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2話 運命の出会い
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帰り道のことだ。
「ふぅ……」
私は溜息をつく。
すると後ろから誰かが声をかけてきた。
「あれ? 君も今帰っているところかい?」
振り返るとそこには金髪碧眼の男性がいた。
背丈は高く180センチくらいだろうか。
顔立ちは整っており、どこか気品を感じる風貌だった。
服装は黒い燕尾服に白い手袋。
髪はオールバックにして後ろに流しており、左目にはモノクルをつけていた。
まるで執事のような出で立ちをしている。
ただその瞳からは優しさのようなものを感じた。
「えっと、あなたは?」
「ああ、失礼したね。僕はアルフレッド・ローゼンバッハという者だよ。一応貴族なんだけれどあまり気にしないでくれたまえ」
「あっそうなんですか。すみません」
「いいんだ。僕自身も爵位とか興味ないからさ」
「そうなんですか」
私は少し驚く。
この人見た目に反してかなり変わっているようだ。
「ところで君はどうやら随分落ち込んでいるように見えるけどどうかしたのかな?」
「いえ、実は婚約破棄されまして……」
「おやまあそれは大変だね。一体誰にだい?」
「イギータ・パブリシェンコっていう方です。ご存知ですか?」
「おお! 彼かね!?」
「知ってるんですか?」
「うん! 僕の近所に住んでるぞ!」
「へぇ~そうなんですか」
何とも意外な繋がりがあったものだ。
しかし、こんな人もいるのか……。
世の中広いものである。
「それで彼はどうして君みたいな素敵そうな人を振ったんだい?」
「私の方が彼の才能を上回っちゃってたみたいですね」
「ほう? 君のヴァイオリンの腕は世界的にもトップレベルだし仕方がないと思うけどね」
「ありがとうございます。でも、私の実力ではなくて、単に彼が自分に自信を持てなかっただけなんでしょうね」
「うーん……なるほどねえ。そういうこともあるかもしれないね」
「はい」
私は歩きながら会話をする。
何というか不思議な人だった。
「そういえば君はこれからどこに行くつもりなのかな?」
「今日は普通に家に帰ろうと思います。婚約破棄のことも両親に告げないといけないので」
「そうかい。それじゃあまた会おうじゃないか」
「はい、では」
私は彼と別れ帰路につく。
そして家に着くと母さんが出迎えてくれた。
「おかえりなさいエマ」
「ただいま母さん」
「聞いたわよ。貴方婚約破棄されたんでしょ?」
「まあ、うん……」
私は苦笑いする。
「可哀想なエマ。泣いていいのよ」
「別に大丈夫だってば……」
私は自室に戻る。
すると机の上に手紙が置いてあった。
(ん?)
私は首を傾げる。
差出人は書いていないし宛名も書かれていない。
ただ一言『明日の夕方に王立音楽ホールに来られたし』と書かれていただけだった。
「ふぅ……」
私は溜息をつく。
すると後ろから誰かが声をかけてきた。
「あれ? 君も今帰っているところかい?」
振り返るとそこには金髪碧眼の男性がいた。
背丈は高く180センチくらいだろうか。
顔立ちは整っており、どこか気品を感じる風貌だった。
服装は黒い燕尾服に白い手袋。
髪はオールバックにして後ろに流しており、左目にはモノクルをつけていた。
まるで執事のような出で立ちをしている。
ただその瞳からは優しさのようなものを感じた。
「えっと、あなたは?」
「ああ、失礼したね。僕はアルフレッド・ローゼンバッハという者だよ。一応貴族なんだけれどあまり気にしないでくれたまえ」
「あっそうなんですか。すみません」
「いいんだ。僕自身も爵位とか興味ないからさ」
「そうなんですか」
私は少し驚く。
この人見た目に反してかなり変わっているようだ。
「ところで君はどうやら随分落ち込んでいるように見えるけどどうかしたのかな?」
「いえ、実は婚約破棄されまして……」
「おやまあそれは大変だね。一体誰にだい?」
「イギータ・パブリシェンコっていう方です。ご存知ですか?」
「おお! 彼かね!?」
「知ってるんですか?」
「うん! 僕の近所に住んでるぞ!」
「へぇ~そうなんですか」
何とも意外な繋がりがあったものだ。
しかし、こんな人もいるのか……。
世の中広いものである。
「それで彼はどうして君みたいな素敵そうな人を振ったんだい?」
「私の方が彼の才能を上回っちゃってたみたいですね」
「ほう? 君のヴァイオリンの腕は世界的にもトップレベルだし仕方がないと思うけどね」
「ありがとうございます。でも、私の実力ではなくて、単に彼が自分に自信を持てなかっただけなんでしょうね」
「うーん……なるほどねえ。そういうこともあるかもしれないね」
「はい」
私は歩きながら会話をする。
何というか不思議な人だった。
「そういえば君はこれからどこに行くつもりなのかな?」
「今日は普通に家に帰ろうと思います。婚約破棄のことも両親に告げないといけないので」
「そうかい。それじゃあまた会おうじゃないか」
「はい、では」
私は彼と別れ帰路につく。
そして家に着くと母さんが出迎えてくれた。
「おかえりなさいエマ」
「ただいま母さん」
「聞いたわよ。貴方婚約破棄されたんでしょ?」
「まあ、うん……」
私は苦笑いする。
「可哀想なエマ。泣いていいのよ」
「別に大丈夫だってば……」
私は自室に戻る。
すると机の上に手紙が置いてあった。
(ん?)
私は首を傾げる。
差出人は書いていないし宛名も書かれていない。
ただ一言『明日の夕方に王立音楽ホールに来られたし』と書かれていただけだった。
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