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1章
13話
しおりを挟むアナがお手洗いに行ったあと
「久しぶりだなサルヴァトーレ。絶対に騎士団には入らねぇって言ってたお前がここにくるなんて意外だったぜ?」
「やめろ、ロベルト。俺も来たくてここに来たんじゃない。アナがいなければこんな所一生来なかったさ。」
「お前がもし俺たちと同じ時にここに入っていたなら確実にお前が団長だったのにな、それぐらいにお前の実力は圧倒的だった。なぁいったい何があったんだよ、両親が殺されてからお前は変わった。あんなに一緒に騎士団に入るって言ってたお前が急に騎士団には入らねぇってっ言い出した時は正直冗談だと思ってた。」
「騎士団では俺の守りたいものは守れないと思ったんだよ。騎士団みたいな偽善の正義を振りかざし、何かが起きてからでしか動かない。そんなの手遅れだと思わないか?誰かが犠牲にならないと騎士団は動かない。そんなんじゃ意味なんてないんだよ、俺が目指してたのはそんなもんじゃねぇ...まぁ全て手遅れだったがな...」
「確かにあの時の騎士団は使い物にはならなかったかもしれないが今は俺たちが騎士団を引っ張るんだ。あの時とは違う、俺たちが自由に動ける場所を作ることができたんだ」
「そうだよ!確かにサルヴァトーレの両親のことは悔やんでも悔やみきれない、けれどそれをいつまでも引っ張ってちゃ先に進めねないでしょ?いったい何を抱えてるの...僕たちにもそれを一緒に背負わせてよ...」
「いいや、この騎士団は何も変わっちゃいねぇよ。結局は王宮の犬。それはこれまでもこれからも変わらねぇ。ステファノ、俺の背負ってるものを一緒に背負いたいだと?はっ...笑わせるなよ。俺に1度も勝てなかったお前たちに頼るほど俺は落ちぶれちゃいねぇ。だが昔のよしみだ、何が俺に起こったのかお前たちには教えてやるよ。俺はある少女を殺したんだよ。俺しか信じることの出来なかった、俺しか味方のいなかった1人の少女を俺が騎士団みたいな偽善の正義を振りかざし殺したんだ。」
「っ!!君はそんなことするやつじゃない!君は罪もない少女を殺せる人じゃなかった!」
「ステファノ、その考えが甘いんだよ。どれだけ正義を振りかざそうが、その正義が間違っていれば人は簡単に殺せる。俺は気づいたんだよ...その少女を殺した時に、俺の正義は間違ってたんだって。俺はもう絶対に手放さねぇ、そのためにはなんでもしてやるってな」
俺たちは何も言うことができなかった。誰よりも騎士団に憧れ、誰よりも騎士団に入ろうと努力していた奴が今は騎士団になんて入りたくないと言い、騎士団の服とは正反対の真っ黒な衣装で身を包んでいる。俺たちはもうあの頃には戻れないのだと正反対の道に進んでしまったのだと暗に告げられている気がした。
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