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1章
19話
しおりを挟むなぁアナ、俺たち本当は小さい頃に出会ってるんだ。覚えてねぇか?もしかしたら俺のことなんて忘れたかったのかも知れねぇな。けど俺はお前を忘れたことなんて一度もなかった。アナは忘れてるかもしれねでけど俺は一度お前に助けてもらったことがあるんだ。
「お前なんかが王宮騎士団なんかに入れるわけねぇだろ!貧しい農民のくせに夢みてんじゃねぇよ!」
俺は農民の子どもだった。けれど親父とお袋と妹に囲まれて過ごす日々は大好きだった。贅沢なんてできなかったけど、笑いの絶えない家族だったと思う。そんな俺はいつか王宮騎士団に入って家族を養ってやりたいって思ったんだ。剣なんて持ったことなかったし魔法なんてものも使ったことはなかった。そんな俺が木の棒を持って素振りをしていたら貴族の子どもにバカにされるのも少なくない。
それでも俺はその頃プライドが高かったから、売られた喧嘩は全て買ってたんだ。その喧嘩で勝ったことなんてなかったけどな。
いつも通り喧嘩をふっかけられ、またボコボコにされてそのまま家に帰る気にもなれなくて、適当に街を歩いてたら見たことのない細い路地に来ていた。
(しまった、道に迷った...)
全然道も分かんねぇし、ボコボコにされたのも悔しくて、本当に今日はついてねぇなって思いながら歩いていた。やっぱり俺が騎士になるなんて夢のまた夢なのかもしれないと柄にもなく涙が止まらなかった。両親にも相談できなくて、愛想の悪い俺に相談できる友達なんているはずもなくてずっと孤独だった俺。
そんな俺に2才ぐらいの真っ白い仮面をつけた子が話しかけてきたんだ。
「おにいちゃないない?」
「お前迷子になったのか?親はどこにいるんだ?」
「おにいちゃないない!」
そう言ってその少女は俺の涙を拭ってくれた。
「っ!!お前は優しいんだな、名前言えるか?」
「あにゃ!」
「アナって言うのか、いい名前だ。俺の名前はサルヴァトーレって言うんだ」
「おにいちゃルバ!」
「ははっ!そうだルバだぞ?」
「ルバルバ!」
こんな風に家族以外から笑いかけられたのは初めてで、こいつに相談しても意味はねぇって分かってた。けど意味がわからないならなおさら都合がいいじゃねぇかと思って俺は聞いたんだ。こいつならなんて言ってくれるかなって
「なぁ俺は騎士になれると思うか?弱くて人を気遣うこともできない貧しい農民がみんなが憧れる騎士になれると思うか?」
「ルバはきし?おにあい!ルバいいこ!ルバきれいきれい、ルバきし!!」
全然答えになんかなってねぇし、何言ってるか全然わからなかったけど俺は初めて騎士になれるとそう言ってもらった気がした。
「ありがとなアナ!また俺と会ってくれるか?」
「うん!ここ、あにゃ、まってる!」
「わかった!ここで集合な?その前にお前の両親のとこまで送っていくか」
「ううん、ルバ、ここで、ばいばい」
「はぁ?こんなところでお前を1人で置いてけるわけないだろ?ほらいくぞ」
「めっ!ばいばい!」
「あっおい!」
そう言ってアナは壁にできてた小さな穴の中に入っていった。
毎日俺はあそこへ行った、あそこにいけば必ずアナに会えたから。お互いプライベートなことを話すことはなかったけれど、今日はこれができるようになったとか、しょうもない話をした。あの事件が起こるまでは...
なぁアナお前はいつも俺を救ってくれるんだ。お前がいるから今ここに俺はいるんだ、俺のことを忘れててもいい。だからこれからも一緒に居させてくれねぇか?きっとお前は俺を思い出せば離れていくだろ?だから思い出さないでくれ。この思い出は俺だけが覚えていればいいから。
闇に飲まれた俺を綺麗だと、光を持っていると言ってくれた。こうして幼い頃に抱いていた淡いきれいな気持ちがアナと過ごす時間が増えれば増えるほど重い愛に変わっていく。
もう俺はお前から離れられそうにねぇわ。お前だけをずっと愛してる。だからずっとお前だけを守ると何があってもそばにいるとここで俺は誓うよ。
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