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前篇
結衣と由香①
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ある日の出勤で、電車の中の女性たちが花言葉で盛り上がっていた。
僕はふと気になって調べてみた。ダリアの花言葉は「華麗、優雅、気品」など華やかなものが多い。一方で、あまりよくないものもある。それは
移り気、裏切り、不安定
などだ。さしずめ、異性に対してフラフラする欲求を満たすという意味で、この時計にはダリアの刻印がされているのかもしれない。
今朝も妻はあまり機嫌がよろしくなかった。夜中に娘に乗られて起き、そこからあまり寝付けなかったようだ。その時、僕が起きずにグーグーと寝ているのも気にくわなかったらしい。
自分の機嫌は自分でとってほしいものだ……。
というわけで、今日も僕はダリア・クロックを使った。
例の部屋に入ると、女性の話し声がする。あれ? 今日は複数なのか? 和室をのぞいてみると、結衣ちゃんと由香さんが楽しそうに談笑していた。
「あ、計希(かずき)くん」
「待っていたよ」
美人タイプで長い髪の結衣ちゃんと、素朴なかわいさでセミロングの由香ちゃん。違うタイプの好きな女性が二人もいる。しかも、どちらも僕のことが好きみたいだ。なんともぜいたくな場面である。
二人ともキャミソールにミニスカートである。目のやり場に困る格好だ。
「ねえ、今日はどうしよっか?」
「そうだねえ……」
ふと、自分が空腹であることに気付く。
「二人とも、おなかすいていない? 何か作ろうか?」
「え?」
僕はキッチンにある冷蔵庫を開けた。トマトやきゅうりといった夏野菜、たまご、生のうどん。調味料はしょうゆとマヨネーズ。シンクの引き出しにはかつおぶし、みりんがある。女性なら、あぶらっこいものよりさっぱり系がいいよな……。
「暑いし、夏野菜の冷やしうどんにしようかな」
そういうと、僕はまず鍋に水を入れて火をかけた。すぐにしょうゆとみりんを入れ、沸騰したらかつお節を入れる。これでめんつゆが完成し、氷を入れたボールで鍋ごと冷やす。その間に卵焼き器で金糸卵を作る。トマトときゅうりを切り、ノンオイルのツナ缶を開ける。別の鍋でうどんをゆで、あげたら水でしめて冷ます。最後はうどんに野菜、卵、ツナを盛り付け、めんつゆをかけてできあがりだ。
「…すごーい! おいしそう!」
「こんなささっと作れるなんて……しかもめんつゆが手作り」
二人とも頬を染めてポーッとしている。いや、慣れていれば簡単に作れるけど……。
「いただきまーす!」
「どうぞ、召し上がれ」
彼女らはうどんをちゅるっとすすった。
「おいしい! 卵は甘いし、つゆも絶妙な味!」
結衣ちゃんが笑顔で言った。
「ほんと、野菜とかツナも合っている。計希くん、かっこいい!」
由香ちゃんが絶賛してくれた。しょっちゅう作っているメニューだから慣れているのだ。休みの日に作るたび、妻からは「またー?」と文句を言われるのだが……。
「あ、二人ともビールもあるけど飲む?」
「うんっ!」
彼女らはかわいくうなずいた。
僕はふと気になって調べてみた。ダリアの花言葉は「華麗、優雅、気品」など華やかなものが多い。一方で、あまりよくないものもある。それは
移り気、裏切り、不安定
などだ。さしずめ、異性に対してフラフラする欲求を満たすという意味で、この時計にはダリアの刻印がされているのかもしれない。
今朝も妻はあまり機嫌がよろしくなかった。夜中に娘に乗られて起き、そこからあまり寝付けなかったようだ。その時、僕が起きずにグーグーと寝ているのも気にくわなかったらしい。
自分の機嫌は自分でとってほしいものだ……。
というわけで、今日も僕はダリア・クロックを使った。
例の部屋に入ると、女性の話し声がする。あれ? 今日は複数なのか? 和室をのぞいてみると、結衣ちゃんと由香さんが楽しそうに談笑していた。
「あ、計希(かずき)くん」
「待っていたよ」
美人タイプで長い髪の結衣ちゃんと、素朴なかわいさでセミロングの由香ちゃん。違うタイプの好きな女性が二人もいる。しかも、どちらも僕のことが好きみたいだ。なんともぜいたくな場面である。
二人ともキャミソールにミニスカートである。目のやり場に困る格好だ。
「ねえ、今日はどうしよっか?」
「そうだねえ……」
ふと、自分が空腹であることに気付く。
「二人とも、おなかすいていない? 何か作ろうか?」
「え?」
僕はキッチンにある冷蔵庫を開けた。トマトやきゅうりといった夏野菜、たまご、生のうどん。調味料はしょうゆとマヨネーズ。シンクの引き出しにはかつおぶし、みりんがある。女性なら、あぶらっこいものよりさっぱり系がいいよな……。
「暑いし、夏野菜の冷やしうどんにしようかな」
そういうと、僕はまず鍋に水を入れて火をかけた。すぐにしょうゆとみりんを入れ、沸騰したらかつお節を入れる。これでめんつゆが完成し、氷を入れたボールで鍋ごと冷やす。その間に卵焼き器で金糸卵を作る。トマトときゅうりを切り、ノンオイルのツナ缶を開ける。別の鍋でうどんをゆで、あげたら水でしめて冷ます。最後はうどんに野菜、卵、ツナを盛り付け、めんつゆをかけてできあがりだ。
「…すごーい! おいしそう!」
「こんなささっと作れるなんて……しかもめんつゆが手作り」
二人とも頬を染めてポーッとしている。いや、慣れていれば簡単に作れるけど……。
「いただきまーす!」
「どうぞ、召し上がれ」
彼女らはうどんをちゅるっとすすった。
「おいしい! 卵は甘いし、つゆも絶妙な味!」
結衣ちゃんが笑顔で言った。
「ほんと、野菜とかツナも合っている。計希くん、かっこいい!」
由香ちゃんが絶賛してくれた。しょっちゅう作っているメニューだから慣れているのだ。休みの日に作るたび、妻からは「またー?」と文句を言われるのだが……。
「あ、二人ともビールもあるけど飲む?」
「うんっ!」
彼女らはかわいくうなずいた。
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