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第2章 魔獣狩り
第21話「スカしてて腹が立ちます」
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リュールに向けられた刃物たちの切っ先は、一旦を収められた。丸腰でしかも降参のポーズを取るのだ。まともな連中なら、それ以上の威嚇はしないだろう。
まともな連中でよかった。リュールは内心で胸を撫で下ろした。
「あなた達、こんなことをしてただで」
「もういいから」
「でもー」
「とりあえずは、な」
憤りを抑えきれないブレイダをなだめつつ、リュールは周囲を見渡した。動きやすそうな軽装鎧に、明らかに使い込んである武器。こちらを見据える視線からも、それなり以上の実戦経験が見て取れた。
ある程度統一感のある武装や型に準じたような身のこなしは、傭兵のものではない。先程のザムスと名乗った男が所属する、平民で構成された騎士団だと想定できる。
「で、何なんだ? あんたらは」
「そうです、何なの?」
一糸乱れぬ集団からは、誰が指揮者か判断することはできなかった。もしかしたら、この場には居ないのかもしれない。
「手荒な歓迎ですまない」
奥の方から、甘く涼しい声が聞こえてくる。兵の壁をかき分けるようにして、金髪の男が現れた。
背丈はリュールと同じ程度。細身ではあるが、しっかりとした筋肉を持っているのがわかる。白地に青の刺繍があしらわれた衣装が良く似合う、美丈夫という言葉がぴったりな青年だった。
「指揮官だな」
「ああ、名乗らせてもらっても?」
「聞こうか」
リュールに許可を求めた青年は、うやうやしく頭を下げた。力強くはあるが、粗野ではない。万人に好かれるであろう、絶妙な態度だった。
礼儀やマナーなどとは無縁のリュールでさえ、彼に好感を抱きそうになった。リュールは自分の感覚にいらついた。
「私はゼイラス騎士団長、マリム・ゼイラス」
「ほう、騎士団長様が直々になんて、光栄だね」
「団長なんて言っても、平民出でね。そんな大層なものではないよ」
リュールの嫌味は意に介さず、マリムと名乗った青年は言葉を続ける。
「リュール・ジガン殿とお見受けしているが、間違いないだろうか?」
「ご丁寧に名乗ってもらって悪いが、こちらは名無しのままでもいいかね?」
「ああ、構わないよ」
マリムは口元に笑みを浮かべる。まるでリュールの対応を予想していたようだ。
「貴方が誰かは別として、話を聞かせてもらいたくてね。あの大きな猪、我々は魔獣と呼んでいるものについて」
「魔獣ねぇ、俺は何も知らんがね」
「町長に頼んで応接室を借りている。来てもらえるね? リュール・ジガン殿」
見透かすような態度は、やはりリュールの癇に障った。それでも、突っぱねることは難しいと感じる。ここでブレイダの名を呼び大暴れしてもいいが、リスクが大きすぎる。
「ち、仕方ないか」
「もちろん、そちらの女性もご一緒に」
「あ、私?」
マリムは言うだけ言って、踵を返し役場の奥へと向かった。それに合わせて、リュールたちを迎え入れるように兵が道を空ける。この状況では従うしかなさそうだった。
「失礼じゃないけど、スカしてて腹が立ちます」
「いいから、行くぞ」
「はいー」
ブレイダを促し、リュールはマリムに続いた。
まともな連中でよかった。リュールは内心で胸を撫で下ろした。
「あなた達、こんなことをしてただで」
「もういいから」
「でもー」
「とりあえずは、な」
憤りを抑えきれないブレイダをなだめつつ、リュールは周囲を見渡した。動きやすそうな軽装鎧に、明らかに使い込んである武器。こちらを見据える視線からも、それなり以上の実戦経験が見て取れた。
ある程度統一感のある武装や型に準じたような身のこなしは、傭兵のものではない。先程のザムスと名乗った男が所属する、平民で構成された騎士団だと想定できる。
「で、何なんだ? あんたらは」
「そうです、何なの?」
一糸乱れぬ集団からは、誰が指揮者か判断することはできなかった。もしかしたら、この場には居ないのかもしれない。
「手荒な歓迎ですまない」
奥の方から、甘く涼しい声が聞こえてくる。兵の壁をかき分けるようにして、金髪の男が現れた。
背丈はリュールと同じ程度。細身ではあるが、しっかりとした筋肉を持っているのがわかる。白地に青の刺繍があしらわれた衣装が良く似合う、美丈夫という言葉がぴったりな青年だった。
「指揮官だな」
「ああ、名乗らせてもらっても?」
「聞こうか」
リュールに許可を求めた青年は、うやうやしく頭を下げた。力強くはあるが、粗野ではない。万人に好かれるであろう、絶妙な態度だった。
礼儀やマナーなどとは無縁のリュールでさえ、彼に好感を抱きそうになった。リュールは自分の感覚にいらついた。
「私はゼイラス騎士団長、マリム・ゼイラス」
「ほう、騎士団長様が直々になんて、光栄だね」
「団長なんて言っても、平民出でね。そんな大層なものではないよ」
リュールの嫌味は意に介さず、マリムと名乗った青年は言葉を続ける。
「リュール・ジガン殿とお見受けしているが、間違いないだろうか?」
「ご丁寧に名乗ってもらって悪いが、こちらは名無しのままでもいいかね?」
「ああ、構わないよ」
マリムは口元に笑みを浮かべる。まるでリュールの対応を予想していたようだ。
「貴方が誰かは別として、話を聞かせてもらいたくてね。あの大きな猪、我々は魔獣と呼んでいるものについて」
「魔獣ねぇ、俺は何も知らんがね」
「町長に頼んで応接室を借りている。来てもらえるね? リュール・ジガン殿」
見透かすような態度は、やはりリュールの癇に障った。それでも、突っぱねることは難しいと感じる。ここでブレイダの名を呼び大暴れしてもいいが、リスクが大きすぎる。
「ち、仕方ないか」
「もちろん、そちらの女性もご一緒に」
「あ、私?」
マリムは言うだけ言って、踵を返し役場の奥へと向かった。それに合わせて、リュールたちを迎え入れるように兵が道を空ける。この状況では従うしかなさそうだった。
「失礼じゃないけど、スカしてて腹が立ちます」
「いいから、行くぞ」
「はいー」
ブレイダを促し、リュールはマリムに続いた。
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