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玉木白見

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闇に潜む

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 空は強い青色を薄い雲が優しく飾っていた。正確な時間はわからなかった。もう昼は過ぎたと思うが、日差しを浴びると暑さを感じた。そのためか一行は自然と森のほうへと向かった。
 ふと後ろをみると、同い年ぐらいの例の男が、一行から離れてついてくるのが見えた。心配になり彼に近づき声をかける。
 「大丈夫ですか?一緒に行きましょう。」
 「・・・」
 ちらっとこちらを見て、またすぐに目をそらし下のほうを見る。さっきボソボソと独り言を言っていたし、反応するのだからこちらの言っていることは聞こえていて理解しているようだ。
 「僕はシンイチって言います。君は?」
 「・・・」
 同じ反応だ。どうしてよいかわからない。
 「置いてかれちゃいますよ。なんか不気味な島だし、一緒に行きましょう。」
 「・・・」
 無言が続く。しばらく一行からすこし離れた位置で彼と一緒に歩く。しかし、少しするとその場で座り込み海のほうを眺め始めた。何やらボソボソと呟いている。
 「置いてかれちゃいますよ。行きましょ。」
 「・・・」
 駄目だ。どうすることもできない。このままでは僕まではぐれてしまう。
 「後でまた来るから、気を付けて。」
 慌てて、良くわからない言葉をかけ、一行に追いつくべく彼を置いて走った。

 森の入り口に着くと、切り開かれた道があった。地面も踏み固められている。他の人がいた証拠だろう。一行はその不気味さ漂う森の中へと進んだ。
 森は山道となっており、ずっと上り坂が続いた。森の中には動物らしき気配はなかった。小鳥すらいない。全員ひたすら無言で上る。しかしながらその森はあまり深くなく、すぐに開けた岩場へと出た。岩場に上り辺りをいると一面鮮やかな青い海が広がっていた。港や都会からみる海とは違う。船、橋、対岸など一切ない。あるのは水平線のみだ。
 「きれいな海だなあ。最高だ。死刑になってりゃ、こんな景色拝めることもなく、あの世行きだった。自分の最期の準備できるっちゅーことはいい事だ。」
 初老の男が両手を広げぼやいていた。
 その奥にいる、同じく50近くであろう男も海の方向に向き目を閉じ両手を合わせ、何やら呟いていた。目から一滴の涙が落ちた。
 「ここで最期を迎えることで償えるのなら、そんな楽なことはない。」
 最後にそうはっきりと言った。

 「あんた、あれだろ。車で小学生ひいちまった・・・。」
 男は震えながら強く目を閉じた。数粒の涙が目から溢れた。
 「一生の不覚だ。いくら償っても償っても許される事ではない。
 妻も子達も、親も親族もみんな不幸にしてしまった。遺族の方々にももちろんだ。今でもどこまで償えば良いかわからない・・。」
 聞くと、早朝の出勤時にふと居眠り運転をしてしまい、小学生数人をはねてしまったとのことだ。またその通路がスクールゾーンであった事、前日の酒が少量残っていたことから悪質と判断された。遺族たちの「我が子を返してくれ。」と言う言葉が頭から離れたことはないという。

 僕も海を見た。
 ここで終わりとなること。それが償いなのだろうか?
 両親、家族には本当にすまなかったと思っている。しかし、ヤスに申し訳なかったとは正直思わない。ヤスの父の悲痛の会見を見た時だって、検察、警察が僕を有罪に仕立てようとした時だって、心の底では自分に100%非があるとは認めていなかった。もちろんやったことは犯罪だ。それはわかっている。
 僕は何を償うべきなのだろう。静かで雄大な海はそれを僕に教えてくれるのだろうか。

 一行がしばらく海を眺めていると、誰かが叫ぶ声が聞こえた。
 「お、おい。こっち来てみろよ。」
 言われるがまま、声のする方へ行くと、そこには畑、火を使った跡、石や木でできた机、椅子のようなものが並んでいた。畑は数日手入れされていない様子だ。そしてその近くには人のものと思われる骨が数個転がっていた。奥を見るとちょうど良い広い洞穴があった。これで風雨を避けることができる。くぼみに水も溜まっている。
 「誰か住んでたんだ。」
 これからの運命を感じる。でもここで数日住んでいた人がいた事は少し勇気づけられた気もした。
 「まだ生きてねえよなあ。」
 「刑務官に聞いたら、もうこの島に生きている人はいないらしいですよ。」
 なにか不穏な空気を感じた。
 畑には、あまり見たことない丸く小さな実がなっていた。恐る恐る食べてみると酸っぱく、苦く、とても美味しいと言えるものではなかった。しかし食料が少しでもあることに安心感を覚えた。ここを拠点にしばらく生活しよう。一行は満了一致でそう決めた。



 小学生が犠牲となった自動車事故を起こした男はショウイチと言った。
 ショウイチさんは、アウトドアが趣味で、火を起こすことができそうだと言うと、近くでその道具を集め始めた。数人もそれを手伝った。
 リュウジさん、ヨシアキさんは食い物がないかもう少し探検してくると言いそれぞれ別の方向へと探索しに出かけた。
 僕と数人の男たちは薪を集めようと来た道の方へ戻り、再び森の方へと入っていった。他のものもそれぞれグループを作り近くの探索を始めた。

 森の道を慎重に下っているうちに、砂浜においてきた少年のことを思い出した。まだ泣いているのだろうか。僕は少年に上まで来るよう誘おうと思い、他の人たちにひと声かけ砂浜の方まで一旦戻ることにした。しかし砂浜に戻って見てみるとそこには少年の姿はなかった。

 その時、森の中から重い悲鳴とともに僕を呼ぶ声がした。僕は慌ててまた森の方へと引き換えした。
 森の中では男たちが何かを囲み、話していた。その何かを見た瞬間血の気が引いた。そこにはあの少年の首だけが血まみれになり転がっていた。辺りには彼の来ていた上着、ズボン、靴が捨てられていた。どれもどす黒い血がこびりついている。首の転がっている場所からは森の奥の方へと、滴り落ちた血で点々と印づけられている。あちらの方向へ連れて行かれたのか。
 「やっぱりこの島、なんかいるべ。」
 一人の男が震えながら方言なまりに喋った。一刻も早くこの事を伝えるべくいったん拠点まで戻った。
 拠点まで戻り、全員を呼び集める。ほぼ全員が集まったところで、再び少年の首がある場所へと戻った。

 「これは、獣とかの仕業じゃねえな。れっきとした人の仕業だ。」
 リュウジさんが生首を手で転がしながら言った。
 「切り口が、歯とか爪じゃねえ。鎌か刀か。で、なんでそんなもんがこの島にあるんだ。あったとしても錆びてて使いもんにならねえはずだ。」
 誰も答えが見つからない。
 「この少年。あれだよなあ。幼女猥褻、殺人の。」
 僕にはわからなかったが数人は、思い出したかのように目を見合わ頷く。
 「死にたいからって理由で幼女襲い、でも弁護士が頑張ったんだよな。で、死刑だけは間逃れ流刑判決。で、最後はこれか。哀れだな。」
 少し何かで見た記憶がある。検察側は計画的な殺人と主張し、弁護士側は事故の可能性を主張した。当初本人も事故だと訴えたようだが本人の意思で途中から止めた。世間が一斉に彼を責め立て、挙句の果てに弁護士までにも誹謗中傷にさらされる事態となったからのようだ。

 「おい、これからは必ず複数人で行動するようにしよう。あと、数人見張りをつけよう。誰かいねえ奴は?」
 全員、顔を見合わせた。一人。一人いない気がする。
 「おい、そいつも一旦ここに戻せ。」

 それから、それぞれリュウジさん、ヨシアキさん、ショウイチさん、そして僕のいる4グループに別れ行動することとした。僕のグループは頼りなさそうな痩せたおじさんが何となくではあるがリーダーのような立場を取り行動することとなった。非常に臆病な性格のようで、終始辺りをキョロキョロしながら猫背で行動していた。

 夜。先程いないと思われた一人は結局戻ってこなかった。
 火を囲み全員で食事した。リュウジさんが取ってきたネズミのような動物、ヨシアキさんが取ってきた見たことのないような魚、畑にあった実を全員で食した。火を囲んでいるだけでなぜか心が落ち着いた。たまに薪を火の中に入れるのがとても楽しく感じた。リュウジさん、ヨシアキさんが終始喋っていた。彼らの犯罪の話も聞いた。リュウジさんは暴力団同士の小競り合いから生まれた犯罪、ヨシアキさんは詐欺や強盗、どちらもとてもではないが関心できるような内容ではなかった。
 「結局よう、世の中は俺らみたいな約立たずは邪魔なんだよ。疎外してえわけだ。でもよ。俺らもなんとかして生きてかなきゃなんねえんだよなあ。」
 2人とも同じようなことを口にしていた。

 この日の夜の見張りの前半は、僕と僕のグループの頼りないリーダーの2名となった。後半疲れたら変わる約束だ。彼の名はユウシと言った。勇気の勇、武士の士。見張り中、彼は名前とは想像つかないほどずっと怯えていた。
 「あのさあ、さっきの何だと思う。お化けかなあ。だってこの島には生き残りはいないんでしょう。」
 「と言ってました。でも実は居て、ICチップが切れただけとか。」
 「ICチップって10年くらい持つんだよ。10年前は流刑なんてなかったでしょ。それはおかしいよ。」
 「あ、そうなんですね。」
 「お化けとかじゃ、見張り居ても意味ないよ。僕ももう寝ていい?」
 「いや、困ります。リュウジさんに怒鳴られますよ。」

 火に薪を焚べながら、空の星を眺めた。辺りはもちろん火以外の明かりはない。漆黒の夜。こんなに美しい星空はプラネタリウムでしか見たことがない。いやそれ以上だ。

 何時間経っただろう。ユウシさんが急にトイレに行きたいと言い出した。その辺でしたらと伝えると、大のほうで、見られるのが恥ずかしいと言い出した。留置所では監視カメラや刑務員の前で用を足していただろうに何を今更と思う。しかもお化けが怖いから一緒に来てくれと言う。断るが泣きそうになりながらお願いしてくるので仕方なく近くの森まで一緒に行くことにした。
 「匂いが行くと悪いからもう少しあっちへ行こう。」
 人へ気を使う所など見ると悪い人ではなさそうだ。犯罪は、詐欺とのこと。上の指示のもと行動していたら捕まっていたらしい。
 暗闇の方へ行く。火のついた木をタイマツにし森の奥へと進む。こちらも怖くなる。

 刹那、急に、ユウシさんが取り乱し始めた。
 「な、何かいる!!」
 ユウシさんは急に方向もわからぬまま、タイマツを手にしたまま走って僕を置いていった。僕も急に怖くなり、意味もわからず近くの木の裏にうつ伏せに身を屈め隠れた。これでは見つかるかもと思い、そーっとその状態とまま、手探りで窪みを見つけ体に枯れ葉や木などを覆い身を隠した。
 いったい何を見たというのか?しばらく森の中を見ていると、鈍い明かりが徐々に大きくなる。
 確かに何かいる。ズッズッっという足音が静かに聞こえる。それはどんどんこちらの方へと近づいてくる。口を塞ぎ息を殺す。必死に動悸を抑える。
 足音は一旦止まると、やがてまた進み始めた。鈍い明かりはユウシさんの逃げていった方向へと向いた。足音のするところを見るが、足も体も何も見えない。しかし枝が何かに踏まれ折れる瞬間、その後には葉が踏まれ、移動する瞬間を確かに確認できる。目に見えないのか・・。
 「あっちか、崖のほうだな・・」
 それは静かにそうつぶやくと、ユウシさんの逃げていった方向へとゆっくりと進んでいった。

 足音が聞こえなくなった後もしばらく身を潜め安全なことを確認してから洞穴の方へと戻った。
 洞穴の方には異変はなかった。同じグループのおじさんを起こし、ユウシさんが逃げたこと、そして何かに襲われそうなことを話した。何かが透明なことについては信じてもらえる自身がなく触れなかった。おじさんはそうは言われても皆寝ているし、明日探しに行こうと楽観的なことを言いつつも、とりあえず一緒に見張りをしてくれた。

 しばらくは何も起きなかった。
 眠くなり、僕は別の人と変わってもらった。しばらくは怖く寝れなかったが疲れからかいつの間にか寝ていた。
 そして、外の騒ぎで目が冷めた。
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