虐待され続けた少女は何を願う

みな

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1章

2話

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この国では十五歳になったと同時に教会へ行き審査というものを受ける。この審査では魔法を司る精霊からの加護があるかどうかの審査を行われる。一般のものは魔法を使用する際魔力を対価として支払うため、魔法を使うには限度がある。


しかし加護がある者はその属性の魔法を使用する際に対価を必要としないため自在に操ることができるのだ。そのため加護があると認められたものは国で重宝されるのだ。
 
 
 ごく稀に加護の上の存在である愛し子となる者もいるがその数は極めて少なく、それぞれの魔法を司る精霊に対し一人までと決まっている。
 

この国には火・水・木・光の魔法が存在し、精霊は四人存在すると言われているため、愛し子になれる人間はたったの四人であり、噂によると愛し子になれたものはその精霊の姿を見ることが出来ると言われている。


「ロベルト、今日は審査の日だね!僕たちに精霊の加護があればいいのにね!」
「そんな簡単に手に入ったらこの国はもっと進展してる」
「ロベルトは魔法も剣術も王宮で一番だからそんなこと言えるんだよ?僕みたいな平凡な騎士は縋れるものには縋りたいの!」


「平凡な騎士じゃなくて王宮で2番目の強さを持つ王宮騎士団の副団長の間違いだろ?」
「そんなこと言っても何も出ないから!」
「そんなうじうじしてねぇーでさっさと教会行くぞ。加護があろうがなかろうが俺たちがあの頃に誓った信念は変わらねえだろ?」
「そうだけど...」


 教会に着くと今年十五歳になった人たちの行列が出来ていて王宮で朝練をしてからきた俺とステファノは最後尾らへんにいた。(審査にはそんなに時間はかからないが、この人数では俺たちに順番が来るのはあと4時間後ぐらいってとこか...)


「ロベルトもうすぐだよ!」
「あぁそうだな、だがもっと早くに来とくべきだったな。団長と副団長が一日も不在じゃ騎士団の練習も捗らないだろう」


「次の方こちらにお立ちください」
 教会の役人の声が聞こえ、俺の幼なじみであるステファノが役人の前に置いてある魔法陣の上に立つと、急に魔法陣が光出した。
「うわぁっ!」


「ステファノ!大丈夫か⁉︎」
 思わず助けに行こうとすると、魔法陣の光は消え、代わりに見えたのは役人の大きく見開いていた。
「これはっ...精霊の愛し子である証です。ステファノ様、貴方の近くに精霊様が見えるはずです。」
「あっほんとだ!君が僕の精霊さん?僕はステファノ・ベルゴって言うんだ!よろしく!」


 何に向かって話しているのか全くわからないが、おそらくあそこに精霊とやらがいるのだろう。愛し子というのは本当にごく稀だと聞いた。そんな精霊に選ばれるなんて少し羨ましいと思ってしまった。


役人が気を取り直して再び俺に声をかけた。
「次の方こちらにお立ちください」
ついに自分の番が来て俺が魔法陣の上に立つと、また魔法陣が光った。
それを見てとうとう役員は固まってしまった。
悪いことをしたなと思いながら俺は聖霊とやらを探すと、妙に場違いな格好をしている人がニ人...


(えっ...ニ人...?どっちが本物の精霊なんだ?これは精霊の愛し子になるための試練ってやつなのか⁉︎ステファノは瞬殺で見破ってたみたいだけど俺には全然わかんねぇわ...)


妙な格好をしている人を見分けようと見ていると赤色の服を着た方が
「我は火の精霊であるフリードリヒ。お主がここに来るのを楽しみにしていたぞ。お主の名を告げよ。」
こっちが本物だったのかと思い、自分から言ってくれるなんて優しい試練なんだと思うと次は黄色の服を着た方が、
「フリードリヒ先々いっちゃダメだよ!僕も挨拶しないといけないのに!!ごめんね?僕は光の精霊のアレクサンダー!僕にも名前を教えて欲しいな?」


「えっ...精霊がニ人いるのか...?」
思わず聞いてしまった俺にアレクサンダーという精霊が
「君は珍しくニ人の精霊に愛されたんだ!だから君は火と光の魔法を自由に使うことができるんだよ!でもそれには契約を行わないといけない。それがお互いの名前を教え合うことなんだ。僕たちの名前は他の人には他言無用。君が愛称をつけて読んでくれると嬉しいな!さぁ君の名前を教えて?」


「俺の名前はロベルト・ファラスカ。これからよろしく。リード、アレク」
愛称を呼んだ瞬間魔法陣の光は消え、目の前には先程の役人ではなく、若い男の人が立っていた。


俺とステファノは先程の男の人に連れられて、人払いのされた部屋に連れてこられていた。
「私はアルバーノ・クラスニヒ。この教会では教皇という立場にいる者です。君たちは精霊の愛し子様でよろしいでしょうか?」


黙って俺たちは頷くと、
「愛し子というのはあまり実例がなく分からないことも多いため、もし困ったことがあればここを尋ねるといいでしょう。君たちが愛し子となった精霊の属性を聞いてもよろしいですか?」


これは言ってもいいものかと精霊たちの方を見ると、精霊たちから大丈夫とのサインが。(なるほど...名前を言わなければ大丈夫なのか?)ステファノも同じことを考えていたらしく、そちらも大丈夫と言われたのだろう。
「僕は木の精霊の愛し子となりました。」
「俺は光と火の精霊の愛し子になりました。」


お互いに属性を言うと、
「君たちは今日からそれぞれの属性の魔法を自在に操ることができるでしょう。しかしその力は決して悪用してはなりません。一つの属性の魔法を自在に操ることができるということは、一つの国をも簡単に破壊できてしまうということ。そのため君たちには魔法について詳しく勉強してもらわなければいけません。」


 確かにこの力は危険だろう。俺たちには悪用する気なんて一切ないけれど、間違った知識で使ってしまい国を滅ぼしたでは説明がつかない。
「わかりました。しかし俺たちにも騎士団の訓練がある。時間はどれくらいかかるだろうか?」


「基本的なことはわかっているでしょうから、一日程で大丈夫でしょう。」
「ならば明日は休日なので明日またこちらにお伺いします。それでもいいですか?」
「わかりました。ではまた明日に」


そして次の日になり、アルバーノ教皇から聞いた話によると、魔法は火・水・木・光の四つの属性が確認されており、どちらが弱くて強いとかそういうのはないらしい。てっきり水は火に強いとかそうゆうのがあると思ってたし、実際火を使ってきたやつには水の魔法を使って対処していたから、今回の授業は結構ためになった。


この国の魔法は加護や愛し子でもない限り魔力を対価として支払うため、魔力が多ければ多いほど強いということだ。


では愛し子である俺とステファノが戦ったらどうなるのか...力が拮抗しているため、俺とステファノが戦った後にあるのは国の滅亡のみ。俺たちはお互いを倒せないから、ひたすら周りを破壊することになるのだそうだ。そういう力が拮抗しているときは、頭脳戦が大事になってくるとアルバーノ教皇は言っていた。


まぁ俺たちが殺し合うなんて未来は存在しないだろうから大丈夫だろう。
アルバーノ教皇の話によると水の精霊の愛し子は既にいるらしい。
もしそいつが悪いやつだった場合は...いやそんなことは考えたくないな。いいやつだと思おう。
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