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第6章 死の海を往く超弩級豪華客船(アーク・ロイヤル) ~処女喪失と3Pの波濤~
沈黙の港と、深海の支配者 ~死の海を渡るための条件~
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「うわぁ……!海だ!ほんとに海が見えてきたよ!」
二階建てに進化した移動要塞バスの展望ラウンジで、日向莉央(ひなた りお)が窓に張り付いて歓声を上げた。
荒涼とした大地をひた走り、峠を越えた先に広がっていたのは視界を埋め尽くすほどの水平線。
「青い……いや、少し深い色かしら」
一ノ瀬清花(いちのせ さやか)が、オペラグラスを覗き込みながら呟く。
「あれが『死の海』……。名前のわりに、見た目は静かね」
「リゾート地みたいに見えるけど、魔王城がある大陸へ続く唯一のルートなんだよね?」
星奈歌恋(ほしな かれん)が隣に座る僕――相田ミナトに確認するように首を傾げる。
「ああ。羅針盤はこの海の向こうを指している」
僕は運転席のモニターに表示された『星詠みの羅針盤』のデータを見ながら頷いた。
「まずは、あの海岸沿いに見える街……『ポート・ブルー』を目指そう。そこで情報収集と渡航の準備だ」
バスは坂道を下り港町へと近づいていく。
新メンバーである相崎莉奈(あいざき りな)たち「ギャルウィング」の面々も、久しぶりの文明的な光景(街)にテンションが上がっていた。
「ねえねえ!港町ってことはさ、美味しいシーフードとかあるんじゃない!?」
篠原真美(しのはら まみ)が目を輝かせる。
「市場とかでお買い物したい!新しい素材あるかな?」
牧野樹里(まきの じゅり)もソワソワしている。
「ウチはビーチで泳ぎたいなー。せっかく可愛い水着くるみに作ってもらったし!」
莉奈が自分の服の上から新しい水着のラインをなぞるようにして笑う。
車内はこれからのバカンスのような展開を期待する空気で満ちていた。
だが。 街に近づくにつれその空気は急速に冷えていった。
「……変ネ」
王美鈴(ワン・メイリン)が鋭い視線を外に向ける。
「人が……いないアル」
街の入り口、石畳の大通り。
本来なら市場の屋台が並び、活気に溢れているはずの場所がゴーストタウンのように静まり返っていた。 建物は潮風で朽ちかけ窓は板で打ち付けられている。
何より港の様子が異常だった。
「見て、あれ……」
滝川ののかが指差した先。
港には無数の漁船や商船が停泊していたが、そのどれもが陸に揚げられ乾いた海藻のように無残な姿を晒していた。
中には巨人にへし折られたかのように真っ二つになったマストや、船腹に巨大な風穴を開けられた残骸も転がっている。
「……ただ事じゃないわね」
清花の表情が険しくなる。
僕はバスの速度を落とし港の広場へと乗り入れた。
プシューッ……。
エアブレーキの音が静寂を切り裂くように響く。
その音に驚いて、物陰から痩せこけた犬が飛び出しキャンキャンと吠えながら逃げていった。
それ以外に動くものはなかった。
「降りてみよう。警戒は怠らないで」
僕たちは武装しバスから降り立った。
潮の香りに混じって、どこか腐敗したような澱んだ臭いが漂ってくる。
「おい!あんたたち!」
その時、積み上げられた木箱の陰から一人の老人が現れた。
日に焼けた肌に深い皺。
片足を引きずりながら僕たちに近づいてくる。
「な、なんだその巨大な鉄の塊は……?どこから来た?」
老人は僕たちの背後に聳える二階建てバスを見上げ、腰を抜かしそうになっていた。
「旅の者です。……この街はどうしたんですか?まるで死人のようだ」
僕が尋ねると老人は力なく首を振った。
「死人?ああ、その通りだ。この街はもう死んでいる」
彼は海の方角を指差した。
その指先は恐怖で震えていた。
「海が……死んだんだ。いや、殺されたと言うべきか」
「海が殺された?」
「ああ。……奴が現れてから一隻たりとも沖には出られん。漁師も、商人も、逃げようとした者たちも……みんな奴の餌食になった」
老人の言葉にヒロインたちが息を呑む。
「奴って……魔物?」
莉奈が恐る恐る尋ねる。
老人は掠れた声でその名を告げた。
「四天王……『水魔将軍(すいましょうぐん)・クラーケン』だ」
その名は冒険者ギルドの資料にも記されていた。
魔王軍の幹部であり、この海域の生態系の頂点に君臨する災厄。
「やっぱり、四天王か……」
「伝説級の怪物ネ。……まさかこんな港のすぐそばまで縄張りにしているなんて」
美鈴が拳を握りしめる。
「海に出れば奴の触手が空を覆い、船を木っ端微塵にする。……毒の墨で海を汚し、眷属どもが溺れた者を食い荒らすんだ」
老人は涙ながらに語った。
「もはやこの街に希望はない。……あんたたちも悪いことは言わん。引き返せ。あの海は渡れない」
重苦しい空気が僕たちを包み込んだ。
「そんな……海に行けないなら魔王城にも行けないじゃん」
莉央が悔しそうに足踏みする。
「空から行くのはどうかしら?相田くんのバス、ホバー機能はあるわよね?」
歌恋が提案する。
「……いや、難しいかもしれない」
僕はバスに戻り制御パネルを操作した。
シミュレーション画面を開く。
対象:水魔将軍クラーケン(推定データ)。
こちらの戦力:移動要塞バス(ホバーモード)。
《警告:現在の形態では、海上戦闘における耐久値が不足しています》
《敵の推定攻撃力(触手による物理圧壊)に対し、装甲強度が80%不足》
《高波および毒液による腐食ダメージへの耐性が未実装》
《結論:海上での戦闘継続時間は約3分。沈没の危険性「極大」》
「……ダメだ」
僕はモニターを見つめながら首を横に振った。
「今のバスはあくまで『移動用』だ。ホバー機能は水面を滑るだけのもので、荒れ狂う大洋の波や四天王クラスの攻撃には耐えられない」
「3分で沈没……。それじゃあ話にならないわね」
清花が厳しい顔で腕を組む。
「でも、船はこの街にはないし……。どうすれば……」
江藤くるみ(えとう くるみ)が不安そうに呟く。
詰み、か? いや、そんなことはない。
僕には【拠点設営】がある。
拠点は、僕たちのニーズに合わせて進化する。
海を渡る必要があるなら、海に適応した姿になれるはずだ。
僕は意識を集中しシステムの深層へアクセスした。
「……進化だ。拠点を『戦闘用船舶(クルーザー)』に進化させるしかない」
ピロリンッ♪
応答するようにシステムウィンドウがポップアップした。
《クエスト発生:『死の海』踏破への進化》
《必要条件:拠点レベル7へのアップグレード》
《解放形態:超弩級魔法装甲クルーザー》
《必要エネルギー:LP(ラブ・ポイント)規定値超過》
《特殊条件:未知なる『結合』と『開放』のエネルギー供給》
「結合と……開放?」
僕は表示された文字を読み上げた。
「なにそれ?どういう意味?」
莉央が首を傾げる。
「今までとは違う条件ね。……『結合』はわかるわ。誰かと深く結ばれることでしょうけど……」
歌恋が意味深な視線を僕に向ける。
ここにいるメンバーの中で、僕と既に「結合(セックス)」しているのは、歌恋、莉央、美鈴、清花の4人だ。
彼女たちとの愛はすでに拠点の基礎エネルギーとなっている。
となると求められているのは――「未知」の結合。
つまり、まだ結ばれていない誰かとの初めての交わり。
その場の空気が一瞬にして色を変えた。
視線が自然と「新メンバー」たちへと集まる。
相崎莉奈、江藤くるみ、牧野樹里、篠原真美、滝川ののか。
この5人はまだ僕と一線を越えていない。
その中でも特に強い視線を感じたのか、莉奈がビクッと肩を震わせた。
「え……ウチ……?」
彼女は自分の胸に手を当てた。
「未知なる結合……それって処女を捧げるってこと……?」
彼女の呟きに、システムが反応したかのようにウィンドウが明滅した。
そしてもう一つのキーワード。『開放』。
「開放って……どういう意味かしら」
清花が考え込む。
「心を解き放つこと?それとも、何かを……」
その時、江藤くるみが、ふと何かを思いついたように自分の指先を見つめた。
彼女のスキルは【魔糸生成】。
閉ざされたものを解き放つ、あるいは締め付けられたものを緩めるイメージ。
「……アタシ、かも」
くるみがボソリと呟いた。
「アタシのデザイン……『開放』的な衣装を作るのが得意だし……」
彼女は莉奈の背中を見つめた。
莉奈は【浄化】のスキル持ち。
汚れを取り除き、本来の姿へと「開放」する力。
そしてくるみは【魔糸】でそれを彩り、あるいは縛り、解く力。
「……相田くん」
莉奈が一歩前に出た。
彼女の表情から先ほどまでの「海だー!」とはしゃいでいた幼さが消え、覚悟を決めた女の顔が浮かんでいた。
「ウチ……まだ、本当の意味で相田くんと繋がってない」
彼女は握りしめた拳を胸に当てた。
「前のご奉仕(フェラチオ)だけじゃ、足りないんだね。……四天王なんてバケモンを倒すには、ウチの全部を……一番大事なところをあげなきゃダメなんだ」
「莉奈……」
「怖いよ。正直、めちゃくちゃ怖い。……クラーケンも怖いし、初めてのことするのも怖い」
彼女は震える声ででも真っ直ぐに僕を見た。
「でも……ここで足踏みしてたら、ウチらはずっとこの『死の街』に閉じ込められたままだ」
彼女は深呼吸をした。
「ウチは相田くんの女になりたい。……『浄化』だけじゃなくてあんたの『一部』になりたいの」
「待って、莉奈!」
横からくるみが割って入った。
「くるみ?」
「あんた一人にカッコつけさせないよ。……『開放』が必要なんでしょ?」
くるみは挑発的な瞳で僕を見た。
「アタシも混ぜてよ。……莉奈の親友として一緒に卒業したいし」
彼女は自分のスカートの裾を摘み少し持ち上げた。
「それに……デザイナーとして確かめたいことがあるの。アタシが作った『絶対に破れない勝負ランジェリー』……相田くんに攻略できるかなって♡」
「くるみ……あんた」
莉奈が驚き、そしてふっと笑った。
「バカだねぇ。……巻き込まれに来るなんて」
「バカは莉奈でしょ。一人で抱え込もうとしてさ」
二人は顔を見合わせて笑い合い、そして僕に向き直った。
「相田くん。……今夜、バスのラウンジに来て」
莉奈が告げる。
「新しい水着の……ううん、『夜の勝負服』の試着会するから」
「アタシたちの『結合』と『開放』……たっぷりと味わわせてあげる♡」
夕暮れが迫る港町。
絶望に沈む街の一角で、僕たちの移動要塞だけが希望の光(と、ピンク色のオーラ)を放っていた。
四天王クラーケン。
海の支配者がどれほど強大でも、僕たちの愛の力(と性欲)の前には無力だということをこれから証明してやる。
「……待ってるからね、ご主人様♡」
二人のギャルが妖艶なウィンクを残してバスの奥へと消えていった。
今夜この港町で、最も熱く、そして激しい進化の儀式が執り行われる。
二階建てに進化した移動要塞バスの展望ラウンジで、日向莉央(ひなた りお)が窓に張り付いて歓声を上げた。
荒涼とした大地をひた走り、峠を越えた先に広がっていたのは視界を埋め尽くすほどの水平線。
「青い……いや、少し深い色かしら」
一ノ瀬清花(いちのせ さやか)が、オペラグラスを覗き込みながら呟く。
「あれが『死の海』……。名前のわりに、見た目は静かね」
「リゾート地みたいに見えるけど、魔王城がある大陸へ続く唯一のルートなんだよね?」
星奈歌恋(ほしな かれん)が隣に座る僕――相田ミナトに確認するように首を傾げる。
「ああ。羅針盤はこの海の向こうを指している」
僕は運転席のモニターに表示された『星詠みの羅針盤』のデータを見ながら頷いた。
「まずは、あの海岸沿いに見える街……『ポート・ブルー』を目指そう。そこで情報収集と渡航の準備だ」
バスは坂道を下り港町へと近づいていく。
新メンバーである相崎莉奈(あいざき りな)たち「ギャルウィング」の面々も、久しぶりの文明的な光景(街)にテンションが上がっていた。
「ねえねえ!港町ってことはさ、美味しいシーフードとかあるんじゃない!?」
篠原真美(しのはら まみ)が目を輝かせる。
「市場とかでお買い物したい!新しい素材あるかな?」
牧野樹里(まきの じゅり)もソワソワしている。
「ウチはビーチで泳ぎたいなー。せっかく可愛い水着くるみに作ってもらったし!」
莉奈が自分の服の上から新しい水着のラインをなぞるようにして笑う。
車内はこれからのバカンスのような展開を期待する空気で満ちていた。
だが。 街に近づくにつれその空気は急速に冷えていった。
「……変ネ」
王美鈴(ワン・メイリン)が鋭い視線を外に向ける。
「人が……いないアル」
街の入り口、石畳の大通り。
本来なら市場の屋台が並び、活気に溢れているはずの場所がゴーストタウンのように静まり返っていた。 建物は潮風で朽ちかけ窓は板で打ち付けられている。
何より港の様子が異常だった。
「見て、あれ……」
滝川ののかが指差した先。
港には無数の漁船や商船が停泊していたが、そのどれもが陸に揚げられ乾いた海藻のように無残な姿を晒していた。
中には巨人にへし折られたかのように真っ二つになったマストや、船腹に巨大な風穴を開けられた残骸も転がっている。
「……ただ事じゃないわね」
清花の表情が険しくなる。
僕はバスの速度を落とし港の広場へと乗り入れた。
プシューッ……。
エアブレーキの音が静寂を切り裂くように響く。
その音に驚いて、物陰から痩せこけた犬が飛び出しキャンキャンと吠えながら逃げていった。
それ以外に動くものはなかった。
「降りてみよう。警戒は怠らないで」
僕たちは武装しバスから降り立った。
潮の香りに混じって、どこか腐敗したような澱んだ臭いが漂ってくる。
「おい!あんたたち!」
その時、積み上げられた木箱の陰から一人の老人が現れた。
日に焼けた肌に深い皺。
片足を引きずりながら僕たちに近づいてくる。
「な、なんだその巨大な鉄の塊は……?どこから来た?」
老人は僕たちの背後に聳える二階建てバスを見上げ、腰を抜かしそうになっていた。
「旅の者です。……この街はどうしたんですか?まるで死人のようだ」
僕が尋ねると老人は力なく首を振った。
「死人?ああ、その通りだ。この街はもう死んでいる」
彼は海の方角を指差した。
その指先は恐怖で震えていた。
「海が……死んだんだ。いや、殺されたと言うべきか」
「海が殺された?」
「ああ。……奴が現れてから一隻たりとも沖には出られん。漁師も、商人も、逃げようとした者たちも……みんな奴の餌食になった」
老人の言葉にヒロインたちが息を呑む。
「奴って……魔物?」
莉奈が恐る恐る尋ねる。
老人は掠れた声でその名を告げた。
「四天王……『水魔将軍(すいましょうぐん)・クラーケン』だ」
その名は冒険者ギルドの資料にも記されていた。
魔王軍の幹部であり、この海域の生態系の頂点に君臨する災厄。
「やっぱり、四天王か……」
「伝説級の怪物ネ。……まさかこんな港のすぐそばまで縄張りにしているなんて」
美鈴が拳を握りしめる。
「海に出れば奴の触手が空を覆い、船を木っ端微塵にする。……毒の墨で海を汚し、眷属どもが溺れた者を食い荒らすんだ」
老人は涙ながらに語った。
「もはやこの街に希望はない。……あんたたちも悪いことは言わん。引き返せ。あの海は渡れない」
重苦しい空気が僕たちを包み込んだ。
「そんな……海に行けないなら魔王城にも行けないじゃん」
莉央が悔しそうに足踏みする。
「空から行くのはどうかしら?相田くんのバス、ホバー機能はあるわよね?」
歌恋が提案する。
「……いや、難しいかもしれない」
僕はバスに戻り制御パネルを操作した。
シミュレーション画面を開く。
対象:水魔将軍クラーケン(推定データ)。
こちらの戦力:移動要塞バス(ホバーモード)。
《警告:現在の形態では、海上戦闘における耐久値が不足しています》
《敵の推定攻撃力(触手による物理圧壊)に対し、装甲強度が80%不足》
《高波および毒液による腐食ダメージへの耐性が未実装》
《結論:海上での戦闘継続時間は約3分。沈没の危険性「極大」》
「……ダメだ」
僕はモニターを見つめながら首を横に振った。
「今のバスはあくまで『移動用』だ。ホバー機能は水面を滑るだけのもので、荒れ狂う大洋の波や四天王クラスの攻撃には耐えられない」
「3分で沈没……。それじゃあ話にならないわね」
清花が厳しい顔で腕を組む。
「でも、船はこの街にはないし……。どうすれば……」
江藤くるみ(えとう くるみ)が不安そうに呟く。
詰み、か? いや、そんなことはない。
僕には【拠点設営】がある。
拠点は、僕たちのニーズに合わせて進化する。
海を渡る必要があるなら、海に適応した姿になれるはずだ。
僕は意識を集中しシステムの深層へアクセスした。
「……進化だ。拠点を『戦闘用船舶(クルーザー)』に進化させるしかない」
ピロリンッ♪
応答するようにシステムウィンドウがポップアップした。
《クエスト発生:『死の海』踏破への進化》
《必要条件:拠点レベル7へのアップグレード》
《解放形態:超弩級魔法装甲クルーザー》
《必要エネルギー:LP(ラブ・ポイント)規定値超過》
《特殊条件:未知なる『結合』と『開放』のエネルギー供給》
「結合と……開放?」
僕は表示された文字を読み上げた。
「なにそれ?どういう意味?」
莉央が首を傾げる。
「今までとは違う条件ね。……『結合』はわかるわ。誰かと深く結ばれることでしょうけど……」
歌恋が意味深な視線を僕に向ける。
ここにいるメンバーの中で、僕と既に「結合(セックス)」しているのは、歌恋、莉央、美鈴、清花の4人だ。
彼女たちとの愛はすでに拠点の基礎エネルギーとなっている。
となると求められているのは――「未知」の結合。
つまり、まだ結ばれていない誰かとの初めての交わり。
その場の空気が一瞬にして色を変えた。
視線が自然と「新メンバー」たちへと集まる。
相崎莉奈、江藤くるみ、牧野樹里、篠原真美、滝川ののか。
この5人はまだ僕と一線を越えていない。
その中でも特に強い視線を感じたのか、莉奈がビクッと肩を震わせた。
「え……ウチ……?」
彼女は自分の胸に手を当てた。
「未知なる結合……それって処女を捧げるってこと……?」
彼女の呟きに、システムが反応したかのようにウィンドウが明滅した。
そしてもう一つのキーワード。『開放』。
「開放って……どういう意味かしら」
清花が考え込む。
「心を解き放つこと?それとも、何かを……」
その時、江藤くるみが、ふと何かを思いついたように自分の指先を見つめた。
彼女のスキルは【魔糸生成】。
閉ざされたものを解き放つ、あるいは締め付けられたものを緩めるイメージ。
「……アタシ、かも」
くるみがボソリと呟いた。
「アタシのデザイン……『開放』的な衣装を作るのが得意だし……」
彼女は莉奈の背中を見つめた。
莉奈は【浄化】のスキル持ち。
汚れを取り除き、本来の姿へと「開放」する力。
そしてくるみは【魔糸】でそれを彩り、あるいは縛り、解く力。
「……相田くん」
莉奈が一歩前に出た。
彼女の表情から先ほどまでの「海だー!」とはしゃいでいた幼さが消え、覚悟を決めた女の顔が浮かんでいた。
「ウチ……まだ、本当の意味で相田くんと繋がってない」
彼女は握りしめた拳を胸に当てた。
「前のご奉仕(フェラチオ)だけじゃ、足りないんだね。……四天王なんてバケモンを倒すには、ウチの全部を……一番大事なところをあげなきゃダメなんだ」
「莉奈……」
「怖いよ。正直、めちゃくちゃ怖い。……クラーケンも怖いし、初めてのことするのも怖い」
彼女は震える声ででも真っ直ぐに僕を見た。
「でも……ここで足踏みしてたら、ウチらはずっとこの『死の街』に閉じ込められたままだ」
彼女は深呼吸をした。
「ウチは相田くんの女になりたい。……『浄化』だけじゃなくてあんたの『一部』になりたいの」
「待って、莉奈!」
横からくるみが割って入った。
「くるみ?」
「あんた一人にカッコつけさせないよ。……『開放』が必要なんでしょ?」
くるみは挑発的な瞳で僕を見た。
「アタシも混ぜてよ。……莉奈の親友として一緒に卒業したいし」
彼女は自分のスカートの裾を摘み少し持ち上げた。
「それに……デザイナーとして確かめたいことがあるの。アタシが作った『絶対に破れない勝負ランジェリー』……相田くんに攻略できるかなって♡」
「くるみ……あんた」
莉奈が驚き、そしてふっと笑った。
「バカだねぇ。……巻き込まれに来るなんて」
「バカは莉奈でしょ。一人で抱え込もうとしてさ」
二人は顔を見合わせて笑い合い、そして僕に向き直った。
「相田くん。……今夜、バスのラウンジに来て」
莉奈が告げる。
「新しい水着の……ううん、『夜の勝負服』の試着会するから」
「アタシたちの『結合』と『開放』……たっぷりと味わわせてあげる♡」
夕暮れが迫る港町。
絶望に沈む街の一角で、僕たちの移動要塞だけが希望の光(と、ピンク色のオーラ)を放っていた。
四天王クラーケン。
海の支配者がどれほど強大でも、僕たちの愛の力(と性欲)の前には無力だということをこれから証明してやる。
「……待ってるからね、ご主人様♡」
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