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1章
11話
しおりを挟む国が滅びるのではないかとビクビクして過ごしていた俺とステファノの元にアルバーノ教皇から手紙が来た時は一瞬確実に心臓が止まった。その手紙の中身を見てみると、その内容は大精霊様の愛し子が王宮騎士団入りたいと言っているということ、それに伴って1名専属護衛も一緒に王宮騎士団に入りたいとのことだった。
(愛し子様は天使だったというわけか...)
そんなことを思っているとステファノが
「大精霊様の愛し子は天使だったんだね...」
とつぶやいた。確かにそうとしか思えない。どんな星の元に生まれれば18年間も虐待され続けたにもかかわらず、また人の為に命をかけようと思えるのか。不思議で仕方なかった。俺なら少なくとも虐待をしてきた奴らは殺していただろう。しかしデルガド公爵家の者がなくなったという知らせが入ってきていない。つまりはそういうことなのだろう。
「この国が滅ばなくて良かったね!僕1回でもいいから大精霊様の愛し子に会いたいなーー!」
「そんなアレクに朗報だ。その愛し子様とやらはこの王宮騎士団に来てくれるそうだ。すぐにでも会えるだろうよ。」
「ほんとに⁉︎やったね!僕楽しみ!」
実際のところダメ元で王宮騎士団の推薦状を出したため、まさか受け入れてもらえるとは思っていなかった。これからやる仕事は大幅に増えるが、思わぬ戦力に柄にもなくワクワクしたが、ステファノの一言で急激に冷めた。
「ねぇロベルト!その愛し子様の実力審査は僕が行ってもいい?最近任務とかなかったから腕が鈍ってたところなんだよね!」
「はぁ仕方ねぇな...ほんとは俺もやりたかったけどここはお前に譲ってやるよ。俺はもう1人来るっていう専属護衛の方の実力審査でもするか」
「2人もくるの?専属護衛も強い人だったらいいなぁ!」
「お前すごい笑顔で言ってるけど、この時期に王宮騎士団に2人も入隊させるなんてどんな労力かわかってんのか?もちろんお前にも手伝わせるからな」
「はぁ⁉︎本気で言ってんの⁉︎それは団長様の仕事でしょ⁇一気に憂鬱になった...」
王宮騎士団とはこの国のものなら誰もが憧れる存在。元々の地位など関係なく、実力されあれば将来が約束される。そんな誰もが憧れる王宮騎士団の倍率はとんでもなく高いのだ。
大事なことなのでもう一度言うがとんでもなく高い。そんな王宮騎士団に入隊テストもなく推薦状だけで2人も入隊させようとすればどうなるか...もうお分かりいただけるだろう。とんでもなく量の多い推薦状を書き上げ、王宮の上の役員を納得させなければいけないのだ。
その役員の数がまた多いこと。一度に集めろよと何度も思うが、これまた1人ずつ説明しないといけない。まず最初に騎士団を統括している軍部省に話を通し、そこを通れば大臣に話が伝達される。ここも通り宰相に話を通してから最後に王に伝達されるのだ。そして王からの承諾が得られた時、推薦を通すことができる。
こちらからお願いした手前話が通りませんでしたでは王宮騎士団長の面子が潰れる。だからなんとしてでもこの話は通さないといけない。しかも事前に言ってあるから向こうもあらかたの準備が整ってからこの推薦状が出されていると思っているだろう。だが俺はダメ元で送ったため、何も準備なんてしていない。なんなら推薦は昨日ステファノに言われたから出したんだ。ここで俺とステファノの徹夜は確定した。
「あぁもう誰?愛し子様を騎士団に推薦しようとか言ったやつ...」
「お前だよステファノ...」
「...ごめん」
俺たちの努力の甲斐あってなんとか来週までには入隊させれるだろうという段階にもって行った俺たちは、体験と評して1週間前から騎士団の練習に参加してもらうことにした。いくら大精霊様の愛し子と言ってもこの王宮騎士団の練習にいきまり混ぜるのはまずいだろう。慣らしと実力審査をかねて、1週間は特別メニューをこなしてもらうことにした。
「ステファノ、明日実力審査を午後からやることにしたから、午前の間に体あっためとけよ。あと剣とか防具とかも持ってないだろうから予備の点検もしっかりしとくように備品点検係に言っといてくれ。」
「わかった!まぁ確かにここは基本武器は持ち込んでも大丈夫だけど、よっぽど戦い慣れてる人じゃないとと自分の武器なんて持ってないもんね。予備の点検なんて入隊式が行われる前後にしかやらないから絶対埃かぶってるよ...」
「そんな埃まみれの防具を渡せないから今頼んだんだろ?明日きてもらうから明日までに何個かでいいから予備2個ずつ外に出しといてくれ。」
「了解、備品のやつに言ってくる」
愛し子の実力審査はステファノに譲ってしまったが、それでもどんな奴が来るのか柄にもなくワクワクしてしまう...ステファノの前と王宮騎士団の中でしか俺は話さないし、王宮騎士団の中でも必要最低限のことしか話さない。
他人に興味がなさすぎて、"無口な冷徹団長"と呼ばれていたがそんな俺でも愛し子には興味を持ってしまう。
(あぁどんな奴なんだろう...はやく会ってみてぇ)
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