虐待され続けた少女は何を願う

みな

文字の大きさ
12 / 36
1章

11話

しおりを挟む


国が滅びるのではないかとビクビクして過ごしていた俺とステファノの元にアルバーノ教皇から手紙が来た時は一瞬確実に心臓が止まった。その手紙の中身を見てみると、その内容は大精霊様の愛し子が王宮騎士団入りたいと言っているということ、それに伴って1名専属護衛も一緒に王宮騎士団に入りたいとのことだった。


(愛し子様は天使だったというわけか...)
そんなことを思っているとステファノが
「大精霊様の愛し子は天使だったんだね...」
とつぶやいた。確かにそうとしか思えない。どんな星の元に生まれれば18年間も虐待され続けたにもかかわらず、また人の為に命をかけようと思えるのか。不思議で仕方なかった。俺なら少なくとも虐待をしてきた奴らは殺していただろう。しかしデルガド公爵家の者がなくなったという知らせが入ってきていない。つまりはそういうことなのだろう。


「この国が滅ばなくて良かったね!僕1回でもいいから大精霊様の愛し子に会いたいなーー!」
「そんなアレクに朗報だ。その愛し子様とやらはこの王宮騎士団に来てくれるそうだ。すぐにでも会えるだろうよ。」


「ほんとに⁉︎やったね!僕楽しみ!」
実際のところダメ元で王宮騎士団の推薦状を出したため、まさか受け入れてもらえるとは思っていなかった。これからやる仕事は大幅に増えるが、思わぬ戦力に柄にもなくワクワクしたが、ステファノの一言で急激に冷めた。


「ねぇロベルト!その愛し子様の実力審査は僕が行ってもいい?最近任務とかなかったから腕が鈍ってたところなんだよね!」
「はぁ仕方ねぇな...ほんとは俺もやりたかったけどここはお前に譲ってやるよ。俺はもう1人来るっていう専属護衛の方の実力審査でもするか」


「2人もくるの?専属護衛も強い人だったらいいなぁ!」
「お前すごい笑顔で言ってるけど、この時期に王宮騎士団に2人も入隊させるなんてどんな労力かわかってんのか?もちろんお前にも手伝わせるからな」
「はぁ⁉︎本気で言ってんの⁉︎それは団長様の仕事でしょ⁇一気に憂鬱になった...」


王宮騎士団とはこの国のものなら誰もが憧れる存在。元々の地位など関係なく、実力されあれば将来が約束される。そんな誰もが憧れる王宮騎士団の倍率はとんでもなく高いのだ。


大事なことなのでもう一度言うがとんでもなく高い。そんな王宮騎士団に入隊テストもなく推薦状だけで2人も入隊させようとすればどうなるか...もうお分かりいただけるだろう。とんでもなく量の多い推薦状を書き上げ、王宮の上の役員を納得させなければいけないのだ。


その役員の数がまた多いこと。一度に集めろよと何度も思うが、これまた1人ずつ説明しないといけない。まず最初に騎士団を統括している軍部省に話を通し、そこを通れば大臣に話が伝達される。ここも通り宰相に話を通してから最後に王に伝達されるのだ。そして王からの承諾が得られた時、推薦を通すことができる。


こちらからお願いした手前話が通りませんでしたでは王宮騎士団長の面子が潰れる。だからなんとしてでもこの話は通さないといけない。しかも事前に言ってあるから向こうもあらかたの準備が整ってからこの推薦状が出されていると思っているだろう。だが俺はダメ元で送ったため、何も準備なんてしていない。なんなら推薦は昨日ステファノに言われたから出したんだ。ここで俺とステファノの徹夜は確定した。


「あぁもう誰?愛し子様を騎士団に推薦しようとか言ったやつ...」
「お前だよステファノ...」
「...ごめん」


俺たちの努力の甲斐あってなんとか来週までには入隊させれるだろうという段階にもって行った俺たちは、体験と評して1週間前から騎士団の練習に参加してもらうことにした。いくら大精霊様の愛し子と言ってもこの王宮騎士団の練習にいきまり混ぜるのはまずいだろう。慣らしと実力審査をかねて、1週間は特別メニューをこなしてもらうことにした。


「ステファノ、明日実力審査を午後からやることにしたから、午前の間に体あっためとけよ。あと剣とか防具とかも持ってないだろうから予備の点検もしっかりしとくように備品点検係に言っといてくれ。」


「わかった!まぁ確かにここは基本武器は持ち込んでも大丈夫だけど、よっぽど戦い慣れてる人じゃないとと自分の武器なんて持ってないもんね。予備の点検なんて入隊式が行われる前後にしかやらないから絶対埃かぶってるよ...」


「そんな埃まみれの防具を渡せないから今頼んだんだろ?明日きてもらうから明日までに何個かでいいから予備2個ずつ外に出しといてくれ。」
「了解、備品のやつに言ってくる」


愛し子の実力審査はステファノに譲ってしまったが、それでもどんな奴が来るのか柄にもなくワクワクしてしまう...ステファノの前と王宮騎士団の中でしか俺は話さないし、王宮騎士団の中でも必要最低限のことしか話さない。
他人に興味がなさすぎて、"無口な冷徹団長"と呼ばれていたがそんな俺でも愛し子には興味を持ってしまう。
(あぁどんな奴なんだろう...はやく会ってみてぇ)


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

最初からここに私の居場所はなかった

kana
恋愛
死なないために媚びても駄目だった。 死なないために努力しても認められなかった。 死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。 死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯ だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう? だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。 二度目は、自分らしく生きると決めた。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。 私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~ これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

期限付きの側室なのに皇太子殿下が離してくれません!

林檎
恋愛
リリアーヌは男爵の私生児として生まれ、男爵家では使用人のように扱われ、虐げられて育った。 ある日、皇太子アルフレートの側室として異母妹が嫁ぐことになった。しかし、異母妹は皇太子が正妃を溺愛し、側室は世継ぎの皇子を産むためだけに迎えられ、出産後は離縁されることを知り、断固拒否した。 結果、身代わりとしてリリアーヌが嫁ぐことになる。 正妃ヴェロニカを溺愛するアルフレートは、初めからリリアーヌに冷たく当たった。初夜では「お前を愛することはない」と言い放ち、期限付きの契約書を突き付ける。その内容は、世継ぎの皇子を産んだら子供は正妃の子として育て、リリアーヌとは離縁するというものだった。 さらにリリアーヌは王宮ではなく離宮へ追いやられ、侍女や使用人たちからも嫌がらせを受ける。 しかし、男爵家で虐げられて育ったリリアーヌにとって、離宮での生活はむしろ天国だった。冷遇にも気にすることなく、自分の好きなことを楽しむ。その純粋さと優しさが周囲を惹きつけ、やがて皇太子の心にも変化が―― 以下、ネタバレになりますのでご注意ください。 ※主人公が虐げられるのは序盤だけですので、安心してお楽しみください。

二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

処理中です...