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第九章 浮遊諸島の聖女と時の遺跡
浮遊島の深奥と時の扉
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静寂に包まれた浮遊島の森。その奥深く、霧が立ち込める幻想的な空間を進む一行の足取りは慎重そのものだった。
「この辺りからだよ、気配が変わるのは」
先頭を行くルーナが立ち止まり、周囲を見渡す。月光の差さぬほど深い木々の合間に、不思議な音が微かに響いていた。
「風が……巻き戻ってる、ような……」
シャルロッテが眉をひそめ、耳を澄ませた。
「時間の乱れ……。この森そのものが結界に包まれているのね」
クラリスは緊張を孕んだ声で呟いた。
イッセイは剣の柄に手を添えながら、仲間たちに目を配る。背後には、リリィ、セリア、フィーナ、ミュリルが警戒を怠らずついてきている。
「気を抜くな。ここから先は、過去や未来の幻が現れてもおかしくない」
「じゃあ、イッセイくんが子供の頃に戻ったら、撫で回していいにゃ?」
ミュリルの茶化すような一言に、緊張が一瞬だけ和らいだ。
「やめろ。……でも、そういう“幻”には本気で惑わされるなよ」
そうして進むうちに、霧の先に浮かび上がったのは、巨大な石造りの門だった。重厚な意匠が施されたその門は、時間の流れを拒絶するかのように、どっしりとそこに在る。
「これが……時の遺跡……」
フィーナがぽつりと呟く。
「この奥に、“時の扉”があると言われている。過去を映し、未来を示す禁忌の魔導遺産……」
「なんにせよ、中を確かめないことには始まらないわね」
セリアが先に立ち、門に手をかける。
その瞬間、地響きとともに門がゆっくりと開いた。霧が門の奥へと吸い込まれ、視界が開ける。
そこに現れたのは、時の歪みが幾重にも折り重なった異空間だった。宙に浮かぶ石畳の回廊。空に逆巻く星々。時間そのものが視覚化されたような、異様な光景。
「……まるで、夢の中にいるみたい」
シャルロッテが小声でつぶやく。
「ここで、真実に辿り着けるといいな」
イッセイは仲間たちを振り返り、軽く頷いた。
「さあ、行こう。……“時の扉”の向こうへ」
一行は「時の道」とも呼べる、空中に繋がれた岩石の回廊を進んでいた。一歩ずつ踏みしめるたびに、時間の流れが少しづつゆがんでいくような感覚がした。
「ここは…まだ現実なのか、過去なのか…」
クラリスが吐き出すように言う。
「時間の視覚自体がまぐわってるにゃん。ごはんたべたあとに朝ごはん食べるみたいに……あれ?」
ミュリルが頭をかしげてほっぺを広げる。
「とにかく、ここがフランの記憶に繋がる場所なのは確かよね。もう少し進むわ」
シャルロッテが何かを感じたように歩んでいく。
「フラン…やつは、私たちの前になぜ現れたのか。ここに答えがあるといいが…」
イッセイは手にする剣をわずかに緊縮しながら進む。
その前方に、大きな砂時計を作ったような銀白の門が現れた。文字も記号もない、だけど、どこかなつかしさと混ぜりけの無尻な恩恵が漂う。
「……これが、時の扉」
フィーナが言った。その衝撃に、すべてが黒に浸み込まれたような感覚が一行を打った。
「この門は何を開け、何を示すのだろう…」
セリアの言葉に、何も言わずにイッセイは扉に手をかける。
門が、ごうん、と音を立てて開い始めた。その光の向こうに、違う時空が待っていた…。
「この辺りからだよ、気配が変わるのは」
先頭を行くルーナが立ち止まり、周囲を見渡す。月光の差さぬほど深い木々の合間に、不思議な音が微かに響いていた。
「風が……巻き戻ってる、ような……」
シャルロッテが眉をひそめ、耳を澄ませた。
「時間の乱れ……。この森そのものが結界に包まれているのね」
クラリスは緊張を孕んだ声で呟いた。
イッセイは剣の柄に手を添えながら、仲間たちに目を配る。背後には、リリィ、セリア、フィーナ、ミュリルが警戒を怠らずついてきている。
「気を抜くな。ここから先は、過去や未来の幻が現れてもおかしくない」
「じゃあ、イッセイくんが子供の頃に戻ったら、撫で回していいにゃ?」
ミュリルの茶化すような一言に、緊張が一瞬だけ和らいだ。
「やめろ。……でも、そういう“幻”には本気で惑わされるなよ」
そうして進むうちに、霧の先に浮かび上がったのは、巨大な石造りの門だった。重厚な意匠が施されたその門は、時間の流れを拒絶するかのように、どっしりとそこに在る。
「これが……時の遺跡……」
フィーナがぽつりと呟く。
「この奥に、“時の扉”があると言われている。過去を映し、未来を示す禁忌の魔導遺産……」
「なんにせよ、中を確かめないことには始まらないわね」
セリアが先に立ち、門に手をかける。
その瞬間、地響きとともに門がゆっくりと開いた。霧が門の奥へと吸い込まれ、視界が開ける。
そこに現れたのは、時の歪みが幾重にも折り重なった異空間だった。宙に浮かぶ石畳の回廊。空に逆巻く星々。時間そのものが視覚化されたような、異様な光景。
「……まるで、夢の中にいるみたい」
シャルロッテが小声でつぶやく。
「ここで、真実に辿り着けるといいな」
イッセイは仲間たちを振り返り、軽く頷いた。
「さあ、行こう。……“時の扉”の向こうへ」
一行は「時の道」とも呼べる、空中に繋がれた岩石の回廊を進んでいた。一歩ずつ踏みしめるたびに、時間の流れが少しづつゆがんでいくような感覚がした。
「ここは…まだ現実なのか、過去なのか…」
クラリスが吐き出すように言う。
「時間の視覚自体がまぐわってるにゃん。ごはんたべたあとに朝ごはん食べるみたいに……あれ?」
ミュリルが頭をかしげてほっぺを広げる。
「とにかく、ここがフランの記憶に繋がる場所なのは確かよね。もう少し進むわ」
シャルロッテが何かを感じたように歩んでいく。
「フラン…やつは、私たちの前になぜ現れたのか。ここに答えがあるといいが…」
イッセイは手にする剣をわずかに緊縮しながら進む。
その前方に、大きな砂時計を作ったような銀白の門が現れた。文字も記号もない、だけど、どこかなつかしさと混ぜりけの無尻な恩恵が漂う。
「……これが、時の扉」
フィーナが言った。その衝撃に、すべてが黒に浸み込まれたような感覚が一行を打った。
「この門は何を開け、何を示すのだろう…」
セリアの言葉に、何も言わずにイッセイは扉に手をかける。
門が、ごうん、と音を立てて開い始めた。その光の向こうに、違う時空が待っていた…。
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