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後日譚 世界で一番幸せなマイホーム ~パパになった最強オーナー~
数年後、騒がしくも愛おしい楽園 ~最強パパと10人のママ、そして小さな怪獣たち~
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「パパ~!起きて~!朝だよ~!」
「とーちゃん!サッカーしよ!」
「パパ上(うえ)!余と勝負じゃ!」
ドスッ!ボフッ!ベシッ!
休日の朝。
『ラス・ベガス・ドリーム』のオーナーズルームにあるキングサイズベッド(拡張済み)の上で、僕、相田ミナトは物理的な衝撃によって目を覚ました。
「ぐふっ!?……お、重い……」
目を開けるとそこには視界を埋め尽くすほどの「子供の山」があった。
「あ、パパ起きた!」
僕のお腹の上でジャンプしているのは長男の遥斗(ハルト)(5歳)。
黒髪で整った顔立ち、そして眼鏡こそかけていないが知的な瞳は母親である一ノ瀬清花にそっくりだ。
しっかり者で、弟妹たちのリーダー的存在になっている。
「パパ!早くボール蹴ってよ!」
僕の腕を引っ張っているのは、日向莉央の娘、陽菜(ヒナ)(4歳)と王美鈴の息子、龍(リュウ)(4歳)。
二人とも驚異的な身体能力を持っており、ベッドの上から宙返りして着地するなど、朝からエンジン全開だ。
「ふふん!パパ上は余の相手をするのじゃ!今日こそスロットで勝負じゃ!」
「ずるいぞ姉上!僕が先だ!」
枕元で騒いでいるのは銀髪と赤目を持つ双子。
魔王ルルの子供たち、ルナ(姉)とソル(弟)(4歳)だ。
小さなツインテールと生意気そうな口調は母親譲りだが、僕には甘えん坊なところもそっくりだ。
「う~、お腹すいたぁ……。パパ、ごはん……」
ヨダレを垂らして僕の太ももに噛み付こうとしているのは、篠原真美の息子、太一(タイチ)(4歳)。 既に貫禄のある体格をしており、将来は大食いファイターか横綱間違いなしだ。
他にも、歌恋似の歌が大好きな娘、くるみ似のオシャレな娘、樹里似のかくれんぼが得意な息子、ののか似の目つきが鋭い(でも照れ屋な)娘、そして莉奈似の怪我をしてもすぐ治る無敵な息子……。
総勢10人以上の子供たちが僕という巨大遊具に群がっている。
「ちょ、ちょっと待って!パパはまだ寝ていたいんだ……」
「ダメーっ!ママたちが『パパを起こしてきなさい』って言ってたもん!」
ハルトが容赦なく僕の頬をつねる。
「いててて!わ、わかった!起きる、起きるから!」
「こらこら、みんな。パパをいじめちゃダメよ?」
「そうだよ~、優しく起こしてあげてって言ったでしょ?」
騒ぎを聞きつけて、リビングから「ママたち」が入ってきた。
エプロン姿の清花、真美、莉奈をはじめ、ヒロインたち全員が揃っている。
数年が経ち、彼女たちはさらに美しさに磨きがかかっていた。
少女のような可憐さはそのままに、母親としての慈愛と包容力、そして匂い立つような色気が加わり最強の布陣となっている。
「清花、助けて……」
「ふふっ、愛されてるわね、パパ♡」
清花は微笑みながらハルトを抱き上げた。
「ほら、パパはお着替えするからみんなは朝ごはんの席についてなさい」
「はーい!」
「今日の朝ごはんなにー?」
「真美ママ特製、ドラゴン肉のハンバーグよ~」
「やったーっ!」
子供たちは一斉にダイニングへと駆けていった。
嵐のような騒がしさだが、その背中を見送る僕たちの目は自然と緩んでしまう。
「……賑やかになったね」
「ええ。……数年前までは想像もできなかったわ」
清花が僕のネクタイを整えながら感慨深げに呟く。
「最初はコンテナ一つだったのにね」
「今は、世界一の大家族だ」
僕は彼女の額にキスをした。
「行ってきます、みんな」
***
朝食後、僕たちはプライベートガーデンへと出た。
そこはリゾートの屋上に作られた広大な庭園で、子供たちが安全に遊べるように結界が張られている。
「いっくよー!必殺、サンダー・シュート!」
「甘いネ!真空・手刀キャッチ!」
陽菜と龍が人間離れしたボール遊びをしている。
ボールがソニックブームを起こしているが、結界内なので安全だ。
「ラララ~♪」
歌恋の娘がステージ(花壇の縁)でリサイタルを開き、太一が観客席でポップコーンを貪っている。
「隠れ身の術……」
樹里の息子が植え込みに同化し、ののかの娘がそれを木の上からスナイプしようと狙っている。
「ほらほら、ルナ、ソル。喧嘩しないの」
ルルが取っ組み合いをしている双子を魔法で浮かせた。
「魔王の血を引く者が低レベルな争いをするでない!……喧嘩するならポーカーで決着をつけよ!」
「ルルちゃん、教育方針が偏ってるよ……」
莉奈が苦笑しながら転んで擦りむいた太一に駆け寄る。
「痛いの痛いの、飛んでいけ~♡ 【ハイ・ヒール】!」
一瞬で傷が治る。
「ありがとう、莉奈ママ!」
ここでは、誰が産んだ子か関係なく、全員が全員の「ママ」だ。
10人の母親と、1人の父親。
血の繋がりを超えた巨大な家族の輪。
その時だった。
カッーーーーーーーーーーッ!
雲ひとつない青空が突如として黄金色に輝いた。
「っ!?なんだ!?」
「みんな、下がって!」
僕が叫ぶと同時に、ヒロインたちが子供たちを背に庇う。
子供たちもただ怯えるだけではない。
ハルトやルナたちは、小さな手に魔力を込め、親たちを守ろうと前に出ようとする。
「下がっていなさい、ハルト」
清花が鋭く制止する。
光の中心から一人の女性が降り立った。
純白のドレス、背中の翼、そしてこの世ならざる美貌。
数年前、僕たちに帰還の選択を迫った、あの「女神」だ。
彼女は空中にとどまり、眼下の大家族を見下ろした。
その瞳は以前のような無機質な冷たさはなく、しかし馴れ合いを拒絶するような、尊大な輝きを帯びていた。
『……壮観ですね』
女神の声が頭に直接響く。
『たった数年でこれほど増やすとは。……貴方たちの繁殖能力とその育成環境は神界の予測を遥かに上回っています』
「女神……」
僕は一歩前に出た。
「また来たのか。……今度は何用だ?まさか、勇者を連れてきたわけじゃないだろうな」
『いいえ。今のところ、その必要はないようです』
女神は子供たち一人一人に視線を巡らせた。
その視線に、ハルトたちは気圧されることなく、堂々と見返している。
『魔族と人族の混血、異能の融合、そして英才教育……。彼らは皆、次代の英雄(ヒーロー)となりうる器を持っています』
彼女はフンと鼻を鳴らした。
『認めましょう、相田ミナト。貴方は「魔王」にはならなかった。……代わりに世界の「苗床」になったようですが』
「苗床って言い方はやめてほしいな。……『マイホームパパ』と呼んでくれ」
『どちらでも構いません。……今日来たのは貴方たちに「釘」を刺すためです』
女神の表情が引き締まった。
『貴方たちが作り上げたこの「平和」は、貴方という特異点(オーナー)の上に成り立っています。……ですが、貴方は永遠ではない』
「……ああ、わかってる」
『いつか貴方が去った後、この強大な力が暴走すれば世界は再び混沌に沈むでしょう。……特にあの双子や、そこの少年』
彼女はルナ、ソル、そしてハルトを指差した。
『彼らは強すぎる。育て方を間違えれば世界を滅ぼす魔神にもなり得る』
「だから、警告しに来たと?」
『いいえ。「忠告」です』
女神は、ふわりと地面に降り立った。
そして意外なことに、ハルトの前に屈み込んだ。
「っ……」
ハルトが身構えるが、逃げない。
女神はハルトの瞳を覗き込み、ニヤリと笑った。
『いい目をしていますね。……父親譲りの図太さと、母親譲りの賢さを感じる』
彼女は立ち上がり、僕たちに向き直った。
『育てなさい。……力だけでなく、その「心」を』
女神の声に厳粛な響きが混じる。
『このリゾート(世界)を維持し、発展させ、守り抜くための「帝王学」を。……ただ甘やかすのではなく、背負うべき責任の重さを教えなさい。それが世界を改変した貴方たちの、最後の義務です』
「……言われなくてもそのつもりだ」
僕は答えた。
「彼らは僕の子供だ。……僕なんかよりずっと上手くやるさ」
「そうよ」
清花が隣に並んだ。
「私たちはこの子たちに『愛』と『知恵』を注いでいるわ。……力に溺れるような子には育てていない」
「うむ!余の子じゃぞ?世界征服などという古臭いことはせん!世界『経営』をするのじゃ!」
ルルが胸を張る。
『……フフッ、経営、ですか』
女神は小さく笑った。
『よろしい。……貴方たちが作り上げたこの「箱庭」、もう少し見守ってあげましょう』
彼女の体が光の粒子となって分解し始める。
『精々、長生きしなさい。……そして、面白い歴史(ドラマ)を紡ぎなさい。退屈させたらすぐにリセットしに来ますからね?』
「させないよ。……僕たちの毎日は退屈とは無縁だからな」
『期待していますよ』
最後に、女神は子供たちに向かってほんの少しだけ優しく微笑んだ気がした。
『健やかにあれ、新しき種の子らよ』
閃光と共に女神は空の彼方へと消え去った。
「……行っちゃったネ」
美鈴が息を吐く。
「相変わらず、偉そうな女神様だねぇ」
莉奈が苦笑する。
でも空気は重くない。
むしろ、未来への「お墨付き」をもらったような清々しい気分だった。
「パパ!今のキラキラした人、だあれ?」
「神様?」
子供たちが駆け寄ってくる。
「ああ、ちょっと口うるさい大家さんみたいな人だよ」
僕はハルトの頭を撫でた。
「ハルト。……聞いたか?お前たちには、期待がかかってるらしいぞ」
「うん」
ハルトは真剣な目で空を見上げていた。
「僕……パパみたいになりたい。……みんなが笑って暮らせる、凄い場所を作りたい」
「余はこのカジノをもっと大きくするのじゃ!」
「俺は、世界一強い男になる!」
子供たちの瞳には無限の可能性が宿っている。
彼らが成長しこのリゾートを受け継ぐ頃には、きっと僕の想像を超えるような素晴らしい世界になっているだろう。
「さあ、難しい話はおしまい!」
真美が手を叩いた。
「おやつの時間ですよ~!今日は特大パフェを作ります!」
「やったーっ!」
「パフェ!パフェ!」
子供たちの歓声が戻り、庭園は再び騒がしく、愛おしい喧騒に包まれた。
「……ふふっ。パパ、私たちも負けてられないわね」
清花が僕の腕に絡みつく。
「ああ。……子供たちに背中を見せていかないとな」
「それと……」
彼女は耳元で囁いた。
「女神様も『繁殖能力』を褒めてたし……そろそろ『第2次』いっとく?♡」
「えっ?」
見ると、他のヒロインたちも獲物を狙う目つきで僕を見ていた。
「そ、そうだね……子供たちには、兄弟が多い方が楽しいしね……」
僕の「拠点設営」と「家族計画」はまだまだ終わりそうにない。
でも、それが最高に幸せだ。
空はどこまでも青く、僕たちの未来はどこまでも明るかった。
「とーちゃん!サッカーしよ!」
「パパ上(うえ)!余と勝負じゃ!」
ドスッ!ボフッ!ベシッ!
休日の朝。
『ラス・ベガス・ドリーム』のオーナーズルームにあるキングサイズベッド(拡張済み)の上で、僕、相田ミナトは物理的な衝撃によって目を覚ました。
「ぐふっ!?……お、重い……」
目を開けるとそこには視界を埋め尽くすほどの「子供の山」があった。
「あ、パパ起きた!」
僕のお腹の上でジャンプしているのは長男の遥斗(ハルト)(5歳)。
黒髪で整った顔立ち、そして眼鏡こそかけていないが知的な瞳は母親である一ノ瀬清花にそっくりだ。
しっかり者で、弟妹たちのリーダー的存在になっている。
「パパ!早くボール蹴ってよ!」
僕の腕を引っ張っているのは、日向莉央の娘、陽菜(ヒナ)(4歳)と王美鈴の息子、龍(リュウ)(4歳)。
二人とも驚異的な身体能力を持っており、ベッドの上から宙返りして着地するなど、朝からエンジン全開だ。
「ふふん!パパ上は余の相手をするのじゃ!今日こそスロットで勝負じゃ!」
「ずるいぞ姉上!僕が先だ!」
枕元で騒いでいるのは銀髪と赤目を持つ双子。
魔王ルルの子供たち、ルナ(姉)とソル(弟)(4歳)だ。
小さなツインテールと生意気そうな口調は母親譲りだが、僕には甘えん坊なところもそっくりだ。
「う~、お腹すいたぁ……。パパ、ごはん……」
ヨダレを垂らして僕の太ももに噛み付こうとしているのは、篠原真美の息子、太一(タイチ)(4歳)。 既に貫禄のある体格をしており、将来は大食いファイターか横綱間違いなしだ。
他にも、歌恋似の歌が大好きな娘、くるみ似のオシャレな娘、樹里似のかくれんぼが得意な息子、ののか似の目つきが鋭い(でも照れ屋な)娘、そして莉奈似の怪我をしてもすぐ治る無敵な息子……。
総勢10人以上の子供たちが僕という巨大遊具に群がっている。
「ちょ、ちょっと待って!パパはまだ寝ていたいんだ……」
「ダメーっ!ママたちが『パパを起こしてきなさい』って言ってたもん!」
ハルトが容赦なく僕の頬をつねる。
「いててて!わ、わかった!起きる、起きるから!」
「こらこら、みんな。パパをいじめちゃダメよ?」
「そうだよ~、優しく起こしてあげてって言ったでしょ?」
騒ぎを聞きつけて、リビングから「ママたち」が入ってきた。
エプロン姿の清花、真美、莉奈をはじめ、ヒロインたち全員が揃っている。
数年が経ち、彼女たちはさらに美しさに磨きがかかっていた。
少女のような可憐さはそのままに、母親としての慈愛と包容力、そして匂い立つような色気が加わり最強の布陣となっている。
「清花、助けて……」
「ふふっ、愛されてるわね、パパ♡」
清花は微笑みながらハルトを抱き上げた。
「ほら、パパはお着替えするからみんなは朝ごはんの席についてなさい」
「はーい!」
「今日の朝ごはんなにー?」
「真美ママ特製、ドラゴン肉のハンバーグよ~」
「やったーっ!」
子供たちは一斉にダイニングへと駆けていった。
嵐のような騒がしさだが、その背中を見送る僕たちの目は自然と緩んでしまう。
「……賑やかになったね」
「ええ。……数年前までは想像もできなかったわ」
清花が僕のネクタイを整えながら感慨深げに呟く。
「最初はコンテナ一つだったのにね」
「今は、世界一の大家族だ」
僕は彼女の額にキスをした。
「行ってきます、みんな」
***
朝食後、僕たちはプライベートガーデンへと出た。
そこはリゾートの屋上に作られた広大な庭園で、子供たちが安全に遊べるように結界が張られている。
「いっくよー!必殺、サンダー・シュート!」
「甘いネ!真空・手刀キャッチ!」
陽菜と龍が人間離れしたボール遊びをしている。
ボールがソニックブームを起こしているが、結界内なので安全だ。
「ラララ~♪」
歌恋の娘がステージ(花壇の縁)でリサイタルを開き、太一が観客席でポップコーンを貪っている。
「隠れ身の術……」
樹里の息子が植え込みに同化し、ののかの娘がそれを木の上からスナイプしようと狙っている。
「ほらほら、ルナ、ソル。喧嘩しないの」
ルルが取っ組み合いをしている双子を魔法で浮かせた。
「魔王の血を引く者が低レベルな争いをするでない!……喧嘩するならポーカーで決着をつけよ!」
「ルルちゃん、教育方針が偏ってるよ……」
莉奈が苦笑しながら転んで擦りむいた太一に駆け寄る。
「痛いの痛いの、飛んでいけ~♡ 【ハイ・ヒール】!」
一瞬で傷が治る。
「ありがとう、莉奈ママ!」
ここでは、誰が産んだ子か関係なく、全員が全員の「ママ」だ。
10人の母親と、1人の父親。
血の繋がりを超えた巨大な家族の輪。
その時だった。
カッーーーーーーーーーーッ!
雲ひとつない青空が突如として黄金色に輝いた。
「っ!?なんだ!?」
「みんな、下がって!」
僕が叫ぶと同時に、ヒロインたちが子供たちを背に庇う。
子供たちもただ怯えるだけではない。
ハルトやルナたちは、小さな手に魔力を込め、親たちを守ろうと前に出ようとする。
「下がっていなさい、ハルト」
清花が鋭く制止する。
光の中心から一人の女性が降り立った。
純白のドレス、背中の翼、そしてこの世ならざる美貌。
数年前、僕たちに帰還の選択を迫った、あの「女神」だ。
彼女は空中にとどまり、眼下の大家族を見下ろした。
その瞳は以前のような無機質な冷たさはなく、しかし馴れ合いを拒絶するような、尊大な輝きを帯びていた。
『……壮観ですね』
女神の声が頭に直接響く。
『たった数年でこれほど増やすとは。……貴方たちの繁殖能力とその育成環境は神界の予測を遥かに上回っています』
「女神……」
僕は一歩前に出た。
「また来たのか。……今度は何用だ?まさか、勇者を連れてきたわけじゃないだろうな」
『いいえ。今のところ、その必要はないようです』
女神は子供たち一人一人に視線を巡らせた。
その視線に、ハルトたちは気圧されることなく、堂々と見返している。
『魔族と人族の混血、異能の融合、そして英才教育……。彼らは皆、次代の英雄(ヒーロー)となりうる器を持っています』
彼女はフンと鼻を鳴らした。
『認めましょう、相田ミナト。貴方は「魔王」にはならなかった。……代わりに世界の「苗床」になったようですが』
「苗床って言い方はやめてほしいな。……『マイホームパパ』と呼んでくれ」
『どちらでも構いません。……今日来たのは貴方たちに「釘」を刺すためです』
女神の表情が引き締まった。
『貴方たちが作り上げたこの「平和」は、貴方という特異点(オーナー)の上に成り立っています。……ですが、貴方は永遠ではない』
「……ああ、わかってる」
『いつか貴方が去った後、この強大な力が暴走すれば世界は再び混沌に沈むでしょう。……特にあの双子や、そこの少年』
彼女はルナ、ソル、そしてハルトを指差した。
『彼らは強すぎる。育て方を間違えれば世界を滅ぼす魔神にもなり得る』
「だから、警告しに来たと?」
『いいえ。「忠告」です』
女神は、ふわりと地面に降り立った。
そして意外なことに、ハルトの前に屈み込んだ。
「っ……」
ハルトが身構えるが、逃げない。
女神はハルトの瞳を覗き込み、ニヤリと笑った。
『いい目をしていますね。……父親譲りの図太さと、母親譲りの賢さを感じる』
彼女は立ち上がり、僕たちに向き直った。
『育てなさい。……力だけでなく、その「心」を』
女神の声に厳粛な響きが混じる。
『このリゾート(世界)を維持し、発展させ、守り抜くための「帝王学」を。……ただ甘やかすのではなく、背負うべき責任の重さを教えなさい。それが世界を改変した貴方たちの、最後の義務です』
「……言われなくてもそのつもりだ」
僕は答えた。
「彼らは僕の子供だ。……僕なんかよりずっと上手くやるさ」
「そうよ」
清花が隣に並んだ。
「私たちはこの子たちに『愛』と『知恵』を注いでいるわ。……力に溺れるような子には育てていない」
「うむ!余の子じゃぞ?世界征服などという古臭いことはせん!世界『経営』をするのじゃ!」
ルルが胸を張る。
『……フフッ、経営、ですか』
女神は小さく笑った。
『よろしい。……貴方たちが作り上げたこの「箱庭」、もう少し見守ってあげましょう』
彼女の体が光の粒子となって分解し始める。
『精々、長生きしなさい。……そして、面白い歴史(ドラマ)を紡ぎなさい。退屈させたらすぐにリセットしに来ますからね?』
「させないよ。……僕たちの毎日は退屈とは無縁だからな」
『期待していますよ』
最後に、女神は子供たちに向かってほんの少しだけ優しく微笑んだ気がした。
『健やかにあれ、新しき種の子らよ』
閃光と共に女神は空の彼方へと消え去った。
「……行っちゃったネ」
美鈴が息を吐く。
「相変わらず、偉そうな女神様だねぇ」
莉奈が苦笑する。
でも空気は重くない。
むしろ、未来への「お墨付き」をもらったような清々しい気分だった。
「パパ!今のキラキラした人、だあれ?」
「神様?」
子供たちが駆け寄ってくる。
「ああ、ちょっと口うるさい大家さんみたいな人だよ」
僕はハルトの頭を撫でた。
「ハルト。……聞いたか?お前たちには、期待がかかってるらしいぞ」
「うん」
ハルトは真剣な目で空を見上げていた。
「僕……パパみたいになりたい。……みんなが笑って暮らせる、凄い場所を作りたい」
「余はこのカジノをもっと大きくするのじゃ!」
「俺は、世界一強い男になる!」
子供たちの瞳には無限の可能性が宿っている。
彼らが成長しこのリゾートを受け継ぐ頃には、きっと僕の想像を超えるような素晴らしい世界になっているだろう。
「さあ、難しい話はおしまい!」
真美が手を叩いた。
「おやつの時間ですよ~!今日は特大パフェを作ります!」
「やったーっ!」
「パフェ!パフェ!」
子供たちの歓声が戻り、庭園は再び騒がしく、愛おしい喧騒に包まれた。
「……ふふっ。パパ、私たちも負けてられないわね」
清花が僕の腕に絡みつく。
「ああ。……子供たちに背中を見せていかないとな」
「それと……」
彼女は耳元で囁いた。
「女神様も『繁殖能力』を褒めてたし……そろそろ『第2次』いっとく?♡」
「えっ?」
見ると、他のヒロインたちも獲物を狙う目つきで僕を見ていた。
「そ、そうだね……子供たちには、兄弟が多い方が楽しいしね……」
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