【R18】【拠点設営】で守る乙女達の尊厳 〜世界を救うのは聖剣じゃなくて、清潔なお風呂と愛し合う夜〜

のびすけ。

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第7章 偽りの楽園・ジュエルアイランド ~地魔将軍の罠と恋するスナイパー~

星の光が貫く刻 ~超電磁砲(レールガン)と崩れゆく地魔将軍~ ☆

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「充填率、120%……臨界点突破!」 

アーク・ロイヤルのブリッジに緊迫したアラート音が鳴り響く。 
船首甲板は完全に展開し、二本の巨大な砲身の間で青白いプラズマの球体がバチバチと荒れ狂っていた。 新武装・超電磁魔導投射砲(リニア・レールガン)『スターライト・ピアッサー』。 
僕、相田ミナトと滝川ののかの愛の結合によって生まれた対要塞用決戦兵器だ。

「……見える。あいつの『死の点』が」

僕の隣に立つ滝川ののかは弓を引く動作で右手を虚空に構えていた。 
その瞳はスキル【必中(ホークアイ)】によって赤く発光し、遥か彼方にいる地魔将軍グランギガスの分厚いミスリル装甲の奥にある「核(コア)」を完全に捉えていた。

「風向き、湿度、魔力障壁の揺らぎ……すべて補正完了」

彼女の声は、氷のように冷徹だ。 
さっきまでベッドの上で乱れ、僕の下で「見て、もっと見て」と泣き叫んでいた乙女とは別人のような凄腕スナイパーの顔。 

だが、その頬には微かに事後の紅潮が残り羽織っただけの僕のYシャツからは白く滑らかな太ももが覗いている。 
そのギャップがたまらなく頼もしく、そして愛おしかった。

モニターの向こうではグランギガスが捕らえた莉奈たちを完全に取り込もうとしていた。

『グオォォォ……!貴様らまだ抵抗するか!我が装甲は無敵……!』
「無敵じゃない。……あんたには穴がある」

ののかが呟く。

「相田、リンクして。……私の視界をあんたに送る」
「わかった!」

僕たちは手を繋いだ。 
瞬間、僕の脳裏に鮮明な映像が飛び込んできた。 
ズームアップされたグランギガスの胸部。
岩盤の継ぎ目。
その奥で脈打つ赤黒い心臓。 
そこに、十字の照準(レティクル)が吸い付くように重なる。

「……ロックオン」

ののかが引き金を引く動作をする。

「いっけぇぇぇぇぇぇッ!!!」

僕がコンソールの発射ボタンを叩き込んだ。

ズドォォォォォォォォォンッ!!!!!



鼓膜を、いや、大気そのものを引き裂くような轟音。 
砲身から放たれたのは光の矢だった。 

音速を遥かに超える超高速の魔力弾。 
それは一筋の閃光となり空間を削り取りながら一直線に突き進んだ。

『な、なにィィィッ!?』

グランギガスが反応する暇などなかった。 

ドシュッ! 

着弾の衝撃音すら遅れて聞こえる。 
光の矢は絶対防御を誇るミスリル装甲を紙切れのように貫通し、正確無比に「核」を撃ち抜いた。 

『ガ、ア、ア……ッ!?馬鹿、な……我が大地が……貫かれ……!?』

巨人の動きが止まる。 
胸に空いた風穴から光が溢れ出す。

『おのれェェェェ……人間ンンンンッ……!』 

ズズズズズズ……! 

巨体が内側から崩壊を始める。 
岩石の結合が解け、グランギガスはただの砂礫となって海へと崩れ落ちていった。

「……命中(ターゲット・ダウン)」

ののかが、ふぅ、と息を吐き崩れ落ちそうになる。

「ののか!」

僕は慌てて彼女を支えた。

「平気……ちょっと、魔力使いすぎただけ。……それよりみんなを!」
「ああ、行こう!」

崩壊した巨人は、元の美しい島の形すら残さず海上の瓦礫の山と化していた。
その中心部、かろうじて残った岩盤の上にヒロインたちが倒れていた。

「みんな!」

アーク・ロイヤルを接近させ僕たちは甲板から飛び降りた。

「うぅ……」
「けほっ、けほっ……」

相崎莉奈(あいざき りな)が身じろぎし目を開ける。

「あ、れ……?ウチ、生きてる……?」
「石化が……解けてるわ」

一ノ瀬清花(いちのせ さやか)が自分の手足を確認する。 
足元の流砂は消え去り体を蝕んでいた灰色の呪いも本体の消滅と共に解除されていた。

「助かった……の?もうダメかと思ったヨ……」

王美鈴(ワン・メイリン)がへたり込む。 
星奈歌恋(ほしな かれん)や日向莉央(ひなた りお)たちも泥だらけになりながら互いの無事を確認し合って抱き合っていた。

「みんな、大丈夫か!?」

僕が駆け寄ると全員が涙目で振り返った。

「相田くん!」
「うわぁぁぁん!怖かったよぉ!」

江藤くるみ(えとう くるみ)と篠原真美(しのはら まみ)が飛びついてくる。

「ごめん、遅くなった。……怪我はない?」
「平気……でも、どうやってあんな化け物を?」

牧野樹里(まきの じゅり)が海に沈んだ残骸を見つめる。

「相田くんの船の主砲でも装甲を抜けなかったはずじゃ……」

「僕じゃないよ」

僕は、後ろに控えていたののかの背中を押して前に出した。

「ののかがやったんだ。……彼女の【必中】スキルがなければ核を撃ち抜くことはできなかった」
「えっ……?」

全員の視線がののかに集中する。
ののかはYシャツ一枚(下は水着のショーツだけ)という無防備な姿で居心地悪そうに身を縮めた。

「……べ、別に。……相田がいいサポートしてくれたからだし。私はただ狙っただけ」

彼女はプイと顔を背けるがその耳は真っ赤だ。

「ののかちゃん……すごい!」

莉奈が駆け寄りののかの手を握りしめた。

「あんた、マジで命の恩人だよ!あの一撃、遠くからでも見えた!流れ星みたいだった!」
「そうよ!ののかがいなかったら私たち石像になってたわ」

歌恋も目を輝かせる。

「クールでかっこいいとは思ってたけど、まさかあそこまでとはネ!」

美鈴がバシバシと背中を叩く。

「い、痛いってば! ……もう、よしてよ。ガラじゃないし……」

ののかは口では嫌がるがまんざらでもなさそうだ。 
孤高の射手として少し距離を置いていた彼女が、初めて輪の中心で認められた瞬間だった。

だが。 
鋭いヒロインたちは、すぐに「違和感」に気づいた。

「……ていうかさ」

くるみがジトッとした目でミナトとののかを交互に見る。

「ののか。……その格好、ナニ?」
「へ?」

ののかが着ているのはサイズが大きな男物のYシャツ一枚。
ボタンは掛け違えられ、鎖骨には――薄っすらと赤いキスマークが残っていた。 

そして何より彼女から漂う甘い匂いと、憑き物が落ちたような艶っぽい雰囲気。

「それに、さっき『相田がいいサポートしてくれた』って言ったわよね?」

清花が眼鏡を光らせる。

「あの強力なレールガン……発動条件は、私たちのアーク・ロイヤルと同じ『LP(ラブ・ポイント)』のはず……」
「あっ……」

ののかが硬直する。

「まさか……ののかちゃん、抜け駆けした?」

莉央がニヤニヤしながら近づく。

「あんな絶体絶命のピンチに、二人っきりで……シてたの?」
「ち、違う!これは、その……エネルギー充填のために必要だったというか……!」

ののかがしどろもどろになる。
クールキャラ崩壊だ。

「へぇ~?必要だったんだぁ~?♡」

莉奈が悪戯っぽくののかのYシャツの裾をめくる。

「キャッ!なにするの!」
「うわ、太ももに手形ついてる!相田くん、どんだけ強く掴んだのよ!」
「わお、首筋もすごいことになってるネ」
「ののかちゃん、耳が弱点って本当?真っ赤だよ?」

「うぅ……うぅぅ……!」

ののかは顔を両手で覆いその場にしゃがみ込んだ。

「……だって、しょうがないじゃん!そうしなきゃ勝てなかったんだもん!」

彼女は涙目で叫んだ。

「それに……私だって相田のこと……好きだったし!文化祭の時からずっと見てたんだから!」
「「「キャーーーーッ!!♡」」」 

特大のデレ爆弾に女子たちが黄色い悲鳴を上げる。

「言った!ついに言った!」
「ののかちゃん可愛いー!」
「もう、素直じゃないんだから♡」

みんながののかを取り囲み祝福のハグ攻めにする。

「よかったね、ののか」
「ようこそ、こっち側へ!」
「これで私たち、本当の姉妹ネ!」

もみくちゃにされるののか。

「ちょ、苦しい!離してよぉ!……相田ぁ、助けてぇ!」

彼女が助けを求めて僕を見る。 
僕は苦笑しながら肩を竦めた。

「ごめん、ののか。……みんな君に感謝してるんだよ。受け入れてあげて」
「うぅ……裏切り者ぉ……!」

彼女は文句を言いながらもその表情は泣きそうなほど幸せそうに崩れていた。

こうして、地魔将軍グランギガス討伐戦は僕たちの大勝利で幕を閉じた。 
アーク・ロイヤルに帰還した僕たちは、改めてシャワーを浴び(泥と石化の汚れを落とし)清潔な服に着替えた。 
船は再び穏やかな海原を進み始める。

甲板のデッキ。 
夕日が水平線に沈もうとしていた。

「……綺麗ね」

シャワーを浴びてさっぱりしたののかが僕の隣に並ぶ。 
もうYシャツ姿ではなく新しいワンピースを着ているが、その距離感は以前よりもずっと近い。

「ああ。……ののかのおかげだよ」
「……ふん。調子いいこと言って」

彼女はそっぽを向きながらそっと僕の手を握ってきた。 
その指先は弓を引く時と同じくらい力強く、そして温かかった。

「……ありがと。私のこと見てくれて」
「これからも見続けるよ。……逸らさないでね?」
「当たり前でしょ。……私の目はもうあんた以外外さないから」

彼女は背伸びをして僕の頬にキスをした。

「……大好きだよ、相田」

四天王は残り二人。 
だが、今の僕たちに恐れはない。 
新たな力(レールガン)と新たな絆を手に入れたアーク・ロイヤルは、無敵の進撃を続ける。 
次の冒険が、僕たちを待っている。
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