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1章
21話
しおりを挟む「俺アナに顔を見せてもらって家に帰ってから親父とお袋、妹と一緒にご飯を食べてた。すると突然家に山賊が入ってきたんだ...」
「親父!お袋が飯できたって呼んでるぞ!」
「あぁ分かった!この水やりをひと通り終わらせたらすぐ行く!」
(アナの顔めっちゃ綺麗だったな...って何考えてんだよ俺!!)
アナが初めて俺に顔を見せてくれて、それが信用してもらったみたいですっげぇ嬉しくて、そんな幸せを噛み締めながらご飯を食べてた時、急にドアが壊された。
「おい!ここはダミアーノ家で間違いねぇよな?」
「おいお頭!サルヴァトーレってやつは殺しちゃダメらしいですぜ?」
「チッめんどくせぇな...とりあえずみんなまとめて縛れ!!」
急に家に入ってきた男たちに剣を習い始めた俺が勝てるはずもなく、俺たちはすぐにロープで縛られた。
「頼む、娘と息子だけは助けてくれ、お願いだ!!」
「残念だが、こっちも雇われの身でなぁ。まぁそこの坊主だけは助けてやるよ」
地獄だった。親父がお袋が妹が殴られて拷問されお袋と妹は性処理道具にされた。なぜ俺には何もしない?なぜ俺は見てるだけしかできないんだ?なぁ俺はいったい何をしたっていうんだよ!!
家族が殺されていく様をただ見ることしかできない無力な俺は泣くことしかできず、気づけば家族全員が死んでいてなぜか山賊たちはその写真を撮っていた。
「やめろ!それ以上家族をバカにしないでくれ...頼む...俺も殺してくれ...」
そんな願いも聞き入れてもらえず山賊は去っていった。次の日になり王宮騎士団の人たちが家まで来て俺は保護された。
(俺が何をした?なぜ俺はこんな目に合わなくちゃいけない?...っ!アナの顔を見たからなのか?アナが関係しているのか?確かあいつらは雇われの身だと言っていた。まずいアナが顔を見せたってことがバレてるならアナも殺されるかもしれない)
そう思った俺は王宮騎士団にいる人に頼み込んだ。
「なぁ!アナってやつが危ないんだ!助けてくれ!殺されちまう!!」
「アナ?誰のことかなそれは」
「小さい真っ白い仮面をかぶった女の子なんだ!きっとアナも同じ目に遭ってる!!助けてくれ!」
「うーん、でもその事件が起きてる保証はないだろ?」
(こいつに言っても通じねぇ!他のやつに頼むしかねぇ)
そうやって王宮騎士団のやつに何回も何回も人を変えては頼み込んだ。けれども王宮騎士団の奴らがみんな決まっていうのはこの言葉だった。
「その事件が起きてる保証はないだろ?何か証拠がないと動けないんだ。すまないね」
(起きてからじゃ遅いんだよ!なんで動いてくれない?騎士団はヒーローなんじゃないのかよ⁉︎国民を平等に守ってくれるヒーローなんじゃないのかよ!!)
俺は絶望した。ここじゃアナを救ってくれるやつはいない、俺が助けるしかないんだ。でもどうやって?あいつの家の場所もあいつの家名も何も知らない俺に何ができるんだ?アナは俺を救ってくれた、次は俺がアナを救う番なんだ。アナは弱いやつじゃねぇ、きっとまだ生きてる。俺がもっと強くなって助けてやればいいんだ。
そう思ってからは練習して練習してただ強くなりたいとアナを早く助けにいきたいとしか考えてなかった。家族を失ってもなお俺が正気を保っていられたのもアナのおかげだった。そして俺はあの時の山賊を見つけ出して、誰に雇われたか聞いたんだ。その時に出た家の名前がデルガド公爵家、誰もが知る権力の持った家だった。
(これで証拠も掴めた!これなら騎士団も動いてる!!)そんな俺の期待もあっけなく散った。俺が騎士団にそいつらを連れて行って証言させた時、騎士団のやつはこう言った。
「デルガド公爵家がそんなことをするはずがないだろ?山賊はみんな嘘つきなんだ。こんなやつの言うことを信じてはいけないよ?」
そう言って騎士団のやつは山賊を連れて行き、次の日にはその山賊は殺されていた。闇が大きすぎた、敵が巨大すぎた。権力の持たない裏の世界を知らないこの俺では何も役に立たない。
その日から俺は光を捨てた。騎士団になんて入らない。あいつらみたいなクソな正義を振りかざして、みんなからチヤホヤされるヒーローになるぐらいなら闇に染まり、誰か1人だけを巨大な闇に飲まれたアナだけの救うヒーローになってみせる。俺を救ってくれたヒーローであるアナのように。そうして闇に染まりながらやっと見つけたアナはあの頃の無邪気な声を発し目を輝かせる姿ではなく、この世の全てを諦めたような感情のない、俺よりも深い闇を目に宿したをして真っ白い仮面をつけた姿だった。
その姿を見た瞬間俺は(あぁ俺はアナを殺してしまったんだ。俺が偽善者の正義を振りかざしたせいであの無邪気なアナを俺は殺したんだ。もうあの頃のアナはどこにもいないんだ。俺が顔を見せてなんて言ったから...)
全てが手遅れだと知ったんだ。
「今まで黙っててごめん、俺がアナの顔を知ってるって思ったらアナが俺から離れていくんじゃないかと思ったんだ。ずっと後悔してた、お前の顔を見た時に俺がなんともなければいいんだって、そんな単純な考えでお前の抱えてるもんを踏み荒らしてほんとにごめん。俺のせいでアナは仮面取れなくなっちまったんだろ?謝って許されるなんて思ってねぇ、だけど少しでもこの1週間で俺との日々を楽しいと思ってくれたなら...俺をこのままそばにおいてくれねぇか?」
(あぁ俺はなんて浅ましいんだろう。アナのそばを離れなくちゃ行けねぇのに、それぐらいのことをしたのに、俺の心がそれを拒否する。嫌だと、絶対に離れたくねぇとそう言うんだ。なぁアナ、もしお前がこのまま俺をそばにおいてくれるなら俺はもう遠慮なんてしねぇ。お前のことをグズグズに甘やかして、愛をこれでもかってほど与えてやるから。だから俺をそばに置けよ...)
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