【R18】クラス転生で俺のスキルが【万物配送(アー・マ・ゾーン)】?じゃあ勇者が泥水すすってる間に、現代物資で聖女と××します

のびすけ。

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第3章 高慢なるエルフと、美の崩壊

発光する森の姫と、秘密の夜会

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テントのジッパーが開く音が静まり返った森に響いた。 
外で待ちくたびれていた勇者ゴウたちが一斉に振り返る。

「おい、遅ぇぞカイト!交渉はどうなっ……て……」

ゴウの怒声が途中で掠れて消えた。
テントから現れた人物の姿にその場の全員が息を呑んだからだ。

「……待たせたな、人間ども」

ハイエルフの姫、セラフィナ。 
森に入った当初彼女は確かに美しかったが、どこか神経質で枯れかけた花のような脆さを漂わせていた。 だが、今の彼女はどうだ。

新緑の森の精気そのものを凝縮したような圧倒的なオーラ。 
金色の髪は一本一本が絹糸のように輝き夜風にさらりと靡いている。 
そして何より、その肌。 

「発光している」と表現する以外に言葉が見つからないほど内側から薔薇色の血色が透け真珠のような艶を帯びていた。

「な、なんだ……?魔法か?なんか凄えピカピカしてるぞ……」

ゴウが呆然と呟く。 
無理もない。 
今の彼女は最高級のエステフルコースと、極上のセックスによるホルモン分泌、そしてカイトの出した「精液(美容成分)」を全身で吸収した直後なのだから。

「ふふっ。……見惚れるのも無理はない」

セラフィナは艶然と微笑んだ。 
その瞳はとろんと潤みどこか夢見心地な熱を帯びている。 

彼女の少し後ろにはカイトが涼しい顔で控えていた。 
だが、誰もが見逃さなかった。 

高貴な姫君である彼女がカイトの手を――恋人のように指を絡ませてしっかりと握っていることを。

ーーーーー

「姫様。……彼らにお言葉を」

カイトが恭しく、しかし親密な距離感で囁く。 
セラフィナはカイトを見上げ頬をわずかに赤らめて頷いた。 
その仕草だけでテントの中で「何が行われたか」を雄弁に物語っていた。

「コホン。……勇者ゴウ、と言ったか」
「あ、ああ!そうだ!俺が勇者だ!」
「森の通過を許可しよう。……ただし」

セラフィナの視線がゴウからカイトへと移る。 
そこには、慈愛と独占欲が入り混じった粘着質な色が宿っていた。

「わらわも同行する」
「はあ!?あんたが!?」
「くどいぞ。……この森の瘴気は予想以上に深い。そなたらのような未熟者だけでは不安じゃ。監視役としてわらわがついて行く」

それは建前だ。 
本音は、カイトという「美の供給源」を手放したくないだけ。 
毎日、朝晩のスキンケア(という名の愛撫)と定期的な成分注入(セックス)がなければこの輝きは維持できないと彼女の身体と脳髄に刻み込まれてしまったのだから。

「そ、そうか……ハイエルフの姫が仲間になるなら心強いな!俺の人徳ってやつか!」

ゴウは能天気に解釈しガッツポーズをした。
セラフィナはそれを鼻で笑いカイトの手をさらに強く握り返した。

「カイトよ。……わらわの荷物は少ない。そなたの『空間』に置かせてもらってもよいな?」
「勿論です。……貴女専用のスペース(あのベッド)はいつでも空けておきますから」
「うむ。……今夜も、頼むぞ?まだ……肌の渇きが癒えきっておらぬゆえ」

「御意」

二人の間で交わされる会話は表面上は主従のようでありながら、その実濃厚な愛人契約の確認作業だった。

ーーーーー

その様子を少し離れた場所から眺めている二人の影があった。
聖女サオリと賢者ユミだ。
二人の肌もまた、夜の闇の中で艶やかに輝いている。

「……また一人、堕ちたわね」

サオリがどこか諦めたような、それでいて面白がるような口調で言った。
彼女の手にはカイトから貰った『手鏡』が握られている。

「計算通り。……カイトの『万物配送』と『テクニック』に勝てる女はこの異世界には存在しない」

ユミが眼鏡の位置を直しながら淡々と分析する。
だがその視線はカイトとセラフィナの繋がれた手に注がれ、少しだけ嫉妬の色が混じっていた。

「でもいい気味だわ。あんなに高飛車だったエルフ様が出てくる時はあんな……とろけきった顔をして」 「サオリちゃんも最初はあんな顔だった」
「なっ……!ゆ、ユミさんだってこの前アヘ顔ダブルピースしてたじゃない!」

二人は顔を見合わせプッと吹き出した。
彼女たちの間に奇妙な連帯感が生まれていた。

「カイトの秘密を知る共犯者」であり、「快楽を共有する姉妹」としての絆。

「……ねえ、ユミさん」
「なに?」
「あのエルフさん、今夜もカイトさんを独占するつもりみたいよ」
「……聞こえてた。『肌の渇き』とか言ってた。……図々しい」

ユミが不満げに頬を膨らませる。
サオリは悪戯っぽく笑いユミの耳元に唇を寄せた。

「だから……今夜は私たちから仕掛けましょう?」
「……仕掛ける?」
「ええ。テントに入ったら三人で……いえ、四人で。カイトさんを寝かせないの」

サオリの提案にユミの目が怪しく光った。
それは賢者の探究心か、それともただの肉食獣の欲求か。

「……賛成。カイトの回復力(スタミナ)の限界実験が必要」
「ふふっ。……たっぷり愛してもらいましょうね。あのエルフさんに負けないくらいドロドロに」

美女二人は獲物を狙う雌豹のような瞳で、前を歩くカイトの背中を見つめた。
カイトの背中に冷ややかな悪寒とそれ以上の熱い予感が走ったのを彼はまだ知らない。

ーーーーー

森を抜け一行の旅は続いていた。
セラフィナを加えたパーティーは傍目には華やかだった。
勇者、聖女、賢者、そしてハイエルフの姫。
物語の英雄譚そのものの布陣だ。

ただし、実態は違う。
勇者ゴウが一人で前を歩き、後ろの馬車(カイトの召喚物)の中では美女三人がカイトを囲んで菓子を食べ、美容談義に花を咲かせているという歪な構造だった。

「……おい、そろそろ『岩石地帯』だぞ」

ゴウの声でカイトたちは窓の外を見た。
緑豊かな森から一転、ゴツゴツとした岩肌が露出した荒野が広がっていた。
ここは魔王城へ続く最後の難所。
そして、法も秩序も通用しない荒くれ者たちの住処。

「……嫌な気配がする」

セラフィナが長い耳をピクリと動かした。
彼女の肌は連日の「ケア」によってさらに輝きを増していたが、今はその美貌を引き締め警戒の色を浮かべている。

「獣の臭いじゃ。……それも飢えた獣の」

カイトは鼻を鳴らした。
確かに風に乗って獣臭が漂ってくる。
だが、それ以上に彼が感じ取ったのは岩陰からこちらを凝視する鋭い視線の気配だった。

(……見られてるな)

カイトはこっそりとスキルウィンドウを開いた。
現在のLP残高は昨夜の「4P(サオリ・ユミ・セラフィナ)」のおかげでカンストに近い。
どんな物資でも呼び出せる状態だ。

(敵か?いや……殺気というよりはもっと原始的な……)

グゥ~……。

風に乗って微かに腹の虫が鳴る音が聞こえた気がした。

「……食欲、か」

カイトの口元が緩む。
人間の三大欲求。

「睡眠」「性欲」そして「食欲」。 

衛生(サオリ)、娯楽(ユミ)、美容(セラフィナ)と攻略してきた彼にとって最もシンプルで最も強烈な「食」という欲求を持つターゲットはある意味で一番御しやすい相手かもしれない。

岩陰で光るオッドアイ(金と青)の瞳。
猫のような耳を持つ小柄な影がカイトたちの馬車――正確にはカイトが取り出した『最高級ツナ缶』の匂いに釣られて涎を垂らしていた。

次なる「配送先」は決まったようだ。

(待っていろよ、子猫ちゃん。……世界一美味い餌と、極上の首輪を用意してやるからな)

カイトはポケットの中で新たな「攻略アイテム」の感触を確かめ、静かに微笑んだ。
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