【変神(ヘンシン)】で俺の考えた最強ヒロインをプロデュース!…したはずが、彼女たちの熾烈な争奪戦のターゲットになってました!?

のびすけ。

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第14章 魅惑のポーションは誰のため? どきどき☆恋愛サバイバル!

プロデューサーの”貞操”防衛戦線!

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舌戦は、やがて、アルトという名の「宝」を奪い合う、物理的なバトルロイヤルへと発展した。

工房という名の密室リングで、愛という名のゴングが、高らかに鳴り響いたのだ。



「アルトは私のなんだから!」



リゼットが、僕の右腕に、さらに強くしがみつく。

その身体からは、嫉妬の炎が、オーラとなって燃え上がっていた。

彼女が、左手で小さな火の玉ファイアボールを生成し、対角線上にいるルージュへと牽制球を放つ。



「きゃっ!危ないじゃない、この脳筋パン娘!あんたのその野蛮な炎で、アタシの美しい肌が傷ついたら、どうしてくれるのよ!」



ルージュが、ひらりと身をかわす。

その手には、いつの間にか紫電の鞭が握られていた。



「お返しよ!」



しなる鞭が、リゼットの足元を狙う。



「待ちなさい!」



その間に、クラウディアが割り込んだ。



「この神聖なる工房を、あなたたちの低レベルな戦闘で汚すなど、万死に値するわ!」



彼女が、指を鳴らすと、床を走っていた雷撃が、瞬時に凍り付いた。

だが、その行動は、決して仲裁のためではなかった。



「プロデューサーの身柄は、私が、論理的に、そして安全に、確保します」



彼女は、僕の左腕を掴むと、氷の壁を、自らの背後に生成し、僕を連れて、立てこもろうとする。



「抜け駆けは許さぬでござる!」



天井から、無数の手裏剣が降り注ぐ。

もちろん、刃はついていない、威嚇用のものだ。



それが、クラウディアの氷壁に、カンカンと音を立てて弾かれる。

その隙に、菖蒲の本体が、影の中から、僕の背後を狙っていた。



「あらあら、皆さん、おやめなさい。アルトさんが、お困りですよ」



エミリアさんが、その豊満な胸で、僕を優しく抱きしめながら、聖母の微笑みを浮かべる。

だが、その瞳の奥には、「アルトさんは、わたくしがお守りしますから」という、決して譲らない、鋼の意志が宿っていた。



工房内は、彼女たちの、手加減された、しかし本気の魔法が飛び交う、カオスな空間と化した。

アルトは、その中心で、右腕をリゼットに、左腕をクラウディアに引かれ、背後からはエミリアに羽交い締めにされ、天井からは菖蒲に狙われ、正面からはルージュに鞭で打たれるという、まさに地獄絵図の渦中にいた。



(まずい…!このままでは、僕の身体が、五つに引き裂かれる…!いや、それよりも、僕の貞操が…!)



僕の、スーパーコンピューター並みの頭脳が、この、あまりにも非論理的で、あまりにも危険な状況からの、脱出ルートを、必死に計算していた、その時。

彼の脳裏に、かつて読んだ、前世のハーレム系ライトノベルの、ある一文が、雷のように蘇った。



『主人公の無自覚な優しさは、時に、ヒロインたちを傷つける刃となる』



「…そうか」



彼は、ついに、自らの罪を自覚した。

僕の、この煮え切らない態度が、彼女たちを、ここまで追い詰めてしまったのだ、と。



リゼットの、幼馴染という、特別な絆に甘え、その一途な想いに、応えきれずにいた、僕。



クラウディアの、不器用な好意を、ただの「興味深いサンプル」として、観察し続けてきた、僕。



エミリアさんの、無限の慈愛を、当たり前のものとして、受け取っていただけの、僕。



菖蒲の、その、歪んだ、しかし、純粋な忠誠心を、正すことなく、利用してきた、僕。



そして、ルージュの、世界すら敵に回す覚悟の恋心を、ただの、面白い現象として、傍観していた、僕。



僕が、彼女たち一人一人に、誠実に向き合ってこなかった、その罰。

その罪が、今、この、カオスな状況を生み出してしまったのだ。



(僕が、彼女たちを、こんな風にしてしまった…)



(僕が、彼女たちを、傷つけている…)



その、強い自責の念と、それでもなお、彼女たちを守りたいという、純粋な想いが、ついに、彼のユニークスキルを、無意識のうちに発動させた。



「やめろぉぉぉぉっ!」



僕の、魂からの叫び。

それが、トリガーだった。



僕の身体から、蒼白い、淡い光が、溢れ出した。

【創造変神】の力が、僕の、彼女たちへの「守りたい」という想いに、完璧に共鳴したのだ。

光は、穏やかな、しかし、抗いがたい波となって、工房全体に広がっていく。



それは、彼女たちの攻撃を弾き返す、拒絶の壁ではなかった。

ただ、彼女たちの、暴走する想いを、優しく受け止め、鎮める、守りの光だった。



リゼットが放った炎の玉は、その光に触れた瞬間、攻撃的な輝きを失い、ふわりとした、温かい、タンポポの綿毛のように、宙を舞った。



クラウディアが生成した氷の壁は、その鋭利な角を失い、キラキラと輝く、ダイヤモンドダストとなって、溶けていった。



ルージュの紫電の鞭は、その激しい音と光を失い、柔らかな、紫色のリボンのように、しなやかに、床へと落ちた。



菖蒲が放った無数の手裏剣は、黒い蝶へと姿を変え、ひらひらと、幻想的に、舞い踊る。



そして、僕を抱きしめていたエミリアさんの、力強い腕は、その力を緩め、ただ、優しく、僕の背中を撫でていた。



工房を支配していた、ピンク色の、欲望の霧が、僕の、蒼い光によって、浄化されていく。

戦いは、終わった。

後に残されたのは、自分たちが、何をしていたのか、理解できずに、ただ、呆然と立ち尽くす、五人の少女たちと。



その中心で、淡い光に包まれながら、今まで、彼女たちが見たこともないほど、悲しい、そして、優しい目で、彼女たちを見つめている、僕の姿だけだった。
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