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前篇
一ノ瀬結衣①
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――ここはどこだ?
さっきまでいた家じゃない。どこかの旅館の一室のようで、玄関の前にはガラス戸がある。中は脱衣所のようだ。奥に入ると温泉だった。湯船のお湯を手ですくうと泉質が柔らかそうだ。
「気持ちよさそう……」
温泉を出て廊下を歩くと和室がある。座布団とこたつ、湯飲みがあった。さらにその隣はキッチンになっている。
これは夢なんだろうか……?
コンコン。玄関のドアをノックする音がした。
「誰だろう?」
僕はドアを開けた。そこには、見知らぬ女性が立っていた。いや、知らないはずなのだが、どこかで見たことがあるような……。
「計希(かずき)くん、ひさしぶり」
清楚な美人で、それでいてかわいらしい微笑み。こんな笑顔の子がクラスにいれば、ほとんどの男子が気になってしまうだろう。吐息すら甘いように感じる。
「……結衣ちゃん?」
「うん。私は一ノ瀬結衣よ」
はにかみながら答える。そうだ、転校する前――つまり小学二年の時、気になっていた女子だ。クラスの男子の人気ナンバーワンだったなあ。
「上がっていい?」
「う、うん。どうぞ」
と言っても僕の家じゃないけど。今、ダリア・クロックの光の作用で夢のような空間にいるということか。じゃあこれも夢なのか……。
とりあえず和室に通し、座布団に座ってもらう。短めのスカートだ。きれいな太ももに目がいってしまう。
「私、きれいになったかな?」
「うん。とっても」
正直に言った。子供の頃から美人だったが、大人になってさらにきれいになった。スタイルもよく、胸もふくよかで脚もスラッとしている。
「計希くん、かっこよくなったね」
「そうかな?」
妻にはいつも服装のセンスの悪さやくせっ毛のみっともなさを指摘されるのだが……。
「あの頃より、かっこいいわ」
潤んだ目で微笑まれると、心臓がバクバクという。
「あ、あのさ、聞きたかったことがあるんだ」
「何?」
僕は彼女の目を見て言った。胸に行きそうな視線をなんとか外しながら……。
「夏の終わりの体育でプールに入ったとき、いきなり後ろから抱きついてきたことあったよね? 結衣ちゃんみたいなかわいい子に抱きつかれてびっくりして……」
すると結衣は顔を赤くした。
「好きだったの……」
「え?」
「計希くんのことが好きだったの。だから、みんなが見ていないかなって隙を見て、抱きついたの」
そ、そうだったのか!?
「計希くん、あの年の納涼会の時、会ったよね? 覚えてる?」
確か八月の半ばだったか、地元の大きな店の二階に親父と行った。大人たちばっかりでつまらなさそうと思っていたら、クラスメートの結衣ちゃんがいたのだ。
「私も大人ばっかりでどうしようって思っていて……そうしたら、計希くんがいてホッとしちゃって」
その後、二人で一緒におもちゃで遊んだりビンゴでもらった景品を見せ合ったり、いろいろな話をして盛り上がった。帰る時は「また学校でね」と握手したっけ。
「優しい人なんだなって…その時から気になっちゃって」
それからは、みんなで結衣ちゃんの家に遊びに行ったことがあったけど、後日、僕一人で遊びに行ったこともあった。かわいい女の子と二人で遊ぶのはドキドキした。
「ねえ、ここ温泉あるんでしょ? 一緒に入らない?」
「う、うん」
そういうと、二人で温泉の脱衣所に移動した。
さっきまでいた家じゃない。どこかの旅館の一室のようで、玄関の前にはガラス戸がある。中は脱衣所のようだ。奥に入ると温泉だった。湯船のお湯を手ですくうと泉質が柔らかそうだ。
「気持ちよさそう……」
温泉を出て廊下を歩くと和室がある。座布団とこたつ、湯飲みがあった。さらにその隣はキッチンになっている。
これは夢なんだろうか……?
コンコン。玄関のドアをノックする音がした。
「誰だろう?」
僕はドアを開けた。そこには、見知らぬ女性が立っていた。いや、知らないはずなのだが、どこかで見たことがあるような……。
「計希(かずき)くん、ひさしぶり」
清楚な美人で、それでいてかわいらしい微笑み。こんな笑顔の子がクラスにいれば、ほとんどの男子が気になってしまうだろう。吐息すら甘いように感じる。
「……結衣ちゃん?」
「うん。私は一ノ瀬結衣よ」
はにかみながら答える。そうだ、転校する前――つまり小学二年の時、気になっていた女子だ。クラスの男子の人気ナンバーワンだったなあ。
「上がっていい?」
「う、うん。どうぞ」
と言っても僕の家じゃないけど。今、ダリア・クロックの光の作用で夢のような空間にいるということか。じゃあこれも夢なのか……。
とりあえず和室に通し、座布団に座ってもらう。短めのスカートだ。きれいな太ももに目がいってしまう。
「私、きれいになったかな?」
「うん。とっても」
正直に言った。子供の頃から美人だったが、大人になってさらにきれいになった。スタイルもよく、胸もふくよかで脚もスラッとしている。
「計希くん、かっこよくなったね」
「そうかな?」
妻にはいつも服装のセンスの悪さやくせっ毛のみっともなさを指摘されるのだが……。
「あの頃より、かっこいいわ」
潤んだ目で微笑まれると、心臓がバクバクという。
「あ、あのさ、聞きたかったことがあるんだ」
「何?」
僕は彼女の目を見て言った。胸に行きそうな視線をなんとか外しながら……。
「夏の終わりの体育でプールに入ったとき、いきなり後ろから抱きついてきたことあったよね? 結衣ちゃんみたいなかわいい子に抱きつかれてびっくりして……」
すると結衣は顔を赤くした。
「好きだったの……」
「え?」
「計希くんのことが好きだったの。だから、みんなが見ていないかなって隙を見て、抱きついたの」
そ、そうだったのか!?
「計希くん、あの年の納涼会の時、会ったよね? 覚えてる?」
確か八月の半ばだったか、地元の大きな店の二階に親父と行った。大人たちばっかりでつまらなさそうと思っていたら、クラスメートの結衣ちゃんがいたのだ。
「私も大人ばっかりでどうしようって思っていて……そうしたら、計希くんがいてホッとしちゃって」
その後、二人で一緒におもちゃで遊んだりビンゴでもらった景品を見せ合ったり、いろいろな話をして盛り上がった。帰る時は「また学校でね」と握手したっけ。
「優しい人なんだなって…その時から気になっちゃって」
それからは、みんなで結衣ちゃんの家に遊びに行ったことがあったけど、後日、僕一人で遊びに行ったこともあった。かわいい女の子と二人で遊ぶのはドキドキした。
「ねえ、ここ温泉あるんでしょ? 一緒に入らない?」
「う、うん」
そういうと、二人で温泉の脱衣所に移動した。
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