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前篇
仕事の後に
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結局、その日は閉店まで仕事をするはめになった。
僕はデリバリーに出ず、フライヤー付近を片付けてあがろうと思ったのだが、副店長から「すまん時任、厨房の片付けもやってくれるか」と頼まれた。なんと、厨房の片付けで来る人が倒れて病院に運ばれたらしい。その人は五十代のおじさんで、本職の工場勤めだけでは経済的に厳しいため、アルバイトをしているとのことだ。
「今日はいろいろありますね……副店長、厄日ですか?」
「そうかもな……」
僕はテリバリーの帽子を脱ぎ、厨房用の帽子をかぶって、チキンをあげていた男性と一緒に片付けを始めた。
二人とも二年以上バイトをしてきたので問題ないだろう。チキンの残量を見ながら、使わなくなったトレイや圧力釜を洗浄していく。フライヤーで使用した油がかかった器具も厨房スタッフが洗う。結局、閉店十時とほぼ同時に片付けが終わった。カウンターも店頭の鍵を閉め、業務終了だ。
「はあ終わった。今日は長かったなあ」
僕は伸びをした。日曜日の上にサッカー観戦があったから忙しかった。しかも、人が急に休むというアクシデントつき。でも、何とか乗り切った。残っているのは、副店長、僕、由希姉、四宮さん、厨房の人の五人だ。
「さあ、チキン食べよ」
由希姉はルンルン気分で休憩室に行く。余った商品は最後に捨てるので、食べることができるのだ。
しかし、残っていたのはチキンが四ピース、ポテト少々とビスケットが二つ、賞味期限が切れるパンを使ったサンドが一つ。
「え、これだけ?」
由希姉が愕然とする……って、そんな顔しなくても。
「いつも楽しみにしているのにー! 何でこれだけなのよー」
「あのな、企業として食品ロスを出すのは避けるべきだろう。むしろ、ロスをここまで減らしたことを褒めてくれよ」
反論する横で、副店長が苦笑している。まあ、夜ごはんも食べずにがんばったから、腹も減っている。厨房の人はさっさと帰り、副店長もまだやることがあるから、僕ら三人で店を出た。
「かずくん、どうする? ごはん食べにいかない?」
「そうだな、行くか」
僕は家が近いから基本的に歩いてきている。由希姉は車だ。軽自動車とはいえ、フリーターなのに車を買うなんてうらやましい。
「四宮さんも行く?」
由希姉が声をかける。
「いいんですか? 行きます」
満面の笑顔で答えた。運転席には由希姉、助手席に僕、後部には四宮さんが乗る。
「でも四宮さん、家の人心配しない?」
「大丈夫ですよ、私ひとり暮らしなんで」
ということで、少し離れたところにあるファミレスを目指した。
国道沿いにあるファミレスに車を停め、店内に入る。
「あれ?」
そこは……いつもダリア・クロックを使うと入る温泉のある部屋だった。
僕はデリバリーに出ず、フライヤー付近を片付けてあがろうと思ったのだが、副店長から「すまん時任、厨房の片付けもやってくれるか」と頼まれた。なんと、厨房の片付けで来る人が倒れて病院に運ばれたらしい。その人は五十代のおじさんで、本職の工場勤めだけでは経済的に厳しいため、アルバイトをしているとのことだ。
「今日はいろいろありますね……副店長、厄日ですか?」
「そうかもな……」
僕はテリバリーの帽子を脱ぎ、厨房用の帽子をかぶって、チキンをあげていた男性と一緒に片付けを始めた。
二人とも二年以上バイトをしてきたので問題ないだろう。チキンの残量を見ながら、使わなくなったトレイや圧力釜を洗浄していく。フライヤーで使用した油がかかった器具も厨房スタッフが洗う。結局、閉店十時とほぼ同時に片付けが終わった。カウンターも店頭の鍵を閉め、業務終了だ。
「はあ終わった。今日は長かったなあ」
僕は伸びをした。日曜日の上にサッカー観戦があったから忙しかった。しかも、人が急に休むというアクシデントつき。でも、何とか乗り切った。残っているのは、副店長、僕、由希姉、四宮さん、厨房の人の五人だ。
「さあ、チキン食べよ」
由希姉はルンルン気分で休憩室に行く。余った商品は最後に捨てるので、食べることができるのだ。
しかし、残っていたのはチキンが四ピース、ポテト少々とビスケットが二つ、賞味期限が切れるパンを使ったサンドが一つ。
「え、これだけ?」
由希姉が愕然とする……って、そんな顔しなくても。
「いつも楽しみにしているのにー! 何でこれだけなのよー」
「あのな、企業として食品ロスを出すのは避けるべきだろう。むしろ、ロスをここまで減らしたことを褒めてくれよ」
反論する横で、副店長が苦笑している。まあ、夜ごはんも食べずにがんばったから、腹も減っている。厨房の人はさっさと帰り、副店長もまだやることがあるから、僕ら三人で店を出た。
「かずくん、どうする? ごはん食べにいかない?」
「そうだな、行くか」
僕は家が近いから基本的に歩いてきている。由希姉は車だ。軽自動車とはいえ、フリーターなのに車を買うなんてうらやましい。
「四宮さんも行く?」
由希姉が声をかける。
「いいんですか? 行きます」
満面の笑顔で答えた。運転席には由希姉、助手席に僕、後部には四宮さんが乗る。
「でも四宮さん、家の人心配しない?」
「大丈夫ですよ、私ひとり暮らしなんで」
ということで、少し離れたところにあるファミレスを目指した。
国道沿いにあるファミレスに車を停め、店内に入る。
「あれ?」
そこは……いつもダリア・クロックを使うと入る温泉のある部屋だった。
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