侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第二章 学園編

星降る夜の約束と、舞踏会の旋律

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舞踏会当日。学院最大の祝祭は、王都の中でもひときわ豪華な広場を貸し切って開かれていた。



幾重にも重ねられたシャンデリアが天井を彩り、壁に飾られた魔法のランプが淡い光を灯す。ホールには花々の香りが漂い、音楽隊の奏でる優雅な調べが空気を包み込んでいた。



その荘厳な空間に、ひときわ注目を集める三人の姿が現れた。



「まさか、両手に花になるとは……僕も困ったものだね」



イッセイが笑いながら、右にクラリス、左にルーナと腕を組んで歩く。



クラリスは深紅のドレスに身を包み、背中が大胆に開いたデザインが上品な色気を放っていた。蒼い瞳に合わせたルビーの首飾りが揺れるたび、彼女の気品と美しさをより一層引き立てていた。



「イッセイくん、視線が痛いですわよ……でも、悪くないですわね」



ルーナは濃い紫のスリットドレスで、艶やかな長髪をゆるくまとめ、赤い瞳を細めながら微笑む。その笑みには、小悪魔のような挑発と、独占欲の混ざった甘さが滲んでいた。



「ふふっ、イッセイくん、今夜は逃がさないわよ?」



会場の人々は一様に息を呑んだ。あまりに美しい二人に、感嘆の声が広がっていく。



「まさか、あの美人二人があの子のパートナー!?」「え、あれってアークフェルド家の三男じゃ……?」「最近話題の“商会貴族”、イッセイ・アークフェルドだろ」



そんな声があちこちでささやかれるが、



「慣れですわ。イッセイくん、堂々としていればよいのです」



「気にしてたら負けよ? イッセイくんはイッセイくんでいて」



二人は微笑み、支えてくれる。



やがて、学園の主催者が高台に立ち、声を張る。



「本日はようこそお越しくださいました! 明日の武闘会に向けての健闘を祈り、この夜を楽しみましょう!」



乾杯の声と共に、舞踏会は本格的に始まった。



「では、イッセイくん。最初の一曲は……私と、ですわね」



「ちょっと待って。イッセイくん、私と先に踊るって言ったじゃない」



「あはは……なら、一曲ずつお願いします」



クラリスとは優雅で丁寧なステップを、まるで宮廷の舞のように。



「……今日は、本当に夢みたいですわ。イッセイくんとこうして踊るのが、ずっと楽しみでしたの」



恥じらいながらも、クラリスは顔を赤らめてそっとイッセイの手を強く握る。



「わたくし、あなたのそばにいたいと思ってしまいますの……それって、変でしょうか?」



次にルーナと交代すると、空気が一転する。



「ふふ、今度は私の番。イッセイくん、私のリードについてきてね?」



軽やかに、そして挑発的に踊るルーナは、イッセイの耳元で囁くように言葉を重ねる。



「ねぇ、私のこと……どう思ってるの? ドレス、イッセイくんのために選んだんだよ」



彼女の体温がすぐそばにあって、瞳が真っ直ぐに見つめてくる。



「クラリスも気になるのは分かるけど……でも、私は負けないから。イッセイくんは、私だけ見ててね」



二人とのダンスを終える頃には、胸が少しだけ熱くなっていた。



そこへ、グレン・エストラッド先輩が静かに歩み寄ってくる。



「見事なダンスだったよ、イッセイくん。明日の試合も楽しみにしている」



「グレン先輩……はい、僕も全力で臨みます。いい勝負をしましょう」



「君ならきっと、素晴らしい未来を切り拓けるさ」



その言葉を胸に刻みながら、イッセイは再び舞踏会の中心へと戻っていった。



きらめく夜の中、彼の明日はもう、始まっていた。
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