?金なら少しは持っているぞ?なにか欲しいものがあるのか?いくらでも言ってみろ」

オルニスが僕を椅子に座らせて、目の前でしゃがんだ。

「ちゃうの!オルニス、しごこ何ある!」

「しごこ……仕事か!今は特にない。里を出てきたが、しばらく帰るつもりも無い。でも、安心しろ、不自由はさせない。使用人も呼んでいる」

オルニスが僕の手を握った。

ちょっと待て!
色々推測するに…金持ちのボンボンだったのに、両親の死後、不細工過ぎて里を追い出され、命からがら逃げて来たの!?

えーー!!オルニス大丈夫なの!!

これは…僕が何とか仕事を見つけないと!!空飛ぶ宅急便とか!
モンスター倒しとか、賞金稼ぎとか!

「オルニス…大丈夫よ……チーロ、大きくなる急ぐ!」

「大きくなる?いや…チーロは、それで十分可愛い…最強だ……それに…多分…」

オルニスの眉がハの字になっている。
そうだよね、住所不定無職で弟を抱えるオルニスの苦労が忍ばれる。
僕は、オルニスの肩口まで伸びている金髪を撫でた。
弟に甘えても良いんだよ、とニッコリと微笑んだ。不細工でごめんだけど。

「チーロ…」

オルニスの顔がなぜか、ゆっくりと近づいてくる。
えっ…近っ!!なに!?試されてる?
不細工な自分の顔に、どこまで耐えられるか試されてる!

「…チーロ、オルニスのお顔好きしてる」

「……」

オルニスの間近になった頬を両手で掴んで、蒼い目を見つめた。

「オルニスお顔、うちゅちゅしい!!羽根も茶色かっこいいのよ!!」

「……チーロ……」

容姿を褒められ慣れてないオルニスがとても複雑な顔をしている。

「チーロ、フライドチキンする!ヘルプミーしろろ!」

オルニスの顔から手を離して、椅子の上に立ち上がる。
自立のため飛ぶ練習をしなければ!!

「んんんん…」
踏ん張って、羽根に力を入れてみる。
オルニスが立ち上がって心配そうに手を広げた。

「オルニス!羽根!チーロの羽根ブワッして!」
「あっ…ああ」
オルニスが僕の白い小さな羽根を優しく開いて持ってくれた。
うぅ…羽根触られるのって、くすぐったい…。

「パタパタ…パタパタ」

動かすイメージで念じてみる。

動かない。

「パタパタ…」

「チーロ…あのな…」

「離すだめ!!」

「…悪い…」

ピク…ピク…

むむむ…ちょっとだけ、先っちょが動いた!!

ピク…

「チーロ…凄い!!少し動いてるぞ!!……チーロの羽根…動かせるのか…」

えっ…ちょっと待って、オルニス何泣いてるの。
涙がホロホロとオルニスの頬を流れている。

これって、まさか赤ちゃんが初めて立てた的なそれ?
やめてよ…凄く恥ずかしい!

「オルニス!泣くないの!」

「あ…ああ…すまない……嬉しくて…」

オルニスが涙を浮かべながら微笑んで、僕の羽根を広げて持った。

「んーーー!!飛べ!!」

椅子から飛び降りたら、すかさずオルニスが脇役に手を入れて、着地させてくれた。

「…チーロ、危ないぞ」

「………」

駄目だ!過保護過ぎる!これじゃ、何の練習にもならない!!

「チーロ、練習やめりゅ」

「あぁ、良く頑張ったな」

えええええ!?どこが!!

どんだけ…オルニスって…ブラコン…

やっぱり、オルニスが居ない所でやろう。階段とかで。



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